ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

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Soul10. ひとまず、決着です。

教会へアーシア・アルジェントさんを救出しに行ってからそれなりに日数も過ぎた。

その間、俺こと歩藤誠二は旧校舎の空き教室に簡易ベッドを用意し、そこに寝泊まりしていた。

 

あれから、アーシアさんはリアス・グレモリー部長の僧侶の駒で悪魔に転生。

悪魔シスターがここに誕生したことになる。つまり、俺たちの後輩悪魔ってことになる。

 

……また、人間を辞めなきゃならない人が出てしまったのか。

ただ、彼女の場合悪魔になってようやく友達と会話が出来る、な状態だから

イッセーや俺の場合と違って一概に悪いとも言えないが……。

敬虔なシスターが本当に望んだものが、悪魔になってようやく手に入ったってのは

本当に、これ以上ない皮肉だよ。俺も嫌味で皮肉家な所はあるが

ここまで皮肉をかませる自信も才能もない。大したもんだよグレモリー部長。

 

そして、あのいけ好かないクソカラス。

聞いた話だと相当惨たらしい暴行を受けていたらしいのだが――

 

らしいと言うのは、俺はその時の記憶が半分飛んでいるから認識できていないのだ。

ともかく、その暴行――加えたのは他でもない俺なのだが――によって、傷もさることながら

相当な心神喪失状態で、アーシアさんの悪魔化儀式の後に教会を見渡したときには

既にいなかったらしい。

 

誰かが回収に来たとも思えないし、俺がオカ研の面子相手に暴れていた隙を見計らって

逃げたのではないか、との事だ。

 

逃げたとしても、強引に宿したとは言えその身に宿した神器(セイクリッド・ギア)を失ったことで

生きているのかどうかは疑わしい、との事らしい。

死体ともいえる黒い羽は教会付近から見つからなかったので、生死不明の状態だ。

 

なんとも微妙な結果に終わってしまったが

まああいつは二度とこういう事はやらかさないだろう。

 

……生きていれば、の話だが。

 

それよりも、今回の事がただの独断で行われた以上は

また同じことを考える輩が出るかもしれない。

そのときの事を考えるべきだろう。

 

今回の事件で何人か犠牲になっている。

遺族の方に俺が何かを出来るわけでもないので

悔やむよりは再発を防ぐより他仕方ないのだが。

 

さて。俺はと言うと、最後の最後でやらかした禁手化(バランスブレイク)が原因で

霊体の方にも変異しかねないほどの影響が出ていた。

そのため、この一週間イッセーには憑いていない。

それどころか、悪魔の仕事以外ではこの空き教室から出ていない。

 

誤解の無いように言っておくが、別に謹慎を喰らったわけでも

本当に悪霊になってしまったわけでもない。俺の心の整理の問題だ。

今回は事件そのものがほぼ非公式な案件であるため

歪な禁手(イリーガル・バランスブレイカー)も俺のリアス・グレモリー部長に対する反逆行為も

対外的には無かった事にはなっている。

 

だが、眷属でありながら主に歯向かったのは事実だとして

俺は退部を申し出たのだが――

 

「今回の件は、全て自分に責任があります。

 教会の破壊、仲間への敵対行為、主への反逆行為。

 これら全て、リアス・グレモリーの名を汚す案件に該当すると考え――

 ここに自分、歩藤誠二は駒王学園オカルト研究部の退部と共に

 リアス・グレモリーの眷属からの除籍を願い出るものであります」

 

「却下。前に言わなかったかしら? あなたも私にとって大事な下僕だと」

 

「しかし、他の者への示しもあります。処罰なしは俺の気も収まりません。

 それと、失礼ついでに言わせていただきますが……

 その下僕という呼び方、やめていただけますか。確かにあなたの悪魔の駒は俺にあり

 眷属に違いはありませんが、そういった主の態度が

 はぐれ悪魔を生む遠因になっているのではないか、と自分は思う次第であります」

 

「――そう、ね。一考しておくわ。けれど悪魔社会では風習に近いものがあるの。

 もし出てしまったらごめんなさいね。なるべく直すように努力するわ。

 それと……退部はともかく、除籍は許可できないわ。

 あなたはともかく、私はあなたを大事なげ……眷属と思っている。

 そんな可愛い眷属同士が殺し合う姿なんて、私は見たくないわ」

 

あっさりと却下された。まあ、わかっていたが。

結局、自主的に俺はこの空き教室に閉じこもっている。

言うなれば反省室送りだとか、独房入りだとか。

そもそもともすればはぐれ悪魔扱いされてもおかしくないのだ。

我ながら、冷えた頭で考えると無茶をしたものだ。

いくらリアス・グレモリーが信用できないからって……。

 

