侵略者系魔女の侵略ライフ   作:龍翠

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ガストンさん

「ねえニュクス。ドワーフ……ガストンさんとはどういったご関係? まさか……彼氏か!? お姉ちゃんは許しません!」

「お姉ちゃん、ややこしくなるからちょっと黙って……」

「お姉ちゃん!? ニュクス様の姉君!? そりゃ失礼しやした! まさかそんな方がいるとは!」

「ほらややこしくなった……」

 

 ニュクスがとっても面倒くさそうにため息をついた。いやでも、気になるのは本当だよ。今までここまで好意的な人っていなかったんだから。

 

「ガストンも。アヤカは実の姉じゃない。協力者」

「ほう。協力者を、姉と?」

「んむ……。えっと……その……。うん……」

「ほうほう」

 

 おや。ニュクスの顔が赤くなってる。ガストンさんもにやにやしてる。

 

「ガストンさん! 見て この子、とってもかわいいでしょ!」

「ちょ」

「ええ、かわいいですなあ! まさかニュクス様にこんな一面があったとは!」

「あの」

「私の! 妹は! 世界一かわいい!」

 

『こいつらwww』

『これで初対面ってマジ? あうんの呼吸になってない?』

『でもそろそろ侵略者様が怒るぞ』

 

 あっはっは、ニュクスがこの程度で怒るわけが……。

 

「ていや」

「いだぁ!?」

「げふっ」

 

 おもいっきりチョップされました。とても痛かったです。

 

 

 

 ガストンさんに案内されて、洞窟の奥へと進む。この先にドワーフの国があるらしい。歩きながら、お互いのことを話した。

 

「なるほど、ニュクス様がかわいいから、妹分にすると」

「うんうん」

「頭おかしいですな」

「あれー?」

 

 おもいっきり罵倒されました。解せぬ。

 

『極めて妥当な評価です』

『誰から見ても頭おかしいよ』

『ぶっちゃけアヤカじゃなかったらできなかったことだと思う』

 

 そ、そうかな? 褒められてる気はしないけど、ちょっとだけ嬉しい。ニュクスと一緒にいられるのは私だけだってことだよね!

 

『そこまでのレベルで頭がおかしい』

 

「いい加減怒るぞこの野郎」

「ニュクス様、あの者はどうしたんで?」

「気にしなくていい」

 

 ガストンさんが戸惑いがちにニュクスに聞いてる。配信のコメントは私とニュクスにしか聞こえないから、気をつけないと。

 ちなみに、ドワーフの国に向かってるのは、ガストンさんの引き抜きを報告するため。ここで勘違いしちゃいけないのが、引き抜きの報告であって打診ではないということ。つまりは、決定事項を伝えに行く、というやつだね。

 断られる可能性を考えてないあたり、ニュクスらしいなって思う。誰も断れないから、なんだろうけど。

 

「でも、王様からだめだって言われたらどうするの?」

「何言ってんでさあ。そんなこと万が一にも……」

「ガストンさんは黙っててね」

「へい」

 

 ニュクスはぱちぱちと目を瞬かせて、ちょっと考えるみたいに視線を上向かせる。うむむ、と何か唸ってる。かわいいからほっぺたをむにむにしておこう。後ろから、むにむに。

 

「んむ……。なに?」

「なんでもないよー」

「ん」

 

 むにむに、とね。

 

『はねのけたりしないのか』

『されるがままの侵略者様かわいいっす!』

『ガストンさんが信じられないものを見たような顔してるw』

『あんぐりと開かれたお口にりんごをぶち込みたい』

『どんな衝動だよ』

 

 しばらくむにむにとしていたら、ニュクスがぺちぺちと手を叩いてきた。答えるのに邪魔、ということだと思うから、一度手を下ろしておく。

 

「交渉する」

「交渉」

「そう、交渉」

 

 交渉、ね。ガストンさんが顔を真っ青にしてるから、別の意味で捉えられてる気がするけど……。きっと、地球で生活したらこの勘違いもなくなるはず。

 そう考えていたら、ガストンさんがそっと私に近づいてきた。

 

「あー……。あまりニュクス様に変なことを言わないでおいてもらえますかね?」

「えー? でも、一応可能性として言っておかないと、いきなりだめだってなった時の方が怖いと思うから」

 

 それこそ、ニュクスの怖いお話が始まるかも。

 ガストンさんは肩をすくめて、

 

「あり得ないですがね」

「そこまで……?」

「そこまで」

 

 ニュクスがわざわざガストンさんを指名するということは、きっとドワーフの国でもガストンさんはいい職人さんなんだと思う。そんな人をいきなり引き抜くなんて言われたら、ニュクスの怖さを知っていても反射的に断るってあり得ると思ったんだけど……。

 本当に、そこまで言えるほどなのかな。ちょっとだけ疑問に思ってしまった。

 

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