今回は冥界各地の様子をお届けします。
イベント。
E1は甲余裕でした……E1は。
E2のヲ改でトラウマセンサーが発動してビビりモードつまり丙提督。
山雲……じゃない、山風は来てくれましたけど。
アメトーーク
すんませんいつも裏(DASH)でした舐めてましたごめんなさい
仮面ライダーGと言い本気出すときはパネェですねテレ朝
・やっぱりネタにされたドクターXとブレイブ
・仮面ライダー白い巨塔の絵面
・名前からしてフラグを立てていたヒトデンジャー(そしてフラグ回収する戦闘員)
・ベリアル陛下(宮迫)に助けを求める大杉先生(田中)
・さりげなくアイス食わせてる戦闘員
・キック後の爆発に巻き込まれるとかどこの科学戦隊
・次回(日曜版)が家電芸人(ヒビキさん!)
・早速Twitterでネタにされてるハブられたマコト兄ちゃん
――――
俺は宮本成二。
クラスメート、兵藤一誠のデートに不審なものを感じた俺は
後をつけるが、その先で堕天使レイナーレに瀕死の重傷を負わされる。
目覚めた俺は、リアス・グレモリーに歩藤誠二と言う名を与えられ
霊体になっていることを知ることになる。
黒歌さんの傷の手当てをすべく、アーシアさんを探していた俺の前に
突如アインストが現れた。
駆けつけたウォルベンと共に退けることには成功したが
その中には禍の団の首領・オーフィスの変わり果てた姿もあった。
その直後には、サーゼクス陛下の眷属の一人が離反したという情報も入り
俺の周囲だけでなく、冥界全体が目まぐるしく動いている……
――残された時間は、あと28日――
日増しに激化していく
それはまるで、自分たちの領地を拡大していくかのようであった。
同時期に地上でも駒王町を中心にテロ行為が起きていることを考えると
これらはすべて一つの意思の下に起きていると推測するのは容易であろう。
広大な冥界の領土をかけて争う悪魔と堕天使を嘲笑うかのように
二勢力に対し同時進攻を展開し、同族を増やしていくアインスト。
この危機を前に、頓挫していた和平交渉が再開する――かに思われたが。
――――
悪魔領土・首都リリス
「申し上げます! 堕天使側から式典用ロボット・ヴァイスリッター強奪の件に関して
我が政府に対し説明要求が来ております!」
「……あのさ。僕は軍事担当。外交はセラフォルーに回してよ。全く……」
息を切らし駆け付けた伝令を冷たくあしらうのは四大魔王の一人、ファルビウム・アスモデウス。
軍事顧問の席に着いており、四人の中でも特に洞察力に優れているのだが……
……如何せん、やる気がない。職務はすべて眷属に投げ出しているといわれるほどで
それで回っていた頃はまだいいのだが、現在はそうもいかない。
何せ各地でテロ活動が起き、三大勢力間の関係も良好とは言い難い状況。
何が起きてもおかしくないのだ。
「そ、そのセラフォルー様は取り込み中とのことで、今手が空いておられる魔王様は
ファルビウム様しかおられません! なにとぞ、なにとぞご対応のほどを!」
「えー……」
どうせ妹絡みか自分が出演している番組関係だろ、と悪態をつきながら
ファルビウムは渋々伝令のメッセージに耳を傾ける。
耳を傾けるだけで、実際に動くのは眷属なのだが。
――曰く、共同開発で友好の証として製造していたヴァイスリッターがアインストに奪われた。
この件は天界にも情報を伝えておらず、知っているのは同じく冥界を拠点とする悪魔政府のみだ。
故に、このような事態が起きた説明を求められたし――と。
これは悪魔政府にとっても寝耳に水の案件である。
なにせ、悪魔政府もアインストの襲撃でアルトアイゼンを失い、それどころか
サーゼクスの眷属が一人、ベオウルフがアインストと化し離反しているのだ。
そのため、悪魔政府の足取りは極端に悪くなっている。
四大魔王を中心とする魔王派と、旧来の貴族を中心とする貴族派に分裂してしまっている。
奇しくもこれは現四大魔王を擁する新魔王派と、禍の団に合流した旧魔王派の対立に
極めて近い図式となってしまっている。
貴族派はちょうど新魔王派と旧魔王派の中間に位置する存在と言えよう。
「……なんでこうめんどくさい事ばっか起きるかなぁ。
わかった、後はこっちで何とかしておくよ……だから下がっていいよ」
「はっ!」
伝令が下がると同時に、ファルビウムの背後から屈強な身丈の強面な男性が現れる。
