超かぐや姫の世界で帝(ガチ)に転生した話   作:こそば

5 / 6
たくさんのお気に入り登録ありがとうございます!
投稿ペースを上げられるよう、頑張りますのでこれからも応援していただけると、とても励みになります。


第4話

~sideヤチヨ・ベレト~

 

かぐやがライバーを目指し配信を始めてから数日、ベレトは必ずかぐやの配信をチェックしていた。

配信内容はかなり多岐にわたっており、ゲーム実況から歌ってみた、料理配信から近所の子供と花火大会まで様々だ。

初めての配信時は数秒で終わり、不協和音のジングルが流れ、配信の切り忘れによる実写バレで締められていたことを考えるとかなりの成長だろう。

こうして興味のあることにはどんどん手を出していき、好きなことだけを楽しそうにしている彼女はやはり魅力的だ。

昔も、かぐや姫のそんなところに救われていた。

 

『あ〜、そういえばこんなこともしてたね、いやはや懐かしきおもひでぽろぽろなのです⭐︎』

「いつも思うが、よく覚えているな、ヤチヨ」

『ヤチヨの記憶力を舐めないでいただきたいね!ベレトと会ってからのことも全部覚えてるんだから!』

「やはり月人のポテンシャルの高さは凄まじいな」

 

ヤチヨは電子生命体だが、記憶に関してはかなりブラックボックスになっている。

そんな膨大な記憶量をどうやってその体の容量に収めているのか、永遠の謎だ。

記録データとしてツクヨミに残していることは確認できているし、ヤチヨ以外のプレイヤーの記録データに干渉して特定の記憶の消去もできる。

この事実はヤチヨとFUSHI、そして自分しか知らない極秘事項だ。これを知られていたらスマコンでのツクヨミへのログインなど速攻で禁制として扱われただろう。

 

『それにしても、うぬぬぬ〜』

「そんなに唸って、何かあったのか?」

 

一緒にかぐやの配信を見ていたヤチヨが不思議な言葉で唸り出す。

何か気になる所でもあったのだろうか、集中して画面を確認した方がいいだろう。

 

『いや〜、自分のまだ未熟だった頃の配信を見てると、なんかこう体がむずむずするというか、小っ恥ずかしいみたいな、ね?』

 

なんだ、そんなことか。確かにヤチヨに比べると話題切替のテンポだったりコメント欄との会話だったりが不慣れゆえの未熟さはあるだろう。

 

「俺はこの配信もいいと思っているよ。この天真爛漫さといい、興味のある好きなことに一直線な感じは、元気がもらえるような感覚がある」

『…そうかにゃ〜?ベレトもやっぱりこっちのかぐや姫の方が好きかにゃ?』

 

ヤチヨの声が若干暗くなる。どうやらヤチヨ的には今のかぐやがコンプレックスになっているようだ

 

「ヤチヨの配信だっていいと思っているよ。何より、あの酒寄彩葉嬢が救われたのは君の配信のおかげだろう。」

 

ヤチヨはどうやら今の自分よりかぐやの方が魅力的だと思っているのだろうが、それは違う。

今のヤチヨにはかぐやにない魅力がある。が、本人では意外と気付けないものなのだろう。

 

「彼女も言っていただろう?君がいるから耐えられた、と。それが何より君の魅力を物語っていると思うが」

『ベレト…。そっか、そうだよね。ありがとね、ベレト!』

 

元気そうに微笑むヤチヨを見る。やはりヤチヨには笑顔が似合う。

その笑顔の先にいるべきは、俺ではなく彼女なのであろう。だけど今は、今だけは、もう少しだけ俺のものであって欲しい。

全部、彼女に返すから。せめてそれまでは。

 

『でもベレト、そう言うってことは盗み聞きしてたでしょ!』

「あぁ、いや盗み聞きするつもりはなかったんだが。すまない、聞こえてしまった」

『乙女には秘密がたっぷりなんだから、そういう時はお耳を塞いでおいてくださーい』

「悪かった、次からは気をつけるよ。もう配信も終わりだな」

 

