侵略者系魔女の侵略ライフ   作:龍翠

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第三話
みんなでピザトースト


 

「おはようございます、先輩」

 

 早朝。朝の五時。私は文ちゃんに電話で叩き起こされた。いや、まさかこんな時間に来るとは思わなかったです。昨日よりも大きいかばん……というか、キャリーケース持ってきてるし。

 

「家の前で電話しないでよ……。起きたから良かったけど、出られなかったらずっと待つつもりだったの?」

「窓をたたき割ってでも起こしました」

「後輩の発想がやばくて笑えない」

 

 いや本当に笑えないよ。さすがに冗談だよね? え? 本気? そっかあ。

 

「あら、文ちゃんいらっしゃい! あがっていってね!」

 

 後ろから声をかけたのはお母さん。こんなに朝早いのに、嫌な顔せずに文ちゃんを迎え入れてる。これには文ちゃんも逆に罪悪感を覚えたのか、申し訳なさそうに眉尻を下げた。

 

「ごめんなさい、こんなに朝早く……」

「いいのよ気にしなくて! 文ちゃんならいつでも大歓迎!」

 

 というわけで、文ちゃんを迎え入れる。昨日と同じかばんにはパソコンとかが入ってるんだろうけど……。キャリーケースは、なんだろう?

 文ちゃんをリビングへと案内する。文ちゃんはリビングに入ってすぐに、不思議そうに部屋を見渡した。

 

「あれ? ニュクスさんは?」

「まだ私の部屋で寝てるよ。見る? 寝顔もとてもかわいいよ」

「あ、すごく気になる……。でも、その、後が怖いので……。写真だけお願いします」

 

 怖いって言うわりには写真は頼むんだね。いやいいけど。

 自分の部屋に戻って、私の代わりにアザラシのぬいぐるみを抱くニュクスの写真をスマホで撮る。そうしてまた部屋を出て、文ちゃんに見せた。文ちゃんはふにゃっと頬を緩ませた。

 

「すごく……かわいい……!」

「でしょ?」

「着ぐるみパジャマも似合ってる!」

「でっしょー!」

 

 さすが文ちゃん、分かってる! 我ながらいいものを選んだ自信があるからね!

 文ちゃんに椅子に座ってもらって、朝ご飯のトーストを食べる。文ちゃんももらっていた。二人でもぐもぐ。

 

「それで、どうしたのこんなに朝早く」

「はい。かなりたまってしまったので、第一弾です」

「なにが……?」

「提案が」

 

 文ちゃんがキャリーケースを開いて、コピー用紙の束を差し出してきた。

 それは、言葉の羅列であったり、分かりやすい図面であったり……。さすがに私でも分かった。これは、つまり。

 

「ダンジョンの都市の提案……!?」

「です!」

 

 いや。いやいや。いやいやいやいや。何枚あるのこれ!? 数百、数千はあるよね!? え、ここから選ぶの!?

 

「さすがに無茶ぶりがすぎる……!」

「後回しにするとニュクスさんが拗ねますよ?」

「ちくしょうがんばる!」

 

 昨日言っちゃったからね! がんばらないとね! ちくしょう一週間時間をもらえばよかった!

 慌てて提案書を見始める私を、文ちゃんはにこにこ笑いながら見つめていた。手伝ってほしいけど、それすらニュクスは認めないんだろうなあ……。

 

 

 

 少しして、ニュクスが起きてきた。目をくしくししながらリビングに入ってくる。もちろん着ぐるみパジャマだ。

 

「んぅ……。おはよう……」

「おはよう、ニュクス」

「おはようございます、ニュクスさん」

「うん……。うん? んん!?」

 

 ニュクスが目をまん丸にして文ちゃんを見て……。次に自分の服装を確かめて……。これは、あれだね。威厳を気にしてるね。

 でも諦めたのかため息をついて椅子に座ってきた。

 

「お姉ちゃん、朝ご飯が欲しい」

「はいはい。ピザトーストでいいかな?」

「先輩! わたしも! わたしも!」

「文ちゃんはさっきトースト食べてたでしょ……?」

 

 作ってあげるけどね。こうしていろいろと協力してくれてるわけだし。

 キッチンに向かって、ささっと準備。パンに、ピザソースをたっぷり塗って、ウィンナーとベーコン、あとピーマンも少し。チーズをたっぷりと載せてから、トースターで焼き始める。

 

「図面? いっぱいあるね」

「はい! たくさんの提案をいただきました。これを先輩に選んでもらおうと思います」

「ん……。彩花の意見が入るなら、いいよ」

「はい!」

 

 そんな会話が聞こえてきた。ああ、やっぱり私が選ばないといけないんだね……。知ってた。とりあえず……うん。がんばろう。

 焼き終わったピザトーストをキッチンに持っていって、二人の前へ。ニュクスはそれを見て、目を輝かせた。かわいい。

 

「これが……ピザトースト……」

「ピザトーストです。チーズとろとろだよ」

「とろとろ……!」

 

 さっそくぱくりと一口食べる。不思議そうな顔をして食べていたけど、チーズがとろりとのびて驚いてる。おお、みたいな顔だ。

 

「不思議な食べ物……。濃厚な味。とても、美味しい……!」

「うんうん。チーズはとてもいいものです」

「とてもいいもの!」

 

 ピザトースト、というよりチーズもちゃんと気に入ってもらえたようで一安心だ。チーズを使った他の料理もいいかも。グラタンとかドリアとか、喜ぶんじゃないかな。

 

「そんなことより、先輩! さあ、選んでください!」

「あ、はい……。がんばる……」

 

 文ちゃんに渡されるたくさんの紙。改めて思うけど、文ちゃんはよくこれを印刷したよね。いや、印刷するしかなかっただけだろうけど。

 

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