センセイモドキは先生を辞めたい   作:ブルアカやったことない民

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トリニティセクシーフォックスと放課後無知無知クラブ

 夕日色に染まる教室に蝉の鳴き声が染み入る今日この頃、セイアと二人、ノートを開いていた。なんかこの感じめっちゃ青春。あくびして頬杖付きながら今日の集まりに口を出す。

 

「放課後無知無知クラブ第……えー何回目だ?」

 

「72回目だよ、後輩クン。それより……いつも思うがこのバカげた名前はなんだい?」

 

「いや、かの有名な哲学者の自分が何も知らないことを自覚することが肝要だっていう『無知の知』から取ってる由緒正しい名前だよ」

 

 偉大な哲学者ソクラテスが行ったとされる道行く人に粘着質問攻めして答えられなかったらどや顔で言うんだぞ。いえーい、お前は知らない~~~。でも俺は知らないことを知ってるからお前より賢い~~無知の知~~~って。

 

「賢人の態度とは思えないね」

 

「だから毒杯飲んで死んだんだぞ。煽り厨だったから」

 

 知らんけど。でも多分そうでしょ。無知の知自体、割と馬鹿みたいなとこあるし。

 

 今何をしているかというと、トリニティの勉強は思いのほか難しく普通の授業じゃ追いつけないレベルだったので暇そうなセイアに勉強を教えてもらっている。仕事は出来るが如何せん身体が弱いんだよセイアは。ステータスは高いのだがスタミナがないのだ。キヴォトス的視点だとお雑魚ということになる。だから、まぁ無理させられんだろうと手すきそうなのでいっちょ頼んでみたワケ。

 

 それにセイアがやんなきゃいけない仕事も今までサボっていたミカに押し付けた。いい加減ミカを働かせた方が良いと言ったらナギナギも何も言えなくなっていたのでこれはもう自業自得だろう。

 

 セイアは俺が先生をおやすみして生徒になってから後輩クン呼びしてきた。なんかしっくりくるらしい。好きに呼べば良いのだがちょくちょく先輩風を台風みたいに吹かせるのはやめてほしい。ウザイ。ミカくらいウザイ。

 

「そのミカに対するあたりの強さはどこからくるんだい?」

 

「懲りもせずエロ自撮り送ってくるところから」

 

 ほら、見てコレ。ミカのエロ自撮り最新版。

 あの子最近ギリギリ見えそうで見えないところを攻めるようになってきたんだよ。おたくの教育はどうなってるんザマス?昨夜の写真なんかもー凄いザマスよ。思わずモンペの厄介なザマスマダムになるくらいすんごいの。ネットにアップしたらミカの人生あっという間に終わるよ。ネットリテラシー講習した方が良いってマジで。これは嘘でもふざけでもなく。

 

「……真剣に検討しておくよ。ナギサにも相談してみよう」

 

 写真を見たセイアは真剣な顔だったのでミカは多分こっぴどく扱かれるだろう。残念でもないし当然だが。

 

 そんなことより放課後クラブだ。

 学校には部活動があり、正直めちゃくちゃ参加したいのだが、俺がどこか一か所に所属すると不平不満が爆発するし、それになにより入りたい部活は()()()故入れない。よって、一人寂しいボッチ生活の始まりかと思ったが、勉強会序でにセイアがクラブを作ろうと提案してくれた。マジでうれしい、マジ神、放課後に二人だけのクラブとか青春の塊じゃん。

 

 ……多分他の生徒にバレたらエグイことになりそうな気がしないでもないが、セイアだからまぁ大丈夫だろう。だって俺より頭良いし。

 

「さて、72回目の放課後クラブ、進行は私、百合園セイアが務めよう」

 

「他に居ないけどね。一応書記役でーす」

 

 そんなわけでやっている放課後クラブ。

 71回も続いているこのクラブの記念すべき第一回目は名前と活動内容を決める事だったが、セイアはなんか哲学を上げたので俺はそれにふさわしい名前を付けただけだ。なんかジェリコの古則を問われた時の俺の考え方があまりにも馬鹿げていたのが記憶に残っていたらしい。馬鹿とは何だこの野郎。いきなり、センチな感じで変な事聞いてきたセイアも悪いと思うぞ。

 

 セイアはなんか未来予知が出来る。出来るというか出来ていた……でいいのか?

