侵略者系魔女の侵略ライフ   作:龍翠

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プリンアラモード!

 

 全てのごたごたを終えて、私たちは家に帰ってきた。

 

「つーかーれーたー……」

「ただの買い物のはずなのに、どうしてこうなったんですか……」

「本当にねー……」

 

 それもこれも、強盗が全て悪い。ただあの強盗も運が悪かったよね。よりにもよって、ニュクスが買い物に行ったタイミングで強盗をするなんて。

 しかも、もうちょっと時間をずらしていたら、ニュクスとかち合うことなんて絶対になかったと思うのに……。そう考えると、哀れだ。まあ強盗の時点で同情はしないけど。

 さて。とっても大変だったお買い物だったけど……。

 テーブルに置いたレジ袋をあさるニュクス。袋の中から目当てのものを取り出して笑顔になった。ちょっとお高いクリームプリンと、購入予定だったものよりもお高いプリンアラモード。

 テーブルに突っ伏す私たちの前で、ニュクスは早速とばかりにクリームプリンのふたをぺりっと剥がして、スプーンでぱくりと一口食べた。

 

「わあ……!」

 

 おお……。すごい。満面の笑み。すごく幸せそうにクリームプリンを食べてる。

 

「いつものプリンとは違う食感だね。ぷるぷるしてない。なめらか。でも、この食感も美味しい。クリームも甘くて、すごくいい……。美味しい……」

「食レポしないで」

 

 私も食べたくなるから。それ一個しかないからね?

 そう思っていたら、ニュクスがスプーンを突き出してきた。

 

「あーん」

「…………。あむ」

 

 ああ……。疲れた体に甘さが染み渡る……。

 

「文も。あーん」

「わたしもいいんですか!? あ、あーん……」

 

 あむ、と食べる文ちゃん。ふにゃりと笑顔になった。文ちゃんもかわいい。

 

「ニュクスさんの優しさが染みます……。大好きなもののはずなのに……」

「ねー……」

 

 独り占めしたい、と思ってもおかしくないのに、こうして分けてくれる。ニュクスは本当に優しいなあ……。その優しさを普段から発揮してほしいなあ……。だめかなあ……。

 もむもむと食べ進めて、クリームプリンを完食。そして、次。

 

「プリンアラモード!」

 

 ニュクスお待ちかねのプリンアラモードだ。

 買ってきてもらったプリンアラモードは、コンビニで手に取ったものよりもちょっとお高いものだ。わざわざどこかの喫茶店で頼んでくれたらしくて、容器は使い捨てだけどとても豪華なものになってる。

 主役のプリンは中央にどんと置かれ、カラメルはたっぷり。ホイップクリームをその上に絞り、さくらんぼをちょこんとのせてくれてる。

 そのプリンの周りにもホイップクリームが絞られていて、さらにチョコソースもかけられてる。さらにさらに、イチゴやバナナ、オレンジ、メロンなどの果物もたっぷりと。おまけとばかりにウエハースも添えられていた。

 うん。これ喫茶店で千円とかするやつじゃない? とても美味しそう。

 

「おー……」

 

 わあ。ニュクスの目がきらきらしてる。とてもわくわくしてる。それだけ楽しみにしていたんだね。これなら、あの強盗に怒った理由も……いやさすがにやりすぎてる気がするけど。

 

「お姉ちゃんお姉ちゃん! どうやって食べるの!?」

「好きなように食べていいんだよ」

「わかった!」

 

 それじゃあ、とさくらんぼを手に取って、ぱくりと食べる。もむもむと口を動かして……。

 

「美味しい!」

「うんうん。さくらんぼは美味しいね」

 

 どうしよう。はしゃぐニュクスがとてもかわいい。

 

「あの、先輩」

「言わないで」

「がりごりって……。種、かみ砕いてませんかあれ……!?」

「言わないで……!」

 

 私は! 何も! 聞こえていない!

