センセイモドキは先生を辞めたい   作:ブルアカやったことない民

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ご報告がございますのでお手すきの方は見ていただけたら幸いです。


トリニティクロゴリラと夏の通り雨は人を容易くおかしくする

「クソッ、やまねぇなぁ……」

 

「そ、そそ、そうですね……」

 

 生憎の土砂降り、夏の天気は変わりやすいとは言うものの、お天道様よ。もう少し頑張っちゃあくれやせんかね。俺は今日のデートを中途半端に台無しにしたお天道様を睨んでいた。水を含んで張りつく服が妙に鬱陶しくて、湿り気を帯びた靴はまぁ……言葉を選ばず言えばビチャビチャのビチャだった。

 

 それは隣のツルギンも同じようで、涼し気な夏服は可哀そうなほど水を吸って透け透け……エッチじゃん。俺は唐突なエッチチャンスに動揺した。

 

 いつものっていうと語弊を生むかもしれないが粗野な感じの平常時とは違って、濡れた髪を解したり、服の裾を引っ張り絞っていく様は、なんというか女の子らしさを感じた。それがなんだがスゲェ魅力的に見えて、これが雨の魔力……!と慄くなどした。

 

 俺達がこうなったのはなんてことない。俺がデートに誘ったせいだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ツルギンツルギン!デート行こうぜ!」

 

「ギャヒッ!?デ、デデ、デ、デート!?」

 

 おぉおぉ、まーたすごい声上げちゃってまぁ……女の子がそんな声出しちゃいけませんよ~?

 俺はツルギンの背中を撫でてやりながらここ最近青春のせの字もない生活ばかりな事をツルギンに語ってやる。

 

「最近なぁ、マジで君んとこのハスミの暴走が激しかったり、色々とごたごたしてて男子高校生らしいことが出来てないな~と思うわけよ。そんなワケでツルギン、デートしようぜ。映画見に行こ」

 

──ちょうど映画のチケットあるんだぜ。それも恋愛映画だ。どうだい?行かないかい?

 

 俺はグイグイとチケット2枚を取り出してペシペシと叩く。ツルギンはいつもの狂暴そうな顔が鳴りを潜め、顔を真っ赤にしてはもじもじと言葉を選んで口を出ずだった。こういう顔を見ると揶揄いたくなるもんで、俺はニヤニヤした顔で言ってやる。

 

「おやぁ~?いらないかなぁ~?行かないかなぁ~?ツルギンはあんまり乗り気じゃない感じかなぁ~?」

 

「い、いい、行きます!すぐに、すぐに行きます!!」

 

「よしっ、言質取った。じゃあ今日の放課後、一緒に行こうぜ」

 

 あうあうと声にならない声を上げたツルギンにじゃっとばかりに手を振って、俺は授業に戻っていった。天気を確認すれば曇るけれど良い日差しらしく、恰好のデート日和、そう思ったんだが……

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 いや、順調だったんだよ。途中までは。

 

 ツルギンは毎度毎度遠慮がちなのだ。俺がトリニティに居るって時も俺から連絡しないと会いに来やしないし正実の仕事を優先する。いや本人的には行きたいんだろうけどタイミングが合わないってのもあった。まぁそれは俺のせいでもあるらしい。どうやら最近トリニティを襲撃する人間が多く、それの対処に当たっていたとのこと。

 

 ……十中八九、俺がトリニティに居るからですよね?

 俺はモモトークを開いて一斉送信で大人しくしないとお前等のモモトークを着拒するという趣旨を伝えた。最近モモトの着拒がメイン武器になりつつあるのやめてぇな。別のネタ探さないと効かない奴も出てきそうなんだよなぁ……。

 

 本件に関係ない奴も居たがソイツラには別個でこれこれこういう事があったからだと言えば納得してもらえた。アルちゃんとかね。速攻誤解解かないとエグイことなるから。てか便利屋は速攻弁明しないと危ない。同じ理由でアリウスも。あとC&Cね。

 

 えっ?襲撃とか暴走してたやつ?なんか発狂してたけど知らね。俺は見てみぬフリをした。

 

