センセイモドキは先生を辞めたい   作:ブルアカやったことない民

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トリニティサワヤカイトメは稀代の悪女かもしれない

「手羽先にしてやるよォ!なぁ!」

 

 俺はトリカスの首根っこを捕まえた。

 隠れ潜み、罠を仕掛けて待っていたところにようやく引っかかったのだ。ちなみに使った罠は鳥獣用の紐をわっかにして作る括り罠だ。

 

 一応ね。俺だって理解していたよ。学校のみんなに好かれているわけではないということくらい。結構色々酷いこともしてるからね?そんな都合の良いことはないって。だからそれに関しては俺は関知しない。実害がなければお好きに嫌ってくださいよのスタンスだ。

 

 じゃあ今何してるかって?実害が出たんだよ。

 

 この前の放課後、いつものように放課後のお出かけをするつもりだった。その時の当番はティーパーティーの子達。なんであぁいう子って一つ一つの所作に清楚?っていうのが溢れてるんだろうね。平伏しそうになるわ。因みに髪はロールだった。縦ロール。お話に出てくるタイプのお嬢様じゃんとワイワイするなどしているとその子に水がぶっかけられたのだ。

 

 ちょうど校舎を出て、すぐ。建物の近くに居たのが悪かったのだろう。二階から目薬ならぬ二階から水バケツというちゃんといじめの所業をしてきたのだ。俺達が上を見上げた時には人の姿はなく、急いで二階に向かっても人っこ一人見当たらない。さすが、トリカス。陰湿だわね。

 

 水をかけられた子が悲しそうな顔で今日はおやすみさせていただくということを申し訳なさそうに言う姿に心底ブチギレた俺は犯人捜しを開始した。先生の時なら見つけて叱るくらいで済ませるが、残念ながら今の俺は生徒。容赦はしない。いいか?やられたらやり返すのは高校生までならギリ許されるんだ。大人と子供の中間みたいな感じだからな。ギリッギリ法律が守ってくれる。これ以上歳を重ねるともうやり返せなくなる。そしたらずっと抱えるだけだ。ならいつやるの?今でしょ。

 

 俺はそうして入念にアンパンと牛乳で張り込みをし、セイアとセイアと、あとそれからセイアを酷使をするなどして犯人を見つけた。ひたすらに寝かせて夢を見てもらった。

 

 あ、此処原作改変ポイントなのだがセイアは予知夢を見る力を失ってはいない。

 いや、原作でも形を変えただけっぽいのだが、ウチのセイアは異常に鋭い勘に合わせて予知夢を見れる。それもワートリのあの人のサイドエフェクトみたいな感じで。あの人と違う点は人を見るのではなく夢を見る事がトリガーで、見るものもマチマチだから使い勝手はちょっと悪い。だがそれを補って余りある程強い。俺がワートリを熱弁したせいで予知夢を未来を選び取れる条件を探すそういうものと認識したらしい。マジかよ、大丈夫?その先茨の道だよ?というと笑って

 

『君が言ったんじゃないか。……まぁ、私が駄目になったら責任を取ってくれよ』

 

 と言っていた。セイアパイセンマジイケメン。カッコイイ!ちなみに最近の使いどころは未来を見た絶対に当たる占いとのこと。あたるよ。そりゃああたる。百パーだろ。それはただの予測じゃねぇか。

 

 そんなわけでセイアを寝かしまくったおかげで特定したトリカスを罠にかける為、狩猟に関する本から得た知識で罠を制作し、捕まえるなどしたのが今だ。

 

「取ったどー!!!!」

 

 俺は歓喜の声を上げた。今日は焼き鳥よー!バタバタと暴れるトリカスだがしかし、狩猟の本には鳥の締め方も記載されていたので、俺は首に手を添えてそっと囁いた。

 

「鳥って首の骨折ると大人しくなるらしいね」

 

 黙った。ヨシッ、じゃあ調理開始するかぁ!と俺がいそいそとトリカスの羽を毟ろうとしたところ後ろから羽交い絞めにされた。この大きくもなく小さくもない胸は……

 

「イチカじゃん。どったの?」

 

「いや、通報があったんすよ。先生が生徒を罠にはめてるって」

 

