侵略者系魔女の侵略ライフ   作:龍翠

17 / 17
威厳は吹き飛ばすもの

 

 帰宅した時間は十六時。さすがにまだ両親は帰ってきてない。ちょうどいいから、おやつの時間にしよう。

 

「じゃあニュクス。プリン持ってくるから待っててね!」

「プリン! 待ってる!」

「はい」

 

 プリンにわくわくする侵略者様がとってもかわいい。これはみんなにも自慢しないといけないと思います。

 というわけで。

 

「よろしく」

「任せてください」

 

 文ちゃんがスマホで配信を始める。私の耳にはもちろんイヤホン。耳にはみんなの困惑の声が届いてきた。

 

『また配信始まった?』

『なんぞこれ』

『どっかの家?』

 

「どうも、アヤカです。これから皆さんには侵略者様への誤解を解いてもらおうと思います」

 

『え』

『どういうことだってばよ』

 

 まあ、待っていればいいよ。きっとみんなびっくりするから。

 ニュクスが不審に思わないようにささっと準備。お皿にプリンを載せて、スプーンもつけて……。

 

「ニュクス、お待たせ」

「待った! プリン!」

「はいはい。どうぞ、プリンだよ」

「わーい!」

 

『え』

『まってなにこれ』

『侵略者様……?』

 

 うーん……。みんな戸惑ってるね! 無理もないと思うよ! ただのプリンに喜ぶ女の子だからね!

 

「ふわあ……。美味しい……」

 

『とろとろやないか』

『悲報、侵略者様、プライベートは普通の女の子だった』

『どう考えても朗報なんだよなあ』

『普通にかわいい』

 

 そう! ニュクスはかわいいのだ!

 

「ぷるぷる……美味しい……」

「んふふ……」

「なに? お姉ちゃん」

「あははー」

 

『お姉ちゃん!?』

『ガチの姉妹……ではないよな?』

『侵略者にお姉ちゃんと呼ばせてる……だと!?』

『実はこの子かなりやばい子なのではw』

 

 いやそんな謎の風評被害いらないから。

 さて。このまま内緒にしていくのもありかなと思ったけど……。ばれた時がちょっと怖い。さすがに殺されはしないだろうけど、しばらく口をきいてくれなくなりそう。というわけで。

 

「ニュクス。ニュクス」

「なあに?」

「配信中だぜぃ」

「…………。え」

「あははー!」

「えええ!?」

 

 おお。絶叫なんて初めて聞いたかもしれない。それだけ驚いたってことだね! なんかごめんね! 反省はしないし後悔もしないけど!

 

「は、配信!? もしかして、みんな見てるの!?」

「見てます」

「私の威厳は!?」

「吹き飛んだ」

「んな……っ! ……っ!?」

 

 おお、すごい百面相。コメントも大盛り上がりで、耳がうるさい。

 ニュクスはしばらくぷるぷるとしていたけど、すぐにプリンを急いで食べ始めた。ある意味緊急事態でも好物は無駄にしないその精神、とても良いと思います。

 ところで。

 

「ぷるぷるニュクスがプリンを食べてる。ぷるぷる」

「殺すよ」

「ごめんなさい」

 

 さすがに調子に乗りましたごめんなさい!

 

『ガチトーンの殺すよでした』

『ぞわってした!』

『これが……恋心……?』

『落ち着け、吊り橋効果だそれは』

 

 私の妹に恋とか許さないよ?