イェッツト・トイフェルの司令・ギレーズマ・サタナキアである。
「随分と暢気ですな。あの様子では堕天使陣営にも
何らかの動きがあったとみて間違いないでしょうな」
「……そんなことはわかってるよ。だからめんどくさいんじゃないか。
こっちだってアルトはともかく、サーゼクスに監視つける羽目になってるんだから」
監視を行っているイェッツト・トイフェルの司令ギレーズマを睨みつけるように
ファルビウムが毒づくが、当のギレーズマは全く意に介していない。
「我々とて心苦しいのですよファルビウム様。
敬愛する陛下の眷属を疑うような真似をしなければならないとは。
ですが、現に陛下の眷属から離反者が出ている以上、我々とて相応の行動をせねばならない。
……そこはお分かりですな?」
「だったら、こんな足の引っ張り合いみたいなマネはやめろって言いたいね。めんどくさいし」
「それでは国民に示しがつきませんよ。片やはぐれ悪魔は積極的に駆逐せよ。
片や魔王眷属だから何かわけがあるはずだ、そんなものは通りますまい。
ましてや、サーゼクス様ご本人がベオウルフを
SSS級はぐれ悪魔認定なさっているのですから。
我々ははぐれ悪魔を駆逐するだけではなく、それを生み出す土壌にも問題があるのではないか。
そう睨んでおりますのでね。
あの駆逐されたというSS級はぐれ悪魔の……名前は忘れましたが。
あれも国民の間では『政府は重大なことを隠しているのではないか』と噂されておりますしね」
仮にも政府直属部隊の司令であるギレーズマでさえも
黒歌の件は引っ掛かっているようであった。
つまるところ、その位に現在の政府は腐敗していると言っても差し障りないのである。
そして、その現政府の顔ともいえる四大魔王を前にして、ずけずけと物を言える辺りは
余程の信頼関係か、険悪な関係かのどちらかであるが……この場合は後者だろう。
「……何が言いたいんだい?」
「別に。ですが今のままでは遠からず悪魔は滅びるでしょうな。
勿論、そうならないために我々がいるのですが。
その為にも、魔王様方にも示しはつけていただきたいのですよ」
特にセラフォルー陛下に、と付け加えてギレーズマはこの場を後にする。
ギレーズマの指摘を悲観視と取るか警告と取るか。
ファルビウムは後者として受け取ったが、確かに楽観視が過ぎる傾向は
四大魔王に対する共通認識として存在している。その最たる例が先日の和平交渉だ。
それに並行する形で行われた式典用ロボット制作も、こうして真逆の事に使われている。
楽観が過ぎた結果がこれか、とファルビウムは一人頭を抱えるのだった。
その一方で、ギレーズマは側近であるハマリア・アガリアレプトを呼び出している。
上司ともいえるファルビウムに聞かれてはマズい事なのか、細心の注意を払いながら。
「……で、ウォルベンの報告は事実なのだな?」
「はっ。
そして、まだ黒歌は生きていると言う情報も……討伐隊を派遣なさいますか?」
「捨て置け。経過観察は必要だがな。それに死んだと政府の発表したものを
わざわざ我々が穿り返す必要もあるまい。牙を剥いてきた場合は、その限りでもないがな。
……そうか。駒の摘出に成功か……ククク、先日の件と言い現政権も長くはないな。
ハマリア。引き続き情報の収集を行うのだ。特に悪魔の駒の摘出と破壊についてだ。
生きたまま駒を摘出する技術……これは現悪魔社会の今後を大きく左右する技術だ。
そして破壊についても、我々にそれが可能かどうか、重点的に調べるのだ」
「……畏まりました」
ハマリアが去り、ギレーズマは一人思案を巡らせる。
転生悪魔が死ねば死亡したという情報と共に悪魔の駒は排出される。
そこに、生きたまま駒を摘出する技術の存在が発覚すれば、転生悪魔を増やすことで
生き長らえようとしている現悪魔政権の政策は頓挫してしまう。
それは即ち、現政権の転覆を意味していた。
(そうだ。悪魔の血を自ら穢している現魔王は悪魔社会にとって相応しくないのだ。
我ら悪魔は、他の種族を利用してまで生き長らえなければならないほど弱い種族ではない。
優良種とまでは言わぬにせよ、彼らの行いが
我ら悪魔の価値を貶めているのは間違いのない事だ。
この技術が公表された暁にこそ、悪魔と言う種族は真なる日の出を迎えるだろう……!!)