「うん。した。てかしてる」

 

「認めるんすか……もっと、こう否定してもらわないと」

 

「いや事実だもん。今から美味しく頂くところだったんだから。羽を毟って卵に漬けて、衣を纏わせた後、低温でじっくり火を通してから少し休ませ、次に高温の油でカラっと揚げてレモンで美味しく頂くんだよ」

 

「なんでちょっとひと手間加えて食べようとするんすか」

 

「美味しく頂きたいじゃん」

 

「やめてください。あらぬ誤解が生まれるかもしんないすよ?悪戯ってことで良いんすよね?生徒に乱暴しようとしたわけじゃないんすよね?」

 

「いやそれは事実。普通にちゃんと揚げようとしてた。ちゃんと卵と衣も用意してるし。まぁ乱暴にはしないね。食材は大切にしたい」

 

「私らを食材カテゴリーはやめてください」

 

──シャレになんないっす。

 

 そういうイチカだが、俺だってこんなことしたくないよ……。あっ、トリカス逃げてやがる……クソッ取り逃がした獣って学習しちゃうんだぞ。どうしてくれんだよ。小賢しくなった獣逃がしちまったじゃん。山が荒れるぞ。

 

「や、人扱い……」

 

「だってあのトリカス水ぶっかけて来たんだから油ぶっかけてもいいだろ。油でカラリと揚げたいじゃん」

 

「その異様なカロリーへの執着心なんなんすか……」

 

「男子高校生だぞこちとら。カロリーは必要なんだよ」

 

 どうやら俺が本気であることを理解したらしいイチカははぁ……とため息を吐いてから俺を羽交い絞めのまま連行する。どこ連れて行こうとしてんの?

 

「反省室……もとい指導室っすよ。今の先生はウチの生徒なんすから反省文書いてもらうっす」

 

「へーあるんだ。そういうの」

 

「半ば形骸化してるっすけどね。それに、喧嘩とかは当事者を離さないと話聞けないっすから」

 

「あーね。頭を冷やせ的な」

 

「今の先生にも必要だと思ったんで」

 

 えー?俺は別に普通だよ。普通にやり返そうとね?トリニティなら普通じゃない?いやな普通だけどさ。俺以外にもやってる奴がいるだろ!俺だけを取り締まるのは横暴だ!(違反切られた運転手並感)

 

「でも通報されちゃったらしょっ引くしかないっすよ。見えてない所ならいいっすけど見えちゃったら~ねぇ?」

 

「それはそう……しゃあない。国語5の実力、みせますかっと」

 

「自信もって反省文挑む人初めて見たなぁ」

 

 そうして俺は指導室にドナドナされた。ソンナー

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 かりかり、こつこつ。

 

 ペンを滑らせる音が響く指導室。居るのは俺とイチカだけ。どうやら監視らしい。まぁその監視はお菓子摘みながらお茶飲んでるんだけど……それ俺のおやつじゃん。

 

「ゴチっす」

 

「別に良いけどさぁ。俺にも一枚ちょうだいよ。あー」

 

「はい、あーん」

 

 パクリ、うーん美味い。たまに食べたくなるんだよねぇ。コーヒーとチョコのビスケット菓子。あの花みたいな円形のヤツね。俺はチョコ派。なーんかコーヒーの方、コーヒーって味がしないんだよね。いや、コーヒーではあるんだけど、微妙に違うというか……。

 

「口めっちゃパサ付きますね。コレ」

 

「それな。口の中の水分根こそぎ奪うんだよ。真ん中のチョコやコーヒー部分もネットリしてるし」

 

 お茶くれお茶とイチカが注いだお茶を飲む。普通に休憩してるみたいだな……。イチカも暇そうだし、あっ、そうだ。ちょうどいいから聞いとこうかな。二人だけだし。

 

「イチカってさぁ。自分が巨乳貧乳どっち側だと思ってるの?」

 

「ぶふっ……ゴホゴホっ、いきなりっ、なんなんすか!?」

 

「俺の反省文がっ!!!」

 

