ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

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この作品はハイスクールD×Dの二次創作作品です。
仮面ライダーWは関係ありませんし
仮面ライダーアクセルも関係ありません。


今回、一部演出上なんちゃって英語
(協力:記録再生……もといgoogle先生他翻訳サイト)が出ます。
「何か違う」というご指摘を受けましても、改善は非情に難しいと思われますので
ご了承ください。

また、本編で使われている英語を実際に使用、流用して起こる不具合について
作者は一切関与いたしません。


Soul29. 聖剣、振り切ります。

木場と共同戦線の話を付けたその後、捜索を続行するも手がかりは得られず。

結局、いくらなんでも学業に影響を及ぼすのはまずいと言うことでその場は解散。

駒王学園の生徒ではない俺が聖剣捜索を引き継ぐ形になった。

 

これについて、海道さんに一部始終は話してある。

しかし、聖剣破壊の実行となれば、彼を巻き込むわけには行かない。

今は俺が勝手に木場の我儘に乗っかっている形なのだ。

グレモリー部長の我儘にはあまり共感できなかったが

木場の我儘には何故か共感できる自分がいる。

我ながらとんだダブルスタンダードだとは思うが。

 

海道さんと言えば、気になることを言っていたな。

――警察が、対悪魔のチームを結成している、と。

それが本当なら、俺個人としては望ましい。やはり人間の世界の平和は人間が守るべきだと思う。

と言うか悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の設計思想からして、人間――

ひいては他の種族――をバカにしすぎではないのか。

合意を得ているなら良いだろうと言う考えもあるかもしれないが

俺に言わせば、そうせざるを得ない状況に相手を追い込んで、自分の手駒にする。

これだって合意は合意だ。非常に計算されつくした、後味の悪い、な。

 

……うん? そういえば巷に聞いたアニメがそんなストーリーで話題になったっけか。

 

 

……それはさておき。グレモリー部長の日頃の態度から見ても

面倒事をこっちに持ち込んでいる、と言う風には考えていない様子だった。全く以って不愉快だ。

何故、この町にはぐれ悪魔が徘徊するようになったのか。

この町が悪魔に支配された町と言うのも、どういう経緯でそうなったのか。全く聞いていない。

 

……都合が悪いから言わないのか?

だとしたら、本気で反逆を考えなければならないかもしれない。

日本の妖怪が支配していると言うのなら、土着信仰の一種と言うことでまだ諦めがつく。

だがどう見ても、グレモリーは日本妖怪じゃない。

 

 

そういえば教会――キリストの連中も、土着の神を悪魔に仕立て上げて

己の神を押し付けたって経緯があったな。全く、三大勢力はどいつもこいつも!

 

……もしかして、己こそがって選民思考があるから、壊滅寸前になったんじゃないのか?

だとしたら……もう何もいえないな。戦争で得をする奴なんて、本当に一握りだ。

得られるものよりも、失うものの方が余程多い。だから俺個人としても戦争などクソくらえだ。

……当たり前だが、戦争なんて体験してないし、したいとも思わないが。

 

考えていたら何だか腹が立ってきた。それほどまでにこのところ理不尽な話が続いている。

頭を冷やそうと公園に向かっていたが、なにやら騒々しい。

パトカーが何台か止まっている。何があったんだ?

野次馬根性と言うわけではないが、近くによって様子を見てみることにした。

 

――――

 

「本部より各局へ。○被は駒王学園方向へ逃走した模様。○追願います、どうぞ」

 

「了解。駒王学園周辺に緊配、網を張ります、どうぞ」

 

「よーし、何が何でもホシをしょっぴくぞ!

 この捜査には、警視庁から派遣されたテリー(やなぎ)警視も参加される!

 各員、無礼の無いように捜査に当たるんだぞ!」

 

……警官があわただしく動いている。話の内容はいまいち読めないが

どうやら学校の方に何かが逃げ込んだらしい。時間的には誰もいないだろうが……。

それにしても、随分と騒々しいな。相当大きな事件でも起きたのか?

