お陰でgdgdになったかもしれませんが……
「待たせたな、ヴァーリ!」
「遅いぞ……ってなんだその大所帯は。大技で巻き込まれるのがオチだぞ?」
セージが抜けた間、
しかし、その軍勢はヴァーリの目を疑わせるには十分だった。
「そうならないように、散開して戦うにゃん。幸いにして個々のチームに分かれても
戦力は維持できると胸を張って言えるにゃん。敵うかどうかはさておき」
「で、フォローのために俺がつく。正直、総力戦で挑まなければどうにもならん相手だろ」
黒歌の提案に、セージが乗っかるようにして語る。
黒歌の言う通り、チーム分けして戦えばあのロンギヌススマッシャーで
纏めて消し飛ぶことも無いだろう。
チーム分けは単純だ。元教会組、猫姉妹、その他。リアスはその他に組み込まれている。
セージはそれぞれのチームに分身してつき、各々のバックアップに回る形だ。
「けれどお兄さん、この作戦の肝はお兄さんとそこの駄乳悪魔にかかってるんだから
無茶したらダメにゃん」
「だっ、誰が駄乳悪魔よ! この元はぐれ悪魔!」
「……喧嘩は他所でやりなさい」
言い争いを始める黒歌とリアスを、慧介が呆れた様子で諫める。
こんな事をしている場合ではない。
そして、今回の最終目標は兵藤一誠を契約解除し覇龍を内側から瓦解させることにあるのだ。
その為には主であるリアス・グレモリーの力が不可欠である。
「けれど、そんなことをしたらセージも……」
「身体を取り戻した時点でその辺の心配は要らないはずだ。
その件に関しては悪いがアモンの方を信用させてもらう。
グレモリー部長は気にせず兵藤の契約解除だけ考えてろ」
「……契約解除、ね。許してちょうだいイッセー。
もうこれしかあなたを止める方法が無いの……」
沈痛な面持ちで一人ごちるリアスをよそに、覇龍となったイッセーは暴れまわり
今なおその周辺を荒地に変えている。
それを止めるべく、この場には数多くの戦士たちが集まっているのだ。
このまま放っておけばいずれ自滅して静止するだろう。
しかし、その前に地上が持たない。駒王町を地図から消すわけにはいかないのだ。
いや、下手をすれば日本の東の一部が地図からごっそり消えることになるかもしれない。
そんな危険なものを、放置はできない。
故に、敵わぬ戦いとわかっていても戦いを挑むのだ。
ヴァーリは一人嬉々として挑むが、他の面々はその限りでもない。
たった一人の愚かな選択の後始末。これに尽きるのだ。
「ゼノヴィア君、よく見てなさい。あれが力に溺れると言う事だ」
「ああ、よくわかる。あれは野放しにはできないと言う事も併せてな」
慧介の見立てに、ゼノヴィアが首肯する。
実際慧介の言う通り、今のイッセーは力に振り回されているとしか言いようがない。
そんなものを野放しにすればどうなるか、それのわからないゼノヴィアではない。
それぞれ
それを迎撃しようと瓦礫が飛んでくるが
その瓦礫はアーリィのナイトファウルによって砕かれる。
「あれにも悪魔の要素があるのなら、倒せない事は無いですね。
話も通じなさそうですし、倒してしまいましょう。この町のためにも」
「……一応、部長が止めるって言ってますので止めまでは勘弁してもらえますか?」
アーリィの過激な一言に対しツッコミを入れる白音。
彼女もまた、アーリィと共に瓦礫の破砕を行っていたのだ。
悪魔の力も使いよう。彼女は確かに悪魔の力を町を守るために振るっていたのだ。
その一方で、背後から気を流し込み覇龍の動きを鈍らせているものがいた。黒歌だ。
「さて、そろそろ大人しくしてもらうわよ。これ以上暴れられたら手に負えないものね!」
気の流れを変えられたことで苦痛を感じているのか、咆哮が響き渡る。
それと同時に暴れ出すイッセーの攻撃を、セージがディフェンダーで弾く。
集団で、一匹の巨大な竜に挑む様はまるで狩猟ゲームのごとき光景だが
これはゲームではない。現実の戦いだ。
覇龍と言えども脆い部分は存在するのだ。
数で翻弄することで、ようやくその脆い部分を突くことが出来る。
神経断裂弾。体内から組織を破砕することで如何なる相手にも致命傷を与える武器。
「いい加減にしろ! 君は自分の住む町を破壊したいのか!」
人々を守るために剣を振るうゼノヴィアにとって、今のイッセーは相容れない存在だ。
デュランダルが覇龍の鱗を切り裂こうとするが、ここに来てイッセーが力になじんできたのか
セージの持っていたディフェンダーの要領で鱗を硬化、デュランダルの攻撃をはじいてしまう。
「なにっ!?」
「下がりなさい!」
ゼノヴィアが下がる隙を作ろうと、慧介が未知への迎撃者で銃撃しイッセーの目を狙う。
その瞬間、確かに隙は出来た。だが、今度は背中から無数の触手を生やし
我武者羅に触手で周囲を薙ぎ払い始める。
それは最後の悪あがきだろうか。何のために振るわれる力なのだろうか。
例えば、ゼノヴィアや慧介は人々を守るために剣を振るう。
アーリィは人に害成す悪魔を祓うために力を揮う。
アーシアは傷ついた人々を癒すために力を揮う。
黒歌と白音はセージへの恩返しのために。
ヴァーリはより強いものと戦うために。それでも無差別な破壊はよしとしていない。
そしてセージは自分の身体を取り戻すために戦っていた。
身体が戻った今、家族を守るためだろうか。
それぞれに、戦う、力を揮う理由はあるのだ。
ところが、イッセーにはそれが無い。理由なき力は、危険なものである。
「イッセー! いい加減にしなさい!
