ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

100 / 151
えー。

この度100話を迎えさせていただきました。
本当にありがとうございます。

進行が遅いというのもあるかもしれませんが(現在原作5巻冒頭の時系列)
これからもよろしくお願いいたします。


それから……

 番 外 編 も ヨ ロ シ ク !

……って、これはマズかったかなぁ……

以下余談

前回の事と前情報と平坦レベリングから乙で進めてますが……

あまりにもドロップがしょぼい。

秋津洲、伊26いずれもE1堀してますが影も形もございませぬ。
やっぱ甲で……いやいや期間的に甲は辛いし
もう乙突破しちゃったからどうしようもない。

……Sは余裕なんですけどねぇ。
あ、因みに今E3丙です。今度はいけるかなぁ……無理かなぁ……

以上余談


Soul63. 「赤」と「紅」、そして「紅紫」

俺は宮本成二。

クラスメート、兵藤一誠のデートに不審なものを感じた俺は

後をつけるが、その先で堕天使レイナーレに瀕死の重傷を負わされる。

目覚めた俺は、リアス・グレモリーに歩藤誠二と言う名を与えられ

霊体になっていることを知ることになる。

 

戦いは着実にこちらのペースで進んでいる。

既に姫島先輩、塔城さん、ギャスパーの3人を下した。

 

残るは4人、頭数の上では俺が勝っているが、果たしてどうなる?

 

――ゲーム終了まで、あと20分――

 

――リアス・グレモリー様の「僧侶(ビショップ)」、1名リタイア。

 

そのアナウンスと同時に、俺の身体は宙に舞った。

逆上したイッセーが、猛攻を仕掛けてきたのだ。

反応しきれなかったので、受け身も取れなければ吸収半減も出来ていない。

 

最悪だ。直撃を喰らった。

 

しかも止めとばかりにドラゴンショットの狙いをつけているではないか。

よもやこれまでか?

いや、そんなことがあるはずが無かろう。あってたまるか。

 

EFFECT-HEALING!!

 

すぐさま受けたダメージを回復し、回避態勢をとる。

痛みで気を失いそうだったが、ここで気絶したら何もかもが終わりだ。

それだけは何としても避けなければならない。

 

「ドラゴン……ショットォォォォォォォォッ!!」

 

案の定、ドラゴンショットが飛んできた。

回復していなければ、回避し損ねていただろう。

と言うか、回避態勢を取ったのに掠めている。

掠めただけで肌が焼ける感触を受ける。直撃なんか喰らったら……想像したくない。

 

だが、ここで大技が来たと言う事は、だ。

 

「あ、あんにゃろう……アーシアのありがたみさえも……ぜぇっ、ぜぇっ……」

 

やはり。息が上がっている。畳みかけるなら今だが……

ドライグの入れ知恵か。余剰エネルギーをバリア代わりにしてやがるな。

肩で息をしているイッセーの周囲に、赤いオーラが弾けている。

下手に攻撃を仕掛ければ、オーラによる反撃を受けるだろう。

 

ではどう仕掛ける? 答えは……

 

DIVIDE!!

BOOST!!

DOUBLE-DRAW!!

 

FEELER-GUN!!

 

SOLID-REMOTE GUN!!

 

さっき姫島先輩との戦いで会得したカードだ。

これを使い、遠距離から攻撃を仕掛ける。

INVISIBLEは既に撃ったため、もう札切れだ。

こいつで牽制しながら、後は……

 

――ああ。「ギャスパーを仕留めた俺」に援護射撃をさせて

  「今こっちに向かっている俺」と連携して攻撃する。

 

流石は俺、と虚しい自画自賛をする。

ギャスパーを倒した俺に、弾を再モーフィングしてもらい狙撃してもらう。

銀玉はヴァンパイアの性質を持ったギャスパーには有効でも

イッセーにはまるで効果が無い。龍の牙みたいなものがあればいいんだが

いくら俺でも、未知の物質にモーフィングさせるのは難しい。

ならば、劣化ウラン弾……はさすがにやめておこう。後遺症レベルの話じゃない。

徹甲弾あたりなら、何とかモーフィング出来るかもしれない。

特効材質も調べれば作れる……か? わからないが。

 

――よし、ならば材質検索は俺と狙撃担当で引き受けた。

  お前たち2人でイッセーを牽制してくれ。

 