しかし、眷属、か。眷属……ねぇ。

欲を言えば、仲間と言って欲しかったが、それには力が及ばないか。

他人を下僕呼ばわりが罷り通るのが悪魔社会か。

やはり俺、悪魔社会には馴染めそうにないな……。

 

ともあれ。姫島先輩に頼み込み除霊用の札を壁や窓やドアに貼ってもらい

俺に用事がある契約者さん――まあ、ほとんどが虹川さんなのだが。

その彼女らからの呼び出しがない限りは、この空き教室にいる。

 

腹が減らないよう、霊体になってまで。

そのために姫島先輩に除霊用の札を貼ってもらったのだ――

 

「――そこをなんとか。お願いします」

 

「あらあら。セージくんにお願いされるのはやぶさかじゃないんですけど、目的がちょっと……

 それに部長も、この間の件だったら不問とおっしゃってませんでした?」

 

「……俺の気持ちの問題です。幸か不幸か、俺には学籍はありませんし

 契約者様に召喚された時に開けられるようにしてもらえればいいので。

 少し、頭を冷やしたいんです。俺は本当に、皆の仲間として相応しいのか。

 リアス・グレモリーの眷属として、相応しいのか」

 

「ふぅ。本当にセージくんは真面目ですわね。もう少しやんちゃでも私としては……うふふ」

 

――とにかく、俺はあの事件以来ずっとここにいる。

以前部室で横たわっていた時は何だかんだで皆が代わる代わる来ていたが

ここは本来空き教室。誰も来ない。

 

だが、気分的な問題で暇を潰そうという気さえ起きない。

本当に、地縛霊の如くこの教室に漂っているのみだ。

 

そういえば、俺がここに引きこもる――と言うと語弊があるが

ここに来る前にこんな事を話したっけかな……

 

――――

 

「……ひどいな、セージくん。僕との約束を忘れたのかい?」

「忘れちゃいないさ。ただ、今はスパーリングするには俺の中に迷いがありすぎる。

 それを俺の中でどうにかしないととてもじゃないが身が入らん。それはお前にも失礼だ」

 

俺が教室に入る話を一応木場にも伝えたが、彼にしても思うところはあったらしく

不服そうな目で見られてしまった。そりゃ、確かに約束はしましたがね。

今はそれどころじゃないんだよ、俺的に。

 

「じゃあ、それまで待つことにするよ――ところでセージくん。特に君には聞きたいんだけど」

 

「何だ? あ、そっちのケはないから。オフレコで頼むが、タイプは――」

 

「それもちょっと気になるけど、そうじゃないよ。君は今でも、部長を憎んでいるのかい?

 そしてあの堕天使も。もしまた見つけたら、恨みを晴らすのかい?」

 

まあ、来るだろうとは思っていた質問。

そうでなくても木場は生粋の騎士。主サマを守るのは当然と言える。

 

……だが、正直なところは分からない。

信用できないだけで、殺したいほど憎いかというとそうじゃない。

真実如何では、殺したいほどの恨みを抱くかもしれないが……そんな事は無いと思いたい。

あまり憎しみで動くのは良くないことを、身をもって思い知らされたのだ。

 

それに、信じられるなら、信じたい。

現状では、その手札があまりにも少なすぎるのが問題なのだが。

 

「……どっちでもいい。正直、恨みを晴らすってのは精神的に疲れた。

 こういうのはあまり気持ちのいい疲れ方じゃない。

 他人には、正直おすすめできない。グレモリー部長は――すまん、ノーコメントだ。

 だから自習室に入るんだが」

 

「なるほど。君の復讐は一応果たされたわけだね。

 僕は――いや、なんでもない。少し喋りすぎたかな。

 それじゃ、僕も悪魔の仕事に行ってくるよ。君が戻って来るのを楽しみにしてるよ」

 

俺「の」? そういや、堕天使や神父には恨みがあるみたいなことを言っていたが……。

ま、まあ俺が反面教師になってくれた……ってのは楽観的思考すぎるか。

 

もしそれがまだ燻ってるなら……近いうち、何とかしないとマズいんじゃないか?

俺みたいな状態になられても困るし、心の問題は解決できるなら解決するに限る。

 

何とか、もう少し本人から聞き出し……って、ちとお節介が過ぎるか?

