センセイモドキは先生を辞めたい   作:ブルアカやったことない民

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トリニティチョコミントグルイはチョコミントを認めない者の人権を認めない

「ア~イスアイス~♪アイスクリ~ム~♪」

 

「出たなチョコミント教の狂信者め……!」

 

 移動販売タイプのアイスクリーム屋でいつものポッピンシャワーとチョコのコンボを買おうとしたところ、チョコミント狂いの女に出会った。残念なことだが、俺はチョコミントをアイスのフレーバーと認めるワケには行かない。アレはもう歯磨き粉だ。

 

「で、出やがりましたね異教徒……!」

 

「異教徒はどちらかな……?チョコミント、いや歯磨き粉狂いめ…!」

 

 俺がチョコミントを認めないタイプの人間であることはアイリにも伝えてある。というか俺が邂逅一番『チョコミント味はさぁ、歯磨き粉味じゃない?』って言ったことで異教認定された。まぁ俺としても仲良しこよしをするならコイツがチョコミントをやめてからだ。そんな未来あるのかどうか……よって、俺とアイリは敵対派閥同士でやり合う()という大層面白いことになっている。

 

「じゃあオメェ、チョコミントが摂取できなくなって近くに歯磨き粉しかなかった場合、吸うんだろ?」

 

「それは逆なんですよ!歯磨き粉がチョコミントの味がするから代用品として使えるってだけで…!」

 

「じゃあ歯磨き粉=チョコミントじゃないかい!歯磨き粉を常飲してろよ異教徒め」

 

「言ってはならないことを……!」

 

 俺はアイリにボコボコにされた。アイリは普通に強かった。というかキーボード入りのケースを片手で持ってる時点で膂力のステータスが高いんだよ。それにアイリは俺に対してだけ割と扱いは粗雑だ。スイーツ部の皆には優しいのになんてふてぇ野郎……野郎じゃないね。何?女郎?この女郎め……!テメェのパワーで殴られたら死ぬんだぞこちとら。

 

 そして最後、俺は口の中に無理やりチョコミントアイスをねじ込まれようとしている。やめろー!俺はチョコミントをアイスのフレーバーとは認めん!やめろーもががっ

 

 俺はチョコミントをねじ込まれたことにより程よく息が出来なくなって失神。無事、持ち去られることとなった。あのね、固形物を口にねじ込むと人は死ぬんですよ。喉をぴったりフィットするくらいのデカさのアイスはほぼ凶器です。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「はっ!?」

 

「目覚めましたね、先生」

 

 俺はイスに拘束されていた。暗い部屋の中……どうやらカーテンで閉め切られているらしい。スイーツ部の部室のようだった。

 

「やめろー!拷問はジュネーブ条約で禁止されているハズだ!」

 

「これは拷問ではありません。布教です」

 

「クソッ、デリケートな話題に飛びやがって……それを否定しちゃうとシスフとかあそこら辺の宗教団体が黙ってないんだぞ!」

 

 俺はガタガタと必死に音を立てて逃げようとするものの、どうやら今日はいつかのハロウィンのようにハイライトがない日らしい。ゾッとするほどヤンデレ顔(ハイライトがなく、口の端に髪の毛を食べている状態)でこちらにズィっと押し付けるは……

 

「チョコミントか……!」

 

「えぇ、先生には“違い”を理解してもらうためにチョコミントのフレーバーを3つ用意させていただきました!」

 

「やめろよ、全部歯磨き粉だろ」

 

「言いましたね!先生、お仕置きですよっ!」

 

 アイリは俺のズボンに手を掛ける。おいバカやめろ!何をする!俺が暴れるがアイリは必死になって俺を押さえ、そして靴を脱がせた。

 

「先生がチョコミントを侮辱する発言をするたびに身に着けている服を足から順に脱がせていきますからね!そして全裸の状態になったらその写真を撮ってカズサちゃんに送りつけます」

 

「なんて恐ろしいことを……拷問よりも酷いぞ!」

 

「私はチョコミントを布教する為、暗黒面に落ちました……。先生、覚悟してください」

 

 俺は死を覚悟した。

 アイリがチョコミントを選んでいる様がどう見てもチェーンソーを吹かし込んでいるようにしか見えないからだ。俺はチェーンソーで八つ裂きにされるんだ……!尤も手に持っているのはチョコミントアイスなのでねじ込まれるだけなのだが、それはそれで拷問だし、誰が好き好んで歯磨き粉を食ってやらにゃいけないんだ。

