センセイモドキは先生を辞めたい   作:ブルアカやったことない民

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『河駒風ラブ』はトリニティを中退しており、含まれるかどうか思案していましたがpixivwikiにてトリニティの中退として記載があった為追加しました。また、本編より違うストーリーで進行していることをあらためてご了承ください。

後書きにてご報告がございます。お手すきの方はお読みいただき、答えていただけると幸いです。


トリニティチュウタイアカゲは同族で脛傷持ち同士

「よーっす、ガキ共ー、飯だぞ飯ー」

 

 トリニティの裏路地を進んだとある一角、ひっそりと隠れるようにして存在しているここは小さいショッピングモールの廃墟だ。二階建て、襲撃があったのか大半のテナントはボロボロなもののいくつか無事で、そこからひょっこりと顔を出すのは不良生徒達。

 

「先生だ」

「おはよー先生」

「夕方だからこんばんはだろ。……先生こんばんはー」

「ご飯♪ご飯♪」

「いぇーい先生とご飯」

「誰か隊長呼んで来い」

「隊長今トイレじゃなかった?」

「じゃあ放置でいっか」

「放置で」

 

 ビニール袋をいっぱいに抱えてやってきた俺に不良生徒共はワァイと歓声を上げながら近づいて銘々に袋を取っていく。こらこら、全員で分けるんだから独り占めしないの。

 

 ここはジャブジャブヘルメット団の今のアジトだ。廃墟探索してる時に見つけたらしく、生き残っているテナントをグループ部屋みたいに活用して生活してるらしい。電気、水両方通っており、飲み水の確保やトイレは出来ているとのこと。逆に風呂がないとのこと。

 

 不良生徒にもみくちゃにされるがヤバい。何がヤバいって物理的にも性欲的にもヤバい。物理的に何がヤバいかというとヘルメットがガンガン当たる。痛い。クソ痛い。欠食児童共は定期的に食糧を配達しに来る俺を飯として認識しているらしく、飯一直線でガンガン当たる。ぶつかりおじさんレベルじゃない。

 

 あとこやつらマジで匂いが熟成されているというか。女子の匂いレベル100みたいな感じになってる。多分本人たちからすると臭いんだろうけど異性側からすると甘ったるい匂いというか甘酸っぱい匂いが充満してて俺のマイサンがスタンダップしてしまう……!

 

「解散解散!ほら、動ける子はガスコンロと水注いだ鍋持ってきなさい!飯にするよ飯!」

 

「「「「「「はーい」」」」」」

 

 危うく俺の危機的状況が危機に瀕してしまう(?)ところだったがなんとか解散した。あぶねぇ~ハナコるところだった。

 

 ふぅ、一息つくと後ろからコツンと頭を小突かれる。そこまでの力はなかったものの前につんのめりこけそうになると腕を掴まれ支えられる。振り向くとそこには赤髪のヤンキー…河駒風ラブがいた。

 

「よ~!中退っ!元気にしてたかい!プルタブは開けられたかい?」

 

「うるさいわよ。留年が元気に煽る事でもないでしょ!……ごめんねあの子達が。最近仕事は上手く行ってるけど他の事でトラブル続きで」

 

「そこら辺の事聞くために来てんだからさ。ほら、座ろうぜ」

 

 ちなみにいうと俺とラブは留年と中退というどちらも学校生活に脛傷持ちのダメ生徒である。ナカーマ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ガスコンロでぐつぐつと煮えられていくレトルトカレーを眺めながら、俺は最初に口を開いた。

 

「最近どう?」

 

「主語ない」

 

「あー……あ、そう。さっき言ってたトラブルってのは?」

 

「ちょっと問題があったのよ……。あぁ、会社は至って順調よ?それが逆に問題というか……」

 

 二人、体育座りしてコンロを眺める異様な光景が広がっていた。

 距離があるようなこまごましたコミュニケーションなのはどちらも痛いところを持っていて、どうやらコイツは自分と同じような人間であるらしいと理解していたからだった。

 

 片や俺は先生という立場を優先して学業をなまけ、復帰試験を受けてみたらものの見事に落ちた。温情で留年という形で2年生になっただけにすぎず、普通に落ちていたんだよね。

 

 片やラブはトリニティの学園生活に馴染めずドロップアウトした人間である。どういう因果か知らないがコイツにとって結構キツいことだったんだろう。

 

 で、俺達はまぁ世話焼き(らしい)で苦労人(これはマジ)というところや雑魚の握力(俺に関してはキヴォトス人と比べられるのがおかしいと思う)に不運という妙に共通点が多い。

