超かぐや姫の世界で帝(ガチ)に転生した話   作:こそば

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第1話

~ヤチヨside~

 

私が彼、ベレトと出会った、いや再開したのは今から千年とちょっと前。

かぐや姫と呼ばれるそれはそれは美しい姫がいるという噂を聞き、ウミウシの体で駆け付けた時にはもうかぐや姫は月に帰った後だった。

もしかしたら一旦月に帰って、もと光る竹を使って彩葉(いろは)たちの時代に戻れるかも!と思っていただけに落胆の感情が抑えられない。

そうしてトボトボと帰路についている途中で出会ったのが彼だ。

 

「え!もしかしなくても、ベレト!ベレトでしょ!」

「…なんだ?しゃべるウミウシが見えるとは、気でも狂ったか」

「ベレト!私だよ、かぐやだよ!」

「・・・は?」

「ぴぃ!?」

 

ベレトからとんでもない圧と殺意を向けられる。

今の彼からは人ひとり斬り捨てることも厭わないであろう雰囲気が感じられる。

 

「待って待って、どうしたのベレト!?」

「あいつは、かぐやは月に連れ去られた。なのにお前がかぐやだって?…おちょくっているつもりなら二度と口を開くな、斬りたくなる」

 

ベレトは月に帰ってしまったかぐや姫と親しい仲だったのだろうか?

その言葉からはかぐや姫に対するとても強い思いが伝わってくる。

 

「誤解!誤解があると思うの!説明するから斬らないで聞いて!」

「…わかった。話を聞こう」

「うん!えっとねー」

 

そのあと私の身に起こったことをすべて話した。

彩葉たちとのこと、月に帰った時のこと、未来から約8000年前に来てしまったこと。

ベレトはずっと真剣に聞いてくれて、馬鹿にするような、信じないような素振りは一度もなかった。

そんなベレトに、月に帰る前に話した時のベレトの面影が感じられて、なんだか嬉しかった。

 

「なるほど…つまりお前も月から来たかぐや姫だったのか。」

「そうなの!ベレトとは未来で会ったことがあるんだけど、まさか今会えるなんて思ってもなかったからすっごーく嬉しい!」

 

…あれ?でも今のベレトが未来のベレトと同一人物だとすると、千年以上生きてることになるけど。

 

「お前の話からすると、やはり俺は不老不死になったみたいだな」

「不老不死!?なにそれ、なんでそんなことになってるの?」

「あいつからの贈り物だ。約束したんだ、必ずまた会いに来るって」

「それって、月に帰ったもう一人のかぐや姫とのこと?」

「そうだ。まぁ、こちらも会いに来るのを待っているだけじゃない。会いに行ける手段を見つけるつもりだ。」

 

なんかすごくロマンチック…お互いが信頼しあっているのが聞いているだけでわかる。

 

「それにしても、かぐや以外にもこっちに来たかぐや姫がいたなんて、聞いたことない方びっくりしちゃったよ~」

「月にはお前みたいなタイプが何人もいるのか?」

「そうだよ~、正確な人数はわかってないけど、話したことある子も何人かいるよ!」

「…そうか」

 

そういって黙り込んで何かを考えているベレト。

どうしたんだろ?何か気になることでもあるのかな。

 

「そんなことより、ベレト!」

「!すまない、考え事をしていた。何かあったか?」

「ベレト、これからはかぐやと一緒に行動しようよ!」

「なぜだ?」

「え~!?普通は知ってる人と一緒にいたいじゃん!…ひとりぼっちは寂しいよ」

 

ぽつりとこぼすかぐやの言葉には、言いようのない説得力があった。

それを感じ取ったのか、ベレトは二つ返事で了承する。

 

「俺からしたら、知り合いというわけではないんだが。そうだな、これからは一緒にいよう」

「ほんと!?よっしゃ~!!」

 

今までは色んな人たちと出会って、数えきれないほどの別れを経験してきた。

でも、ベレトは不老不死。ということは、絶対にお別れをする必要がない。

永い時を独りで過ごすのは、とってもつらい。でも、それが二人なら。同じ存在なら。

 

「ふふふ、これからはず~っと一緒にいようね、ベレト!」

「そうだな、よろしく……かぐや」

 

 

「かぐや…そういうことか、なら俺は…君の幸せのために…」

「何か言った?ベレト」

「いや、何でもない、行こうか」

 

そうして一緒に行動することになったかぐや姫とベレト。

それからもいろんな人の出会いと別れ、酸いも甘いも経験し、ベレトが不思議な力を持ってることも知った。

そうして過ごすこと千年とちょっと…ツクヨミだって作って私が月見(るなみ)ヤチヨになって。

とうとう彩葉を見つけて、一人暮らしするように誘導もした。

今のところ大きなずれもなく、問題ないように思えるけど…。

 

『というわけで、ベレトには私の知っている通りの筋書きで進むかの確認をしてほしいの。できればアシストもしてもらえるとヤッチョは嬉しいんだけどな~チラッチラッ』

「もとよりそのつもりだ、下手な演技はしなくていい。最初の出会いは酒寄彩葉(さかよりいろは)宅前の電柱からかぐやが出てくるところだろう?」

『そうそう!日付的には~この辺だと思うから、夜になったら張り込みよろしくね~』

「通報されないように気を付けるか」

 

私の頼もしい相棒も了承してくれたし、これで不安要素もほとんどなくなった。

あとはベレトに色々とツクヨミ内でも干渉してもらう必要があるからもっとツクヨミに来てほしいんだけど…。

なぜかベレトはあまりツクヨミに来たがらない、というかツクヨミ内で他人と交流することをかなり避けている。

ベレトに聞いてもはぐらかされるし、FUSHIに相談してみてもわからない。気分は犬のおまわりさんだ。わんわん。

 

まぁ、ベレトの交流が少ない分私にリソースをつぎ込んでくれていることはいいことだし、そこはもういいかな?

 

「ヤチヨ」

『なんだいなんだい?』

「君は…いや、何でもない、忘れてくれ」

『えぇ~、そこまで言っておいて何でもないは無理無理かたつむりでは?』

「わざわざ聞くのも無粋だった。君ならこうするという確信があるから大丈夫だ」

『ふ~ん…まぁヤッチョとベレトは一蓮托生・比翼連理・唯一無二なパートナーだし?行動に想像つくのも致し方なしかにゃ~?』

『前になんでベレトがツクヨミに来たがらないのかわからないって言ってなかったか?』

『FUSHI?』

 

三人で会話していると、さっきまで抱えていた不安もどこかへ飛んでいく。

いつかここに彩葉も加わってみんなで…なんてのは過ぎた願いだろうか。

もう私は彩葉にとってのキラキラのかぐや姫ではないのだから。

 

「ヤチヨ、大丈夫だ」

『!』

「君の話す彩葉という子は、そんな子じゃない。それは直接かかわった君がよく知っているだろう」

『うん、そうだね。ありがとう、ベレト』

 

あぁ、本当に。

ベレトが一緒にいてくれてよかった。今までもずっと思ってきたけど、改めて痛感する。

これからもずっと一緒にいてね、ベレト?




短くてすみません!ほんとは四千文字くらいをベースに書きたいと思ってるのですが区切りが下手くそ…
基本的に彩葉・かぐやsideの話はカットする予定です。ご承知おきください。
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