ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

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クロスオーバーを謳ってる以上、舞台設定もそうなるわけでして。


Soul81. 暴かれていく因縁

レイナーレが言い残した言葉……

 

――私はこの手で赤龍帝(ウェルシュ・ドラゴン)を殺さなければならない――

 

俺はその言葉が引っ掛かっていた。

 

『だから言ったろう。あの天野とかいう小娘から情報を聞きだせって』

 

「今言っても仕方ないだろ、とりあえず彼女が何らかの鍵を握っているのは

 間違いないって事か。仕方ないな、これは」

 

アモンからのダメ出しを喰らいながら、俺は警察署に戻って情報を纏め直す事にした。

 

――――

 

――駒王警察署。

 

食事の時間も終わっており、人もまばらになりつつある時間。

この所のインベスやアインストの沈静化もあって、一部の人々には帰宅許可も下りたようだ。

だが中には、家を壊されたとかで帰宅できない人もいるわけで

結局仮設住宅に住み込んでいる人も決して少なくない。

兵藤の親御さんもそうした人達の一例と言えよう。

 

「あ、宮本君。天道さんからの差し入れ、君の分も貰っておいたよ」

 

「ご丁寧にありがとうございます」

 

俺は兵藤の親御さんから味噌汁を受け取り、温め直して飲むことにした。

いくら天道寛の作とは言っても、冷めた味噌汁を飲む気は無い。

 

「今日もお勤めご苦労様だねぇ。超特捜課……だっけ。

 そこに協力しているんでしょう?」

 

「ええ。俺に力がある以上、その力を使わないわけにはいきませんから。

 こういう世界なら尚更です」

 

「無理だけはしないでね、イッセーみたいな事だけはもう御免だから……」

 

兵藤の名前が出ると、どうしても暗くなってしまう。

無理もない、自分の息子がバケモノになった挙句冷凍保存されて

魔王に連れ去られているのだ。

 

俺には、何の思惑で魔王陛下が兵藤を連れ去ったのかまではわからない。

だが、どうにも嫌な予感だけはしてならないのだ。

勿論、それをここでいうつもりは無いが。

だが、その前に俺は無駄だと分かっていても聞いてみることにした。

 

――天野さんの事について。

 

兵藤の彼女としての天野さん……いやレイナーレの存在は

親御さんも知っているはずがない事はわかっている。

だから、レイナーレではない天野さん本人について

何か知っていることは無いか、俺は親御さんに聞いてみることにした。

 

「そうだ。お二人にお聞きしたいんですが、天野夕麻という子について

 何か知っていることはありませんか?」

 

「いや……何も知らないな。なぁ母さん?」

 

「天野……夕麻……やはり聞いたこと無いわね。ごめんなさいね宮本君」

 

やはり。ここで得られる情報は無いみたいだ。

ただ、おかしな間があったのは気になったが……

もしかしたら言いにくい事なのかもしれない。それについて根掘り葉掘り聞くのは

マスゴミだ。リー・バーチだ。俺はそういうやり方は好きになれないので

天野さんについて聞くのはここで切り上げることにした。

 

「いえ。こちらこそお答えいただきありがとうございます」

 

答えてもらったことに俺が二人に礼を言うと

そのタイミングで天照様の使いがやって来た。曰く

 

――アインストの影響が及んでないかの検査

 

だそうで、俺も邪魔になってはいけないと思い

同じタイミングで仮設住宅を後にすることにした。

そう言えば、アインストに変異させられていたんだ。

今のところ、俺が見た限りでは影響はなさそうに見えるがやはり検査は必要だろう。

 

一体全体、この町はどうなってしまうのだろうな。平和に過ごしていたはずの人でさえ

何の前触れもなく怪物にさせられてしまう。そんなところが平和であるはずがない。

やはり、俺は戦わなければならないみたいだ……

 

――――

 

「……で、そうして黄昏れてるわけかい?」

 

「調査が行き詰ったんだよ」

 

外に出てぼんやり考え事の続きをしていると、祐斗に話しかけられる。

冗談めかして言っているが、本当の事である。

 

「で、祐斗は何か収穫あったのか?」

 

「あはは……こっちも全然だよ。僕も黄昏れようかな」

 

祐斗も俺の冗談に呼応するように冗談めかして言っている。

俺とは違う線で当たっていたはずなのに、それでも手掛かりなしとは

天野さん、一体どういう経緯で兵藤の事を……?