ギレーズマの脳裏に浮かび上がるのは、反逆の狼煙。
政府直属部隊は、真に
――――
冥界・堕天使領。
その某所に存在する医療センター。
そこに、右腕を食いちぎられたアザゼルは入院していた。
食いちぎられた右腕は結局見つからず、隻腕の状態でアザゼルは過ごしていた。
そのため、実質総督の立場からは退いており
後任をシェムハザに一任している形となっている。
そのシェムハザの第一の仕事が、ギリシャ神話勢が管理するコキュートスに追いやった
サマエルとコカビエルの件に関する謝罪と言う点においては
シェムハザに同情の念を禁じ得ないが。
そして、その謝罪を終えたシェムハザが今日帰って来たのである。
結局、同伴したヤルダバオトの謝罪に見聞を広めるためという名目で最後まで付き合っていたのだ。
「……只今戻りました」
「おう、悪いなシェムハザ。大変な責務を押し付けちまってよ。
そうだ、土産に頼んだウーゾはどうしたよ?」
「そう思うのでしたら、ハーデス様に一筆添えるくらいの事はしてもいいでしょうに。
それに、病人が酒飲んでいいわけがないでしょうが」
「ウーゾの件は冗談だよ。しかし一筆って、それが腕のない俺に言う事かよ」
代筆者を頼めばいいでしょう、とシェムハザは不機嫌そうに語っている。
無理もない。本来ならばアザゼルがヤルダバオトと向かうはずだった案件であり
彼はその尻拭いをさせられた形なのである。
因みにウーゾとはギリシャに伝わるお酒で、神の酒とも言われている。
それを堕天使である彼らが飲むのは不思議なものでもあるが。
そんな悪態をついていたシェムハザだが、ふと真顔に戻る。
戻ってくる途中に見聞きした、アインスト襲撃の件についてだ。
既にシェムハザが戻ってきたころにはアインストは撤退しており
残されたのは物言わぬ黒い羽根と、荒れ果てた工廠だけであるが。
「……まさかとは思いますが、『彼』の仕業ではないでしょうね」
「俺が寝込んでる間にんな事があったのかよ……
ヴァイスの完成は、俺も楽しみにしてたんだがな……」
落胆した様子でアザゼルが語るが、シェムハザの言う「彼」については
頑なに否定していた。
「だが『奴』の仕業ではないのは間違いないだろうよ。
『奴』なら俺が気づかねぇはずがない。ああなっちまっても
堕天使は堕天使のはずだしよ……」
「……しかし、何故和平交渉の時に言わなかったのですか。
『我々はこれよりずっと前から「ゲート」や「アインスト」の存在を知っている』と。
最も、名前までは最近知った事ですが」
「言えるわけねぇだろ。言っちまったら堕天使が疑われるし、あの場には
『奴』の忘れ形見だっていたんだぜ……姫島の娘がな」
「まさか、コカビエルをコキュートスに追いやったのも……!」
「それは結果的にそうなったっつー結果論だ。
確かにあいつもあの時アインストと出くわしている。
そうだ、アレは確か……」
今よりも昔の時代。
冥界は堕天使領に、突如として謎の円状の建造物――クロスゲートが出現。
アザゼル、シェムハザ、コカビエルそしてバラキエルの4人が主要メンバーとなって
クロスゲートの調査に乗り出すこととなった。
堕天使と言う種族の中核を担うメンバーばかりであったが、こうなったのには理由がある。
クロスゲートからは謎の生命体――アインストが出現しており
敵対行動を取られることを懸念して戦力に秀でたメンバーを集めた結果