人様に迷惑をかけるような子に、育てた覚えはありません!」
「母さんの言う通りだ! 今すぐ暴れるのをやめるんだ!」
触手の薙ぎ払いに怯んだ一同をよそに、兵藤夫妻の檄が飛ぶ。
その声に反応するかのように、イッセーの動きが一瞬だが、止まる。
「ぐ……あ……ががっ……?」
SOLID-FEELER!!
その隙を突いて、分身したセージが触手を使いイッセーの身体を地面に括り付ける。
仰向けに、大の字に寝かされる形になったイッセー。
その姿はまるで、手術台に寝かされたクランケだ。
「グレモリー部長、今だ!」
セージの言葉に、リアスは躊躇いながらもイッセーに歩み寄る。
その表情は悲痛なものであったが、ここで何とかしなければ駒王町は、日本は終わる。
躊躇いながら、リアスは呪文を唱え始める。
しかし、その工程はもたついており
徐々にイッセーを縛り付けている触手が引き剥がされ始める。
EFFECT-CHARGEUP!!
総がかりでイッセーを抑えつけようとする一同。
それでも、一向にイッセーから悪魔の駒が抜き出てくる様子はない。
「……ダメ! 私にはできない! イッセーを、イッセーを殺す事なんて……!!」
「……チッ! ヴァーリ、ここは頼む!」
「お、おい!?」
その言葉を聞いた瞬間、分身したセージのうちの一人が、リアスをぶん殴った。
それに合わせ、覇龍の咆哮が響き、触手が引き剥がされようとするが
なんとか捕縛状態は維持されていた。
「この期に及んでなんてザマだ! いいか!? 兵藤はな、お前に惚れていたんだ!
そこには下心は多分にあっただろう、あいつの事だ!」
「それは……だからこそよ! 私の手でイッセーを手にかけるなんて、そんな真似……」
「お前はレイナーレと同じなのか!? だったらここでまずお前からぶっ潰してやる!
あいつは兵藤を騙して殺し、結果としてお前のもとに転がり込む原因を作った!
お前が同じ穴の狢だというなら、兵藤の前にお前から潰してやる!
そうじゃなくてお前が兵藤を愛しているって言うんなら、ちゃんとけじめをつけろ!
お前の手で、兵藤を止めるんだ!」
リアスの胸倉を掴みながら、セージは叫ぶ。
一しきり叫んだあと、突き放すようにして吐き捨てる。
「……ま、愛してないならそれはそれでいいんだが。
だが、常日頃から眷属だなんだ言ってるんだ、どのみち責任はとれ。
そしてこれ以上のお膳立ては無理だ。これ以上を要求するなら、それ相応のやり方をする」
「それ相応のって……まさかセージ、あなた……!」
今更な事ではあるが、既にセージはイッセーを殺す事も念頭に置いて行動している。
それはリアスの思想とは真逆に位置していることも当然ながら、知っている。
しかし、そうでもしなければこの状況は打開できないと考えての事だ。
「最後にこれだけ言っておく! 逃げるな!!」
拘束を解こうともがく覇龍を抑えつけるために、リアスの元から下がるセージ。
覇龍の力はすさまじく、抑えつけているのも限界である。
もしこの拘束が解けてしまえば、もう同じ手は通用しないだろう。
そうならないためにも、殺すなりなんなりの手段が必要なのだ。
「…………イッセー…………」
リアスは涙を浮かべるも、誰も彼女を慰めはしない。そんな余裕が無いのだ。
勿論、そうしたいのは山々だと考えている者もいるだろう。アーシアとか。
しかし、それさえままならないほどに事態は切迫しているのだ。
リアスの中にも、様々な感情が渦巻いていた。
矜持、愛情、確執等々。それが判断を鈍らせていることは言うまでもない。
そんな余裕はない。今は、決断すべき時なのだ。
左手で涙をぬぐい、意を決してイッセーに向き直るリアス。
「イッセー、今楽にしてあげるから……!」
「早くしろ……これ以上は……持たない……っ!!」
リアスが呪文を唱えると同時に、イッセーを拘束していた触手が千切れそうになる。
抑えつけているメンバーも、既に必死である。
EFFECT-CHARGEUP!!