 

「……二人してサボらないでください」

 

「……サボってねぇ」

 

容赦ない白音さんのツッコミを浴びつつ、俺達は白音さんも交えて

天野さんの情報についての交換を行う事にした。

……と言っても、俺達が全然収穫ゼロなので白音さん次第なのだが。

 

「……あの変態、一体いつからあのザマなんですか。

 まさか中学時代まで遡るとは思いませんでした」

 

中学時代? 確かあいつのあのスケベは小学生の頃からだと聞いていたが……

まさか中学時代に何かあったのか?

気になった俺は、白音さんに聞いてみることにした。

 

「……ええ。一誠先輩、一度だけ珠閒瑠(すまる)市ってところに住んでいたことがあったみたいなんです。

 それがちょうど中学の時で、向こうでも……」

 

「……やらかしたのか」

 

「……はい。で、向こうの教師にこっぴどく怒られて半ば追い出される形で

 こっちの駒王町に出戻りしてきたみたいなんです。

 後はセージ先輩や皆さんのご存知の通りです」

 

ふむ。その珠閒瑠市はこっちより治安がいいのか?

兵藤の行いに正しく制裁が加えられたみたいだし。

だけど、それと天野さんがどういう関係があるんだ?

また疑問が出て来た俺は、再度白音さんに尋ねてみることにした。

 

「兵藤がやらかしたのはわかった。だけどそれと天野さんがどういう関係が?」

 

「……いたみたいなんです。天野さん……の友達が珠閒瑠市に、その中学に」

 

「読めたぞ。彼女はその仕返しをイッセー君にしようとしているんじゃないかな。

 その為に堕天使の力を使って。そしてレイナーレはそこに付け込んだ、と」

 

祐斗の考えは、俺とほぼ同じだった。

赤龍帝――兵藤一誠を殺さなければならない理由。それは神器(セイクリッド・ギア)の危険性もさることながら

個人的な理由もあるのではないかと考えられるからだ。

レイナーレ個人としては、危険性から殺害しようと試みていたようだが

それに加え、天野さんの悪感情が混じった形となればブレーキをかける理由がどこにも無くなる。

それに、ただ殺すだけなら闇討ちとかいくらでも方法がある。

それなのに、態々恋人を装って殺す位なのだから

余程残酷に殺したい相手だったのだろう、兵藤は。

 

『やっぱりな。あの小娘の抱えてる闇、相当でかかったぞ。

 あの小僧に相当な恨みがあると見たね、俺は』

 

アモンが祐斗や白音さんの意見から見解を述べる。

やはり悪魔だからか、人の抱えている闇とかそう言った面には聡いのだろうか。

しかし、天野さんもとんでもない事をしてくれたものだ。

復讐のために堕天使の力に頼るとは……

 

……あれ? あれれ?

そうなると、俺がああなったのはやっぱり兵藤のせいって事か?

なにせ珠閒瑠であいつがやらかして、それを根に持った天野さんがレイナーレに依頼して

あんな方法で兵藤を殺しにかかって、俺はそれに巻き込まれ……

 

……なにこれ。

俺、無駄死に――死んでないが――じゃないか!

全く、どこまであいつは自分の尻拭いを他人にさせれば気が済むんだ。

そうなると本当に酷いな。珠閒瑠の事件だって俺は初めて聞いたが

これを親御さんに聞く気にはならない。向こうだって触れられたくない事だろう。

本当に兵藤の奴は親不孝者だな……!