 

 そんな俺達は正直なことを言うと同族の接し方が全く分からなかった。とりあえずラフに接すれば相手もラフに返してくるのだが、かといってそれが長続きするでもない。ホントに居合切りの間合いの探り合いみたいなことをしている。

 

 ただ共感とか思考が近いとかそういうレベルではなく『あ、俺もこう思ってるから、アイツもこう思ってるだろうな』が大体通じる。故に俺はミラー戦を仕掛けられているし、ラブもまたミラー戦を仕掛けられていた。ほら、スマブラの同キャラ使いの戦いって純粋に実力を要求するよね。アレ。

 

 お互い苦労しているのはわかってるけど、それは全部自分で選んだことだからそれにとやかく言われるのもなんか違うし、じゃあ留年と中退を受け入れているのかと言われればねぇ?二人して脛を押さえて転げまわる事になる。痛いんだよね。過去の傷。

 

 ヘルメットを脇に置いたラブは蒸れた髪の毛に風を通すように梳かしながらぽつぽつと話し始めた。

 

「先生から頼まれた解体事業は軌道に乗ったわ。キヴォトスだもの、襲撃なんて日常茶飯事で瓦礫なんて放置されっぱなしなところはずっとそのままだし。仕事がなくなるなんてことはないわね」

 

「お、よかった。あっちは?清掃業務の方?」

 

「綺麗好きの子がいるから何とか回ってる。……けど、やっぱりみんなそこまでやる気じゃないわね。側溝の清掃とか嫌がる子多いし」

 

「清掃はどうしてもなぁ……」

 

 俺は不良生徒向け……というかヘルメット団にテコ入れしている。

 いやね?毎回ブルアカやってて思ってたことがあるんだよ。生徒に政治やらを任せるのはシステム的に必要なことかもしれないけど、一番多感な時期の子達に対してやっていい仕打ちじゃあないだろ……と。

 

 まず、子供の生活基盤がガッタガタになってるのがおかしい。人権って知ってる?文化的で健康的な最低限度の生活送れてる?明らかに送れてないんだよね。福祉方面が終わってんだよ。社会保障どうしたよ。

 

 というわけで俺は福祉方面でテコ入れすることにした。ちょうどよくシャーレとかいう超法規的権力をブン回せるところだったのがよかった。めちゃくちゃ実験しまくってめちゃくちゃアオイに怒られてちょっとフルスイング総決算から完成したのが……

 

『福祉向上委員会』

 

 これはアレだ。炊き出しをやったり仕事の斡旋だったりをする委員会で構成メンバーは委員長の俺とあとドロップアウトしたヘルメット団とかね。清掃事業も解体事業もそう。仕事を作って、お金を回して、働き口を作って上げる会。

 

 多くの事業が失敗したものの、いくつか生き残った事業がなんとか軌道に乗ったことで一応黒字経営だ。解体事業が一大事業になるとは思ってなかったよね。ゲヘナで引っ張りだこらしい……あー、うん、爆破されてますもんね。主に飯テロ(ホントにテロの方)と温泉で。

 

 そんなわけで学園をドロップアウトした人間というキヴォトスじゃほぼ無限の労働力を手にした俺はこうして各エリアで頭張ってたりする子に近況報告を聞きに行ったりしている。冷蔵庫の配達のおかずとかレトルトを大量に買い込んでね。ガキが……いっぱい食べろ……。

 

 そう、そこもなぁ~不満なんだよな~。一番育ち盛りの時に食えないってマジでキツイのにそれを見捨てられるんはダメでしょ。欠食児童よ、モリモリ育て。後真面目に働いて。ホントにね。初期の地獄のクレーム対応は俺もうヤダよ。

 

「……そう。解体事業の黒字経営がブラックマーケットに漏れたみたいで……厄介なことに名前を変えてこっちよりも安くしたパクリ企業が乱立してる」

 

「あー、n番煎じが出て来たか。まぁ出てくるだろうなぁとは思ってたけど」

 

「そちらが雑で、でも解体事業ってやってるとこ少ないじゃない?同じような目で見られてて……」

 

「評判が下がってると」

 

「そうねぇ」

 

 なるほどね……俺達はそろって頭を抱えた。此処に居るのは脛傷持ち生徒じゃない。二番煎じと質の低下に悪戦苦闘する会社の社長と専務だ。ラブ頭良いから任せてるんだよね。気配りも出来るし。任せた仕事ちゃんとこなしてくれるし。

 