このメンバーとなった背景がある。
そして仮にアインストが対話に応じる種族――実際にはそんなことは全くないのだが――
であったとしても、
そして、クロスゲートの調査の最中アインストが動き出す。
そのアインストとの戦いの最中、バラキエルがアインストの影響を受けてしまい
その直後クロスゲートは消失。結果、クロスゲートの調査は中断せざるを得なくなり
堕天使陣営はバラキエルを失う事となってしまう。
その後バラキエルは今より10年ほど前、姫島神社に現れたのを最後に姿を見せなくなる。
「……ま、もうバラキエルはいねぇ。今いるのはバルディエルっつーそっくりさんだ。
そしてそのバルディエルはアインストになった。言うなればアインストバルディエル、だ。
バラキエルはな……もう、死んじまったよ。朱乃の母親を殺したのも、バルディエルだ」
「……それで彼女が納得するとは思えませんが、父親が得体のしれない怪物になったというよりは
職務中に殉職したとした方が聞こえはいいでしょうね」
そう。姫島朱乃の父バラキエルは、過去のアインストとの遭遇でアインストと化したが
堕天使陣営はこの事実を秘匿。バラキエルをMIA扱いとし、バラキエルに酷似した
アインストバルディエルなる存在が現れた、と公式発表している。
これにはアザゼルの発表を疑う声も少なからずあったが、次第にその声は少数となって行く。
その背景には、アインストの存在そのものが疑問視されているのがあったのだ。
アザゼルとシェムハザは揃ってアインストの存在を秘匿。
シェムハザは消極的ではあったものの、アザゼルに押される形で秘匿に同意。
最後まで秘匿に反対だったコカビエルは政治方針の対立から
その後バルパー・ガリレイやフリード・セルゼンと出会い
エクスカリバー強奪事件を起こすこととなった。
ともあれ、そんな形でアインストの存在は堕天使陣営の中でも知る人ぞ知る存在となり
下級~中級の堕天使はもとより、上級の堕天使でも一部しか知らない存在となったのだ。
それが、結果としてヴァイスリッター強奪事件のような悲劇を生んでしまったのだが。
「……もう戦争は御免だ。そんな矢先に得体のしれない怪物が出て見ろ。パニック起こすだろうが。
そう思って、俺はアインストの存在を秘匿していたんだがな……
チッ、コカビエルの方が正しかっただなんて、思いたくはねぇがよ」
「……そうも言っていられません。三大勢力のつぶし合いをするのならばともかく
相手は得体のしれない怪物です。アザゼル、あなたの言う通り和平交渉を再開……
と思ったのですが、一足違いでした。さっき先走った一部の堕天使が
悪魔政府に詰め寄ったそうです。『今回の件は我々を騙し討ちする口実ではないか』と。
完全にアインストの存在を秘匿したのが裏目に出ましたね、アザゼル。
彼らはアインストが悪魔の仲間ではないかと疑っているのです。
これでは和平交渉どころか、泥沼の戦争、最悪悪魔・堕天使・アインストに加え
天使が漁夫の利を狙うという大混戦になってしまう恐れがあります」
「……で、それを裏付けるように世論は和平反対に傾きつつある、ってか。
それどころかコカビエルの釈放を求める声まで上がってやがる。
……ハハッ、マジで堕天使ももう終わりかもな。
シェムハザ、度々悪ぃがミカエル……じゃなかった、ガブリエルんとこ行って来てくれねぇか?