 

――――

 

結局、あれから木場とは話をしていないし、顔も見ていない。

不思議なもので、たかだか一週間で妙な違和感を覚えてしまう。

 

まあ、俺は生霊とは言え霊魂なのだから、これが普通といえば普通なのだろう。

寧ろ今までが不自然だっただけかもしれない。物は考えようだ。

 

だが最近、妙にオカ研の皆のことが頭をよぎる。今は悪魔の仕事はどうなっているのか、とか

アーシアさんはうまくやれているのか、とかイッセーのスケベ……はありゃ死んでも治らないな。

とにかく、思いの他俺の中でのオカ研のウェイトが大きかったらしい。

 

まあ、気がついたら自分のこともわかりませんでしたの状態で

友好的な態度取られりゃ誰だって……ねぇ。

 

「俺はイッセーのデートプラン考えて、イッセー連れて逃げる途中で殺されて。

 そして気づいたらイッセーに憑いてて、なんだか一杯おまけもついていて

 そんでもって俺の体が無くなっていて……もうわけわからんね」

 

吐き捨てるように、簡易ベッドに横になる。

……と言っても、空腹対策で霊体になっており、霊体時は睡眠も不要なため

あくまでもポーズとして、である。これくらいやらないと生きていることを忘れそうだし。

 

……一週間飯食ってない時点で生きてること忘れそうだが。

生きてる体でこれをやるのはどこかの聖人クラスだよなぁ。

そういや、食べるっていえば……

 

――――

 

木場と話したあと、塔城さんがおもむろにやってきて、俺に一本分の羊羹をよこしてくれた。

 

「……いつぞや話してた分です。それと、この間のお詫び」

 

「詫び? 羊羹の話は覚えてるけど、お詫びされることはないと思うんだけど。

 つか、ひと切れでいいのに」

 

「……止めるって言ったのに、止められませんでした」

 

――多分、歪な禁手の事を言ってるんだろう。いや、あれは寧ろ俺が謝る側だろうが。

塔城さんや木場まで吹っ飛ばした挙句、部長を殺そうとまでしてたんだし。

……今冷静に考えると、寒気のする話だよな、これ。

 

「いや、それを謝るのは筋違い。それなら俺は土下座をするか腹を切るかせにゃならん。

 制止しようとした仲間を弾き飛ばし、あまつさえ主に牙を剥いたのだから。

 だから、この羊羹は――」

 

「……あの、ならどうして部長を殺そうとしたんですか?」

 

まあ、気になるわな。それにこんな話しながら食う羊羹はまずいぞ、間違いなく。

とりあえず俺は既に切られてしまった羊羹をラップで包み、改めて話をすることにした。

あれだけやったんだ。知りたいって人には言ってもいいだろうよ。

 

「こんな事を言うと眷属失格だけど、敢えて言うよ。

 俺にはまだ、グレモリー部長は信用に値する悪魔に見えないんだ。

 まるで、俺の知らない何かを隠しているみたいに。

 この間は、それが悪い形で表に出ただけだよ」

 

「……そうですか。では、私は信じてくれますか?」

 

む。ド直球だな……でも戦い方とか見てるとド直球なのも頷ける自分がいる。

なら、ド直球を返そうかな。

 

「あの教会での戦いを見る限りは。

 それに、律儀に約束を守ろうとしてくれたんだ。そういう相手は、信用するに値するよ」

「……じゃあ、部長も信用できます」

「……考えとく」

 

正直に言うと、一回や二回の約束の履行なんざほぼノーカンなんだが。

まして悪魔の業界だ。約束の履行が信用に直結するかと言うと――

 

そうでもないんじゃない? ってのが俺の感想。

だが、そこまでバカ正直に言うほど俺も空気が読めないわけじゃない。

ふと隣を見ると、いつの間にか塔城さんが隣に座っていた。いつの間に?

 

「セージ先輩は……イッセー先輩よりは信用できます」

「……それは喜ぶべきラインなの?」

 

俺もイッセーの通学中、憑依していたこともあるから知ってるけど

あいつ女子評価最底辺じゃないか。俺が同じ立場だったら引きこもる。マジで引きこもる。

この学校、ほとんど女子だから女子評価=ここの生徒評価に直結するわけで。

それでも懲りずに毎日通学するアイツはめげないのか、ただのバカなのか……

 

後者だな、うん。

 

「……エロ話を抜きにすれば、同じくらい信用できます。セージ先輩も、仲間ですから」

 

む。そういう事を真顔で言われると来るものがあるね。

それならとりあえず――羊羹、食べようか。

 

その後、一本分は俺には多いということで半分に分け

お茶をお互い少しぬるめにして飲みながら羊羹を食べていた――。

 