 

「はじめにこのチョコミント。王道のバランサータイプ!」

 

 見た目は普通のチョコミントだ。バランサータイプがなんなのかわからんがまぁ王道といったところなのだろう。俺は腕が縛られているので雛鳥のように口を開ける。ほら、早くよこせよ。その非人道拷問に付き合ってやるって言ってんだよ。俺は虚勢を張り、アイリのようにない胸を張った。“ない胸”を張った。

 

「先生?」

 

 靴下を持ってかれた。ねぇそれ後で返してくれるんだよね?あ、良い笑顔ですね。可愛い笑顔ですね。あーそうですかそうですか。俺は靴下くんの儚い運命を祈った。R.I.P

 

 さて、とりあえずそのバランサータイプとやらを実食。食べて感想。うーん、本音言っていい?

 

「歯磨き粉じゃん」

 

 ズボンを持ってかれた。割とお気にのズボンなんだからあとで返してね?ホントね?

 

「ねー、普通に寒いんだけど。いや、この際脱がされるのは良いけど風邪引いたらアイリ“ヤラれる”よ?」

 

「そこを強調されても困るんですけど……わかりました。じゃあこちらを」

 

 そう言ってごそごそと部室から取り出されたのはバンド衣装で使っていた羽織りだった。それをひざ掛けのように被せると次のチョコミントを掲げる。まだつづくのー?

 

「はい!あと二つありますからね!」

 

「いーじゃん。全部歯磨き粉だろー?」

 

 上着を剥がれた。縛っている為脱がせなかったアイリは俺の口元にチョコミントをまるで凶器のように当てつけながら縄を外し、上着を脱がして再度縛った。侮辱判定広くない?ガバじゃん。

 

「先生がチョコミントと認めてくれない限り終わりませんからね!」

 

「いや、それは諦め」

 

「お次はこのチョコミント!なんと塩チョコミントですよ!」

 

 あ、スルーですかそうですか。……まぁ歯磨き粉は食えないこともないので良いんだけど。単純に歯磨き粉食ってるような感じがするんだよねチョコミント。出されたら食うけどアイスを選べるなら選ばないみたいな……まぁいいや。いざ実食。うーん……

 

「ジャリジャリ感が強い歯磨き粉。なんかドラッグストアであるよね。炭が入っててジャリジャリするけどめちゃくちゃ磨けるヤツ」

 

 俺はシャツを奪われた。あともうパンツだけなんだけど。裸じゃん。全裸じゃん。君の羽織りが最終防衛ラインになっちゃうけど良いの?パンツ脱がされたらもう直に君の羽織りと接触ぅ―!するんだけどそれでいいの?

 

「先生エッチですね……」

 

「お前がしたんだよ?」

 

「誘ってたりは……?」

 

「これを誘ってるって言うなら俺は金輪際お前に近づかないけど」

 

「最後はこれですよ!チョコが強めのチョコミント!」

 

「話聞かねぇ~~~。もういいよ。俺はどうせ人権がないタイプのヒューマンですよ~~。チョコミントチョコミント。これでいい?」

 

「食べてから言ってください!」

 

 実食……しなくてもわかると思うんだけどまぁ……。あぁごめん。そういえば俺、信念を曲げることはしたくねぇんだ。それはプレ先に出会った時に決めたこと……教師たるもの曲げちゃいけない意見もあるとね。初志貫徹、大事。俺は一呼吸おいて、真剣な面持ちで言った。

 

「甘めの歯磨き粉」

 

 パンツを奪われた。上手い事羽織りの上から脱がされた。いそいそとパンツ君はしまわれ、え?待ってよ。俺のパンツしまわないでよ。俺どうやって帰ったらいいのさ。それはちょっとあまりにもあんまりじゃあありません?ねぇ?

