侵略者系魔女の侵略ライフ   作:龍翠

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冒険者さんとお話

「えっとですね……。私の世界がニュクスの言っている場所なんですけど、初めてダンジョンを作るんです」

「ダンジョンを……作る!? またすごいことを考えますね……」

「あ、あはは……。それで、ダンジョン産のものを加工したりする、そんなことができる移住者を探している……で、いいんだよね?」

「是。他にも有望な人材がいれば紹介してほしい」

 

 ニュクスがどんな人を求めているのかまでは分からないから、ここから先はニュクスに任せよう。できれば優しい人に来てほしいなって思います。

 私がそっと少し離れたら、視界の隅でこちらを手招きしている人に気付いた。そっちを見ると、若い男女が手招きしてる。なんだろう?

 

「呼ばれたから行ってみよう」

 

『マジかよお前』

『さっき絡まれたことを忘れたの?』

 

「むしろさっきのがあるから襲われないだろうなって」

 

『それはそう』

 

 なんせニュクスの意識がこっちにちょっと向いてるのがなんとなく分かるからね。変なことをしたらニュクスが介入してくるっていうのは、みんな分かってると思う。

 正直ニュクスに頼ってばかりなのは情けないけど……。ここは見知らぬ世界だから、許してほしい。

 

「呼びました?」

 

 手招きしている人たちに近づくと、男の人はちょっと驚いてるみたいだった。

 

「まさか本当に来てくれるとは思わなかったな」

 

 嫌味なのかなと思ったけど、屈託なく笑っていて嫌な感じはしなかった。

 

「俺は剣士のカイン。こっちは魔法使いのリーゼだ」

「よろしくね」

 

 カインさんは明るい金髪に青い瞳の人。身軽そうな鎧に身を包んでいて、腰には剣を吊ってる。

 リーゼさんは青い髪で、腰まで届きそうなほど長い。瞳は緑、かな? 赤いローブを着ていて、手には身長ほどの長さの杖を持っていた。

 

『いかにもな剣士に魔法使い!』

『剣からビームは出せますか!?』

『魔法見たい魔法!』

 

 ちょっと落ち着いてくれないかなあ。あとで……覚えていたら聞いてあげるから。

 

「私は彩花です。よろしく」

 

 カインさんとリーゼさんと順番に握手。リーゼさんの手はまだちょっと柔らかいけど、カインさんの手はごつごつしてる。これが、ずっと戦ってる人の手なんだね。すごい。

 

「それで、何の用ですか?」

「ああ、うん。ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「はい?」

「ニュクス様とはどういったご関係で?」

 

 どうして微妙に敬語になるのか、これが分からない。

 ふむ。ニュクスとの関係。それはもちろん。

 

「姉妹です!」

「な、まさか本当に……!?」

 

『信じちゃうからやめなさいおばか!』

『まあ言うと思ったけど!』

『不出来な姉と頭がおかしい侵略者』

『侵略者様に怒られるぞ』

 

 おかしい。私は間違ったことを言ってないのに。

 

「まさかニュクス様に姉妹がいたなんて……」

「ということは……この子もかなり強いのか!?」

「でもあのバカに足をひっかけられてたような……」

 

 なんだか聞き耳を立てていたっぽい周りもざわざわとし始めてる。私が強いと思っていたりするらしい。さすがにそれは訂正しないと。強いと勘違いされたままだと、絶対にろくなことにならないだろうから。

 

「あの、私は弱いですからね」

「え? でも、ニュクス様の姉君なのでしょう?」

 

 そう聞いてきたのはリーゼさんだ。とても不思議そうにしてる。この世界では、強い人の家族も強い、ということかな?

 

「血は繋がってないので。でもニュクスは妹です!」

「…………。ええ……」

 

 おかしい。周りのみんなからどん引きされた気がする。

 

『ようこそこちら側へ』

『これが正常な反応ですよ』

『侵略者を妹扱いっておかしいからな』

 

 かわいいのになあ。

 カインさんとリーゼさんは目をまん丸にしてる。周りの人も同じような感じ。

 

「まさか……。あの侵略者と御せる人がいるなんて!」

「あ、そっち?」

 

『まあその気持ちも分かるw』

 

 正直、その件については今でもわりと謎だからね。どうしてニュクスは私を選んだのか、ちょっと分からない。私はニュクスと一緒に遊べて嬉しいし、最近は本当に楽しいけど。

 

「でも見たところ、一般人、だよな? 大きな魔力を持ってるわけでもなさそうだし……。ニュクス様、怖くないのか?」

「怖い……?」

 

 振り返ってニュクスを見る。依頼はそろそろ終わりそうなのか、何か紙を受付さんに渡してる。受付さんは恭しくそれを受け取っていた。

 普通の子供に見えるけど……。確かに、たまに怖い面を見せてくるよね。さっきの冒険者とか、学校のこととか。

 でも。

 

「ニュクス。終わった?」

「是。終わった」

「じゃあ、おいで」

「……?」

 

 不思議そうに首を傾げながらこっちに歩いてくるニュクス。隣に立ったニュクスの顎に手を伸ばした。

 

「む……何を……」

「ほれほれ」

「うぬぅ……。きもちいい……。あらがえぬ……」

 

 ふにゃふにゃニュクスのできあがり。これを怖がれというのは、なかなか難しいと思います。

 そんなニュクスを見た周りの反応は、

 

「ええ……」

 

 頬が引きつっていた。どん引きだね! 失礼だね!

 

「まさか、ニュクス様にこんな弱点があったなんて……」

 

『俺ひらめいた! 侵略者に会ったらすぐに顎をこちょこちょする! これで勝てる!』

『本当に勝てますか?』

 

「アヤカ以外は……灰にする」

「…………。だよな」

 

『ですよねー!』

『方法が具体的になって怖さ増してない?』

 

 きっとニュクスなりの冗談だから。

 

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