堕天した連中を奴らが受け入れてくれるかどうかはわからんが、悪魔が頼れない以上それしかねぇ。
アインストと戦うにせよ、俺ら堕天使だけじゃきつい。
せめて天界に、停戦……まぁもうドンパチやってねぇんだがな……
その申し立てをしたい。頼まれてくれるか?」
元々三大勢力の争いは冥界の縄張りを争う悪魔と堕天使の間に天使が介入するという形であった。
今はそこに禍の団、アインストが加わっている。アインストは三大勢力共通の敵であり
これをどうにかするまでは三大勢力で争っている場合ではない。
アザゼルもシェムハザもその認識は共通していたが
それはアインストの正体を正しく知っているからこそたどり着ける結論である。
知らないものは、悪魔と言う敵対組織の一部ではないか。
そう疑ってかかってしまうだろう。その結果が先走っての悪魔政府に対する非難行動である。
「それならば、天界よりは
尤もそれ以前にシェムハザにしてみれば、さっきまでガブリエルとヤルダバオトによる
ウェールズの勢力に対する謝罪に同席していたため、その上でガブリエルとコンタクトとなると
二度手間であるという考えも過っていたのだが。
「コネがねぇよ。一応の昔馴染みでもある天界が一番手っ取り早いのさ。
あいつらに頼るのに、思うところがないわけでもねぇがな」
アザゼルも堕天する前の同僚ともいえる天界勢力を頼るのには思うところがあるようだ。
彼にとって天界は捨てた古巣であり、今更どの面を下げてと言う事なのだろう。
そんな彼が、その捨てた古巣に縋らねばならぬほど今回の事態は急を要するのである。
勿論、神仏同盟とは単純に接点が弱い事、ギリシャ勢はむしろ借りを作っているため
これ以上借りを作るわけにはいかない。そうした消去法的な考えもあって
アザゼルは天界との対話を考えていたのであった。
――――
冥界・グレモリー邸。
自治領待機が命じられて数日が経ち、アインストによる騒動も沈静化しつつあった。
それでも連日現魔王に対するバッシングはワイドショーで騒がれており
グレモリー邸にもマスコミが押しかけてきている有様である。
フェニックスとの一連の事件が沈静化した矢先にこれである。
「……もういやっ! やってられないわこんなの! みんな、駒王町に帰るわよ!」
感情任せに出たリアスの案だが、実際そろそろ戻らないと夏休みが終わる。
そういう意味でも、駒王町に戻るというのはあながち悪い案でもない……のだが。
「それなんですけど部長、残してきた使い魔たちからの連絡が一切ありませんの」
「それに、塔城さんやセージ君もまだ戻って来てません」
木場の指摘する小猫やセージの未帰還はともかく、朱乃の指摘する
使い魔からの連絡の断絶はリアスも気にかけていたところであった。
攻撃手段としても使うため、連れてきているアーシアや
そもそも使い魔を持たないイッセーには何の事だかさっぱりだったが
それはつまり、地上に残した使い魔に何かがあったことを意味している。
「小猫やセージも気がかりだけど、朱乃の言う事も尤もね……
なら、それを確かめるためにもやはり駒王町に戻るべきだわ」
駒王町に戻ると言う事に、この場にいる中で難色を示す眷属はいなかった。
ただ一人、ギャスパーだけがしどろもどろになっているがいつもの事である。
結果、満場一致で駒王町への帰還が決定づけられようとしていたが
ここで待ったがかかる。グレモリー領主、ジオティクス・グレモリー自ら
娘の提案に待ったをかけたのだ。
「待ってくれリーアたん。そう急ぐこともあるまい。
ここはもう少しこちらに滞在して欲しいのだよ。学校には私の方から……」
「何を暢気なことを言っているのお父様!