 

氷上(ひかみ)、ホシは確かに学園の方角に逃げたんだな?」

 

「そのようです。もうこの時間では学園には誰もいないとは思いますが

 立てこもられると危険ですね」

 

赤いレザージャケットと言う、警官にしては結構派手な服装の男と

やや長髪の男性警官が話をしている。話の流れからして、長髪の方が氷上さんらしい。

む、立てこもりか。確かにそれはまずいかも。

 

「よし。俺は学園周辺を当たってみる。

 ホシがあいつである以上、俺達超特捜課(ちょうとくそうか)の出番はあるだろう」

 

「――超常事件特命捜査課(ちょうじょうじけんとくめいそうさか)、ですか。正直、自分は今でも信じられません。

 この町が悪魔に支配されているなんて。

 そして、悪魔や人知の及ばぬ脅威から人々を守るために結成された部署だなんて」

 

「実物を見ただろう氷上。夜な夜な人を襲う悪魔。

 この町を実質牛耳っている僅か18歳相当の赤い髪の少女。

 二ヶ月位前にも、この町のはずれの廃教会で謎の爆発事故があっただろう?

 そういえばその少し前だったな。この町で連続猟奇殺人事件が起きたのも

 凡そ人間の仕業じゃない殺人事件が起きたのも」

 

「それはそうですが……そのときのホシ、フリード・セルゼンがまたこっちに来たんですよね」

 

超常事件特命捜査課……? 聞きなれないけど、今の警察にはそういう部署があるのか?

まあ、後で記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)で調べてみるか。

それと、やはり警察でもあのクソ神父は抑えようとしていたみたいだ。結果はああだけど。

 

「ああ……! 連続殺人鬼を野放しになどしておけるか!

 市民の平和を守るためにも、我々が動かなければならん」

 

「そうですね……。自分にも、柳さんみたいに神器(セイクリッド・ギア)があればよかったんですが」

 

「こればかりはどうにもならん。超特捜課自体、結成されて間もない部署だ。

 もう少しこちらでも研究が進めば、警備強化も可能なのだが……それまでは、俺が何とかする」

 

やや悔しそうに語る赤いジャケットの警官――柳さんが右手に持っているのは……

タコメーターつきのストップウォッチ?

話の流れからすると、あんなヘンテコなものの流通って事を踏まえても、あれが神器みたいだが。

 

一頻りの会話を終えた後、柳って人はこれまた赤いバイクにまたがっている。

覆面パトカーならぬ覆面バイク? 結構色々な意味で目立つと思うが……。

 

そういえば、周りで警戒している警察官にはちらほら見知った顔がいたが

この二人――柳さんと氷上さんは見た事が無いな。

新しい部署ができるからって理由で警視庁から派遣されてきたのか?

柳さん――テリー柳って言ったっけか。この人は間違いなく警視庁からの出向みたいだけど。

 

「じゃあ俺は学園に向かう。氷上、後は頼むぞ」

 

「了解しました、柳さんもお気をつけて。超特捜課氷上より本部へ。

 只今超特捜課柳警視が駒王学園方面へ急行中。

 なおホシは超常的戦力を保有している恐れがあり。神器使用の第二種体制を要請」

 

「――超特捜課柳より本部へ。駒王学園方面へ急行中。神器使用の第二種体制を要請する」

 

「本部了解。神器使用の第二種体制についても承認、ホシが超常的戦力を行使した場合

 速やかに第一種体制へ移行、超常的戦力の鎮圧に当たられたし」

 

バイクはひたすらに学園の方角へと向かっていった。

話の内容では、あの柳って人は神器を持っているらしいが……。

話を聞きたいところだけど……ぐむむ、実体がないのが悔やまれる。

最も、下手に実体化して「自分はここを牛耳っている悪魔の眷属です」なんて言っても、なぁ。

 

とりあえず、俺は柳さんの後を追ってみることにした。

 