その言葉を合図に、俺は触手砲を展開、長距離からのイッセーへの射撃を試みる。

攻撃自体はオーラに阻まれているせいか、あまり効果が無い。ならば……

 

「ぐあっ!? くっ、こいつら……このむかつく攻め方はセージらしいな!」

 

『気を付けろ相棒、この触手ども、こっちの関節や鎧の隙間を狙っているぞ!』

 

距離を取っている分、狙いをつけるのに集中するのは容易い。

相手を引き付けるには、攻撃に脅威性が無ければだめだ。

無駄な攻撃を繰り返しても、それは相手に反撃のチャンスを与えてしまう。

この触手砲、威力がべらぼうに高いわけではない。寧ろ低い部類……と言うか普通だ。

イッセーやグレモリー部長の火力がアホみたいに高いので相対的に低く見えるだけ……

だと、思いたい。どうでもいいけど。

 

で、そんな武器でどう攻撃するか。答えは簡単。急所を狙い撃つ。

射撃デバイスの遠隔操作を行っているため、急所を狙い撃つのは簡単だ。

操作にさえ集中できれば。

そして、この射撃デバイス――触手砲のもう一つの利点がある。それは――

 

『相棒! こいつらをいちいち相手にしても仕方がないぞ!』

 

「わーってるよ! けどよ、こうもねちねち攻められたら……」

 

目に見える攻撃対象と言う事で、完全に気を引くことに成功している。

勿論、ここに至るまでに数本潰されてはいるのだが。

幸いなことに、生成は元来のFEELERと同じ――すなわち、複数出せる。

なのである程度は潰されても替えが効くのだ。しかも小出しにしても

攻撃は360度どの方位からも可能なので、寧ろ大量に出す必要が無い。

 

向こうが本体の俺を攻撃しようにも、距離がありすぎる。

ドラゴンショットも、さっき使ったおかげで再チャージにはしばらくかかりそうだ。

 

「くそっ、こうなったら!」

 

GUN!!

 

おっと。などとたかをくくっていたら攻撃が届かないと見て

本体の俺を飛び道具で狙ってきたか。

だがイッセー。お前、射撃は得意だったか?

俺の記憶では苦手だったはずだが、四の五の言っていられなくなったか?

まあ、そうにしてもだ。

 

――攻撃なんかする暇があるのか?

 

「ぐああああっ!」

 

『相棒! ちっ、このままじゃまずいな……』

 

攻撃のために狙いを済ませたのが仇となり、こっちの攻撃に対して

イッセーは無防備な姿をさらけ出していたのだ。

例え赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)を纏っていようとも、鎧の隙間や関節部分は弱いものだ。

俺はさっきからそういう部分を重点的に狙っていた。

このまま攻め続ければ、連携を取る前に終わらせられるのではないか、と思えるくらいだ。

しかし……どうも引っ掛かる。

 

――あの赤龍帝が、兵藤一誠がこの程度で終わるか?

 

その俺の懸念は、突如として入ってきたレーダー担当の俺の通信によって

思いもよらぬ形で当たることとなった。

 

――気を付けろ! 相手の「(キング)」――グレモリー部長が動いたぞ!

  真っ直ぐそっちに向かっている! 警戒が必要だ!

 

動いたのはそっちか! 俺は急いで新校舎から来た俺と合流し

各個撃破されないような態勢を整える。

イッセーの牽制には苦労しないが、相手が2人となれば話が大きく変わる。

しかも赤龍帝(ウェルシュ・ドラゴン)に紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)のタッグだ。

イッセーのボルテージの上がり具合も半端では無かろう。

 

……つまり、こっちにとっては最悪の取り合わせだ。

 

『部長、お待ち下さい! セージ君は僕が倒します! 部長自ら前線に出るのは……』

 

『祐斗。私はもうこれ以上私の下僕が倒されるのを見ていられないわ。

 朱乃、小猫、ギャスパー、そしてイッセー。皆セージ1人に倒されようとしている。

 祐斗、すぐにこっちに来なさい。総攻撃をかけるわ』

 

まあ、それが妥当な判断……なのか?