使い魔からの連絡がないとなれば、駒王町で何かが起きたはず、そしてそれは……」
「……待ちなさいリアス。もう駒王町はあなたの領土ではないのよ。
そんなところに首を突っ込んで、怪我でもしてみなさい。
いえ、怪我では済まないかもしれないわ。
あのアインストと言う怪物、そういう危険性を持っていると聞きます。
自分の領土を守るために負傷したのならば、まだ名誉の負傷と言えましょう。
けれど、自分の領土でもない場所で負傷すれば、それはただの不注意。
怪我をしなければいいという問題でも無いのですよ」
「お、お母様、それは……」
リアスの母ヴェネラナの言う通り、既にリアスは駒王町の領主ではない。
そこに住むものにしてみれば、あるべき姿になったというべきなのだろうが
リアスにしてみれば、安住の地を追われた形となる。
リアスにとって、駒王町は今なお大事な場所なのだ。
「ま、待ってください! 俺には部長の気持ちが何となくですけどわかります!
俺は、俺は駒王町で生まれ育ってますし、駒王町には両親がいます!
だからこそ、この目で駒王町の様子を確かめたいんです!
……部長なら、俺が守りますから!」
「……ふむ。些か不安は残るが、赤龍帝でもある君に頭を下げられてはな。
それに、君の両親ともなれば我々にとっても家族も同然。
その安否を気遣うのは当然と言えば当然か……」
「……いいでしょう。ではレイナルドに最終列車の手配をさせます。
今後は魔法陣を使っての移動となるので、最後の列車の旅を存分に楽しみなさい。
それと。向こうについたら必ず連絡をすること。
赤龍帝の彼――兵藤君がご両親を心配しているように、私達もリアス。
あなた達を心配しているのですから」
「あ、ありがとうお父様、お母様!
さて、それじゃみんな帰り支度をするわよ!
……小猫とセージは魔法陣を置いて、書置きを残しておくわ。
セージはともかく小猫は夏休みが終わる前までには戻るはずよ」
以前、リアスはこの二人について戦力外通知と言う単語を過らせたことがある。
奇しくも今回、戦力と言う形ではなくこの二人が揃ってリアスの下にいないという
事態になっており、リアスの懸念はある意味当たってしまったと言えよう。
そして、ここにもう一人リアスの知らない間に
リアス・グレモリーの眷属としての自分に疑惑を抱いているものもいた――
(……今回の件、イッセー君が言わなかったらどうするつもりだったんだろう。
どうやらイッセー君に必要以上に拘っているのは部長だけじゃないみたいだ。
誰もイッセー君を、兵藤一誠を赤龍帝としてしか見ていない。部長でさえもだ。
……そんなんじゃ、眷属を蔑ろにするという他の悪魔と同じじゃないか!)
――――
冥界某所・バオクゥのアジト。
リアスらが地上への帰り支度を始めている頃、セージは悪魔の駒の除去について
調査を進めていた。そして、その結果わかったことは……
「……ふぅ。これ以上は俺達ではどうにもならないな。
白音さんの駒も、下手にいじると本体にかかる負担が大きいし。
手術のショックで死なれたら、本末転倒甚だしい」
「ごめんにゃ白音、お姉ちゃんちょっと浮かれすぎてたにゃん……」
「……いえ。除去が可能であることが分かっただけでも私やセージ先輩にとっては
朗報ですから」
現時点では、白音もセージも駒の除去は不可能であること。
駒そのものは、悪魔と弱点を同じくするために太陽の光や聖なる力を照射すれば
破壊することが出来ると言うこと。物理的な除去は、外科手術で出来ると言うこと。
そして、それが可能でこの情報を伝える価値のある相手。それをセージは知っていた。
「……地上に戻ろう。そして、神仏同盟のお二方にこの事を伝えたい。
場合によっては、二人の身柄の保護もお願いできるかもしれないし」
「神仏同盟?」
「日本の神様と、日本の拠点を置く仏様とで構成された勢力です、姉様。
つまり、私達
(最も、白音さんはそれで可能だけど……