――――

 

俺が学園に駆けつけたときには、既に状況は動いていた。

服装からして悪魔祓いだろうか、一人の男が鋭利な刃物で斬られて横たわっていた。

確かめてみたが、既に事切れていた。

と言うかこの状況自体、その悪魔祓いの魂から聞き出して把握したものだったりするのだが。

 

やったのはあのクソ神父であると言うこと。

そしてそれを追って警官が一人奥に向かっていったと言うこと。

 

警官は柳さんで間違いないだろう。

俺は静かに悪魔祓いの冥福を……と思ったのだが

生憎キリスト式の正式な死者の見送り方を知らない。

中途半端にやってえらいことになるのもまずいので

普通に別れを告げて柳さんとクソ神父の追撃を再開する。

 

 

そこでは、既に戦いが始まっていた。

方や人殺しを何とも思わず、悪魔相手にも普通に渡り合えるサイコパス神父。

方や神器持ちで、警官としての普通の訓練は受けているであろうが、一般人の警察官。

この勝負、一体どうなるのか。聖剣を持っている分、神父の方が優位なのか?

援軍に加わるべきかとも思ったが、今ここで実体化したら間違いなく話がややこしくなる。

実体化をしない援護は既に実践済みなので、いざとなればそうすればいい。

 

「あーもう! 今日はついてないぜコンチクショー!

 クソ悪霊どもにはいいようにされるし、まさか警察如きが俺様追いかけてくるなんてよ!

 おうポリ公、死にたくなかったらそこどけや!」

 

「断る。フリード・セルゼン、銃刀法違反の現行犯

 及び殺人の容疑で俺と一緒に来てもらおうか?」

 

一触即発なのは言うまでもない。相変わらずフリードの手には聖剣――

天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)が握られている。

もうバレバレなのはお構いなしなのか、頭に血が上って冷静な判断が出来てないのか。

あの分だと、遠からずお仲間に処分されそうだぞ?

 

「そーかい、そーかい。

 時に俺ちゃん、そろそろ悪魔もその崇拝者も斬り飽きてきたとこなんだよね。

 この聖剣で普通の人間を斬ったら……どうなるんだろうなぁ? なぁ、どうなると思う?」

 

「……俺に質問をするな」

 

なんと。今までは一応悪魔とその関係者だけに殺害対象を絞っていたと言うのに

ここに来て無関係の人まで殺そうとするとは。

聖剣の力に飲まれたか、或いは元々そういう資質があったか。

まぁ、後者だろうけど……それでいいのか、聖剣を持つ者として。

 

聖剣って言っても、ただ特殊な力を持っただけの剣って言ってしまえばそれまでか。

道具は結局持ち主の意思一つ、って事だろうよ。

 

「ああ、俺も答えは聞いてねぇ。何せ……

 

 ……斬りたいから斬るだけなんだよぉぉぉぉっ!!」

 

まずい! 聖剣の力で一気に突っ込んできやがった!

あれは騎士の木場でようやく対応できる程度の速さだ、柳さんは反応できないはずだ!

何とか……さっきと同じ方法は使えるか!?

 

EFFECT-MELT!!

 

俺はクソ神父の足元を溶かそうとしたが、相手の突進速度の方が速かった。

丁度通り過ぎた後の地面がドロドロに解けている。これじゃ意味が無い。

 

「今のは……っ!!」

 

「こいつぁ……まーたどっかに居やがるのかクソ悪霊。

 今俺様は忙しいんだ、人を斬るのにな。

 こいつ斬ったらお前も切り刻んでやるから、大人しく待ってろよ」

 

奇襲と言うものは、一撃で成功させなければ意味が無い。

外せば、こうして自身の存在を相手にアピールすることになるからだ。

ところが、クソ神父は柳さんに夢中で俺の事は放置するつもりらしい。

まあ、俺を見つけられなければそうせざるを得ないんだろうが……。

 

その肝心の柳さんだが、相手の攻撃が直線的だったのが幸いしたのか回避は成功したようだ。

よかった。

 

「わけのわからんことを。さて、速さなら俺の神器も負けはしない」

 

「神器だぁ? さっすが日本! フジヤマ! ゲイシャ!