 イチカが吹いたお茶によって俺の反省文が犠牲になるもイチカが落ち着くのを待った。気管に入ったの?ほら、背中さすったげるから……。

 えふえふと涙目で咽るイチカはそれでも何?と言わんばかりにこちらを見た。大丈夫?あ、大丈夫。じゃあちょっと……

 

「いやね?思ったんだよ。正実の子を見てると巨乳と貧乳が結構ハッキリ分かれてるなぁって」

 

「んぐ……まぁ、はい。そうっすね」

 

「巨乳はハスミやツルギン、貧乳はコハルやマシロでしょ?」

 

「まぁ……」

 

「じゃあイチカは?」

 

「えっ?えー……いや、自分で言う事じゃないっすけど巨乳じゃないっすか?」

 

「えっ、じゃあツルギンとハスミと同じところに立てる?」

 

「うっ……」

 

 そういうと言葉に詰まるイチカ……ほらね?

 

「でもじゃあ貧乳なのっていうとある方じゃん。巨乳でも貧乳でもないお前って何?」

 

「いや……そんなこと言われても…………うーん」

 

 一理あるとでも思ったのか長考の姿勢に入るイチカ。まぁ本人からしても貧乳ではないが、かといってツルギンやハスミの側に立てるとは思わないのだろう。というか正実のある側の人間があり過ぎる気がしないでもない。

 

 ようやく口を開いたイチカが恐る恐る言った。

 

「美乳………………とかっすかね?」

 

「大きく出たねぇ」

 

 自分で美乳って言う?自分で言って恥ずかしくなってんじゃん。いや他に表現方法なんてあんまりないんだからそうなりそうだし、大きすぎず小さすぎず大きさを評価出来ないなら形とかで評価するワケで。じゃあ垂れてるのかとかそういうのはなくなんというか……

 

「普通の乳……普乳?」

 

「ふにゅう」

 

 自分の胸に手を当てて、ふにゅう、ふにゅうと言うイチカはちょっとした怪生物のありさまだ。そういう鳴き声?でもどうやらショックを与えてしまったらしい。確かに少しノンデリカシーだったか。めんごめんご。

 

「大丈夫だよー。イチカの胸は綺麗な胸だからねー。見たことないけど」

 

「や、胸を見たことないのに言われても……」

 

「えー…俺が見たことある乳なんてハナコくらいだよ?たぶん」

 

「見たんすか!?胸を!?」

 

「見せられたんだよ。被害者だよ」

 

 ほぼ事故だったけどな。ハナコが新しく買った水着(スク水じゃない方)を自慢する為にそれで徘徊してて俺と遭遇。その時ちょうどコハルも連れてたからエ駄死を発動したコハルがワタワタと手を動かして隠そうとする……手が水着に引っかかって俺の前で御開帳したのだ。

 

 よって裁判長、俺は事故による無罪を主張するのですが

 

「推定無罪ってことで……てかみたんすか」

 

「見たよ。ガン見した。拝んだよね」

 

 柔らかく、白い双丘を前に俺は思わず拝んだ。ご利益がありそうだったからね。ありがたや、ありがたや……なんちゅうもんを見せてくれたんや。これに比べたら山岡はんの胸はカスや()

 

「有罪になったっすね」

 

 そんな……裁判長!お慈悲を!一転して冷たい目を向けるイチカだが、じゃあ、逆に聞くけど俺がもし事故で下半身裸になったところを見た時、見ないって言える?言えるならこのまま俺に刑を執行してもいいよ。

 

「………逆転無罪で」

 

「勝訴ッ!!!」

 

 勝ったぁ!思わず立ち上がりガッツポーズ!

 やはり司法は俺の味方だ……やっぱりね?見ちゃうよね?そりゃあ思春期の男女ですから思考も根本は似通うんでございますよ。やっぱりエッチなことに興味津々になるのは普通なことですからねぇ?

 俺は嬉々としてイチカに近づき、腕をつんつんしながらニマニマと気持ち悪い笑みを浮かべるなどした。殴られた。

 

「いってぇ……でもまぁ綺麗なんじゃない?比較対象がハナコの胸しかないし、イチカの胸見てないけど」

 

「…………見たいってこと?」

 

 ……そういう事と受け取ってよろしいか?