画面に映していた配信も、気付けばエンディングに突入していた。

今日はヤチヨがよくするお悩み相談をしていた。キッチリ片をつけ、忘れる。彼女らしいセリフだ、相談者もここまではっきり言われれば踏ん切りもつくだろう。

ヤチヨの寄り添うような回答とは打って変わった背中を蹴り飛ばすような回答は、上手いことヤチヨの相談室とは差別化できている。

その甲斐あってかヤチヨカップの順位も大幅に上がってきている。すでに3桁まで上がっているのは大躍進が過ぎると思うが。

 

「頑張れよ、かぐや」

 

 

ーーー数日後ーーー

 

「それで、今日はビーチに来ているわけだが」

『今日のミッションは超重要!ナンパからの救出であ〜る』

 

ヤチヨからの指示でビーチに連れてこられ、困惑するベレトに告げられるミッション。

それは悪質なナンパからビーチに来ているかぐやと彩葉、彩葉の友達でインフルエンサーの芦花、真実の4人を守ることだった。

 

「ナンパか…ビーチで綺麗どころ4人も揃っていればそうなるか」

『よよよ…ビーチ中の視線を一人占めしてしまう罪な女子達なのです⭐︎』

 

ヤチヨはふざけながらそう言うが、実際ヤチヨの言う通りだろう。

全員顔が良いこともさることながら、うち2人は人気インフルエンサーだ。なんとかしてお近づきになりたい輩もいるだろう。

 

「それで、どのあたりに行けばいいんだ?」

『えっとねー、確かあっちの方だと思う。よろしくね、ベレト!あ、ちゃんとフードは目深に被ってね、暑いから流石にマスクはしなくてもいいけど前は開けないこと』

「わかったが…前も開けちゃダメなのか?顔が見えなければ問題ないと思うが」

『ダメに決まってるでしょ!?ベレトはなーんにもわかってない!顔が見えなくても身長・雰囲気・鍛えられた肉体を見れば女の子は寄ってきちゃうんだよ、この唐変木!スケコマシ!』

「謂れのない誹謗中傷はやめてくれないか、ヤチヨ。そう言うのはネットのお友達とyachi8000とでやってくれ」

『こいつ…!許せないンゴねぇ!』

 

そうしてしばしヤチヨとじゃれ合って数分、歩いていると少し先から大きな声が聞こえてきた。

 

「まだまだ足りない、どうすればいいのだー!」

『あ、いたね』

 

そう叫ぶ声が聞こえる。視線を向けると不満げにする姫さまとそばに控える翁達が見えた。

かぐやは降り注ぐ陽光をそのまま身に纏ったようなオレンジの水着を着ており、ツインテールにまとめられた艶やかな金髪と相まって、浜辺で輝くもう一つの太陽のようだ。

彩葉の水着はパステルグリーンのセパレート式で、ホルターネックだ。髪は外跳ねのポニーテールで、水着とぴったりマッチしている。

 

「あれは、まだ大丈夫そう、か?」

『そうだね〜。今はヤチヨカップ優勝したーいって騒いでる頃だから、この後だね』

「なら、もう少し様子を見ることにしよう」

 

そうしてかぐや達の青春の1ページを眺める。

かぐやはコロコロと喜怒哀楽が変わり、彩葉はそんなかぐやに押し切られているのが見てとれる。だが、そこに嫌々という感情は見受けられない。

そこに芦花と真実も加わり、楽しそうに騒いでいるいる4人を見ながら、穏やかに時が過ぎるのを待っていたその時。

真実が1人どこかへ向かった後ろから、男数人が近寄り声をかける。

 

『ベレト』

「わかってる」

 

急いで男の後を追うと、すでに芦花と彩葉が真実の異変に気づき、ナンパ男と対峙していた。

しかし、自分たちより多い人数の男相手には分が悪く、無理やり腕を掴まれ逃げ道を塞がれている。

 

「やめてください!これ以上は警察を呼びますよ!」

「そんな物騒なこと言わないでよ、俺らはただ有名インフルエンサーの真実ちゃん達と遊びたいだけなんだってw」

「そうそう、一緒に遊ぼうよ!マジ楽しませるから、ブレワイとかティアキンよりも楽しいから!」

「こいつ連れてきたの誰?」

「あまりにもナンパに向いてなさすぎるだろ」

 