 

とりあえず、今やるべきことはレイナーレに真実を話し

アザゼルの元に出頭してもらう事だ。今ここで堕天使にうろつかれるのは色々マズい。

まさかアイツ、フューラー演説の事も知らないなんてオチは無いだろう……と思いたいが。

仮にも禍の団(カオス・ブリゲート)に所属しているフューラーの演説を、禍の団との関連を疑われている

レイナーレが知らないなんて、お粗末にも程がある。

 

「とりあえず、天野さんとレイナーレの関係については憶測だけど読めてきたな。

 これは何としても、レイナーレを確保してこのバカげた騒動を終わらせたいところだな」

 

「天野さんの説得も大事じゃないかな。堕天使に頼ってまでイッセー君を殺そうとしたんだ。

 余程深い恨みがあるって事だろうね……何となく、僕にはわかるよ」

 

祐斗も聖剣絡みで暴走したことがあったな……と思いつつ

俺はレイナーレを止める側、祐斗と白音さんは天野さんの説得と

二手に分かれることにした。

 

――――

 

祐斗の暴走と言えば。俺は身体を取り戻してから気になっていたことがあった。

あの時世話になった海道さんや、虹川姉妹。

あれから見ていないが、今の俺でも見えるのだろうか。

今の俺は、霊体ではない。幽霊との対話はもうできないのだろうか。

尤も、出来たら出来たでこの現状ではノイローゼになりそうな気がするが。

何となく、非業の死を遂げた悪霊で溢れていそうな気がするからだ。

 

……それもあるし、今それについて考えるのはよそう。

俺は気を取り直し、レイナーレの捜索に取り組むことにした。

 

COMMON-RADER!!

 

レーダーを使い、レイナーレがいないかどうかのチェックを行う。

しかし、どうもレーダーの調子が悪い。

記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)の不調……とは考えにくい。

この手ごたえはフェニックスと戦った時と同じ、ジャミングだ。

しかし、一体誰がジャミングをしているのだろう?

 

……いや。逆に考えろ。さっきの記録再生大図鑑のエラーと言い

レイナーレだって記録再生大図鑑持ちの俺と戦った経験があるんだ。

何らかのメタを打っていてもおかしくない。

このジャミングも「ジャミングのせいでレイナーレが探せない」じゃなくて

「ジャミングのある所にレイナーレがいる」って考えてみたらどうだ?

 

EFFECT-HIGHSPEED!!

 

試しに、俺は高速移動を交える形でレーダーの起点位置を調整してみることにした。

レーダーが示す場所では無く、ジャミングが発生する場所を元に

レイナーレの居場所を突き止めることにしたのだ。

ものは考えよう、俺は地道に「あたり」を付けながら

レイナーレが居るであろう場所を探し続けるのだった。

 

レーダーの範囲を絞りながら、俺はあたりを付けていく。

徐々にではあるが、居るであろう場所がわかり始めてきたところだ。

だが、ここで思わぬ展開が待ち受けていたのだ。

 

「お? 誰かと思えばクソ悪霊じゃねぇか!

 丁度良かった、俺様暇で暇でイライラして来たところなんだよ。

 お前とっとと俺に殺されちゃくれねぇか?」

 

「フリード!? そう言えばお前には言って無かったな。悪霊は廃業だ!

 そして今俺は忙しい、邪魔をするな!」

 

「忙しい? 邪魔するな? ハッそいつは好都合!

 だったら俺様ちゃんはとことんまでてめぇの邪魔をしてやるんだぜ!

 やれよ菫の猛毒蛇(パーピュア・サイドワインダー)鈍色の鋼角皮(アイゼン・シュラオペ)朱の空泳魚(ロッソ・スティングレイ)!」

 

ちょっ……いきなり三体同時召喚とか大盤振舞だな!

レーダーを絞っていたのが仇になったのか、フリードに気付けなかった!

俺は魔獣の攻撃を躱しながら、反撃の体制を整える。

 

DIVIDE!!

BOOST!!

DOUBLE-DRAW!!

 

GUN-EXPLOSION!!

 

SOLID-SHOTGUN!!

 

「へっ! 散弾じゃあなぁ!!」

 

俺の武器選択を嘲笑うかのようにフリードは魔獣に攻撃指令を出している。

確かにショットガンで倒せるほどこの魔獣は簡単な相手ではない。

特に鈍色の二足歩行の犀。こっちの攻撃に全く怯む様子を見せない。

 

SOLID-GYASPUNISHER!!

EFFECT-STRENGTH!!