 まさかポリ公まで神器を持ってるなんてな! 一般人を斬りたかったがまぁいいや。

 その神器がクソの役にも立たないことを教えてやるよ! どこぞのヘボ悪魔のみたいにな!!」

 

あ、そうか。こいつはまだイッセーの神器が赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だってことを知らないのか。

あの時、思いっきり吹っ飛ばしたからな。知らないのも無理は無いか。

そして柳さんの神器はスピードタイプか、ちょっとまずいか?

幸か不幸か、柳さんには俺の存在は認識されていない。このまま様子を見るとしよう。

 

「お前のその剣、データファイルにあったな。

 聖剣エクスカリバーの一種、天閃の聖剣。

 お前がそれを使うと言うことは、俺も遠慮なく神器を使えるということだ」

 

「はぁ?」

 

クソ神父の素っ頓狂な声と同時に、柳さんは無線機を取り出す。

そういえばさっき、体制の移行とかなんとか言っていたが。

 

「超特捜課柳より本部へ。ホシは超常的戦力を保有、行使している模様。

 これより神器使用第一種体制へ移行。承認願う」

 

「本部了解。神器使用第一種体制への移行を承認。

 速やかにホシを確保、被害の拡大防止に努められたし」

 

無線通信が終わったのか、柳さんは不敵な笑みを浮かべてクソ神父を見やっている。

その右手には、タコメーターのついたストップウォッチが握られている。

やはり、あれが柳さんの神器か?

 

居場所を悟られぬように、記録再生大図鑑を起動させて調べてみることにする。

柳さんが神器を使ったのは、それとほぼ同じタイミングであった。

 

「俺の追跡を振り切れるものか。『加速への挑戦(トライアル・アクセラー)』……発――動ッ!!」

 

ストップウォッチのスイッチを押し、時間を刻み始めたストップウォッチを柳さんは放り上げる。

そのまま、クソ神父めがけて特殊警棒を片手に突撃を試みた――ように見えた。

クソ神父の側も、天閃の聖剣で加速しているのだろうが……柳さんは、それよりも速く見えた。

その動きたるや、目で追うのに必死で下手をすれば酔いそうである。

 

「な、なめんじゃねぇ! 俺は……俺は聖剣を持ってるんだ! てめぇなんぞに……!!」

 

天閃の聖剣は、スピード自慢の木場と同等の速度を誇っていた。

それを、こうも速さという土俵で手玉に取れるとは。かくも神器と言うものは恐ろしいものだ。

と、ふと感心した間に天閃の聖剣は飛ばされ、クソ神父は取り押さえられていた。

柳さんは右手に手錠を持ち、左手で放り上げた神器をキャッチすると、ストップボタンを押す。

 

「ど、どうなってやがんだよ……!?」

 

「9.8秒。これがお前を現逮するまでのタイムだ。

 23時32分。フリード・セルゼン、銃刀法違反及び公務執行妨害の現行犯として、逮捕――」

 

おお。とうとうあのクソ神父がお縄にかかるか。

あの精神状態じゃ、精神鑑定にかかって減刑されそうな気もしないでもないが。

ともかく、これでこの町の夜も平和に一歩近づいた、はずだ。

 

……あれ? 確保しちゃったら聖剣はどうなるんだ?

その俺の疑問の答えは、あらぬ形で解決することになる。

 

「Fried... I got you!(見つけたぞ、フリード・セルゼン!)」

 

「――なにっ!?」

 

突然の、あらぬ方向からの攻撃。何かの衝撃波か。

俺は実体化していないので影響を受けないのだが、思わず身構えてしまった。

 

『――づぅっ!?』

 

――余波がそこそこに痛む。これは、光力によるものか?

