メインストリート。じゃあ、最初に作るのは……。
「宿屋だよね!」
『なんでやねん』
『いきなり宿かよw』
『ダンジョンだぞ? 武器屋とかギルドとかいろいろあるやろ!』
「う、うるさいなあ! そもそもギルドってなに!? ゲームならよく見るけど、リアルだと意味不明だよギルド!」
依頼なんてそもそもダンジョンが初めてなのであるわけもないし、素材の買い取りとかよく見るけど素材って何だよ状態だし!
確かにちょっとギルドとか見てみたいけど、そのためにはまずダンジョンで何ができるかとか、何を取れるかとか、そこから調べないといけないでしょ。
そういうのを力説したら、わりとあっさり納得してくれた。
『それはそう』
『ギルドは将来的にやな』
『でも場所の確保ぐらいはしたいよね』
まあ、うん。やっぱりダンジョンの入口の側、だよね。
とまあそんな感じで、最初に宿屋の場所とどんな建物かを決める。私にデザインセンスとかはないし、建築法なんて知識もないけど……。
「不要。どのようなものでも作成できる」
「マジで!?」
「マジです」
『侵略者さんほんとちょくちょく軽くなるな』
『いやでもその前にさ! どんな仕掛けでもいいってことだよな!?』
『仕掛けいっぱいの屋敷とか……作れる!?』
「えっと……。仕掛けいっぱいとか大丈夫?」
「是」
『よっしゃきたあああ!』
『こだわろうぜ! こだわりまくろうぜ!』
うん。これはちょっと、楽しいかも。
そういうわけで。みんなの意見を聞きながら、ダンジョンの入口の町を作っていった。
当たり前だけど、一日で作れるわけもなく。私がちょっとこだわった宿屋だけ完成しました。
「どうですか」
『こだわったのは分かるけど……』
『規模足りるんかこれ?』
宿屋の広さは、学校の広めの音楽室ぐらい。一階は食堂と受付になっていて、受付横の階段を上れば部屋がある。一フロアにつき、六部屋。六階建てで、二階から五階は一般の客室だ。
六階はスイートルームっていうの? あんなイメージで一部屋まるまる使おうかなって思ってる。どんな部屋にするかはまだ決まってないけどね。
うん……。でも。これ、絶対に部屋とか足りないよね。
「複製も可能。安心するといい」
「おお。コピペできるんだ」
「こぴ……こぴぺ? う、うん。是。そんな感じ」
『嘘だぞこれ絶対分かってないぞ』
『コピペに戸惑う侵略者様かわいいw』
うんうん。ニュクスはかわいいんだよ。でももっとかわいいところを知ってほしいけど……。ニュクスが隠してるからなあ。
ところでこれ、一つずつ建物作るのって難しいよね。宿屋で一日かかったし、私も月曜からまた学校に行かないといけないし……。
「うーん……。これ、町は後回しの方がいいかも? いつまでもダンジョンが作れない気がする」
「是。宿に一日かかるとは思わなかった」
「あっはっは。いや申し訳ない」
『気持ちは分かるけどな!』
『予算とか技術とか何も気にせず計画できるって楽しそう』
『これ、ダンジョンが解放されてから、集まってきた人と一緒に決める方がいいのでは?』
私もそんな気がする。コメントじゃさすがに限界があるよ。人が多すぎてまとまらないし。宿も、結局私がほとんど決めちゃったしね。
「まあ、いい時間になったし今日はここまでで。明日もやるの?」
「是」
「というわけで、明日もまた配信します!」
『明日はダンジョン作り本番やな!』
『めっちゃ楽しみ!』
『暴れないウサギの魔物が欲しいです!』
『お前それもふりたいだけやろw』
なんかみんな好き勝手言ってるけど……。実際どこまでできるかは謎なわけで。それもまた、明日分かるかな?
「それじゃあ、また明日!」
そうして手を振っていると、コメントが聞こえなくなった。撮影終わり、かな? 文ちゃんもこっちに歩いてきたし。
「先輩、お疲れ様でした。配信終了です」
「ありがと。わりとみんな優しかったね」
「明日からが本番だと思いますよ」
文ちゃんが言うには、今日は信じていない人も多くて人は少なめだっただろう、とのことだった。明日はもっと多くなるだろう、と。なにそれ怖い。
「それじゃ、帰りますか。ニュクスも帰るよー」
「うん」
「あれ? おつかれ?」
「キャラ作りは疲れる……」
「ええ……」
じゃあやめればいいと思うんだけど……。ニュクスのこだわりなのかな。
うん……。よし。じゃあ、キャラ作りをしなくてもいいようにしていこう!
「というわけで、文ちゃん。協力して」
「分かりませんが分かりました!」
「何も聞かずに引き受けちゃうのはやめようね!」
「先輩のこと信じていますから!」
「後輩の信頼が重い!」
信頼してくれるのは嬉しいけど、後々が怖いと最近思うよ!
文ちゃんの片付けを手伝って、撤収。もしかしたら誰か侵入するんじゃ、なんて思ったけど、ちゃんと対策はしているらしい。結界を張ってあるそうで、ニュクスと私、文ちゃん以外は今のところ誰も入れないのだとか。
それはそれで誰かが来た時に騒ぎになりそうだけど……。まあ、私が気にすることじゃないね。