 

散弾の通りが悪いなら、打撃で勝負だ。

正直、ギャスパニッシャーは重いので力を強化しないととてもじゃないが振り回せない。

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の恩恵がない今は尚更だ。別に惜しいなどとはこれっぽっちも思ってないが。

 

「お? そう言う趣味なわけ? 人は見かけによらないなぁ?」

 

「ほざけ、お前に趣味についてとやかく言われたくはないな!」

 

フリードにギャスパニッシャーの見た目についてとやかく言われるが、俺もそれは知っている。

俺だってこの見た目には言いたいことが無いわけじゃないが、こうなったものは仕方ないんだよ。

迫りくる魔獣の攻撃をギャスパニッシャーで弾きつつ

俺は半ば必死にフリードや魔獣を遠ざけようとギャスパニッシャーを振り回す。

 

蛇の尻尾を叩き潰したり、犀の表皮に叩きつけたり

エイの動きに合わせてカウンターを喰らわせたり。

それにしても、フリードも中々芸達者な奴だ。

はじめて会った時は祓魔弾を込めた拳銃や光剣を使いこなしていたかと思ったら

今度はエクスカリバーの因子を受け取ってエクスカリバーを振り回していたり

そうかと思えば魔獣の召喚だ。こいつは一体何なんだ。付き合ってられないぞ。

 

「やっぱ戦ってるのは楽しいなぁ! イライラがスカッとするぜ!」

 

「俺はちっとも楽しくないな! いい加減疲れてきたからさっさと帰れよ!」

 

『セージ、俺に代わるか? 俺はあいつと同意見だ、戦いたい』

 

やめてくれアモン。俺があいつと同類だなんて考えただけでゾッとする。

それに、下手にお前に代わったら今度は悪魔メタを張られるかもしれない。

そう言う意味でも、こいつは厄介な相手なんだ。

 

『そうかい。ま、お前さんの意見を尊重するぜ』

 

ありがとよアモン。今はお前の力を借りる場面じゃない、そんな気がしたんだ。

しかし、こう消耗していては無限大百科事典(インフィニティ・アーカイブス)も使えるかどうか怪しい。

あれ以来、一度も使ってないんだけど。

使えたからって劇的に状況が変わりそうにも思えないが。

またフリッケンの力を使えば、魔獣とフリード同時に対応するのも容易いかもしれない。

が、リハビリ中の今戦闘行為で無闇に分身すると

各個撃破と言う最悪のオチが待ち受けているかもしれない。

その危険性も考え、俺は分身も封印している。

 

だが、そう言えば気になったことがある。

俺は息を整えつつ、フリードに聞いてみることにした。無駄な気もするが。

 

「ここに来たって事は、レイナーレ絡みか!?」

 

「およ? アイツまだ生きてたの? 俺ちゃんそれ初めて知ったんだけど。

 あんな堕天使のクズ、今更何してようがアウトオブ眼中なわけ。

 俺がてめぇに会ったのは、本当に偶然なんだよ。

 ヴァーリは裏切る、イリナはどっか行く……俺だってこのままのこのこ帰ったら

 オーフィスの旦那に何言われるかわからねぇからな!

 っつーわけで……その首よこせや」

 

通り魔かよ。こいつらしいって言えば、らしいけどな!

だがそれならそれで尚更負けるわけにはいかなくなった。

通り魔にやられたとあっては、何のために身体を取り戻したのかわからなくなるからな。

元々、こんな奴にいいようにさせるつもりは毛頭なかったわけだが!

 

「寄越すわけないだろうが! さて、動機も聞けたところで

 そろそろお前にはご退場願う!『断罪判決の魔眼(フローズン・グローバルパニッシャー)』発動!」

 

ギャスパニッシャーのトリガーを引き、描かれた眼が見開く。

その眼に囚われた魔獣は、その動きを止める。

その勢いで、俺はギャスパニッシャーを振り回し魔獣に叩きつける。

鈍い音と共に、フリード目掛けて吹っ飛ばされる魔獣。

魔獣をよけながら、フリード自身も反撃を試みようとして来るが

俺はその隙を与えず、振り回したギャスパニッシャーを今度は

フリード目掛けて投げつけた。

 

「ごぶっ!? また……」

 

「ああ、『また』吹っ飛ばされるんだよ!!」

 

PROMOTION-ROOK!!

EFFECT-CHARGEUP!!

BOOST!!

