侵略者系魔女の侵略ライフ   作:龍翠

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第二話
後輩を巻き込む先輩の図


 

 ニュクスが我が家に来て、二日目。土曜日。両親は仕事に行ったので、今日も私とニュクスの二人だ。今はリビングのテーブルで朝ご飯のトーストをかじってる。

 今日の予定は、もちろん決まってる。

 

「ダンジョンを、作ります」

「うん」

 

 そう。ダンジョン作り。どうやって作るのかは分からない!

 

「どうやって作るの?」

「もらった山に入口を作って、亜空間を作ろうかなって。どんなダンジョンがいいかな? 洞窟みたいな感じ?」

「あー……」

 

 どうしよう。私もゲームはそれなりにやるけど、だからといってダンジョンはこう、みたいなイメージはない。

 ちょっと前なら洞窟とか迷宮とか思い浮かんだだろうけど、最近はそもそも別の世界みたいな扱いになってたりもするから……。難しいところだね。

 

「うーん……」

「ゆっくり考えてね」

「うん……。いや待って。もしかして私が決めるの!?」

「うん」

「マジで!?」

「マジです」

 

 いや、え……。責任重大過ぎませんかこれ!? 嫌だよ怖いよまた絶対何か言われるじゃないか! ど、どうしよう本当にどうしよう。できれば誰かを巻き込んで……。

 あ。

 

「ちょっと……。友だちに相談とか……しても、いいですか?」

「いいよ?」

「よし!」

 

 こういう時は頼れる友だちだってね。もちろん巻き込むのは友だちだけじゃない。

 みんな、だ。

 スマホを取り出して、友だちに電話をかける。たっぷり十秒着信音が鳴ってから、電話に出てくれた。

 

『はーい……。先輩ですかー?』

「先輩です! 助けて!」

『え……。昨日から何かありました? どうかしましたか?』

「うん! とりあえず……。今から言う機材を持ってきて! 私の家まで!」

『あ、はい……?』

 

 友だちに使いたい機材を伝える。かなり怪訝そうにされてしまったけど、一時間ほどで持ってきてくれることになった。

 

「ニュクス! 一時間ぐらい待ってね!」

「いいよー」

 

 バターたっぷりのトーストをもぐもぐしながらのお返事。あらやだかわいい。いやそうじゃなくて。

 とりあえず、友だちを待とう。頼りになる子だからね。とりあえずは、安心だ。多分。

 

 

 

 だいたい一時間ぐらいして。待望の友だちがやってきた。チャイムが鳴らされて、軽い音が聞こえてくる。

 

「せんぱーい。来ましたよー」

「はーい!」

 

 すぐに玄関に向かって、ドアを開ける。門の前にいたのは、大きなリュックを背負った女の子。私よりも一つ年下、中学二年の子で、ショートヘアにくりくりとした目が印象的だ。

 パソコンとかゲームとか大好きな子だけど、第一印象はとても快活そうに見える。赤いパーカーに同じ色のプリーツスカートという格好。ちなみにいつもこんな服装だ。

 名前は、朝比奈文(あさひなふみ)。文ちゃんだ。

 

「おはようございます! 先輩が呼び出してくるなんて珍しいですね。何かありました?」

「うん。とりあえず入って。ほら、ほら」

「え? あ、はい……?」

 

 家の中に文ちゃんを招き入れる。文ちゃんは怪訝そうにしながら家の中に入ってきて。

 そして、リビングでくつろぐニュクスを見て、絶句した。

 

「え」

「む……」

 

 ニュクスは文ちゃんを見て目を瞬かせてる。そして、すぐに我に返って立ち上がった。

 

「初めまして。私はニュクス。侵略者である」

「あ、え、あの……」

「あなたは彩花の友人だろうか。そうであるなら……」

「あ、ニュクス、オレンジジュースなくなってるね。お代わりいる?」

「いるー!」

「え」

「あ」

 

 いや、あの……。ごめん。わざとじゃないの。別にそんな、狙ったわけじゃなくてですね……。だから、あの……。ニュクスさん? 涙目で睨んでくるのはやめよう? かわいいだけだよ?

 そそくさとキッチンに向かって、オレンジジュースを用意する。文ちゃんのものも一緒に持っていこう。

 リビングに戻ると、ニュクスと文ちゃんがちょっと気まずそうに、向かい合って椅子に座っていた。不思議な空気になってる……。ちゃんと紹介しないとだめだよね。

 オレンジジュースをそれぞれの目の前に置いて、と。

 

「改めて……。文ちゃん。まずは来てくれてありがとう」

「いえ。先輩が呼んでくれるのは珍しいですし、いつでも来ますよ!」

「うん。じゃあ、紹介するね。この子は、ニュクス。侵略者さんです」

 

 ニュクスを手のひらで示しながらそう言う。ニュクスはこほんと小さく咳払いして、言った。

 

「私はニュクス。侵略者である」

「うん。キャラ付けは今更だからやめようか」

「今更にしたのはどこの誰?」

「ごめんね!?」

 

 わざとじゃないから! 本当に! たまたまだから!

 

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