だとしたら、これは聖剣で振るわれたものか!?

だ、だが聖剣を持っているクソ神父はそこで逮捕されそうに……ん? んん??

 

攻撃の余波は、霊体の俺へのダメージばかりではなく土煙も上げていた。

手錠もつないでいない状態でそんなことをすれば、当然クソ神父の性格上逃げるだろう。

 

「しまった! 奴めどこへ!? 超特捜課柳より本部へ、ホシは逃走、緊配を願う!」

 

「本部了解。駒王警察署より各局へ、ホシは駒王学園より逃走、周辺地域に緊配願います」

 

そう。柳さんの右手の手錠は、虚しく光っていた。

クソ神父がいたであろう場所には青い髪に緑のメッシュを入れた、俺と同じくらいの少女が

黒のボディスーツと言う何ともアレな格好で、剣を持って立ち尽くしていた。

 

「Oops! He ran away...(しまった、逃げられたか……)」

 

言動から、彼女もクソ神父を捕まえようとしていたみたいだが……

どう考えなくても、間が悪かったとした言いようが無い。

当然、柳さんにしてみれば看過できる状態ではなく。

 

「……駒王警察署超常事件特命捜査課の柳だ。殺人事件の重要参考人

 及び公務執行妨害の現行犯で、署まで来てもらおうか。

 

 ……I'm kuou police officer Yanagi. To you it takes suspicion of crime.

 Please come up to me and kuou police station.」

 

「What's this?(何のマネだ?)」

 

柳さんの右手に光っていた、クソ神父を捕まえるはずだった手錠は

青い髪の少女の両手にかけられていた。少女の方も困惑するばかりだ。

 

「Hey! Is attitude towards me it is a messenger of God?

 (これは……貴様、これが神の使いである私に対する態度か!?)」

 

「俺に質問するな! こちらは連続殺人犯、フリード・セルゼンの確保のため

 公務執行中であった! そこにお前が来て、煙幕を焚きその隙に乗じて奴は逃げた!

 わかるか!? お前の迂闊な行動のお陰で、罪の無い人々が

 連続殺人犯の恐怖に怯えなければならんのだ!!」

 

そう。これが俺が割って入らなかった最大の理由である。

警察を敵に回すのは、やはり避けたいのだ。警察と関わるのは

木場と共同戦線を張るのとは全く意味合いが違う。

それと……自分を神の使いとか言っちゃう辺り、あの子もまあ聖剣の関係者だろうな。

さっきの俺のダメージも、それで説明がつく。

 

ふと、周囲のざわつきが大きくなる。緊急配備でやってきた警察官が何人も増えたみたいだ。

その騒ぎに乗じて、手錠をかけられた少女が逃げ出そうと試みるが……。

いや、それ以前にどうも話が通じてないみたいだ。俺は悪魔になった副作用で言葉が分かるが

柳さんらはそうでもない。まぁ、そうなるか。

 

「話が通じないか……。氷上! こいつを連行する。パトカーを一台、それから取り調べに際し

 英語の通訳を一人回してくれ。このままじゃ話もできやしない」

 

「はっ、了解しました。さあ、来るんだ!

 

 ……You must come with me!」

 

「It is tied! I'm Zenovia who received the instruction

 of the holy sword recapture from the church!

 If you work an outrage to me, the Vatican does not forgive!

 (はっ、離せ! 私は教会から聖剣奪還の命を受けたゼノヴィアだぞ!

 私に狼藉を働けばバチカンが黙っていないぞ!)」

 

「言い分は署でゆっくりと聞く! 黙って歩け!」

 

……なんだあれ。まさかの結末に俺も呆気に取られたが、まあそうなるよな。

随分と騒がしい夜になってしまったが、調べ物がまだ大量にあることを思い出し

辟易としながらも俺は退散することにした。

 

――――

 

旧校舎は位置的には近かったが、あの騒ぎの後なので何となく留まりたくなかった俺は

久々にイッセーの家に向かうことにした。尚、特に意味は無い。

元々幽霊みたいなものなので、こっそりと忍び込む必要性は全く無いのだが

何故だかこっそりと忍び込むように行動してしまう。

 

二階のイッセーの部屋から直接壁をすり抜けて忍び込む。

部屋の中にはイッセーはいなかった。おや?

