うん。これ、当たり前なんだよね。だって、日本だけじゃなくて全世界の人にニュクスの姿が見えていたらしいから。しかも今回は首相さんの発言まで入っていたはずだから……。まあ、大騒ぎになるよ。
でもニュクスの姿は記録媒体とかには残らないみたいで、ニュクスのイラストが描かれていた。なぜか顔を隠したフード姿だから不審者にしか見えないけど。
『いやいやまさか、またあの侵略者が現れるとは思いませんでした』
コメンテーターって言えばいいのかな? 今はニュクスのことでの会話中。ニュクスも自分のことを話していると分かったみたいで、興味深そうに見つめてる。なおポテチは減り続けています。
ただこれ、私はちょっとひやひやしてる。だって、もし変なことをテレビの人が言っちゃったら……。ニュクス、怒らない? 大丈夫? マスコミが原因で日本、どころか地球滅亡は笑い話にもならないよ?
『以前は不思議な魔法とやらを押しつけてきましたね。そして今回は、なんとダンジョンを作るとか。まったく、あれは何を考えているのやら……』
なんだか偉そうなおじいさんの発言。どこぞの大学のなんとか教授。教授さんだね。何の専門なのやら。
『ダンジョンとはそもそも何なのでしょうか?』
女性の司会さんが言って、教授さんはさあ、とばかりに両手を上げた。
『わからんよ。あれの言葉を信じるなら、地球外生命体だろう? ダンジョンとやらが何を指しているのか、理解できん。ゲームや娯楽小説で言うなら、洞窟のようなものだと思うがね』
『それだとして、何のために作るのでしょう』
『侵略者に聞きたまえ』
そりゃそうだ。ニュクスの考えなんて、私にもまだ全然分からないのだから。
『もっとも……。ろくなことにはならないだろう。混乱をもたらす存在と言えるだろうね、あれは』
『それは間違いないでしょうね』
それは……。ちょっとだけ、嫌だった。確かにニュクスは魔法をみんなに与えたりととんでもないことをしているけど、決して悪い子じゃない。
だって、私が犯罪に繋がるとか説明したら、魔法を弱いものにしてくれたりしたから。
もっとも。その結果、私はいろいろといじめの対象になっちゃったりしちゃったけど。
でも。ともかく。ニュクスはみんなが思ってるほど、悪い子じゃない……と、思う。多分。
「か、勝手なこと言ってるね」
ニュクスにそう言ってみると、ニュクスは肩をすくめただけだった。
「仕方ないよ。多分事実だから。私は、侵略者だからね。好き勝手やるよ」
「そっか」
この子はこういう子、だね。私ももう何も言うまい。テレビでは好き放題言われてるけど、きっとニュクスは気にしないだろうし。
テレビでは今も、侵略者の目的は、とかいろいろ話してるけど……。ただ遊びたいだけとは、間違いなく思わないだろうね。
それはいい。ニュクスも誰かに知ってもらおうとは思ってないみたいだし。
でも……。変な誤解をされたままになるのは、ちょっと嫌だな。だって、このままだと軍隊とか編成されて、大変なことになりそうだから。ニュクスを抹殺するために、とか。
大変なことになるのは軍隊だろうけど。この子は銃火器とかでどうにかなるような子じゃないと思う。
「どうしようかな……」
ニュクスに相談しても……。きっと、興味がない、と言われると思う。ダンジョンを作ってから考える、とか言いそう。でもそれだと遅いような気もする。きっと今も、対策会議とか開かれてるよ。それぐらい、侵略者の注目度は高いから。
どうしようかな。もうちょっと、ニュクスのことをみんなに知ってもらいたい。
「お姉ちゃん。ダンジョンを作るのは明日にするね。お姉ちゃんも、夜は寝ないといけないでしょ?」
「ああ、うん。ありがと。……って、待って。その言い方だと、ニュクスは寝なくてもいいってこと?」
「問題ないよ」
「マジかよ」
「マジです」
それは……。うん。羨ましいような、そうでもないような……。
「お布団、あったかくて、ぬくぬくで、気持ちいいのに……」
「…………。あったか……ぬくぬく……」
「こう、柔らかいお布団に包まれて目を閉じるとね……。心がふにゃってなるんだよ……」
「ふにゃ……」
なんだこの抽象的な表現。自分でも思うけど、私の語彙力だとこれが限界なんだ。バカだと笑えちくしょう。
「その……」
ニュクスがじっと私を見て、言った。
「寝れないわけじゃない、から……。結界とかは使っておくけど、寝れるよ?」
「ほほう。じゃあ、お布団で寝ちゃう?」
「う、うん……!」
こくこく頷くニュクス。かわいい。とりあえず抱きしめておこう。ぎゅー。
「お姉ちゃん!?」
「あははー。ごめんね。それじゃあ、晩ご飯の用をしよう」
「う、うん!」
一人で起きておくなんて、それこそつまらないからね。お布団で寝るのが一番だ。
いや……。別に私が一緒に寝たいわけじゃない。本当だよ。私、嘘つかない。うへへ……。