 

俺は可能な限りのブーストをかけ、投げつけたギャスパニッシャーを再度取り

再びフリードをかっ飛ばす勢いで叩きつける。

仮にも生身の人間相手にこれをかますというのは

下手すりゃミンチになるんじゃないかって気もしたが

こいつもテロリストだ。かつてコカビエルの騒動の時に学校に避難した人がこいつに殺された。

その事を考えれば「殺されたから殺す」って無限ループに陥る危険性も考えたが

徹底的に吹っ飛ばす必要があると考えたのだ。

 

全身全霊を込めたギャスパニッシャーの一撃。

その一撃を喰らい、フリードは遥か彼方へと吹っ飛ばされる。あの時と同じだ。

フリードが吹っ飛ばされたことで、召喚された魔獣も同時に消え去った。

これ、そう言うメカニズムになっていたのか?

 

DEMOTION

 

こうして、俺はフリードの撃退に成功した。

肩で息をしながら、昇格(プロモーション)を解く。

 

……ってか、悪魔の駒が無いのにまだこれ使えたんだ。

新しい発見に俺は疲れながらも胸を躍らせつつ、その場に座り込んで息を整えることにした。

 

結局、フリードの横槍のせいでレイナーレは取り逃がしてしまった。

レーダーで絞り込んでみたが、ジャミングの反応が無くなってしまったのだ。

勿論、レイナーレ自体の反応も無い。

仕方なく、俺は一旦警察署に戻ることにした。

 

……あ。あいつ(フリード)の身柄確保すべきだった。

俺はしまったと思いつつ、少々重い足取りで警察署へと向かうのだった……

 

――――

 

――駒王警察署。

まず俺がすべきことは、氷上さんや柳課長にフリードとの遭遇戦について報告を行うことだ。

結果として逃がした形になるので、少々気が重いが言わないわけにも行かない。

 

「――と言うわけで、フリードに遭遇したんですが……」

 

「逃がしてしまったのは小さくないが、お前が無事で何よりだ。

 心配せずとも、フリードは既に国際指名手配だしこの国内にも包囲網は張られている。

 出雲、京都、奈良、三重をはじめとした神仏同盟の勢力下に

 長野や珠閒瑠と言った過去怪異事件の起きた地域でも人間が立ち上がっている。

 人間は、決して庇護されるだけの存在では無いと言う事だ」

 

「長野は大量殺人事件でしたけど、珠閒瑠は何かありましたっけ?」

 

柳課長の言葉に、氷上さんが疑問を投げかける。

俺も気になったので、柳課長に聞いてみようとしたが……

 

「俺に質問するな」

 

の一言が返ってくるだけだった。

仕方がないので、通りかかった霧島さんに珠閒瑠の事件について聞いてみることにしたが

 

「珠閒瑠の事件は、不確かなことが多いとしか聞いてないんです。

 長野の事件よりも昔に御影町と言う所で起きた起きた『セベク・スキャンダル』って事件が

 少なからず関係しているとしか私もわからないんです」

 

「霧島の言う通りだ。珠閒瑠の事件は警察でもトップシークレット扱いになっている。

 というかそもそもだ。珠閒瑠の事件は今調べることじゃないだろう。

 向こうでも天変地異クラスの災害が起きたらしい事は事実だけどな。

 とにかくセージ、フリードの事は心配するな、じきに逮捕される……

 いや、逮捕するさ」

 

柳課長の言葉を受け、俺は建物を後にすることにした。

フリードの件はどうにもならないにしても、レイナーレや天野さんはどうしたものか。

間違いなく、俺達を避けているようだが。特にレイナーレ。

 

「やあセージ君。警察の人から聞いたよ。フリードに会ったんだって?」

 

「ああ、何とか追い払えたけどな。そっちはどうだった?」

 

ここで俺は合流した祐斗達から新たな情報を得る。

しかし、そこで聞いたのは向こうは向こうで大変だと言う事位だった。

 

「セージ君、どうやらこの問題は思ったより闇が深そうだよ。

 天野さんと話は出来たんだけど……相当深いところまで彼女は知っているみたいだ。

 レイナーレが話したのかどうかまでは、わからなかったけどね」

 

「深いところまで……まさか、お前達が悪魔だってバレたのか!?」

 

