侵略者系魔女の侵略ライフ   作:龍翠

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侵略者の2回目のお知らせ

 考えてみるけど、あまりいい案は浮かんでこない。というのも、この子がどこまでのことができるかを私自身あまり分かっていないから、というのもある。

 多分、私が想像するようなことならなんでもできるような気がするけど……。遊びだと、正直ちょっと分からない。

 うーん……。

 

「あ、そうだ。ねえ、ニュクス」

「なに?」

「例えば……。限られた場所でのみ、ちょっと強い魔法を使えるとか、身体能力が上がるとか……。できる?」

「できるよ」

 

 できるんだ!? 本当になんでもできるなこの子。

 

「じゃあさ。こう、ゲームみたいなダンジョンとか作らない? せっかくだから、魔法が使えるようにって」

 

 もちろん人が死なないようにとか注意しないといけないことはあるけど、せっかくの魔法だからもっといろいろと使ってみたいと思う人はいると思う。

 そういう人のために、魔法を使えるダンジョンを用意してみる、というのはいいんじゃないかな?

 そう思って提案してみたんだけど、ニュクスの反応は、

 

「ゲーム?」

 

 というものだった。そっか、ゲーム知らないのか。

 

「私も持ってるから、ちょっと遊んでみよう」

 

 というわけで。私の部屋に置いてあるゲームを遊んでみることに。取り出したのは、据え置き機にも携帯ゲームにもなる最新ゲーム。アクションゲームをやってみよう。

 

「わあ、すごい……。映像、だよね。え? 自分で動かしてるの? すごい」

 

 ニュクスはそもそもゲームに大興奮だ。目をきらきらさせながら画面を凝視してる。かわいい。

 私が操るキャラクターをダンジョンの内部へ。洞窟で、モンスターを倒したり、レベルを上げたり……。

 

「こういうのを作れないかなって」

「作れるけど……危ないよ?」

「そこは、ほら。ニュクスの魔法で命の保証とか、できない?」

「できるけど」

 

 できるんだ。

 

「じゃあ、どう?」

「うん……。分かった。じゃあ、まずはどこか土地をもらわないとね」

 

 そう言うと、ニュクスは何か不思議な言葉を唱え始めた。日本語じゃない、というより、地球の言語じゃないと思う。それぐらい不思議な発音だったから。

 そうして、少しすると。私の目の前にニュクスが現れた。

 

「え」

 

 振り返る。ニュクスがきりっとした顔で立ってる。視線を戻すと、やっぱり私の目の前にニュクスがいる。どちらも同じ姿勢だ。

 そこまで考えて、もしかして、と思い至った。これ、一番最初の時に、ニュクスがみんなにしたことと同じやつでは、と。つまり、みんなこのニュクスを見ている、とか?

 

「久しぶりだ、人類諸君」

 

 そんな声。さっきまでのあのかわいい話し方じゃなくて、すっごく偉そうな話し方。思わず小さく噴き出してしまったら、ニュクスが視線だけで睨んできた。ごめんて。

 

「私は侵略者である。私は管理者である。私は、上位存在である」

 

 そこで言葉を句切って、ニュクスが続ける。

 

「魔法の使い心地はどうだろうか。変化を期待して諸君に与えたものではあるが……。失望した。この世界は、何も変わっていないと」

「そりゃそうだ」

 

 思わず小声で言ってしまう。また睨まれた。ごめんて。

 

「故に、私は次の手段を取ることにした」

 

 そこで、少し黙る。もしかしたら、ニュクスはみんなの反応を見ているのかも。最初の時に私の声を拾ったみたいに、誰かが声を上げるのを待っているのかも。

 まあ、何もなかったみたいだけど。

 

「迷宮。ダンジョン。そう呼ばれるものを、この世界に作ることにした」

 

 おお!? ざわざわとした声が聞こえてきた! ただ、どれも小さな声で、戸惑う声がほとんど。誰かがニュクスに何か言うかもと思ったけど、直接ニュクスに話しかける人はまだいない。

 多分、ニュクスはそれを期待してるんだろうけど……。心なしか残念そうに見えるし。

 

「場所は、日本だ。ああ、安心するといい。私は上位者ではあるが、独裁者ではない。誰かの住む場所を奪うようなことはしないとも」

 

 そこでまた一拍。うん、今気付いた。これ、反応を期待しているのもあると思うけど、多分セリフを考えているのもあると思う。かなりキャラクターを作っているみたいだし。

 

「土地をもらい受けたい。日本の王よ。私の声が聞こえるなら反応が欲しい」

 

 無音。無言。反応なし。ニュクスがかなり困惑してるのが何となく分かった。顔には出てないけど。さすがにちょっと助け船を出そう。

 

「ニュクス」

「む……。少し待て。なに? お姉ちゃん」

 

 目の前のニュクスが動きを止めて、本物のニュクスがこっちにとてとて歩いてくる。さっきまで尊大な態度だったのに、今はとってもかわいらしい。いやそれは今はよくて。

 

「あのね、ニュクス。日本に王様はいないんだよ」

「…………。何をバカなこと言ってるの? 国に王様がいないなんてことある?」

 

 もしかして……。ニュクスは民主主義とか、知らない?

 

「えっと……。内閣総理大臣とか、そういうのはいるけど、自由にいろいろ決められるわけじゃないの。天皇とかもいるけど、今は象徴ぐらいの意味合いのはずだし……」

「どうやって国を動かしてるの?」

「あー、えー……。国会、だっけ? そういうので、いろいろ決めて……。いや実際の詳しい様子とかは知らないけど……。そういう感じ?」

「ふうん……。なかなか複雑だね。どうしようかな……」

 

 そんなことを呟きながら、ニュクスは私から少し離れて、またきりっとした顔になった。キャラクター作りが堂に入ってる。ずっとやってきたことなのかも。

 

「協力者から情報を得た。日本には王という存在はないと。故に」

 

 おや? 故に?

 

「山を一つもらい受ける。所有者はこちらで調べさせてもらう」

 

 わあ。ちょっと独裁者っぽくなってる。いやでもこれ、非難がすごくありそうだけど……。気にしないつもりなのかも。言わせないつもり、の方かもしれないけど。

 いや、なんとなく、殺気みたいなものを感じるんだよね。目の前のニュクスの映像、と言えばいいのかな。それを見てると、寒気を覚える。本能に訴えられかけてるというか……。

 逆らったら命はない。そんな直感だ。この子が実際にそれをするとは思えないけど。

 

「あなたは何を考えている! 日本を支配するつもりか!?」

 

 そんな声が唐突に聞こえてきた。ちょっと驚いたかも。この威圧感の中で発言するなんて。あとこの声、聞き覚えがある。テレビで何度も聞いた男の人の声。確か、首相の声だ。

 

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