SOLID-FEELER!!
力を増したり、巻きつける触手を増やしたりしても、焼け石に水である。
それでも、ここでイッセーは止めなければならない。
リアスの決意を無駄にしないためにも。
この町を守るためにも。
そして、イッセー自身にこれ以上罪を重ねさせないためにも。
触手が引き千切れそうになる瞬間、リアスの呪文の詠唱が終わる。
その直後、イッセーから悪魔の駒が抜け出てくる。
それと同時に、糸が切れたようにイッセーは倒れ込み、覇龍も解ける。
戻ったその顔に、生気は無い。
「!! イッセー!!」
抑え込んでいた一同が崩れ込む最中、リアスはイッセーに駆け寄るが
悪魔の駒で生き長らえていたイッセーから悪魔の駒を抜き取ったのだ。
いわば生命維持装置を抜き取ったようなもの、生きているはずがない。
その一方、セージには何の影響もなかった。
アモンによる力添えがあったとはいえ、本来あるべき肉体と魂が揃っているのだ。
この時点で、共有は解除されたと言ってよかったのかもしれない。
だが、今のセージはいわば「悪魔憑き」。完全に元に戻ったとは言い難い状態だ。
そもそも、元々セージは瀕死の重傷を負っただけで死に至ったわけではない。
そこを肉体と魂の分離と言うトラブルが発生していたため、消滅の危機に瀕していただけなのだ。
自分に何の影響もない事を確認した後、イッセーの方を見遣るセージ。
そこには、必死に悪魔転生の儀式を行おうとするリアスが居た。
しかし……
「なんで、なんで悪魔の駒が反応してくれないの!?
イッセー、お願いだから目を覚まして! イッセー!!」
悪魔の駒による転生は、神格を得た者には通用しない他
自身よりも能力の高いものには通用しないという特性がある。
しかし過去にイッセーは――と言うよりドライグが、だが
セージから
その部分がネックとなり、リアスの悪魔の駒は反応しなかったのだ。
そして、イッセーが命を落とした今、ドライグが――
赤龍帝の籠手が逆説的にイッセーから抜け出ようとする。
と言う事を意味していたのだ。
しかし、それに待ったをかけるかのように突如として猛吹雪がイッセーを包んだのだ。
「じゃーん☆ 魔王少女レヴィアタン、ここに参上だよっ☆」
そこにいたのは、セラフォルー・レヴィアタン。
まるで空気の読めていないその様には、そこにいた全員が凍り付いてしまった。
イッセーだけは、物理的に凍り付いているが。
「リアスちゃん、この子はサーゼクスちゃんが預かるって。
今のあなたじゃ、この子を蘇生させるのは無理。
でも、この子を復活させる方法はいくらでもある。例えば……」
「……まさか、
「うーん、それ以上は言っちゃダメだって☆
とにかくそういうわけだから、この子の事については安心してちょうだい、じゃーね☆」
言うや否や、氷漬けのイッセーを連れてセラフォルーは冥界へと帰って行った。
この一連の事態には、兵藤夫妻も開いた口が塞がらないでいた。
ともあれ、駒王町は壊滅の危機を一先ず脱出する運びとなった。
その為に払った犠牲は、決して少なくは無いが。
ここに、想像を絶する戦いは幕を閉じたのだ。
「攻撃部隊より本部へ。対象は沈黙。繰り返す、対象は沈黙」
『本部より攻撃部隊へ。対象の沈黙を確認。
現時刻をもって未確認巨大生物対策作戦の終了を宣言する』
遠巻きに眺めていた自衛隊の部隊。彼らも壊滅状態になりながらも
駒王町を、日本を守るために戦っていた。その事だけは間違いがない。
そして今、日本がアメリカ軍の攻撃に晒されるという事態も免れることが出来たのだ。
――――
翌日。
超特捜課は一連の事件の後始末に追われていた。
曲津組の支配していた地域は事実上の壊滅。
避難が間に合わず、死傷者も多数出た模様。
その日も、行方不明者を張り出してある掲示板の前には人だかりができていた。
その中には、松田や元浜の姿もあった。
人員整理をしているセージの目にも、二人の姿は飛び込んできたのだ。
「……よう、二人とも」
「せ、セージ! セージじゃないか!」
「お前、もう退院していいのかよ!?」
セージの姿を確認するなり、二人は駆け寄ってくる。
事情を知っているセージは、多少気まずそうな顔をしながら二人の質問に答えていた。
「あー……電気ショック浴びせられた的な?