 今もなんか未来見てる感じあるけど。まぁいいや。で、最悪な未来ばかり見ていたからニヒリズムというか悲観主義者になっていたのだ。俺は来る前に漫画で未来が見える人間の絶望だとか頑張りを知っていたのでそれを引き合いに出して励ましたらなんかキレだしたのだ。俺のサイドエフェクトがそう言っているって奴ね。

 

 なんか、結局のところ破滅するしかないだとか、無意味なことをして死ぬ気かとか泣いてたのでこっちもキレてこう言い返したのだ。ジェリコの古則の5番目のヤツ?に対して

 

 

 

『その楽園って奴?があって俺にとっての楽園でもあるのならインターネットもあるはずで、全然自慢するし、なんなら中から楽園の情報を発信だってできるでしょ。なんで満足したら他の人に教えないのさ。教えろよ。隣人に優しくできないのかお前』

 

 それに普通さ、そんなにめちゃくちゃいい楽園ならダチも連れてってやりたいって思うでしょ。

 てかまぁ……そんなに良いところなら全人類移住したらいいじゃん。その楽園って最高?の楽園なんでしょ。望んだら何でも出来るなら出来るでしょ。てかそれに則るなら今此処にいる俺達は最高の楽園に居るってことにならん?結局楽園を地獄に変えたのは住んでる俺達でしょ。俺達は外来種だったんだよ。侵略的外来種。

 

 

 

 そんなことを言ったらすごい呆然としたあと、泣き始めたのだ。

 多分、こんなクソカスみたいな今が楽園だとか言われて心が限界になったんだと思う。わかる。改めて考えると俺も嫌だなって思う。でもそう思っちゃったんだもん。

 

 その時の俺はなんで泣くのかもうワケワカメだったから必死に言い募った記憶がある。聞かれた質問に答えたら泣かれたんだぞ。困っちゃうだろ。

 そんなわけで色々いっぱい慰めたのだ。ほら、別に一人で幸せになっても意味ないしさ。それと一緒で一人で不幸になるより誰かと不幸になった方が良いじゃん。誰が悪いって話でもないしさ。全員悪くて全員で償わないといけないでっけぇ罪なんだよ。なら全員地獄に道連れしても良いでしょ。俺も地獄に着いて行くからさ。赤信号、みんなで渡れば怖くない。地獄も全員で突っ込んでパンクさせてやろうぜ……と。

 

 俺が挙げたサイドエフェクトの奴だって主人公に出会うまで割とマジで絶望的状況で、主人公に出会ったとしても主人公を犠牲に次善?くらいの未来にまで引っ張り上げたって感じだったし。それでも主人公になっちゃったらさ、頑張るしかないじゃん。ペンチメンタルね。俺がそうするべきだと思ったからだ……俺はペンチメンタルを見習っていた。

 

 そう、俺はその時結構疲れていたのだ。セイアからすれば知らない漫画の話されて困っちゃうほどに。

 ブルアカの知識はあったしなんとか先生をやろうと必死になっていた。でも全然上手く出来ないしやればやるほど疲弊していく。それでも先生になってしまったからやるしかなくて、逃げ道なんかどこにもなかった。すごいよね。正史の先生。俺にはイオリの足を舐めることは出来なかったよ。でもイオリめちゃくちゃエロいフェロモン出てた。舐めようとする理由というかイオリに変なことする気持ちわかったもん。なにあのドスケベフェロモン。

 

 足舐めなかったらダメなんじゃないかと思ったのでとりあえず服を脱いで誠意を見せようとしたらそれでOKだった。足舐めの代わりに半裸になったが、個人的に半裸はセーフだと思う。

 

 そんなわけで頑張って正史に寄せようとしたけど全然だめで『あぁ、俺先生ダメなんだな』って思ってさ。でも他の皆が頑張ってるのに俺だけ頑張らないのもおかしいなって。割と惰性というか自暴自棄なのは此方も同じだった。

 

 それで疲労困憊だった俺はうっかりセイアにキレちゃったのだ。

 アレはもう仕方なくない?面倒くさいこと言うんだもん。リアルで聞いたら爆発するよ、俺死にかけてたし。

 いや、撃たれる事知ってたから何とか避けようとしたら正史より重傷になっちゃってね。アレだね、下手に改変しようとするとダメになるってこういう事なんだと思う。

 

 そんなわけで、疑似未来予知で対応しようとしたら余計にえらいことになったのでどっちかというとセイアよりの思考だったのだ。普通に知識としてよくなるって知ってたけど、自分は余計な介入せず、先生として役目を全うすればいいんだって。上手く立ち回ろう、正史より良くしようって思うのが間違いなんだって。ヤケクソになっていた。ヤケクソになっていたので熱弁した。死にかけの中、漫画を語りたいという熱いパッションが爆発してしまったとも言える。

 

 だからまぁ、その漫画を引き合いに出して、誰かを犠牲にするなら自分を犠牲にしようぜ。俺も犠牲になるからさ。とペンチメンタルの覚悟を参考にした同情と共感で言ったらセイアが覚醒した。マジでなんか意味わかんないくらい覚醒した。先生を一人にしたらいけないって思ったらしい。まぁメンタルヤバかったのはそう。