こっちは1人倒されたら終わり。向こうもグレモリー部長が倒されたら終わり。

のこのこ前線に来ると言うのは、そう言う事だ。

それに配下が倒された程度で感情的になる王って……どうなんだ。

指揮を執る立場としては、危なっかしい事この上ない。

ここは一つ、やってみるか……。

 

「おやおや、戦況が不利になったと見るや捨て鉢ですか。

 そんなのでよく『王』を、為政者をやってられますな」

 

「出合頭に随分な挨拶ね、セージ。

 今回の試合で、私はあなたの力に感心したし、あなたの人格に失望もしたわ。

 ……これ以上、私を失望させないで。せっかくの力も、はぐれになっては台無しよ」

 

「よく仰る。あなたが欲しいのは俺の『力』だけでしょうに。

 そんな輩に俺の力を、フリッケンの力をくれてやるわけにはいきませんな」

 

失望するほど俺を見ていないくせに。

力にしか、興味を示していないくせに。

力を捨てる代わりに、人間に戻ることが出来肉体も元に戻る、と言う取引があったとしよう。

霊体になり、事情を把握した直後の俺ならその提案を飲んだかもしれない。

 

……でも今はその提案も飲めない。俺の力も、俺だけのものではなくなったのだ。

もしこんな奴に俺の力が渡り、それをどう扱われるか。

それがわからない以上、力を渡すわけにはいかない。

それは力を持つ者の責任だ。大いなる力には、大いなる責任が伴う。

それは誰の言葉だったか忘れたが、全くもってその通りだとは思う。

赤龍帝にせよ、滅びの力にせよ。その責任を、お前たちは持っているのか?

その責任すら持っていないとするのならば。

否、持っていたとしてもだ。俺の、紫紅帝龍(ジェノシス・ドラゴン)の力を渡すわけにはいかない。

お前たちに、この力は相応しくない。

 

俺が果たすべき責務、お前らが肩代わりできるとでもいうのか!

俺はまだ、この力を白金龍から与えられた意味を聞かされていないんだぞ!

身体を取り戻し、人間に戻るのも大事だが。

それ以上に、俺にはとんでもない借金が出来てしまったんだ。

白金龍への返済は、俺がやらなければならない! お前達は下がっていろ!

 

「セージ! さっきからわけのわからねぇ御託を!

 俺達は部長の『兵士(ポーン)』なんだ! それだけで理由としては十分だろうが!」

 

「イッセー、知っているか。『王』の死因には『自国の兵士に殺害される』も多くあるそうだ。

 そもそも俺はお前と違って『兵士』になることを許諾したわけじゃない。

 成り行きでこんな力は手にしたが、それとこれとは別問題だ。

 

 ……お前にも分かりやすく言ってやると

 『俺の体――すなわち、力だけを目当てにするんじゃない。この阿婆擦れ』の一言に尽きるな」

 

「なっ……わ、私がそんなふしだらな女だと言いたいの!?」

 

……イッセーから聞いているぞ。裸で布団に潜り込んだそうだな。

寝るときにそういう癖があるんならそれはまあ置いておくにしてもだ。

俺がシャワーを浴びているときにわかっていて乗り込んできたのも居たよな。どこの誰だ?

さる貴族の三男坊との結婚が嫌で、知り合い程度の男と関係を持とうとしたよな。どこの誰だ?

多分、俺は今「言いたい」って顔をしていると思う。

イッセーも、俺とは違う意味で肯定しているような複雑な顔をしていた。

 

「そ、そうだぞセージ! てめぇ、まるで部長が変態みたいな言い方しやがって!

 そりゃあいきなり人が寝てる横に全裸で来たり、シャワー浴びてるところに入って来たり

 そういう嬉しいハプニングはあったりするけどさ! それだけじゃねぇか!」

 

「……イッセー。それフォローになってないわ……そんな気がするの」

 

お前が言うな、変態三人組筆頭格。

と、ここで俺も少し悪い考えが頭をもたげてきた。

「学園の二大お姉様」の片割れとして有名なグレモリー部長。

その部長が実は……変態三人衆と双璧を成すほどの変態だった、と。

こういう話は、リー辺りが食いつきそうだ。

流石に揚げ足取りや脚色が酷いので、言いふらす気は今のところはないが。今のところは。

グレモリー部長も頭を抱えているようだし、これを言いふらすのはやめておこう。良心が咎める。

 

「……とまあ、そんなわけだ。『俺』は『俺』でありたい。

 その『俺』は決して『リアス・グレモリーの操り人形』でも無ければ

 『兵藤一誠に憑いた背後霊』でも無い。その結果、人でなくなったとしても

 『俺』は『宮本成二』と言う個の存在だ!」

 