俺の駒はアイツをどうにかしないとどうにもならないんだよな……
結局、共有の解除方法までは載ってなかったし)
「どうしたのにゃん、お兄さん?」
「……や、なんでもない」
セージが思案を巡らせていると、背後からバオクゥに肩を叩かれる。
やけに強く叩かれたのか、思わずセージも大声を上げてしまっていた。
「うわっ!? い、いきなり何するんだ!?」
「あーすみません。ちょっと蚊が止まってたみたいで。
仕留めましたんで安心してください」
複雑な面持ちでバオクゥを睨み返すセージだったが
悪気は無さそうなのですぐに気を落ち着かせ、再び思案を巡らせる。
その背後では、バオクゥが胸ポケットに何かをしまい込んでいた。
(……ごめんなさいセージさん。私、嘘ついちゃってます。
師匠がいたらきっと怒られるでしょうねぇ……
……セージさんの情報、イェッツト・トイフェルに流す手助けをしているなんて
とてもじゃないですが言えないですよぉ……)
そう。
何故イェッツト・トイフェルが黒歌の顛末を知っていたか。
それはウォルベンとバオクゥが接触した、リリス冥界大図書館での帰路まで遡る――
――――
「……冥界では知る人ぞ知る、盗聴バスター・バオクゥとはあなたですね?」
「そ、そうですけど……」
帰路を急ぐバオクゥの前に現れたのは、オールバックに丸サングラスを付けた男
――ウォルベン・バフォメット。
サングラスで視線は読み取れず、声色からも何を目的としているのかは探れない。
得体の知れなさに、思わずバオクゥは身構える。
「私は政府直属部隊のウォルベン・バフォメットと言います。
実は先ほど、リリス冥界大図書館から通報を頂きましてね。
……何者かが侵入したのではないかと」
「……それが私と何の関係があるんですか?」
実際にセージと一緒に潜り込んでいるためか、バオクゥの背筋からは冷や汗が流れ出る。
バオクゥもイェッツト・トイフェルの情報は仕入れている。
同業者とも言えるジャーナリスト、リー・バーチが彼らから口封じをされたこともあり
次はいつ自分に回って来るか、と警戒していた矢先でもある。
「単刀直入に言いましょう。あなたが出入りするところを見たって通報があるんですよ。
もし侵入が事実ならば然るべき対応を、そうでないならそれを証明していただきたいだけです。
ただ……物的証拠がある以上、証明は難しいかもしれませんがねぇ」
そういって、ウォルベンは砲弾を取り出す。
それはバオクゥの艤装にもある機銃の弾丸の薬莢でもあり、彼女がそこにいた痕跡としては
十分すぎる証拠であった。
「それは……」
「……本来なら実力行使も辞さないのですが、あなたには一つ協力していただきたいのですよ。
その協力次第では、私は何も見なかったことにいたします。
どうでしょう? 協力していただけますか?」
ウォルベンの言葉に、バオクゥはただ黙って頷き返す事しか出来なかった。
そして、次にウォルベンが取り出したのは小型の盗聴器兼発信機。
「これを歩藤誠二と言う少年に付けていただきたいのですよ。
私は彼に顔が割れてしまっていますからねぇ。
警戒されないためにも、あなたからやっていただきたいのです。
これから得た情報は、あなたもある程度までなら自由に使っていただいて構いません。
どうです? 破格の協力条件でしょう?」
「何のためにそれを……って言っても、答えてくれませんよね」
「申し訳ありません。これも任務ですので。
で、私に協力しますか? それとも……」
次の瞬間、バオクゥは黙ってウォルベンの手から盗聴器を受け取るのだった……
その後、バオクゥはセージと合流し、彼の知らぬ間に盗聴器を仕掛けることに成功。
その盗聴器を通してウォルベンは黒歌の顛末を知り、アインストに囲まれたセージの下に
駆けつけてきたのだった。
――――
「うん? 情報屋さん、何をしてるにゃん?」
「うひゃあ!? わ、わた、私は大丈夫ですっ! 何も見てませんっ!」