「……そこまではバレてません。まぁ、学校で噂を聞いていたらその限りでも無いと思いますが。

 詳しい話は彼女の友人の名誉のために伏せますが、あの変態がやらかしてくれた事の

 始末を彼女はレイナーレに依頼したみたいです……本当にあの変態は」

 

やはり兵藤絡みか。その復讐のために堕天使――あるいは悪魔の力を欲して

それが偶々レイナーレだった……と。

レイナーレにしてみれば危険な神器を破壊できる、天野さんにしてみれば復讐が果たせる。

見事に利害は一致しているな。偶然の一致かもしれないが。

 

「それで、一応イッセー君が死んだ……って言うか、魔王様に連れていかれたわけだけどね。

 一応対外的には死んだって事になってるし、そう天野さんに伝えたんだけど……」

 

「……信じてはもらえませんでした。と言うか、聞く耳を持たないって感じでしたね。あれは」

 

「何処まで恨み買ってるんだよ……」

 

二人の話を聞いているうちに、何だか気が滅入って来た。

死体蹴りをしかねない勢いに聞こえたのだ。

アザゼル総督でさえ死体蹴りは勘弁って言っていたのにもかかわらず、だ。

 

「とりあえず、僕たちは可能な限り天野さんを説得してみるよ」

 

「ああ、それなら俺はレイナーレだな。正直俺もあいつの事はどうでもよくなってきたが

 アザゼル総督直々に身柄確保の依頼を受けちまったんだ。無碍にも出来ないし

 頭を抱えたいところだな、これは」

 

「アザゼル総督から? セージ君、それは流石に部長……いや、今部長は帰省してるから

 副部長か。副部長に報告したほうが良くないかい?」

 

「……聞く耳持つと思うか? あの堕天使皆殺しにしかねない姫島先輩が」

 

「……あはは……」

 

俺の意見に、祐斗は苦笑いを浮かべていた。いや、姫島先輩の今までを顧みるに

物凄く堕天使に対するヘイトを抱えているみたいだぞ? そこにアザゼル総督から

依頼を受けたなんて言ってみろ。ただでさえ色々な問題でヘイト集まってる俺なんだ。

これ幸いとばかりに排除にかかってくるかもしれないぞ。俺は今敵を増やしたくないんだが。

 

……ってちょっと待て。もしレイナーレの事が姫島先輩にばれたらそれはそれでマズいな。

 

「……なんとか天野さんとレイナーレは無関係だと言う事で副部長には話してます。

 天野さんはセージ先輩の事を知らないみたいでしたし、レイナーレが無関係ってのは

 そういう意味では嘘じゃないですから」

 

「そう言うわけだから、なんとか情報操作は出来ているよ……利敵行為? 何をいまさら」

 

「……毎度すまないな、二人とも」

 

本当に二人には頭が上がらない。

遠くないうちにオカ研が真っ二つに割れそうな気がするが、それは俺のせい……

やっぱ俺のせいだよな。絶対。

 

とにかく、二人に助けられつつ俺達はレイナーレや

天野さんに関する情報を再び集めることにした。

それにしても、グレモリー先輩が帰省、か。まぁ十中八九兵藤絡みだろうが……

 

……心なしか、物凄く嫌な予感を覚えてならなかった。




はい出てきました珠閒瑠市。
この世界は一応ペルソナ2的には「罰」設定です(と言うかそうしないと駒王町が崩壊してる事に……)
沢芽市(鎧武)とどっちにしようか悩みましたが、警察のフットワークが軽そう(免疫的な意味で)な珠閒瑠市に。
沢芽市も一応存在していますが、インベス騒動は起きていません。
インベスゲームなんて流行ってないんや!
(起きたら色々ややこしい事になりますので……ただ、あの企業は存在してます)

勿論、イッセー一家が珠閒瑠にいたなんてのは拙作独自設定ですので。
そして駒王なら突っ込まれなかったことも珠閒瑠では突っ込まれると言う事でオチが付いてます。
そのオチのお陰で因果が紡がれたセージェ……

>フリード
今回で「同級生のゴースト」におけるフリード戦はラストです。
ラストと言う事で序盤同様吹っ飛んでもらいました。但し今回はソロで。
と言うわけでフリード・セルゼンさんオールアップです(w
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