そりゃあ、願わくば人間に戻りたい。

だが今世間を取り巻いている状況は、俺を「ただの人間」にはしてくれないと思う。

「ただの人間」に戻るのはまだかなり先の話になりそうだが。

それでも、その前にこの楔だけは解き放ちたい。

だからこそ、俺は兵藤一誠と、リアス・グレモリーと戦う。

 

「『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』をその身に宿して、そんな真似が出来るわけがないわ。

 セージ、お願いよ。今までの発言を取り消して、イッセーと共に私の『兵士』として……」

 

「……くどいぞ、リアス・グレモリー!!」

 

触手砲の一部を、グレモリー部長……いやリアス・グレモリーに向ける。

当然滅びの魔力で相殺されるが、そんなのは織り込み済みだ。

今の一撃は、俺の意思表示だ。

 

「『王』がのこのこ前線にやってくるとは、よほど命知らずと見える。

 フェニックス戦での反省点がまるで生きてないな。

 そんなのでよくレーティングゲームを制するなどと大口を叩けたものだ。

 自身が倒れれば、全てが終わると言う事の意味をきちんと理解しているのか?」

 

「そうさせねぇために、俺がいるんだっ!!」

 

イッセーが叫びながら飛び掛かってくる、がこれも予測の範囲内。

触手砲で頭を、眼を狙い撃ち攻撃を怯ませる。

どんなに強力な鎧だろうと、五感を直接攻撃すれば脆いものだ。

 

「俺が……なんだって?」

 

「て、てめぇ……ちったあ真面目に……」

 

イッセーの言わんとしたことを理解した俺は、怒りに任せて

イッセーをリアス・グレモリーの元に蹴り飛ばす。

真面目にやれ、だ? これのどこが真面目にやってないように見えるんだ。

俺はかなり真剣だ。少なくとも、今出せる本気は出しているつもりだ。

真面目に遊べ、っていうならそりゃあ悪かった。だがそんな気はないので謝らない。

そして、恐らく言いたかったであろう「真面目に戦え」。それはつまり――

 

――俺がこの状況を、遊び半分のおふざけで招いているのだ、と。

 

「……兵藤一誠。それは俺に対する侮辱か。

 今までは元浜の顔を立てていたし、お前にもいいところはあると思っていた。

 だが……今その言葉は、俺に対して言っちゃならなかった。

 その言葉の意味するところは、俺がオカルト研究部に

 そしてお前たちにとって不要な存在だと言う意味合いも込めている。

 ……そう、俺に解釈させてしまうには十分すぎる失言だ!!」

 

触手砲の触手の部分でイッセーを巻き取り、リアス・グレモリーに向けて叩きつける。

要は、イッセーをハンマーにして攻撃している。

これならば、向こうも迂闊に滅びの力は使えない。

厄介な力は、使わせないに限るからな。

 

ふざけるな。俺だって何が悲しくて

一時は仲間と認めようと思った相手に刃を向けなければならないのだ!

何が嬉しくて、一時は信頼した相手を地に伏せるような真似をしなければならないのだ!

ならばやるな、と言うわけにもいかないのだ!

 

もう、俺も後には引けない。残り2か月。

それが過ぎれば、俺の身体は死ぬ。そうなれば、俺はただの幽霊となり

最悪、消えるだろう。その前に、そうなる前に何とか方法を探すんだ!

そしてそれは、お前達とこの夏を共に過ごす以上に重要な問題だ!

 

……俺は、最初からお前達と同じ時間を生きていないのかもしれない。

  言うなれば、俺は人間でも、悪魔でもない。そんな存在かもしれない。

  俺は……俺はっ!!

 

「ちがっ……俺はそういう意味で言ったつもりは……!!」

 

「取り繕うな。薄々感づいてはいたんだ。リアス・グレモリーが見ているのは俺ではない事を。

 俺がそこにいるのは、あくまでもイレギュラーであると言う事を。

 そして、俺がいるべき場所はそこではないと言う事を!」

 

そうだ。元来の宮本成二の人生において、リアス・グレモリーなど別の世界の存在だったのだ。

噂には聞いているが、広い駒王学園にそういう輩がいること自体はおかしいことでは無い。

……故に「どうでもいい」存在だったのだ。

 

ところが今は何だ。その「どうでもいい」がここまで干渉してくるとは。

俺からしたら、鬱陶しい事この上ない。その上手違いで改造手術まで施されている。

その直接の原因はまた別の奴だが、それを引き起こしたのは……

 

「リアス・グレモリー。そういえばあんたにも借りがあった。

 言っておくが、いつぞやと違って俺は正気だ。

 いい機会だから、ここでその借りを返させてもらうとするぞ!」

 

EFFECT-EXPLOSION MAGIC!!

