センセイモドキは先生を辞めたい 作:ブルアカやったことない民
「あらっ、先生♡」
「出たな、デカパイ女」
タピオカを啜っているとスクール水着を着た変態(別名:浦和ハナコ)が現れた。
ハッキリ言おう。このデカパイ女は悪いデカパイ女だ。俺の思春期を破壊したけしからんパイとケツをしている。許せんよな。俺はデカパイに義憤を燃やした。
この世には二種類のデカパイがいる。悪いデカパイと良いデカパイだ。前者はお前、後者はトリニティだと……ごめん。トリニティに良いデカパイは居ないのかもしれない。
タピオカをズズっと吸い取りながら熟考する。「あの、先生」ちょっと待って。今、トリニティに良いデカパイがいるかどうかちゃんと考えるから。
ハスミ……ハスミはどうだ?
スイーツが関わらなければマトモかもしれない。ツルギンのストッパーになってるワケだし。でもスイーツが関わるとダメなんだよな。ドカ食い気絶部に所属してると思うくらいだ。それ以外は大丈夫なら……総評として良いデカパイかもしれない。でも当番で来た時冷蔵庫のコンビニスイーツ根こそぎ持っていったの許せねぇんだよな。やっぱり悪いデカパイか……?
「ねぇ、ハスミは良いデカパイか悪いデカパイか迷ってるんだけど、どう思う?」
「私に聞かれても……」
だよね。でも、総評として僅差で良いデカパイなんだと思う。逆に言うと他のデカパイが良くないんだよな。お前もそうだし、イチカとかミカとか……悪いデカパイが多すぎる。トリニティだと。
「私、悪いデカパイですか」
「うん。一と十の間を飛ばして結論だけ述べるなら悪いデカパイだし、もっと言うと面倒くさいデカパイ。」
そう、コイツは正しく言えば面倒くさいデカパイだ。
能力はあるくせにその能力が本人の方向性と合っていない。ならそこに折り合いつけるなりすり合わせるなりすればいいのに使えるものは使わなければいけないみたいな思考に囚われる。そのくせ、無駄に頭がいいので気づかなくても良いことに気づいて勝手に溜め込んで爆発する。
面倒くさいのはその露出癖だけにしろと言いたいが、コイツの場合露出癖だから面倒くさいのではなく、面倒くさいから露出癖になったのだ。順序が逆ね。色々溜め込んで爆発して弾けての露出なのだ。
もう面倒くさい。今までは先生だったので優しくしてたが今は元先生。なのでドストレートに言える。職務に縛られないって素晴らしいね。言いたい事も言えないこんな世の中じゃ~~ってね。
「もうね。面倒くさいよね。例えると目が良いんだよ。ハナコは。視力が良い。視力が良いから見たいものも見たくないものも見えてしまって、そのくせ本人がそれを見てみぬフリ出来ないの。見たくないなら下を向けばいいのに危険があるかもしれないからって遠くまで見てしまう。それで見たくないものが視界に入って嫌な顔する。」
「わかったようなクチをききますね」
「まぁね。だって今は先生じゃないし。もう我慢しないって決めたから。キヴォトスの生徒に俺の思春期はめちゃくちゃにされたの。だから俺も遠慮しないって決めた。それに」
傷ついても慰めてくれる友達が、今は居るじゃん。
そんなことを言えば目を見開いてびっくりしたような顔をするんだからホント損な人生を送ってると思う。
コイツの良い所でもあるんだよ。根っこが一般人の善人なんだ。その視力の良さを自分の為ではなく他人の為に使える。自分の見たくないものまで見て他の人に『そこは転びやすいよ』と教えてやれる精神を持っている。
馬鹿だよな~~。ホント馬鹿。アンタ馬鹿ぁ?って感じ。
不器用な天才というか可哀そうな天才という言葉が似合ってしまう。誰かを気に掛ける気質はきっと自分の才能が嫌いだからなんだろう。だから自分に使うよりも相手に使う。嫌いな才能でもちっとは人の役に立てみたいなことを思ってるんだろうか。馬鹿らしい、それも自分なのに。