 うーん、買収……はダメだろうなぁ。てか買収するほどの価値よ。大方適切な爆破物とか使わずに解体とかしてんだろう。あっ

 

「ブラマだよな?」

 

「えぇそうよ」

 

「じゃあちょっとなんとかなる……かも」

 

「ホント?じゃあお願いしていいかしら?」

 

「りょーかい」

 

 ブラマなら奴……ファウスト様がいらっしゃる。アイツに丸投げすればなんとかなるだろう。ペロロで釣ればやってくれるやってくれる。俺はおざなりにファウストに企業の展望を丸投げしつつ、お疲れ気味のラブに出来てきたレトルトカレーをよそう。

 

「……いやぁ、ごめん」

 

「なによ?」

 

「や、なんか、あんまり力になれなくて」

 

「あの子達の働き口も作ってもらってご飯も食べさせられている。それだけで十二分なのにこれ以上は欲張りさんよ」

 

「いやぁ、でもラブにまかせっきりだし」

 

「あの子達を引っ張っていくって決めたのはうちなんだから良いの。それより、聞いたわよ!ご飯、あんまり食べてないらしいじゃない。ご飯なんて持って来なくていいくらい貰ってばかりなのに」

 

「だってさぁ……いや、うん。」

 

 や、やりにくい……。同族故にやりにくい……!

 

「てかそれ言うならラブもじゃん。最近無理しすぎ。スズミからなんか聞いたよ。夜に巡回みたいなことをしている不良生徒がいるって。アレ、どうせラブでしょ。寝ろ」

 

「それは……だって、貰ってばっかりだし、先生弱いし……うん」

 

「弱いのは認めるけど今の仕事だってあるのに夜に休めなかったらダメでしょー?アイツラからも聞いたよ。隊長が仕事先でうつらうつらしてる時があるって」

 

「うっ、それは……言わないでって言ったのにぃ……」

 

「部下に心配させる上司がどこにいるんザマス!」

 

「多分それは先生も言っちゃいけないわよ」

 

 それはね。ホントにね。

 

 二人して無言になり、息を吸って吐いて、そしてそっと脛を抱えて転げまわるなどした。痛いよね。脛。

 

 ホントビックリするほど同類。というか多分どっちも似てるところがあって、俺がラブに寄ってちゃって、ラブも俺に寄ってちゃってるみたいな。相互に似てるから相互に干渉しあって、結果変なことになってる節がある。多分昔のラブだったら言わないし。

 

 ……じゃあ俺の世話焼き的性質もラブのせいってこと……?

 いや、それはない。というか俺のこれだってキヴォトスで助けてくれる人が多い方が良いって打算でやってるもん。俺はハッピーエンドの為なら何でもやる男。そのおかげでマルクトやら三姉妹が生きてたって話、する?まぁやることわかってたらさ、仕込むよね。罠。まぁちょっとそれが第一戦犯並みにやらかして総力戦がえげつないことになった末に大人のカードが面白いことになっちゃったんだけど。

 

 実際、不良生徒に悪い意味で絡まれることは物凄く減った。てか逆にいい意味で絡まれることが多くなってそっちが困る。すごいよね、脅されながら貢がれる経験はじめてだよ。カツアゲの逆だから……カツサゲ?カツサゲを喰らった。ポケットに給料ねじ込まれたの俺初めてだよ……。

 

 脛を抱え終わったラブは急に切り出してきた。

 

「先生はさ、どうよ。最近」

 

「主語ない」

 

「トリニティに入ったんでしょ?色々大変なんじゃない?」

 

「それね。マジで大変だけど、まー、ボチボチやってるよ。勉強は正直付いていけてない節あるけど」

 

「あ、先生こっち側来る?」

 

「嬉しそうに言うなよっ。ラブは勉強できるタイプじゃん。馴染めなかった方じゃん」

 

「うっ、だ、だって……めちゃくちゃドロドロしてるし、一つの会話にしたってなんか怖いし……」

 

「本当にね!マジで怖い。何?貴族の会話?オブラート包み過ぎてオブラート食ってるもん。中身に届かないんだよ」

 

「……やっぱり、先生こっちに来ない?」

 

「やめろよー。俺はまだドロップアウトしたくないよ。社会に属していたいもん」

 

「うっ……でも先生も勉強ついていけず留年したじゃない。もしかしたら進級できずに中退しちゃうんじゃないのかしら?」

 

「うっ……」

 

 沈黙

 