 とりあえず問題はこれで解決したと言っていいだろう。これでダメなら本気で着拒かお説教だ。俺のお説教はガチで怖いと有名なのだ。異性相手でも容赦なく行くからな……俺は真の男女平等を愛する者……!あとキレると口が悪くなる(アリウスで自覚済み)のでね。ヘイトスピーチがね。炸裂しちゃったんだよね。具体的に何言ったのって?うーん、ベアトリーチェババアに対してキレた時の言葉を抜粋すると……

 

『おーおー!ヒステリックなババアはうるさくて仕方ねぇなぁ!更年期障害かい?薬飲んだらよくなるのにまだ若いってイキってっからイライラすんだよ!顔面蓮コラババア!イライラしすぎて顔真っ赤になって戻らなくなったのかい?こんな大それたことしてよぉ!欲深いババアは身を亡ぼすって相場が決まってんだよ。絵面が童謡の悪役と変わりゃしねぇぜ。ヘンゼルとグレーテルのババアでももうちょい捻ってガキを誑かすぞ』

 

 大体こんなもんである。

 ヘ、ヘイトスピーチ……!と言われそうな言葉を延々と並べ立てたらベアトリーチェのババア滅茶苦茶キレたんだよな。でも後悔はしていない。アイツは死んで良いやつだから()

 

 話を戻そう。俺はツルギンに迷惑を掛けるおどれら()を滅した後、控えめに乙女を見せるツルギンを強引に引っ立てたワケよ。じゃないとこの子ホンットに職務に忠実になっちゃうからね。息抜きは誰にでも必要よ。俺にも必要だから休んでるわけだし。

 

 そんな感じで俺はデートに誘った。映画デート、恋愛映画を二人で見るというもの。放課後、校門前で待ち合わせし、そのまま向かう感じだった。もちろん、俺もツルギンも遅れるなんてハプニングはなく、そのまま映画館のあるショッピングモールの方へ向かった……んだが。

 

 まぁ雨に降られた。嘘だろってくらいに。

 

 途中までは本当に良かった。時間に余裕もあったからウィンドウショッピングやらちょこちょこ買い物したりした。ツルギンに可愛い服を見せつけて着るのを強要したり、アクセサリ―に目を輝かせるツルギンにお大尽様を見せつけるなどした。欲しいものはジャンジャン買ってあげるからねぇ……令和の足長おじさんである。

 

 すると、ぽつぽつと、まぁ雨が降り始めた。俺達はちょっと急ごうかなんて声を掛け、半ば早足で目的地に向かっていた。でも通り雨ってホンット急に降るモンで。

 

 ポツポツはしだいにザーザーと音を立てて、次第に豪雨と呼ばれるほどの滝のような雨が流れた。傘?意味ないよ。マジで意味ない。差しても横殴りの風でビッチャビチャ。俺もツルギンもずぶぬれになって近場の屋根があるバス亭に逃げ込んだワケ。ベンチに座って休憩中だ。

 

「あ、ああ、雨、止みそうに、ないですね」

 

「なぁ……」

 

「映画……は……ぁ、ちが、そういう意味ではないので、あぁ何を言えば……!」

 

「大丈夫大丈夫。わかってるよ。ホンットごめんね。時間的に……間に合わないんだよなぁ……ゆっくりしすぎた。つってもこの雨で向かうってのも難しいし」

 

「いいい、い、いえ……当てつけのように言ってしまって。あぁどうしよう、ごめんなさいごめんなさい」

 

「いやいや、楽しみにしてたのにダメにした俺が悪いから。……つってもどうしようかねぇ」

 

 幸い、カバンにタオルは入れてある。夏の汗をぬぐう男子高校生のマストアイテムだ。男子高校生の汗の匂いは劇物だからな。消臭剤と合わせて夏のマストだ。俺はそれで水を取っては絞りつつ……一応念入りに消臭剤を吹きかけてから……服を絞るツルギンにタオルを渡した。

 

「ごめん、使用したヤツだけど、これで水拭いて。一応消臭剤掛けといたから」

 

「あぅ、ああ、あ、ありがとうございます。……きひひひひ」

 

 おっ発作だ。今日の発作は早かったな。

 ツルギンはたまにこうなる。多分脳内のキャパが限界突破するとこうなるんだと思う。可愛い笑みが止まらなくてひきつけみたいに過呼吸になっちゃうのだ。俺はよーしよーしと背中を撫でてながら、髪に滴る水滴を取ってやった。