 

「くっ……! やめなさい、セージ!!」

 

爆風で視界を塞ぎ、その隙に一撃を叩き込もうと突撃を試みる。

土煙の中で混乱に乗じて仕留めてやるつもりだったが

その攻撃は「兵士」に妨害されてしまう。

 

「ぶ、部長を……部長をやらせるものかよ、セージ!!」

 

「しつこいぞ、イッセー! まずはお前から叩き潰してやる!!」

 

DIVIDE!!

BOOST!!

DOUBLE-DRAW!!

 

STRENGTH-HIGHSPEED!!

 

EFFECT-CHARGEUP!!

 

「そうかい、だったら! 『昇格(プロモーション)』、『女王(クイーン)』!!」

 

イッセーは昇格を、俺は能力の底上げをそれぞれ行い

殴り合いに発展する。と言うか、ここまでくると小細工の一切が意味を成さない。

 

『相棒、下手に倍加すれば奴に吸い取られるぞ!

 何せ、白いのの力まで使いやがるからな!』

 

「ああ、だからこうして素でなぐってるんじゃねぇか!」

 

『今レーダーのお前から連絡があった、リアス・グレモリーは増援のお前が

 足止めをかけている。お前はそいつに集中しろ!』

 

「お前風に言えば大体わかった! 主義じゃないが、力でねじ伏せる!」

 

実質、今の強化は「女王」への昇格とほぼ同義だ。

勿論、ここは敵陣ではなく自陣なので昇格の条件を満たしていない。

よって、PROMOTIONのカードは使えない。となれば強化方法は限られる。

相手は当然のように「女王」に昇格、その力を遺憾なく発揮している――はずなのだが。

 

――この状態でドラゴンショットを撃たれるのだけは避けたいな。

 

こっちは魔力面の強化を一切していない、出来ないのに対し

向こうは「僧侶(ビショップ)」の性質も加わっていることになるのだ。

そこに魔力の塊であるドラゴンショットが加われば……

 

……吸収半減したとしても、余剰でこっちがやられる。

 

展開していた触手砲も、昇格の際に全滅させられている。

そろそろ使えるカードが少なくなってきたな……

雷撃も、今のイッセー相手に通じるかどうか怪しい。

 

「イッセー! 避けなさい!!」

 

ふと、横を見るとグレモリー部長が滅びの魔力を展開している。

コカビエルを屠ったときと規模にして大体同じくらい。

半減吸収倍加のコンボを決めるにしても、相手が悪い。

それにしても形振り構わないってわけか、イッセーごと狙い撃ってるようなもんだぞ、これは!

 

「いや、それなら!」

 

「なっ、しまっ……!!」

 

隙を突かれた。イッセーに動きを封じられたのだ。

このままじゃ、滅びの魔力をまともに浴びてしまう。

く、くそっ……このままじゃ……!!

 

「何をしているのイッセー! そこにいたら巻き込まれるわよ!」

 

「部長、今です! 俺なら赤龍帝の鎧があるから大丈夫っす!

 ここでセージに、このバカ野郎にでっかいお灸を据えてやってください!!」

 

……ま、やっぱ狙いはそれだわな。

こうなったら……あえて狙いに乗ってやるか。

 

まあ、しいて言うなら……悪い、祐斗。また約束破りそうだ。

こんなところでおちおち決闘なんかしてられない、ってのもあるんだろうけどな。

 

「セージ君! 部長!」

 

噂をすれば、か。俺は見ての通りのざまだ。

さて、この状況どう切り抜けたものか。

 

「来たわね、祐斗。けれどもうすぐ決着がつくわ。私達の勝ちと言う結果でね!」

 

勝利宣言と共に滅びの魔力がこちらに向けて放たれる。

おいおい、まだ俺は生きているし、分身も当たり前だが健在だぞ。

それで勝利宣言とは、言ってくれるじゃないか!