 

 俺はまぁまぁ先生として頑張ってきたが正史のようには行かなかった点がいくつかあった。だからハッピーエンドにはならないだろうな~と思って諦めてた節がある。だってヒフミの『ブルアカ宣言』生で聞けなかったんだもん。撃たれた傷が思ったより致命傷らしく目覚めた頃にはすべてが終わった後だった。その代わり、セイアが目覚めて俺が断片的に話した正史のやり方を上手く実行したらしい。

 

 俺がいなくてどうやったの?と思ったら連邦生徒会長の代理の先生の代理ということで何とかしたらしい。

 夢の中で『じゃあセイアもシャーレの一員な。これで一蓮托生になったろ?』とか『俺より頭良いし先生の代わりしてくれよ~俺もう疲れたよ~』とか『漫画の奴も主人公4人居たし、てか俺外様だしそこまで頑張る必要なくね?俺は仕事したからお前も仕事しろよ~』みたいな駄々こねたのがファインプレーだったかもしれん。夢の中でも契約って通じるんですね()まぁ本人の同意があれば契約って結べるし、夢の中でも多分行けるんでしょう。

 

 そんなわけでバットエンドかと思いきや変則ハッピーエンドにしたセイアはなんかよくわからん進化を遂げ、そして俺の適当なジェリコの古則回答を覚えていたこともあり、こうして放課後に哲学を話し合い勉強するクラブが出来上がったってワケ。

 

 セイアは後々『あんなにも救いようのない答えなのに、それでも地獄に進もうとする先生が見ていられなかった。私自身がそれを否定したかった』と言っていた。へぇ、大体漫画の話しかしてなかったのにな。

 あれかな?主人公がダミーキューブを必死に守る話かな?思わず語っちゃったよね。命を賭けて意味のない囮を守る話。それが必要だと思ったらさ、無意味でもやらなくちゃいけないんじゃない?って。アレはヒロインを助ける為だったが、それでも失敗したら本当に無意味な行動だったんだぞ。だから周りも引っかかったんだが。

 

「今回のテーマは……そうだ。初心に帰ってジェリコの古則の5番目について扱おうじゃないか。後輩クンはちゃんと覚えているかい?」

 

「はいはーい、最高の楽園は証明できるかどうかって奴でーす。入った奴はもう満足しちゃって出る気ないから情報が漏れずに証明する事が出来ない……みたいな。でもこれ前提からして間違ってない?だって最高の楽園に入った奴を証明できるかって話でしょ?最高の楽園っていう情報漏れてない?」

 

 俺はまぁ見ての通り文系マンで、高校生で文系マンというと大体の人間が哲学か心理学、歴史に傾倒する(ド偏見)。俺は哲学だった。なのでこういう頭をこねくり回すような話題というのは嫌いじゃないし、寧ろ好きだ。

 セイアもセイアで頭脳労働を苦としていないので議論が白熱していくのだが、行くところまで行くと互いに手が出る。これが結構拮抗していてなかなかに勝負がつかない。俺はヘイローがないし、セイアは肉体が貧弱だ。逆に言えばセイアレベルで俺は同レベルという事実に全俺が泣いた。

 

「少し違って覚えているよ。正しくは『至上の悦楽を享受できたなら外には出ないけど、外に出たならそれは至上の悦楽ではない……つまり最高の楽園ではなかったということ』つまりは最高の楽園を証明するためにはその楽園に入った人間が外で観測されないだろうということだ」

 

「いやでもさ、それ言ったら俺の回答になるくない?別に至上の悦楽があっても外に出るでしょ。なんで外に出たらそれだけでそこが楽園じゃないみたいに言うのさ。家を出たらそこが他人の家になるわけ?」

 

 だってそうだろう。最高の楽園だって言うなら、それは人が出ようが出まいが最高の楽園だと思う。100人中100人が満足したと回答したのが100人中99人が満足したに変わっても全国の楽園ランキングで一位をキープしてるなら最高の楽園じゃないか?