 

「ねー、俺全裸なんだけど。もう君の羽織りが最終ラインになっちゃったんだけど。マジで言ってる?これをカズサに送るの?犯罪だよ?」

 

「先生はもう情緒や性癖がガタガタだと常日頃言っていたのでこれくらいなら許されるかなぁ~と」

 

 そう言われるとね。俺はスンとなった。もうね、わかってるんすよ。俺の扱いなんて。はいはい、皆俺を雑に扱いますよ~だ。俺は自暴自棄になった。

 

「そりゃね。この状態でマイサンが立ってない時点でそらそうよ。もうボロボロ。君んとこのナッツーとかヤバいよ?何あの子?距離感バグとかじゃないよ?平然と部屋に入ってきて寛ぎ始めた時は俺コイツと同棲してんじゃねぇのかなって勘違いしたもん」

 

──びっくりしたよね。全然帰らんし。コイツいつ帰るんだろうな~って思ったら普通に夜になったし。布団用意して日課のホットコーヒー用意してたら布団占領されてたし。俺隅っこで寝たよ。帰ったの朝だよ。

 

「それは拒否らない先生も悪いのでは……?」

 

「じゃあ拒否できる余地をくれよッッッ!!!!」

 

 それでもだろ!と俺は嘆くがそんなことも露知らずのアイリは俺をよそめにスマホを……

 

「やめろぉ!」

 

「わっ!?大丈夫ですか!?」

 

 立ち上がろうとしてガッシャーンと倒れ伏した俺は器用にアイリの服を巻き込んで股間をガードしながらうねるように近づく。

 

「カズサには送るなァー!」

 

「えっ、もう送っちゃいましたけど……」

 

「貴ッ様ァー!!!!!人の心無いんか!?」

 

「あるから送ったんですよっ」

 

 ヤバイヤバイヤバイ……発情した猫ちゃんが来ちゃう……どうする……?どうする?

 

「な、何が望みだ……?」

 

「今更?」

 

「言え!何が望みだ!」

 

「ふっ、チョコミントを認めてください」

 

「ぐっ……そんな世迷言を」

 

「あ、じゃあカズサちゃんには先生が誘ってたよって言う旨のメッセを……」

 

「だから人の心ォ!」

 

 クソォ……俺は致し方ないとばかりに唇を噛んだ。思いっきりな。

 

「知ってるか?俺だって脱出手段の一つや二つ……口寄せの術、こぉい!セリナァ!」

 

 シュタッと虚空から現れるセリナ。やはりな。信じていたよ。俺が独自()に開発した口寄せの術……基本的に地区によって呼び出せる対象は違うのだが、今回はトリニティなのでセリナだった。というか呼び出せる地区も限られている。トリニティ以外だと百鬼夜行とかしかない。イズナね。

 

 それは兎も角、俺はセリナに命令した。お殿様ね?

 

「セリナァ!スイーツ部が謀反を起こした!俺を逃がせぇい!」

 

「承知」

 

 ノッてくれたセリナに感謝。セリナはすぐさま縄を切ると、俺の大事なところ隠しに使っていたアイリの私服を腰できつく縛り、完璧に見えないようにしつつ、窓から出ようとする。ちょうどその時、後ろから目がアカンことになっているカズサがエントリー……!なんかエグイオーラ出てない?凄いよ?ほぼ豪鬼のオーラじゃん。

 

「逃げろぉ!逃げきれたらデートしようぜ!デート!」

 

「っ、二言はありませんね?」

 

「逃げきれたら……だぜ」

 

 ヒャッハー!とばかりに窓から飛び出し、その後ろを瞬獄殺でもしそうなオーラで追従するカズサ。一歩遅れて追いかけてくるアイリからのほぼ命が掛かっている鬼ごっこは死ぬほどキツく、後日先生がほぼ全裸でセリナに担ぎ上げられ、スイーツ部に追いかけられている絵面がインターネットに乗った。ネットリテラシー!

 

 結局、俺は逃げ切ったセリナとデートすることになったし、疲れ切ってマジギレしていたカズサにアイリが悪いんですと生贄に捧げ、アイリはしこたまカズサにやつあたりされることとなった。ひんひん泣いてたけど自業自得だろ。




学名:センセイモドキ(先生)
補遺30
自分に人権がないこと前提で動いている
補遺31
チョコミントアイスの存在を認めていない

学名:トリニティチョコミントグルイ(栗村アイリ)
補遺1
本当はセンセイモドキを襲うとしたが勇気が出なかった為応援を呼んだ
補遺2
チョコミントの存在を認めない人間を認めない

追加補遺
学名:トリニティカズサネコ(杏山カズサ)
補遺3
限界化すると豪鬼のようなオーラを出す

学名:トリニティシンシュツキボツ(鷲見セリナ)
補遺1
センセイモドキの血に反応して時空を歪める事が出来るとされている
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