 

「ん~~~~~~~~~~~(葛藤)……まぁ、男子高校生だからね。見たいか見たくないかと言われたら見たいって言うけどコンプラとか女子に対してそういう発言ってどうなのってことでそこら辺を気にしないと人権がなくなっちゃうというかやっぱり紳士的で居た方がなにかと物事が問題なく回るわけでそれでも欲望に忠実で居ようというのであれば心の底から思うのだけど」

 

 見たい

 

 俺は約130字を3文字に圧縮して言った。見たいよ。男子高校生だぞ(免罪符)

 

 イチカはそういう俺に困ったような顔をしつつ、いや割とまんざらでもないかのような顔をしつつ、そっと制服を掴む。俺はゴクリと、知らず知らずのうちに生唾を飲み込んだ。まさか……?まさかの……?勝ち組来たか?俺はイチカルートに進むのか?ここで?いや俺は別に良い!てかイチカなら良い!これはイチカの好感度が高いってことも含むし、他よりマシって意味あいも含む。

 

 イチカはゆっくり、だけど静かに服をまくっていく。おへそが見えた。せくしぃ。俺は思わず周りに誰も居ないか確認した。密室だ。そんな……こんな、こんな部屋に二人だけでこんな……エロゲのスチル開放なの?

 

 一瞬のうちにぶわぁ~と頭の中で思考が回る。男子高校生はエッチな目にあう時、高速で思考が出来るようにプログラムされているのだ。男は大体そういう生き物である。

 

 二人、密室、相手はイチカ、まとも、口は堅い、少なくとも好意はある、正実、イチカを呼びに来る可能性、ないわけではない、警戒、トリニティの気質、他の生徒が指導室に運ばれる可能性、胸を見るだけ、そんな長時間見るわけではない、イチカの後ろに扉がある、背中しか見えない、羽がある、気づかれにくい、ティーパーティーの存在、セイアの脅威、未来予知の精度、干渉はない、見られていないと仮定、見られる可能性、許される可能性、天秤にかけて逡巡……

 

 許される……ギリギリ!今、この瞬間、全てがチャンス……!

 

 俺はすぐさま思考にバチコーンッ!と結論付けて目の前に全神経を集中させる。口の端から飲み込むことを忘れた唾液がこぼれ、目は限界まで見開かれた。イチカはそのほぼへそ出しみたいな制服をまくり上げ下乳の影が見えたその瞬間……

 

「も、もうダメ!ダメっす!やっぱり正実に所属しているのにこういう風紀を乱すことはしちゃいけないな~~って……せ、先生?」

 

 …………………

 

 俺は静かに背もたれへ全体重をかけた。

 天井をぼんやりと見る。

 魂が抜けそうなほどのため息を一つだけ吐き出した。

 俺は心の底からの本心を言った。

 

「そりゃあ……ないよぉ……」

 

 全身の力が抜け、高速回転していた脳内がヴォン、ヴォンヴォンヴォンと無数のエラーメッセージを吐いた。俺は全ての希望を失い、もう反省文を書く気力なんてなかった。この世に絶望した。救いはない。神はいない。

 

「せ、先生?おーい、だ、大丈夫っすか?先生?」

 

「期待させるだけさせて………ないよぉ………」

 

 俺はさめざめと泣いた。完全にセクハラでイチカは何一つ悪くないのだが期待させるだけさせてみせないという稀代の悪女仕草に俺は深く深く傷つくなどした。

 

 俺は体育座りで指導室のイスを占拠しぐちぐちめそめそと文句を言うなどしてイチカを2、3時間ほど困らせたあとその先1週間はイチカに『ない、アレはない』と言うなどしてチクチクと責め続けた。

 弄ばれた、男子高校生の純情な感情が。




学名:センセイモドキ(先生)
補遺17
男はエッチなことを前にすると脳内CPUが普段の10倍稼働する
補遺18
トリニティの有翼生徒の翼を手羽先か何かだと思っている

学名:トリニティサワヤカイトメ(仲正イチカ)
補遺1
すんでのところで正気に戻った。ヘタレ
補遺2
1週間後、キレて先生の顔に抱き着くなどしたことによって大きさや形はわからずとも感触の良さをわからせたので解決した
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