 

……こうなったら、ぶっつけ本番だがこの技を試してみるか!

 

RELOAD!!

 

EFFECT-EXPLOSION MAGIC!!

 

「ぐわっ!?」

 

「イッセー!?」

 

――――

 

――俺よ、いくら切り抜けるためとはいえぶっつけ本番は無いだろう。

 

以前のように龍帝の義肢(イミテーション・ギア)を用いなければリロードできなかった旧バージョンの

記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)ならばともかく、白金龍(プラチナム・ドラゴン)にバージョンアップしてもらった現行版は

単独でのリロードが可能となっている。そこで俺はカードをリロードし

隙をついて爆発のカードを引き、発動させる。俺を起点として。

 

つまり、自爆だ。当然そのまま使えば死ぬほど痛い。

そこで、俺は分身を1体犠牲にすることでダメージを回避することにした。

そう……「爆発と同時に分身を消去した」のだ。

 

それと同時に、各地の分身も吹っ飛んだふりをしながら物陰に隠れる。

まあ、祐斗以外誰も見てないだろうけれど。念のためだ。

 

分身は任意に消去できるし、ルール上6体以上の分身は生成できない。

要は6体を超さなければいいのだ。

今爆発に乗じて1体一時消去しているので5体。もう一度生成すれば振り出しだ。

 

『なかなか思い切った真似をしたな。よし、ちょっとくすぐったいぞ』

 

DIVIDE!!

BOOST!!

 

今までに受けたダメージこそ蓄積しているものの、今の爆発のダメージは無効化している。

爆発で生じた煙に乗じて、何食わぬ顔で元のフィールドに戻っていった。

 

――――

 

「ぐ……っ、セージの奴まさか自爆するなんて……」

 

「そこまで私の手にかかるのが嫌だったのかしら。イッセー、怪我はない?」

 

「赤龍帝の鎧のお陰で何とか。けれど、思ったより強力だったせいか

 思うように倍加がかけられないっす」

 

物陰から様子を見ている。どうやら、アナウンスが無いにもかかわらず

勝ったつもりでいるようだ。あれ? なんだかデジャヴを感じるな……まあいいが。

祐斗もそれは気になっていたのか、口に出しているようだ

 

「部長。勝利アナウンスが流れないっすね」

 

「本当ね……他の分身も居なくなっている、つまり自爆でセージは倒れたっていうのに」

 

「……本当にそうなんだろうか。確かにセージ君は後がないと言っていたけれど

 こんな自暴自棄な行動に出るようなタイプには、僕には思えないんだけど……」

 

息を潜めて見ていると、イッセーとグレモリー部長がもう勝った気でいるのに対し

祐斗は現状に疑問を抱いている。まあ、祐斗相手にならバレても痛くもかゆくもないが。

別に祐斗を欺くつもりなんか無いわけだし。

 

「祐斗。私にこうしてゲームともいえない戦いを挑んできている時点で

 十分セージは自暴自棄起こしているわよ。けれどこうして私が勝ったわけだし

 もうセージにも文句は言わせないわ」

 

「ああ! この夏休みで俺が眷属の、下僕としての心得をみっちり叩き込んでやる!

 部長に仕えるって事は、俺にとっちゃご褒美なんだ!

 俺はただ、セージにもこのありがたみを分からせてやろうと思ってだな……」

 

「……イッセー君らしいね。けれど、もしセージ君が聞いていたら怒らないかな。

 彼、まだ人間に戻りたがっているみたいだし」

 

妙なやり取りを始めた2人を、祐斗も呆れながら見ている。

やはり、祐斗は俺が生きていると思っているな。実際生きているけど。

それにしても、いい加減勝利判定が出ていない、つまりまだ勝負がついていないことに気づけよ。

このまま時間まで待ってやろうかとも思ったが、流石にそれは祐斗との兼ね合いでバレそうだし

祐斗との約束を反故にするのもよくない。あの二人は……ぶっちゃけ、今ので底が少し見えた。

 

さて、始終俺のペースだった気がするが……

ここからも、俺のステージでやらせてもらうとするか。

 

――勝利の美酒に酔っているところ悪いが、まだ戦いは終わっていないぞ。

 

――そもそも、何故あれだけで俺が終わったと思えるのか、それがわからない。

 