 俺達はそっと脛を抱えて転げまわるなどし、レトルトカレーはぶちまけられた。部下の子に怒られた。ごめん……大事だもんね。ご飯。




学名:センセイモドキ(先生)
補遺40
大人のカードでエクシーズ召喚した
補遺41
似た者同士とか言ってたら最近ビックリするほど思考が似通ってきた

学名:トリニティチュウタイアカゲ(河駒風ラブ)
補遺1
中退を弄ると脛を抱えて転げまわるし、留年を指摘して脛を抱えさせ転げまわらせる
補遺2
センセイモドキには感謝してもしきれないほどの恩があり、それを返したいのだが相手も恩をどんどん乗せているので返した側から増えていくイタチごっこになりつつある


ご報告
うだるような暑さが本格的に夏が来たことを知らせる今日のこの頃、如何お過ごしでしょうか。この度、読者の皆様にお知らせと答えていただきたい事柄があり、筆を取った次第です。作者でございます。

はじめに、このような作品を呼んで下さり誠にありがとうございます。ランキングに度々載っていることや増える感想の数が日々の意欲になっていることは間違いなく、毎日投稿を続けられたのもそれらがあってのことだと常々思っています。

この度、後数話にてトリニティ編が完結するために二つのお知らせと一つのご質問をさせていただきたいと思います。まずはお知らせから。
・pixivの開設
 感想欄で度々見かけた続きのご要望やIFルートについてのご回答になります。トリニティ編が完結した折を見て、pixivの方にもこの作品を投稿し、そちらでは没になった作品やこぼれ話、IFルートであったりを投稿する予定です。

・少しばかりのおやすみ
 トリニティ編の全生徒をお出ししたところで一旦この作品はおやすみとなります。というのも、始めの4、5話までは作品の貯蓄があったのですが方向性の思案やアイデアの練り直しに時間を掛け過ぎ、夜までに書き上げて次の日の朝に投稿というサイクルで書き上げています。そのため、最初の方の言葉回しやキャラクターの深堀りがイマイチである事、また作者自身が就活中であり、就活にそこそこの影響が出ていること、作者の体調が芳しくない事を受け、トリニティ編で幾ばくかのおやすみを頂きたく思います。
 と言いましても毎日投稿がおやすみになるだけであり、こぼれ話やトリニティ編は細々続けていきますのでそちらもどうかよろしくお願いします。

続きまして、ご質問に移ります。
・次の学校について
 こちら、アンケートにてご質問しますが、次の学校について決めかねている部分があります。というのも、本来この作品は学名が付いためぼしい生徒のみを学園に絞らず書く予定でした。第五話まで書き上げていたのも第六話から別の学園に移ろうと考えていた為です。ただ、思った以上に反響が大きかった為、一つの学園としてシフトし、その内部で出来るだけ完結できるような作品作りに注力しました。他学園の生徒やアロナがキャラクターとして登場しないのはそういった面がございます。

 ですのでお休みを挟む間に次の学校についてアンケートで答えてくださると幸いです。

 改めて、当作品をご愛顧いただきありがとうございます。キャラクターのイメージを損なわないように出来るだけ努力していますが、何分『ブルーアーカイブ』をpixivやハーメルンといった媒体でしか触れておらず、アプリやアニメといったものも作品を仕上げるために調べたものだけとなっています。なぜそれらに触れないかと言いますと、一応作品のコンセプトがございまして『ミリしらの人間が話すFGOの真名当てほど面白いものはない』というものです。つまりはミリしらの状態で初めに感じた印象と調べた後の印象を混ぜ合わせてキャラクターを仕上げているので作品を書き終わるまではそれらに正式に触れないつもりです。

 トリニティ編が完結した次の話はトリニティキャラの調べる前の外見の印象と調べた後の印象、その話のちょっとした裏話を語る一種のネタ晴らしになるかと思います。興味ない方は飛ばしてくださって問題ないです。その後の最初のキャラ話は『ナギサ様、拷問を受ける』ティーパーティーのミカとセイアと先生が結託し、ナギサに拷問を仕掛けるが話は思わぬ方向に……というものでございます。それまでお楽しみに頂けると幸いです。

 それではご報告とお知らせは以上になります。あと数話「アズサ」「ナツ」「セリナ」「レイサ」「ヒフミ」「ツルギ」計6名、楽しんでいただけたら幸いです。

次のセンセイモドキが訪問する学園について

  • 連邦生徒会
  • アビドス
  • ゲヘナ
  • ミレニアム
  • アリウス
  • 百鬼夜行
  • 山海経
  • レッドウィンター
  • ヴァルキューレ(連邦矯正局含む)
  • SRT
  • ハイランダー
  • ワイルドハント
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