でも根っこが一般人だ。自分をどれだけ嫌って、本当の自分はこうなんです~とか言ってもその言動を指摘されると傷つく。傷ついて、傷ついた自分にまた嫌気がさす。自己嫌悪スパイラルだ。だから傷つかないフリをしていたら、自分の事に頓着しないようになった。正確に言うと、自分の事を見てみぬフリをするのが上手になったのだ。嫌なものを見てみぬフリは出来ないのに自分のことは出来るようになったのが皮肉すぎる。
そんなしち面倒なデカパイに自分の事をもっと大切にしろなんて当たり前のことを言っても聞く耳持たないだろう。ならボロクソに言ってこんなこと言われたんですよー、えー可哀そう~先生ひど~いくらいのノリで居た方が良い。先生なんて生徒に嫌われるくらいが丁度いいとこっち来る前に聞いたことがある。今は先生おやすみ中だけどこのデカパイはそこらへん無頓着過ぎるので出張先生だ。
まぁいいや。これくらい言えば頭のいいデカパイなのでわかるだろう。
「それよりさ、今からタピオカお代わりしに行くんだけど、一緒にいかね?俺も青春してぇよ~」
どうせコイツも憧れた青春を取り戻そうとしているのだ。それは俺も同じだし、それに今は季節限定のマンゴータピオカをお代わりせねば……高いけど人気っぽいんだよな。そりゃあそうか。マンゴー美味いし。
そんなことを言えばハナコはうふふと笑いながら目だけは笑っていなかった。こわっ……だからお前は悪いデカパイなんだよ。
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「トリニティでさ~。上司にしたい生徒って誰だと思う?」
「いきなりですね。逆に先生は誰が良いんです?」
いやぁ~~、選ぶならナギナギか、セイアかなぁ。ほら、ナギナギは教育上手そうだし、セイアは仕事出来るじゃん。ミカ?ミカは論外。アレはいつまで経っても昇進しない社長のコネで入った社員だね。
そんなことを言う先生……元先生、いや先生でいいですね……先生は何でもないかのようにタピオカを啜っていました。
時間は午後、日が西と南の中間あたりに差し掛かった頃、とても天気の良い日に二人、公園のベンチでタピオカを啜っています。
こんなところを他の人に見られてしまえばきっととやかく言われてしまうでしょうが、先生は今はお休み中だからで押し切るそうです。
先生は、いつも私の欲しい言葉と言ってほしくない言葉をくれます。
先生はまるで見てきたように私の事を言いますが、一方でもう少し配慮してくれてもいいのにとすら思うほど的確に心を抉ります。
それは私が『損な性格』をしているからだそうです。こうも言っていました。
『ハナコは一周回って生きるのがへたくそなんだよなぁ。転んだあとの事が想像出来るから歩くことも出来なくなってるのを見ると下手っぴだなって思うよそりゃあ』
私は、正直なところ先生のことが好きか嫌いかわからないのです。
それは自分の痛い所を突かれたから嫌っているだけかもしれませんし、自分のことをよく知ってくれるから好きなのかもしれません。
よく、わからなくて。でもずっとモヤモヤするのでそれとなくボカして伝えると先生は呆れた顔でこう言いました。
『別にさぁ。好き嫌いハッキリする必要ないじゃん。なんで頭の良い人って白黒ハッキリさせようとしたりなんでも理由付けするの?良いじゃん。好きで嫌いで。愛憎って言葉があるくらいだし理由もいらないよ。人間なんでも理屈で動いてるワケじゃないし』
なんか好き、なんか嫌いで良いんだよ。毎回ハッキリしてたらさ、息しづらいでしょ。
………そんなことを言う先生が少しズルイと思いました。
そんな先生も今日は気を抜いているのか、白にデカデカと『ニート』と書かれたTシャツにチノパンでタピオカを啜っています。
Tシャツの隙間から見える鎖骨と滴る汗がエッチだと思います♡すごく無防備で、誘っているんでしょうか♡
「ハナコはさ~。誰が良い?」
