侵略者系魔女の侵略ライフ   作:龍翠

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商店街のニュクス

 

 二層目からはそれぞれのコンセプトに則ったエリアとのことで、魔物が出るのは変わらない。ということで、軽く見るだけにしてダンジョンの受付に戻ってきた。

 ちなみに、軽く見た範囲では……。森とか、海とか、雪原とか。ニュクスが言うには、キャンプ、海水浴、スキー、だそうです。遊ぶことしか考えてないなこの子。

 もっともっと深く行けば難しいダンジョンらしい場所になるらしいけど……。ニュクスも下層の方はわりと適当に作ったらしいから、気が向いたら見に行こうということになった。

 

「ダンジョンから戻ってきたら、ここで魔石の買い取りをしてもらう。値段に関しては、私は関与していない。首相に聞いてほしい」

「ああ、そうなったんだ」

 

 ニュクスが色々とやっていることへの対価。それは、ダンジョンで手に入る魔石の優先購入権。さらには、その魔石をエネルギー……電力に変換するための設備の提供、ということになった。

 ダンジョンに入る人は魔石を集めてお金を稼げる。日本はその魔石を買い取って、クリーンなエネルギーとして利用できる。さらには、それを外国に売ることもできる。そんな感じらしい。

 

『本当にクリーンなエネルギーなん?』

『まさかこんな方法で新しい発電設備が出てくるなんてなあ』

『問題はどれぐらいの発電ができるかですよ』

『多分買い取り価格も発電量に応じたものになるんだろうな』

 

 どれぐらいの値段になるんだろうね。魔石を売るだけで生計を立てられるなら、ここに入り浸る人だけになりそうだけど。命の保証はあるわけだし。

 

「ちなみにだけど、死んだ場合について」

「あ、やっぱり何かあるんだね」

「うん。ダンジョンの挑戦権が失われる」

「え」

「十分間身動きできなくなった後、ここに転移されてくる。その時にしっかりとギルドの人に記録されて、二度とダンジョンに挑戦することはできない。観光なら許可する」

「あー……。まあ、妥当、なのかな……?」

 

 ちょっと厳しい罰かもしれないけど……。本当なら死ぬということを考えれば、かなりいい条件だと思う。

 

『安定してそこで稼ぎたいなら無茶はするなってことだな』

『逆にもう挑戦しないと考えてる時は、一攫千金を狙ってできるまで奥まで……』

 

「当たり前だけど死んだ時点で持ち物は没収。服ぐらいなら許す」

 

『ですよねー!』

『あくまで死なない保証ってだけねw』

 

 うん。これは仕方ないと思う。むしろ死なないようにしてくれてるだけ、かなり気を遣ってくれたなって。ニュクスもちょっぴりドヤ顔だ。私に対して、どう? とにこにこしてる。

 もちろんコメントには否定的な意見……私に対して条件の緩和を促せとかいろいろあるけど、これ以上は求めすぎでしょ。観光なら許してくれるんだし。

 

「ニュクス、偉い! なでなでしてあげよう!」

「わはー!」

 

 ニュクスをぎゅっと抱いてなでなでする。ニュクスはとっても嬉しそうでかわいい。どうだ私の妹はかわいいだろう。

 カインさんたちは何とも言えない表情だけど……。文句があるなら聞くよ? ん?

 

「魔石は売るとして、鉱石とか手に入った場合は?」

「ドワーフのいる鍛冶屋に持っていけば加工してくれる。もちろん有料。強い敵には強い武器がいるから、ちゃんと加工してね。ダンジョン都市から持ち出した場合は処罰する。絶対にだ」

「あ、はい」

 

『ア、ハイ』

『資源として利用は許してくれないってことね』

『魔石だけでも日本にとっては十分、か?』

 

 正直なところ、これはみんなを受け入れてからでないと分からないと思う。どれだけ継続的に入ってくれるかも分からないからね。

 ダンジョンの説明はこんなところで終わり。あとはもう少し細かいところを調整して、それから一般開放。楽しみ、だね。

 

「お姉ちゃん」

「うん」

「とてもがんばった」

「がんばったね」

「プリンを所望する!」

「あはは。いいよ」

 

 これまでも一日一個のプリンは毎日食べていたけど、今日は多めに食べたいってことだね。それじゃあ、ダンジョンの完成祝いということで、喫茶店に行くとしよう。契約上ダンジョン都市から出られないカインさんたちには、また今度お礼をするということで。

 

 

 

 そうして向かった先は、地元の商店街。ニュクスはコンビニでの一件以来、変装とかはしなくなったけど……。ほぼ毎日のように町に来ているからか、わりとみんなに受け入れられるようになった。へんてこ侵略者ムーブをしていないというのも大きいと思う。

 つまり、商店街に来ようものなら。

 

「あら、いらっしゃいニュクス様! メンチカツ揚げたてだよ!」

「わあい! 食べる!」

「ニュクス様ー! 果物はどうだいー!?」

「いるー!」

 

 いつの間にか人気者になっていました。

 

「人って、たくましいですね」

「人というのはね、慣れる生き物なんだよ、文ちゃん」

 

 ぱたぱたとあっちこっちに走っていって何かをもらうニュクス。それはもう嬉しそうに、美味しそうに食べるからか、みんなからかわいがられるようになってしまった。美味しいものは美味しいと素直に、しかもとびきりの笑顔で表現する、というのがみんなに好評らしい。

 最初はニュクスも侵略者ムーブをしてみんなに避けられていたんだけど……。私がやめてみたらと話してから、徐々にこうなった。今ではみんなに餌付けされてしまってる。

 

「ニュクス。喫茶店は?」

「いくー!」

 

 呼んだら戻ってくる。わんこかな? わんこだね!

 

「どうしよう。ニュクスに犬耳と犬尻尾が見える。私、おかしい?」

「大丈夫です、先輩。先輩がおかしいのは前からですから」

「そっか、なら安心だね!」

 

 安心じゃない、というツッコミが聞こえてきそうだけど、私は気にしない。コメントはもう切っちゃったから。

 配信用のドローンはいつも通り浮かんでいるけど、うっとうしいからコメントは切ってしまった。ニュクスのかわいさに勝手に悶えればいいと思う。

 戻ってきたニュクスを連れて、近くの喫茶店へ。こぢんまりとした喫茶店で、カウンター席が五つとテーブル席が二つあるだけのお店だ。

 

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