うたをつぐもの―うたわれるもの・After―   作:根無草野良

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~第二幕・32~ オンカミヤムカイへの道・憂鬱

 

「はぁぁぁぁ」

 オンカミヤムカイへと向かう道中。

 歩みを進める後ろの人物、沈痛な面持ちを引きずったカミュの口から、盛大な溜息が聞こえてきた。

「どうしたんだ?

 まだ、ユズカ殿のことが――」

「ううん、そうじゃなくてね。

 う~ん……ねえ、

 やっぱりカミュも行かなきゃダメかなぁ?」

「当たり前ですっ」

 困惑混じりの言葉に対し、元気な声が応えた。

 どこから現れたのか、ムティ殿は妙に嬉しそうだ。

「まったく、

 なにを言いだすんですか、ここまで来て。

 姫さまだってお分かりでしょう?

 賢大僧正(オルヤンクル)が

 どれほど心配なさっておられるか」

「う~、それが怖いんだよ~」

「んむー?

 ウルトおねーちゃん、やさしい」

 慄(おのの)くカミュの様に、アルルゥは小さく首を傾げている。

 というかこやつ、賢大僧正(オルヤンクル)まで見知った仲なのか。

 まぁ、その妹君と親友なのだ。

 おかしくはないのだが、二人の日頃を見ている限り、カミュが怯える理由は、なんとなく分からなくもない。

「アルちゃんは、お姉様の本当の怖さを

 知らないからそんなこと言えるんだよ。

 問答無用で人を癒すあの笑顔で、

 相手が逆らえないのをいい事に、

 無理難題を吹っかけてくるんだから~。

 他の人たちは幸せそうな顔して潰れちゃうけど、

 カミュには効かないんだから」

 ……なるほど。確かに姉上だ。

 カミュの日頃の行いに、多大な影響を与えたに違いない。

「さあ、姫さま、

 先を急ぎましょう。早く早く」

「え~~~、や~~~だ~~~!」

 考えている間に騒動の元は行ってしまった。

 意気揚々と先を行く、少年僧に手を引かれて。

「……ムティ殿、生き生きしてるなぁ」

「ん、たのしそう」

 まさか日頃の仕返しではなかろうが。

 鼻歌混じりで進むムティ殿は、いつになく機嫌のよい足取りを見せていた。

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