――――

 

「……本当に。部員は信用できるのに部長は信用できない。

 眷属仲間は信用できるのに主は信用できない。

 はぁ。こんなんで俺やっていけるのかな……イッセーじゃないけど」

 

兵藤一誠。あいつも何だかんだで悩み、転び、傷つきつつも前に進むタイプの奴だ。

普段がそれを完璧に打ち消しているが。それはそれで、ある意味美徳なのかもしれない。

見るからに努力してますオーラを出してる奴よりは好感が持てる。

そういえば、あいつは間違いなく俺の本体の事を何か知っている。

 

あれからイッセーとも話す機会があったので聞いてみたが、すんなりと聞けた。

宮本……成二。それが、多分、俺の――本体。

 

そう、イッセーを庇って重体にに陥ったイッセーの友人。

それが本当なら、やはり俺はまだ生きている。

だが、どこの病院にいるかまでは聞きそびれてしまった。

イッセー自身、ここ最近は色々ありすぎてそこまで気が回らなかった可能性も高いし。

 

まあ、まだ暫くイッセーに憑いていれば俺の情報は手に入りそうだ。

 

とにかく、今俺が成すべきことは決まった。いや、再確認か。

俺の記憶――恐らくは、宮本成二の記憶だが。それを取り戻し、つなげること。

そして、俺の体を取り戻すこと。病院送りということはどこかに入院中。

それを調べるのはおそらく簡単だろう。また改めてイッセーあたりに聞けばいい。

 

しかし、同時に不安も抱えていた。

俺が記憶を取り戻し、宮本成二に戻ったとき――歩藤誠二はどうなる?

右手はドライグに返せばいい。だが左手は?

 

奴らは神器(セイクリッド・ギア)を狙っていた。もういないとは言え

今後また同じことが起きたとき――人間の宮本成二で対応できるのか?

俺はまだ、悪魔で、生霊の歩藤誠二のままでいるべきなのかもしれない……。

 

もしかすると、そのことも踏まえてグレモリー部長は俺の情報を伏せていたのかもしれない。

本体を見つけるのは容易でも、元に戻ったとき俺は歩藤誠二なのか、宮本成二なのか。

 

……それに、もう一つまだ分からないことがある。

俺の中にあると言う悪魔の駒(イーヴィル・ピース)だ。これを持ったまま宮本成二に戻ることは出来るのか?

これについては、やはりグレモリー部長に聞かねばなるまい。

簡単に教えてくれるとは、到底思えないのだが。

 

――――

 

「あ、セージさん。ここで会うのは初めてですね。

 改めまして、私はアーシア・アルジェントです。よろしくお願いします」

「あ、ああ。悪魔になったのは本当なんだ。

 改めて、歩藤誠二だ。こちらこそよろしく、アーシアさん」

 

久方ぶりに俺が部室に顔を出すと、そこにはアーシアさんがいた。

聞けば、今日はアーシアさんの悪魔としての初仕事らしい。

と言っても、ビラ配りの方だが。

 

「お前もタイミング悪いよな。歓迎会もう三日前に終わっちまったぜ?

 いやあ、部長のケーキうまかったなぁ。お前にも分けてやりたかったよ、ほんと」

 

……は? ケーキ? 歓迎会? おいイッセー。そういう話は初耳なんだが。

 

「よく言うよイッセーくん。僕の分ペラペラだったじゃないか」

「……食べ物の恨みは怖い、です」

 

あ、君らも一応食べたのね。ってことはアーシアさんも食べたのね。

話が中々飲み込めずにいると、グレモリー部長が頭を下げてくる。

 

「本当にごめんなさいセージ。モノがモノだから

 早く食べないとダメになってしまうから……」

 

「い、いや生菓子を三日は冷蔵でもキツいですし、冷凍は味落ちますし。

 これはホント不可抗力ですよ」

 

あ。いや、謝らないでください。確かに信用はしてませんが

そういうので頭下げられるとそれはそれで心苦しいんですが。

ケーキだもんね。早く食べないとダメだよね。うん、仕方ないね。

 

……ケーキ。はぁ。

 

「あらあら。じゃあセージくんには私が何か作ってあげましょうか?