 ホイップクリームやプリンを一緒に食べたり果物を食べたりと、ニュクスはプリンアラモードを堪能してる。それはもう、本当に美味しそうに、かわいい笑顔。今回は配信しないけど、写真ぐらいいいかな? ぱしゃりと。文ちゃんも同じことしてる。今のニュクスは純粋にかわいいからね。

 

「文ちゃん。ちょっと写真投稿しておいてよ」

「了解です!」

 

 ささっと文ちゃんが写真を投稿。配信のチャンネルページに投稿できる場所があるのだとか。もちろんみんなからも反応がもらえる仕様。

 

「わあ……。先輩。コメントの付き方がすごいです」

「あははー」

「強盗の件も動画が出回ってるみたいで言及されてます」

「私は何も知りません」

 

 いや、どうせまた次の配信で聞かれると思うけどね。それでも今は触れるつもりはない。

 

「んー……!」

 

 それにしても……美味しそうに食べるなあ……。

 

「あ」

 

 ふと、ニュクスが私たちの視線に気付いたみたいだった。

 

「お姉ちゃんも食べる?」

 

 そう言って、プリンをのせたスプーンを差し出してくる。さすがに今回は遠慮しておいた。

 

「いいよ。しっかり味わって食べるんだよ」

「うん!」

 

 また口に入れて、顔を綻ばせるニュクス。本当に、美味しいものを食べてる時はすごくかわいいね。

 

「ところで先輩。ニュクスさんがプリンに夢中な間に聞きますけど」

「はいはい。なにかな?」

「明日……来るんですよね? 異世界の人」

「来る……だろうねー……」

 

 ニュクスと各地を巡って……。結局どれだけの人が来るかは、私は把握していない。冒険者の人も来るだろうし、ドワーフやエルフも来る。他の種族も。正直、私はちょっと怖い。

 

「怖いと言えば、首相さんの連絡もまだだからそれも怖い」

「あー……。あの後、大騒ぎでしたよ」

「やっぱり?」

「はい」

 

 文ちゃんが言うには、あの後も国会中継は続いていたらしいけど……。それはもう、大騒ぎというか、阿鼻叫喚とも言えるほどの状態だったらしい。取り乱して逃げ出していく議員さんも多かったんだとか。それでいいのか国会議員。

 そんな状態でも首相さんはどうにかこうにか話し合いを続けたみたいだけど……。放送中にニュクスに求める代価は決まらなかったそう。つまり、文ちゃんもまだ分からない。

 

「いつ来るかな……。むしろどんな連絡方法かな……。電話? メール? あ、お腹痛くなってきた……」

「先輩……出すものはトイレでお願いしますね」

「後輩が冷たい……!」

 

 冗談だとは分かっていても、ちょっとこう、心にくるよ! くすくすと笑ってるけど!

 

「どんなことがあっても、わたしは先輩の味方ですから。いつでも頼ってくださいね」

「文ちゃん……!」

「先輩……!」

 

 ひし、と抱き合う私たち。当たり前だけど変な感情はないよ。

 それはそうと。

 

「お姉ちゃん。いつものプリンは?」

「あ、はーい」

 

 ニュクスのお菓子もちゃんと用意してあげないとね。

 

 

 

 この時の私は知らなかった。

 日本以外の多くの国が、合同でニュクスへの討伐隊を編成していることに。

 後になって、いつも後悔してしまう。どうして気づけなかったんだろうと。ニュクスへの討伐隊とか、いつかあるかもとか思っていたはずなのに。

 もしも、少しでもそれに気づけていれば、と思ってしまう。不可能だとは分かっていても、思ってしまうんだ。

 私がそれに気づけてさえいれば……!

 

 あんなにニュクスにあそばれ……、えっと……。悲惨なことにはならなかったはずなのに!

 

 

 

・・・・・あとがき・・・・・

ここまでが第四話となります。

次話からはダンジョンお披露目したり島を勝手に作ったり討伐隊と遊んだり。

第五話の投稿時間は朝頃を予定しています。

 

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