「悪いが、その子達は自分の連れなんだ、大人しく帰ってくれないか」

 

とりあえず男の掴んでいた腕を真実達から離させる。なんか危険は少なそうに見えるが、たちの悪いナンパには変わりない。離させるために掴んだ男の腕に少々力を加える。

 

「イッテェ!なんだお前突然!」

「この子達の保護者をさせてもらっているものだ。悪いがお引き取り願えるか?」

「まじか、挨拶とかしといた方がいい感じ?」

「いいから黙ってろってお前は」

「くそ!いい気になりやがって!」

 

ナンパ男に周りを囲われる。真実達は上手く下がれたようなので問題ないだろう。

 

「あの!」

「問題ない、少し離れていてくれ」

 

暴力はあまり好かないが、得意分野だ。この体に生まれてからは、特に。

上手いこと調整して、後遺症が残らないように気をつけなければ。

 

「さて、やるか…その身で学べ!

 

 

 

「よし、全員怪我はないか?」

「あ、はい。あの、ありがとうございました」

 

瞬く間にナンパ男達を一蹴したベレト、砂浜の一角に男達が積み上がっている。

捕まっていた3人には腕を掴まれた箇所が少し赤くなっている程度で、大きな怪我はなさそうだ。

 

「(一応こっそり治しておくか…ライブ)ビーチには不埒な輩もいる、気をつけてくれ。では、俺はこれで失礼する。」

「あ、その、本当にありがとうございました!」

 

「おーい、みんな大丈夫だった!?ごめんね、かぐや気づくの遅くなっちゃっ…て…」

 

ファンに声を掛けられて対応していたせいでその場にいなかったかぐやが駆けつけ、ベレトとすれ違う。

 

「かぐや、あんた大丈夫だった…って。どしたの、ボーッとして」

「え、いやいや、なんでもない!…気のせい、だよね?」

 

奥歯にものが挟まったようにはっきりとしないかぐや。何かが気になっているようだが今日はひとまず撤収した方がいいだろう。

 

「一旦片付けて今日は帰ろっか、落ち着いてからまたツクヨミで話そう」

「そうだね、そうしよっか。真実もそれでいいよね?」

「もち〜。今日はもうドッと疲れちゃったし、途中でラーメン屋さん寄って帰らない?」

「真実って結構図太い精神してるよね…」

 

ナンパされていた時は怯えていた3人も、ひとまずは笑顔で帰り支度を始めている。

それを確認したベレトは、ビーチから離れヤチヨに報告する。

 

「ヤチヨ、終わったぞ」

『お疲れ様、ベレト。いや〜やっぱりいつ見てもベレトはつよつよですな〜⭐︎』

「まぁ、あれくらいの相手なら負けようがないが。もうこのあとは平気か?」

『大丈夫だよ、あとはそのまま帰るまで何もなかったから。ありがとね、みんなを助けてくれて』

 

真面目な顔で感謝を告げてくるヤチヨ。今回の案件は確かに危険なものだったが、それだけではない。

お人好しの彼女は、直接手助け出来ないことが歯がゆいのだろう。

 

「かまわないよ。むしろ、彼女達のピンチを教えてくれてこちらが感謝したいくらいだ」

『そうなの?それはなんで?』

「単純に知っている人達が不幸になるのは見過ごせないから、かな。全てを救えるわけがないのはよく知っているけど、それでもこの手が届く限りは助けられたらと思っているよ」

 

今までもそうだった。助けたかった人を助けられなかったことの方が、俺もヤチヨも多かった。

だからこそ、間に合う限りは、助けられる人達は助けたい。

何より、自分たちも助けられる、救われることが多かったから。

 

『…ベレトらしいね。今日はほんとーにありがとね、ベレト』

 

そうして2人で帰路につく。

それから帰宅後にSNSをチェックしていると、ベレトのナンパ撃退シーンがバズっていたため、図らずしも女性からの人気が上がってしまい、ヤチヨが機嫌を損ねてしまうとは、つゆほどにも思っていなかったベレトであった。




ナンパのシーンは最初結構悪めな言葉を使ってたのですが、超かぐや姫には相応しくないなと思いギャグ味が出して軽くなるようにしました。
ナンパってこれであってるのか…?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。