 

「今度、お詫びにディナー行こうな~」

 

「な、な、ああ、な、また、私はあぁ言う場所はにあな、似合わないので……!」

 

「そんなことないだろー、ツルギンご飯美味しそうに食べるから好きなんだよ~。ホント、埋め合わせするから」

 

「や、ぎゃひっ、いえ、あ、はい。よ、よよ、よろしくお願いします」

 

 俺はベンチの後ろに回ってタオルを掴み、羽や髪を丁寧に拭いていく。

 

「ホント、今はこんなことしかできないけど、マジでごめんな」

 

「や、あぅあ、あぁ、いひっ、きひゅっ、ひゅっ」

 

 お、耐えてる耐えてる。俺はこの発作的なやつちょっと好きだ。可愛いし揶揄い甲斐あるし。あと乙女過ぎて可愛いし、仕草がホント可愛い。

 

 マジでなぁ、トリニティの癒しがホントに少ない。ツルギン以外誰よ?ちゃんと乙女な奴誰?セリナ?アレを普通の乙女としちゃあいけないよ。乙女乙女……ヨシミ?ヨシミはもう乙女の究極完全体じゃん。ダメダメ。俺が求めてるのはドラゴンなのであって竜王呼ぶのはおかしいだろ。どっちもドラゴン族だけども。

 

 まぁなんで俺がツルギンの背中に回ったかと言うとマジで前側がシャレにならんことになってるからなんですがね。

 

 学校帰りのデート故、制服だ。しかもツルギンの制服は常日頃の戦闘でボロボロ、それが雨に濡れて透け透けの状態……肌に張り付く服が胸の大きさをより強調し、ぴっちりした印象を与えるソレはもうなんというか男子高校生キラーだった。エッチすぎる……脳内コハルも死刑死刑言ってるよ。

 

 俺はそれから目をそらすために背中側に回ったワケだが……

 

「こっちもこっちで……」

 

「や、ひゃっ、な、なな、何か?」

 

「いや、なんでも」

 

 ツルギンが着ているのは黒い制服だ。正実用のヤツ?で、それが背中に張り付いてるのはまぁ良い。エッチだけどまだセーフなエッチだ。ただ……

 

 羽を出すためか背中がぴらっとめくれてるんだよね。服に羽出すようの穴が開いてんのかと思ったけどそしたら着替える時面倒くさそうだよね。なら丈短くして服の下から出せるようにするよね。

 

 見えるんだよ。下が。肌が。しとどに濡れて滴る雫がエロい背中が。

 

 これ……ダメじゃない?ダメでしょ……

 

 俺はすぐさま背中をタオルで隠してそそくさと隣に座った。

 

 雨の降る音だけがバス停に響く。

 

 ちょっと、ホントにエッチなシーン過ぎてテンパり始めてる俺が居る。マジで?俺、スチル回収したの?ツルギンルート入った?こんなんエロゲーのルート入った直後のスチルじゃん。この後雨音に紛れてキスしちゃう奴じゃん。マジ?

 

 俺は深呼吸を一度二度、よくない。これはよくない。俺は先生と生徒……いやこれじゃあ禁断の関係じゃん。元先生ね?今は男子高校生。二人の学生が雨に降られてるだけだから……それはそれでエッチなシーンの奴じゃん!!!

 

 俺は錯乱した。

 

 そして俺だけではなくツルギンも錯乱していた。

 

「キヒヒヒッ、あ、先生、せ、先生も濡れ、濡れているのでふふ、拭かないと。風邪、風邪を」

 

 そういってワタワタと俺からタオルを奪って俺の頭なり服なりをどんどん拭いていくんだけど。

 

「「あの……」」

 

「………」

 

「あー……いや」

 

 無言、ただひたすらの無言。きまずっ。拭いていく仕草は丁寧なんだけどどこか触り方変だし……鎖骨をそんな丁寧に拭くことある?鎖骨取れちゃうよ?俺の鎖骨にそんな水たまり出来てたの?