 いくらか日持ちするように、焼菓子なんてどうかしら?」

 

「あ、朱乃さんの焼菓子!? お、俺も欲しいですっ!」

 

「ふむ。実は最近思い出したんですがね、俺もそれなりに料理の心得があるらしいんです。

 思い出すきっかけがあるかもしれませんし、作るなら同伴してもいいですか?」

 

「……お前のはいらねぇよ」

 

オーブンとレシピと材料があれば、俺も作る知識があったのは思い出した。

あとイッセー。別にお前に食わすために作るわけじゃないからな。

記憶の手がかりだから提案しただけなんだが。

 

「もちろんいいですわ。うふふ、セージくんはどんなお料理をするのかしら?」

 

「そういうことなら私も参加しようかしら。アーシアや小猫も来る?」

 

「はい、行きます!」

 

「……味見できるなら」

 

「ええっ!? な、何で皆で!? お、おいセージどういうことだよ!? 羨ましすぎるぞ!!」

 

あれ? あれあれ? 何でこんな大所帯になってんの? たかだか焼菓子作るだけだよね?

それとイッセー、何でお前が血涙流してんだよ。

俺もこの状況知らないよ! 俺は記憶が欲しいだけだよ!?

 

「やっぱあれか! 料理ができるからか!

 くそぉぉぉっ!! てめぇも十分イケメン枠じゃないか!!」

 

「いやだから俺イケメン枠じゃないってば。虹川さんとこでもそう言われたし」

 

「あのーイッセーくん? 僕も料理できるんだけど……」

 

「木場! お前は話をややこしくするな!」

 

なんだこれ。ふふっ、人が一人増えただけでこうも賑やかになるとはね。

こういうのはうるさいが、嫌いかというとそうでもない。

そうだな。とりあえずはリアス・グレモリーに矛を向けるのはやめようか。

証拠が出揃ってからでいい。聞きたいこともあるし。

 

俺が宮本成二に戻るかどうかは別として、記憶も探さないと。

まだ暫くは、ここを拠点にせざるを得ないな。

皆でワイワイ騒いでいると、ふとグレモリー部長が俺に話を振ってくる。

 

「ところでセージ。答えは出たかしら?」

 

「――ええ。今までの非礼をお詫びするとともに

 今はもう一度自分を眷属の末席に加えていただきたく存じ上げます」

 

……すみません。半分嘘ついてます。

非礼は確かに詫びますが、今後一生を貴女の眷属として生きるつもりは毛頭ありません。

 

俺だって、生涯を賭けて共に生きたいと思う人の一人は欲しい。

けれど、それはきっと貴女じゃない。それに、眷属ってそういう意味じゃないでしょう?

 

俺の嘘に気づいていないのか、知ってて知らない振りをしているのかは読み取れないが

グレモリー部長は俺の答えを聞き届けてくれた。

 

「勿論よ。あなたも私の素敵な眷属。そう簡単には手放さないわよ?

 それと――ごめんなさい。今回の件、確かに私の失策もあったわ。

 今後、この街の警備はもう少し厳しくするわ。契約者を守るのも、悪魔のお仕事だものね」

 

とりあえず、分かってもらえたって解釈でいいのだろうか。

それに物は考えようだ。もし万が一にも無能な主サマならば

それを正すのも、眷属の役目ではなかろうか。俺はイッセーほど欲望に正直には生きられないが

それでも、悪魔になった以上は俺の納得することのためにその力を使いたい。

アーシアさんだってそうしてきたんだ。

 

いや、これもある意味欲望か。方向性が違うだけで。

これが悪魔で、生霊の俺、歩藤誠二の新たな第一歩としておこう――。




はい。

と、言うわけでハイスクールD×D 同級生のゴースト
原作第一巻部分はこれにて終了となります。

ただの妄想に付き合ってくださった皆様ありがとうございます。
(実際にはまだおまけがありますが、それ原作第八巻のネタを多分に含んでますし……)

リアスに対する不信感は完全には拭い切れていないものの
とりあえずここがひとまずの落とし所としております。

……なので、原作第二巻部分ではまたリアスないし
イッセーとも険悪になる恐れがあることになります。
何せ、まだ問題は何も解決してませんので。

以前も少し触れましたが、徐々に原作からの乖離を目指しています。
最初のうちはまだただの生霊が紛れ込んだだけだったので
ほとんどストーリーに影響を及ぼしていませんでしたが
禁手の可能性を示唆した上に着実に手札を増やしている以上
及ぼす影響は間違いなく大きくなります。

おまけに原作通りに進行したとしたら二巻で強化イベント発生しますし
そうなれば嫌でも影響を及ぼすことになると思います。

そうして変化していく物語を作れたら、と思っています。
では、次回おまけストーリーでお会いしましょう。

※02/21 ルビ追加
その他矛盾点を見つけたような気がしたけど気のせいだった
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