 プリンを食べ終えたニュクスは丁寧に口を拭いてから、ゆっくりと立ち上がった。こほん、と咳払い。そして、きりっと表情を取り繕った。

 

「こんばんは、人類諸君。私はニュクス。侵略者である」

 

『ちっすちっす!』 

『お姉ちゃんからもらったプリンは美味しかった?』

『プリンに喜ぶ幼女が見れると聞いて!』

『ふにゃふにゃ笑顔最高でした!』

 

「あああああ!」

 

 ニュクスがその場で頭を抱えてしまった。なんだか、うん。えっと……。

 

「ごめんね」

「誰のせいだと……!」

「でも笑う。あははー」

「……っ!」

 

『すげえ根性あるなこの子w』

『自分を片手間に殺せる相手を煽っていくスタイル』

『嫌いじゃないよ、そういうの!』

 

 これぐらいならまだ大丈夫だって分かってるからね! いや、多分なんだけどね。大丈夫だよね?

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

魔弾の王は戦姫と英雄譚を紡ぐ(作者:自堕落無力)(原作:魔弾の王と戦姫)

 これは少年が戦姫と呼ばれる存在と歩み、後に『魔弾の王』と呼ばれる英雄となりゆく物語である。


総合評価:739/評価:8.82/連載:84話/更新日時:2026年07月01日(水) 20:29 小説情報

ロマン職は異世界から帰りたい(作者:庶民ザウルス三世)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

これが絶対浪漫の力だ!▼人は夢を見る。▼そして、効率よりも自分の“好き”を信じて、浪漫を追いかける者たちがいる。▼ソロ専、人見知り。▼だけど、クリティカルが決まった時の一撃だけは誰よりも重い。▼そんな趣味全開のロマン職キャラを愛した男は、課金帰りの事故をきっかけに、ゲームで使っていた女性キャラ――ラシア・ラ・シーラとして異世界で目を覚ます。▼しかも、レベルも…


総合評価:5931/評価:8.55/連載:132話/更新日時:2026年07月06日(月) 07:11 小説情報

強い想いで魔法少女が生まれる世界に現れてしまったモンスターTS転生ロリ(作者:暁刀魚)(オリジナル現代/冒険・バトル)

安城コトは、強い意思が魔法少女を生む世界に生まれてしまったTSロリだ。▼赤ん坊の頃に前世の記憶があったせいで、相対的に普通の人間より強い意思を持っていたコトは、バカみたいな魔力の魔法少女になってしまった。▼しかも男が魔法少女になれないのに、前世は男。▼バグの塊みたいな存在になってしまったのである。▼これはそんなコトが、有史以来魔法少女と魔物が争い、疲弊した魔…


総合評価:13753/評価:8.75/連載:29話/更新日時:2026年03月19日(木) 18:05 小説情報

【悲報】美少女にTS転生して愛され系ダンジョン探索配信者デビューしたつもりが、何故か危ないヤツ認定された件~可愛い顔して重量武器を振り回す女の子に『萌え』or『ドン引き』!?~(作者:水瓶シロン)(オリジナル現代/冒険・バトル)

「『立てば殺戮・座れば決着・歩く姿は彼岸花』って誰が言ったの?ねぇ?(圧」▼ 陰キャでぼっちなつまらない人生を送っていた男子高校生は、可愛い系美少女にTS転生を果たし『早乙女瑠奈』としての人生を歩むことになり、ダンジョンの存在する世界で皆に可愛がられて楽しく生きようと決意する。▼ 可愛い見た目を活かして、先輩探索者達にサポートしてもらいながら【姫プレイ】でダ…


総合評価:938/評価:7.3/連載:39話/更新日時:2026年03月30日(月) 21:07 小説情報

TS女神の体が万能薬なので気持ちよく配ってたらなぜか周りが全員泣いてる(作者:なほやん)(オリジナルファンタジー/コメディ)

前世は取り柄のない男だった。目が覚めたら異世界で女神になっていた。▼体が万能薬らしい。切って食べさせれば難病が治る。しかも再生するし、皆に感謝される。▼——なのに、なぜかみんな泣いている。▼---▼ハーメルン匿名杯2で5位をいただきました。▼応援してくださった皆様、ありがとうございました!▼


総合評価:3338/評価:8.24/完結:20話/更新日時:2026年03月22日(日) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>