「ウフフ、私ですか?そうですね、セイアちゃんは残業することになった時、なんだかんだ残ってくれそうですよね。その後なんだかんだ“指導”もしてくれたり♡」
先生を辞めたからか、言葉のブレーキが無くなった感じがして少し嬉しいです。猥談にも気軽にノッてくれます♡
「あー……何かわかる気がする。口が上手いというか、言いくるめが上手そうだよね。狙った獲物を仕事でも私事でも逃さなさそうか……。いやでもそれならナギナギもじゃない?どうせ出張でしれ~っと同室ホテル取ってるタイプでしょ」
「なんならラブホの方が安いからとおっしゃりそうですよね♡」
「言いそう~~~~!いや、なんというかさぁ~。ナギナギのあの苦労性だけどしれっとやんちゃなところ何なんだろうね」
「ミカさんがいるから引っ張られたのかもしれません」
「あー、悪いデカパイの影響ね」
「その悪いデカパイの基準ってなんなんですか?」
「俺の情緒をぶち壊すかどうか。その点ハナコは中身が一般人だから悪いデカパイでもそこまで悪く無いデカパイ。その分面倒くさいデカパイだけど」
「私、ありのままの姿をさらけ出したりしてますけど♡」
「いや、露出願望くらい普通の人もあるよ。それを実行してる時点でちょっとヤバい人だけど。良いかハナコ。自分が変な人間だと思ってる奴は大抵そこまで変な人間じゃない。ヤバいのは変な人間を自覚しない奴だ。例えばゲヘナの青髪ヨコチチハミデヤンとか。変な人間になりたいならアレくらいになれ」
「私もヨコチチをはみ出せば……」
「いや、ヨコチチがはみ出てる奴はそこそこいるから異才を放ちたいならもっと別のアプローチをするべき。……そう、ケツとか」
「ハミケツですか♡」
ハミケツしている私を想像したのか先生がブフッとタピオカを吹き出しました。
とっさにキャッチしてから口に含むとものすごい形相をしました♡
「……それはそれでギャグだけど。でも今の露出に比べたらギリ服のサイズ間違えた人でしょ」
「致し方ないハミケツ……ということですか」
見なかったことにする先生も可愛いと思います♡
「そう、偶然のハミケツ。ネットでポチった服で思ったよりサイズ合わなくて~のノリでハミケツをするんだ。ハナコはほら。乳もデカイけど尻もデカイ。しかも髪が長い。ケツが隠れるほどに。考えて見ろ」
髪の間からはみ出るケツ……つまり露出してないようで露出しているという感覚ッ!そう、ハナコなりの露出プレイ……!
「確かに全裸になって解放された気持ちになるのも良いけど、バレるかバレないかのラインを攻める……!前から見ればセーフに見えるが後ろを振り返った瞬間はみ出ているケツ……!」
「なるほど♡なら言い出しっぺの先生が服、選んでくださいね♡」
「えぇ~~~、俺ェ?まぁいいけどさぁ。俺のセンスに期待しないでね?マジで」
そんなことを言いながら、私の身体を上から下まで見た後に少し顔を赤くするのは本当にズルイと思います♡
「どうですか先生♡私の身体♡」
「いや、あー。今更か。ケツケツ言ってるし。デカパイ呼ばわりだし。……イイ女だと思うよ、ウン」
「好きか嫌いかで言えば?」
「あーいやいや!だから嫌なんだよな~~。頭の良いやつはすーぐ白黒決めたがる」
「私は先生の事好きですよ♡」
「嫌いでもあるんでしょ……前聞いたよ。あーあ、ハナコがもっとストレートに好きって言ってくれたら好きになるんだけどな~~~」
「うふふ、先生?」
「だからその目怖いって……」
学名:センセイモドキ(先生)
補遺3
この後、ケツがはみ出るサイズのショートデニムを買ってあげた
補遺4
口が悪いときはだいたい心配しているときが多い
学名:トリニティウラワフラワー(浦和ハナコ)
補遺1
才能と中身が合っていないのを気にしている
補遺2
センセイモドキの不用意な発言に捕食者の目になる時がある
全体補遺
前話より短いのは文字数参照