それで元に戻ったみたいで、今病院もベッド一杯だし?
それで、外に出てリハビリしつつの、今警察の厄介に……変な意味じゃないぞ?
それと、イッセーについてなんだが……」
「……悪ぃ。もうあいつのことを話すのはやめようぜって二人で話してたところなんだ。
この事を話すと、色々あるけどよ……」
「あ……すまん。色々あったと言う事で察しておく。だから無理に言わなくてもいい」
釈然としないものを感じながらも、松田と元浜はセージの復活を喜んでいた。
事情を知っているセージは、アモンの存在を隠さざるを得なかったのだ。
イッセーの存在についてだが、悪魔になったばかりか怪物になり
その上、氷漬けにされて悪魔に攫われているのだ。
顛末についてはこの二人は知らないにしても、セージは嫌と言うほど知っている。
もう、人間としての兵藤一誠は何処にもいないと言う事だろう。
「それより聞いたか? 学校、もうじき再開するんだとよ」
「早いな」
「ああ……けどよ、俺達暫くはこっちで復興作業の手伝いしようと思うんだ。
色々あったしよ、学校も行けたら行くけどよ。
その前に、町が安心して暮らせるような状態じゃないとどうにもならないと思うんだよ」
松田と元浜の意見に、セージは大きく頷く。
これが今までイッセーとつるんで素行不良に及んでいた連中の言う事かと思えるくらいに
言っていることはまともだった。
「お前も来るんだろ? 学校」
「……え? あ、それは……」
最初はそのつもりだった。だが、今は手放しで首を縦に振れない。
超特捜課に就いたことは話せば通学に関しては工面してくれるだろう。
そもそも本来セージがなすべきことは学業だ。
バイトも言わずもがな。それ以前の問題として
バイト先がまだ存在しているかという問題はあるが。
それ以上の問題、それはアモンの存在だ。
アモンを身体に宿したまま学校に行っていいものかどうか。
俺も、ある意味では兵藤と同じになってしまったのではないか。
そう、セージは考えていたのだ。
「っと、そろそろ行かないと。じゃあなセージ、待ってるからな!」
それだけ言って、松田と元浜はセージの前から走り去ってしまった。
図らずも、セージには新たな問題が生じる形となってしまった。
アモンの存在は、確かにセージに身体を取り戻させるきっかけになったのかもしれない。
しかし、それと同時に新たな問題を生み出すきっかけにもなってしまっていたのだ。
「あ、セージさん。ここにいましたか」
「あなたは……アーリィさん? 何故ここに?」
思わず考え込んでしまったセージの前に現れたのは、アーリィ。
彼女もまた、アモンの存在についてはよく知っている人物であった。
そして、アモンが齎したセージの家族や大切な人との因縁についても。
「いえ……アモンさんをお連れする前に、ご家族の方とお会いしたもので」
「それはどうも……え?」
アーリィの言わんとすることを、察してしまったセージ。
それはつまり、アモンがセージの家族と遭遇してしまったことを意味していた。
セージの本当の戦いは、ここから始まるのかもしれない。
リアスの決断。そして魔王の横槍。
冷凍保存されたイッセー。これらが意味するところは……
一方、身体が戻った今アモンとの確執に向き合う事になったセージ。
彼が歩む道はイッセーと同じものになってしまうのか、それとも……
ここでお知らせです。
この特別編終了後、数話程度交えた後
「ハイスクールD×D 同級生のゴースト」は完結となります。
セージがゴーストでなくなった今、タイトル詐欺になりますし。
特別編? ……そっちはまぁ、追々考える形で。
そして未定ではありますが
「ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン(仮)」を掲載する予定です。
まだフューラーやオーフィスレジセイアとの決着ついてませんし。
……これらは本当にセージが相手にすべき存在なのかどうか、って疑問はありますが。
逆に言えば拙作ではリアスやイッセーとか除けばこれ位しかボスがいないという。