――祐斗。こんな形で悪いが、ここからバトルロイヤル形式で始めようか。

 

息を潜めていた3人の俺が、こぞって姿を現す。

これで3対3。実質は3対1とは言え、この戦いはこれで分からなくなった。

 

「セージ!? 分身の生成はルール違反じゃ……」

 

――7体以上は確認されておりません。よって、ルール適用内となります。

 

「そう言う事だ。あの爆発の瞬間、俺は一時的に分身を消去した。

 ちょっと考えればわかるだろう。生成が出来るのなら、消去もできる、と。

 そうでなかったら、今頃無尽蔵に分身が溢れかえっているぞ」

 

「そ、そんなんありかよ!? それじゃ、自爆し放題ってことじゃないか!」

 

「やろうと思えばできる。やってほしいならリクエストにこたえるが……

 ま、それは今度にさせてくれ。こう見えて余裕がないんだ」

 

はったりが無いと言えば嘘になるが、グレイフィアさんのアナウンスの尻馬に乗る形で

健在っぷりをアピールしている。紫紅帝の龍魂の使用に伴うエネルギーはしっかり減っている。

これ以上はあまり勝負を長引かせたくない。バトルロイヤル方式もそこからだ。

混戦ならば、グレモリー部長は滅びの魔力を使いづらくなるし、イッセーだって

ドラゴンショットなんて広範囲攻撃は出来なくなる。祐斗対策は何も考えて無かったが

こっちは元々ガチンコ勝負するつもりだったから、まあいい。

バトルロイヤルで集中できなくなるって弊害程度か。

 

「こ、こうなったらアーシアを呼んで総力戦で……」

 

「部長。バトルロイヤルにアーシアさんは圧倒的に不利です。

 それに下手をすれば、セージ君の分身全員がここに集まりかねません。

 今の内に、勝負を決めたほうがいいかもしれません」

 

「木場の言うとおりだな、これから激しいバトルになるのにアーシアは呼べねぇよ。

 セージ。てめぇの残りの分身が来ないうちに一気に片付けてやるぜ」

 

「いいだろう。俺の目的のために、お前達にはここで斃れてもらう。

 残り時間も半分を切ったんだ。早いところ俺を倒した方がいいぞ。

 勿論……倒せれば、の話だがな!!」

 

敢えて挑発する態度は崩さない。

祐斗はともかく、他の二人――特にグレモリー部長さえ倒せば俺は勝つ。

勿論、祐斗には少々悪い結果になるかもしれないが。

それに、3対3とはいってもこっちはダメージを共有している。

長引かせるのは不利だ。一気に決めたい。

 

最後の戦いを前にして、俺の闘志はクライマックスを迎えている。

尤も、最初からクライマックスっちゃクライマックスだったんだが。

しかし、それでも気づけなかった。

 

――グレモリー部長の懐にある、カプセルが怪しいオーラを発していたことに。




いや、そりゃ3人も眷属やられたら黙ってるわけないよね。
おかげで原作最強タッグと相対する羽目になってしまい
書いてる途中ではイッセーに羽交い絞めにされた時点で大ピンチでした。
セージも負けじと今までの中でも最大級の毒舌を発揮。
ヒル……リー、すなわちマスゴミに売れる程度のネタを持ち出してますから。

しかしぶっつけ本番とは言えとんでもない技を披露してます。

自爆。

死ぬほど痛いのは自爆の共通認識で問題ないと思います。
セージは分身消去で自爆のダメージを抑えています。
世の中にはウルトラ心臓とか言う自爆の影響を無くす(なおエネルギーは消費する模様)
特殊な心臓もあるそうですし。

そして「6体は6体」と言うルールの隙間を突いた攻略法により
無傷生還と言う本当にウルトラ心臓みたいな特性を発揮。
ここまでくると「本物はどれだ?」って疑問を持たれそうですが……

A:全部本物です。
 6体同時に倒さないといけないとかいうルールはない分有情ですが。
 奇跡アトミックバズーカ? 知らない子ですね。

祐斗。
彼もまたセージとの接触でリアスに対する不信感が生まれてしまった1人。
拙作のリアスとイッセーがアレ過ぎるだけかもしれませんが。
物事を冷静になって見つめなおしてみたら、実は……ってオチを目指しているのですが。
禁手が成長してリアスの実力を超えられれば、もしかすると……

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