今度は逆にバオクゥが黒歌に急に話しかけられる形となり、狼狽してしまう。
その狼狽っぷりはセージのそれを大きく上回っていた。何故なら――
(な、なんてタイミングですかぁ……今盗聴器を取り換えたところだってのに……)
バオクゥとイェッツト・トイフェルとの関係はまだ生きていた。
地上に戻ることを決心したセージ達の動向は、イェッツト・トイフェルに知れ渡っている。
だからと言って、セージのやることに変化が起きるわけでも無いが。
「そうだお兄さん、地上に戻るなら私が使ってるルートがあるにゃん。
それを使えば、グレモリーに頭下げずに地上に行けるにゃん」
「そ、そうなのか? それはある意味有り難いが……
それじゃ、明日にでも地上に戻ろう。白音さん、荷物とかはいいのか?」
「……大した私物は持って来てませんので」
黒歌の提案で、リアスらとは別ルートで地上に、駒王町に戻ることとなったセージ、白音、黒歌。
少しずつではあるが、セージの目的達成にも光明は見え始めている。
そんなセージを、バオクゥは複雑な心境で見つめていた。
(ご、ごめんなさいセージさん……
この先、政府直属部隊にちょっかいかけられるようなことになったら……それは……
ううっ、こんな時師匠ならどうするんでしょう……)
冥界が激震する中、少年らは駒王町へと戻る決心を固める。
しかしそこもまた、激震の最中であることを
今はまだ、誰も知らないのだった。
>冥界
ある意味平常運転。クーデター一歩手前だったりはしますけど。
伝令も外交がセラフォルーの担当だって事は知ってます。
けれどセラフォルーが平常運転だったためにこんなことに。
ファルビウムも平常運転です、一応。
……こんな時にまで平常運転ってどうなのさって意見もあるかと思いますが
(実際、四大魔王とてやるときにはやるタイプみたいですし)
それがタイミング間違うとこうなるってパターンと言う事で。
>堕天使
……アインストの存在を秘匿していたため、ある意味では元凶の一端。
ここに来て和平に前向きになりだしますが、時すでに遅し。
アインストを悪魔と誤解した一部勢力が蜂起していますし
和平反対のコカビエルに対する再評価の機運が高まっているため
これまた足並みがそろわなくなってしまってます。
>クロスゲート・アインスト
一度だけ堕天使領に出現後消滅しています。
それが原因でコカビエルがアインストを知っていたり。
一瞬の出来事なので、悪魔社会で言うアモン(拙作版)にすら知名度で劣っています。
アザゼルが伏せていたのもあるのですが。
>バラキエル
まさかのアインスト化、そして朱乃母の仇(本物)と言う原作以上に救われない状態。
バラキエルとバルディエルは同一存在と聞いたので
これを拙作で採用しようと思ったらこうなりました。
バラキエルをMIA扱いにして、敵性体の一種と見做すという扱いは
EVA3号機(バルディエル)の扱いのそれに準じています。
>バオクゥ
助かった代わりに二重スパイみたいな状態にされてしまいました。
武器の特性を考えたら足付きやすいんですよね、機銃とか砲弾とかって。
そう考えると師匠(指弾)は理にかなってるなぁ。
>小猫
少彦名様出番です! ……と言う結論に達した模様。
死んでも駒だけ排出される(再利用可能?)んだから、本当にこいつは質の悪い……
セージのプランとしては
・術式レベル1開始(外科手術で駒を摘出)
↓
・術式レベル2開始(太陽エネルギーや聖なる力を駒に照射)
↓
・破壊
そこで医療の神である少彦名様にご指名がかかりそうな予感。
ギリシャ行けばアスクレピオスとかいますがセージのコネ的に。
なおこの方法は「安全に駒を除去・破壊できる手段」なので
セージのケースには適用されない模様。
イッセーが駒の除去に賛成するはずがありませんので。
(駒の除去=死亡がほぼ確定なイッセーにしてみれば「死ね」って言ってるようなものですし)