 

 というか最高の楽園の判断基準が人でその一位をキープしたいからって楽園に人を監禁するのはどうかと思う。それはもうただのホラーじゃん。デス楽園じゃん。

 

「ふむ……これは最高の楽園というものの判断基準を人が外に出るかどうかに依存させているだからだろうね」

 

「そう、そこよ」

 

「だがこの古則の論点はそこではないと思うよ。人は証明できないものを信じる事が出来るのか。悪魔の証明さ」

 

「悪魔の証明はどっち?広義の意味?狭義の意味?」

 

「消極的事実のほうだから狭義の方だね。端的に言えば居る事は否定できるけど居ないことは否定できない」

 

 基本的に傾向が似通っている俺達、かたや文系マンの俺とかたや天才のセイア、前提の知識は説明しなくとも通じるのでミカより喋りやすいとこの前聞いたことがある。ミカと比べるなよ……失礼にもほどがあるだろ()

 

「楽園が存在しないことは否定できるけど楽園が存在することは否定できない的な?」

 

「そう。ただそこは重要ではない。大事なのは証明できないものを信じられるのか。後輩クンはその前の楽園に噛みついたんだが……」

 

「信じられるんじゃね?ほら、サクラコとかどうなのよ。サクラコが怪しいというか悪いという可能性は否定できないけど、それはそれとしてサクラコはいい子だから信用できるじゃん?」

 

「アレはもうそういう特性というか……一種の才能じゃないかい?」

 

「ほんそれ。あー、じゃあ一旦サクラコは例外にしよう。えー……そうだな。例えば、此処にドスケベな女が居たとする」

 

「私かい?」

 

「(鼻で笑う)」

 

 セイアがドスケベ?まぁうすほその民であればドスケベだろうが、残念ながら俺の情緒は悪いデカパイ達に破壊されている。よってセイアがもし薄着で迫ってきても大した感情も湧かないだろう。残念だったな、恨むなら平気で全裸にもなるハナコを恨むがいい。別に裸を見てもなんも感じなくなってしまった俺は悲しい化け物になってしまったのだ……俺は、壊れてしまった……?

 

「君は先輩に対する敬いが足りないね。敬意というものはないのかい?」

 

「ないね。あ、わかった。俺気づいたわ。この答え」

 

「ん、なんだい?」

 

「絶対にセイアに勝てるこの古則の変則事例」

 

 こーれは天才的発想だ。セイアに絶対勝てる。俺はどや顔で言った。

 

「此処にセイアが将来ドスケベに成長するかもしれない可能性があったとする。しかし可能性というものは実際に形としてないのだからここにあると言っても他の人からしたらあるかどうかわからない。つまり証明できない。ほら、セイア。どうする?信じるだろ?可能性を。未来を。つまり証明できないものを信じる事が出来る」

 

 セイアは信じるだろう。いや、信じるしかない。知っているぞ俺は。セイアが隠れて胸を大きくしようとしているのを。

 

 そう、この古則は結局のところ、信じたい奴が信じればいいのだ。

 別に信じたところで何か変わるわけでもないがそれは宗教だって同じこと。ただ信じればなにかと都合が良いし便利だから信じるのだ。それは別にこの古則の楽園に限った話じゃないし、希望だとか未来とかにも言い換えられる。たとえ、セイアが未来予知でデカパイになる未来を見ていなくとも、セイアは自分がデカパイになると信じているだろう。ならそれを古則に適用すればいいだけだ。

 

「おいまて、後輩クン。私は将来ぼんっきゅっぼんのないすばでーになる未来が確定しているんだ。それは可能性じゃなく確定事項だ」

 

「嘘だね、セイアにそんなポテンシャルないよ。だから可能性なんだ。逆に実現できるくらい可能性があるなら俺が潰すから。セイアはね……小っちゃくて胸も小さくて面倒くさくなくちゃいけないの」

 

「なんだとこのやろう。私は先輩だぞ」

 

「誇るべきものが年齢だけになったら人間終わりだと思う」

 

 セイアが立ち上がった。俺も立ち上がった。人知れずゴングが鳴った。

 

 このあとヘイローがない俺と貧弱なセイアで割と互角な揉み合いをした。

 結果は僅差で俺の勝ち、決まり手は太ももぺちぺちだった。細く、折れそうな、でも確かに女子の太ももって感じでした。割と肉ついてた。ごっつぁんです。まぁセイアもどさくさに紛れてパンツに手を入れて来たので御相子だろう。男のケツ揉んでも大して楽しくねぇだろと思うが、揉めるなら揉みたいらしい。まぁ俺もおっぱいあって揉んでいいならとりあえず揉むだろうし、揉むか。

 

 俺は納得した。それはそれとしてセイアの尻尾はモフった。

 

 あ、あと無知無知クラブ第72回目のテーマ、ジェリコの古則5番目『証明できないものを信じられるのか』のとりあえずの結論は、悪い可能性を否定することは出来ないがそれはそれとして信用できるので『歌住サクラコ』ということで落ち着いた。




学名:センセイモドキ(先生)
補遺5
死にかけの中、セイアにワートリを熱弁した
補遺6
撃たれる未来を回避しようとしたら、後遺症が残る傷が出来た

学名:トリニティセクシーフォックス(百合園セイア)
補遺1
知らない漫画を熱弁されて、今はそんなこと言ってる場合じゃないだろとキレた
補遺2
男のケツは固いことを知った
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