 

 あと背中もね?そんな濡れてた?そんな擦る勢いで拭かれてもちょっと体持ってかれる。持ってかれちゃうから……そんな念入りにやるなら俺もちゃんと拭くよ……。あれかな?拭き方が甘かったかな?

 

 互いに無言、されるがまま。拭いては拭かれてを繰り返し、特に拭くところもなくなった頃、タオルを被って止むのを待つ。マジで、あー……うーん。どうしよ

 

「あの……さ」

 

「ひゃ、は、はは、はい」

 

「次、どこいこっか」

 

「えぅっ、あ、あぁいや、え、つつつ、次?次というのは……」

 

「いやほら雨で台無しになって埋め合わせはディナーで~ってことだけどそれはそれとして、また仕切り直しでどこ行こうかっていう……ね……?」

 

「え、あぁ、そ、そそれ、それなら今日、行けなかった……映画の………方を…………」

 

 どんどん声が小さくなっていくツルギンとあ、そっかとばかりに頷く俺。なんでこんなうぶい感じの対応してんだ。俺。いつもの俺で行けよオイ。えっ、でも俺いつもどんな感じでやってた?わ、わかんねぇ。やべぇ飲まれる。乙女に飲まれる。乙女時空に飲まれてそういうジャンルのアレソレになってしまう……!

 

「くけけけ……」

 

「もちつけ……もちつけ……」

 

 ちょっと俺もツルギンも人に言えない感じの状態になってる。

 

「う…うふふ……ふふへひ……ひひひひひひひ……ぁぁぁぁあああああ!!!!!」

 

「ちょ、ツルギンカムバーック!カムバーック!」

 

 空気に耐えきれなくなったツルギンが土砂降りの雨の中を猛ダッシュしていき、俺は一人、バス停においてかれるなどした。

 

 後日、俺は風邪を引いて、ツルギンは申し訳なさそうに見舞いに来た。風邪引かなかったんだね……強靭だね……。




学名:センセイモドキ(先生)
補遺52
夏の通り雨に頭がおかしくなった
補遺53
チラ見えした羽の付け根と黒髪に滴る雫を見て物凄い男子高校生が男子高校生した

学名:トリニティクロゴリラ(剣先ツルギ)
補遺1
センセイモドキの水雫が少し溜まっている鎖骨を見て頭がおかしくなった
補遺2
背中に張り付くワイシャツとその下に透けて見える背中に乙女の乙女を破壊された


ご報告
 先日、夏の通り雨に降られた末にびしょ濡れのまま夕日を拝んだ経験をなんとか落とし込みたくアイデアに消化しましたがツルギは少し難しいと感じました。中身が乙女なのはそうなのですが、出力されるものが狂人なのでどうしてもギャグに寄ってしまう印象がございます。

 それはさておき、トリニティの生徒達をなんとか書き上げる事が出来ました。これも読者様のお気に入りや評価、感想があってのものでございます。改めて、ありがとうございます。そして改めてお伝えしていただきます。これから先は少しばかりのおやすみを頂き、私事に専念したく思います。もちろん、こぼれ話や採用されなかった話を細々と書き出しつつ、pixivにも投稿していこうと思います。

 現在、決まっているこぼれ話は『ナギサ様、拷問される』『センセイモドキのトリニティ学園事情』『ハスミ、ダイエットする』の三本でございます。あと、次の学園はミレニアムと少々意外な結果と相成りそうです。あまり触れてこなかった人間の印象として、ゲヘナとトリニティのエデン条約の話がよく流れるのもあってその二つの学園が二強なのかと思っていましたが確かにミレニアムでは、作中散々ネタにしているミレニアムオオフトモモの存在やゲーム開発部のアリスやケイといった面々も居ますのであながち予想外れでもないのかと思っています。

 こぼれ話はトリニティ生徒のそれぞれの知る前と知った後、それと書いてる時に徒然に思ったことを書き連ねた後に投稿する予定です。今後とも、当作品をよろしくお願いいたします。

次のセンセイモドキが訪問する学園について

  • 連邦生徒会
  • アビドス
  • ゲヘナ
  • ミレニアム
  • アリウス
  • 百鬼夜行
  • 山海経
  • レッドウィンター
  • ヴァルキューレ(連邦矯正局含む)
  • SRT
  • ハイランダー
  • ワイルドハント
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