アーシアさんの部屋に向かっているのならば、悪いことをしてしまったか。

霊魂らしく漂いながら、俺は廊下に出てみることにする。

 

その時、俺の側のドライグがおもむろに話しかけてくる。

イッセーに聞いた話だが、本体のドライグもそんな感じらしい。

なんてはた迷惑な。人のことは言えないが。

 

 

――俺の「本体」が起きているみたいだな。「本体」の主となにやら対話しているようだ。

俺は所詮鱗から産まれた紛い物だから、自我などあってないに等しいから却って分かるのだが……

 

「本体」は、どうやら禁手に至れない事がもどかしいようだ――

 

『ふーん。焦る必要は無いんじゃないかと思うがね。

 そういえば、一度「本体」に聞いておかないといけない事があったな。

 

 ……この龍帝の義手(イミテーション・ギア)、いつ返せばいいんだ? 何か追加機能までついてしまったし』

 

ドライグはなにやら現状にもどかしさを感じていたようだが

俺は俺で気になっていた事があった。

 

――この龍帝の義手、いつ返せばいいんだ?

まさか、これを持ったまま自分の身体に戻るわけには行かないだろう。

……あれ? そうすれば、どうやって記録再生大図鑑を起動させるんだ?

むぅ。結構自分の身体に戻ると言うことはあれこれ八方塞になるな。

 

……まぁ、金輪際こんな事件には関わらないようにすれば、全く問題は無いのかもしれないが。

 

 

――「本体」がこっちに気付いたようだ、来るぞ――

 

うん? イッセーの奴、部屋に戻るつもりか。

寝るなら身体を拝借するとするか。俺だっていつもいつも野宿は精神的にイヤだ。

 

「ん? セージ、来てたのか」

 

『ああ、寝付けないからお前の身体を拝借しに来た』

 

「……その言葉だけ聞くと変な意味に聞こえるからやめてくれ」

 

そう考えるお前の方がよっぽど変だろうが、と突っ込みを入れつつ俺はイッセーに憑依する。

有無を言わせなかったが、俺も正直疲れたんだ。休めるところがあるなら休む。

 

……ああ、俺の身体さえあればこんなまどろっこしいことをしなくても良いのに。

 

「なぁ、セージ」

 

『疲れてるんだ、質問は手短に頼む。何だ?』

 

正直に言えば、俺のほうがドライグに聞きたい事があったのだが。

疲れているので先送りにしたいと言う欲求が勝っていたのだが

何故かこうしてイッセーの質問を受け付けている。

 

「木場の様子はどうだった?」

 

『……あー、そんなこと言ったっけな。

 グレモリー部長に逆らいすぎるのは良くないと逆に釘を刺された。

 それ以外はとりあえず無事だ』

 

俺のその言葉を聞いて、イッセーは安堵したらしい。ため息が漏れているぞ。

しかし考えてみれば、今日は球技大会のはずが

何故だかそれ以外の事でひたすら疲れてしまったな。

木場の脱走、クソ神父の再会、超特捜課……色々ありすぎた。

いくら俺でも疲れるってものだ。

 

「お前もアバウトだな……まぁ、木場が無事だって言うならそれに越したことはねぇな。

 そういや、さっきドライグと話してたんだけどよ……」

 

『ああ、俺から言う。疲れてるところ悪いな、霊魂の』

 

『……手短に頼むって言ったはずだが?』

 

ドライグのほうから話しかけてくるとは、余程の事態か?

それともただの暇つぶしか? だとしたらやっぱりお前はマダオだと思う。

 

『まぁそう言うな。こいつにも話したんだが、お前にも一応言っておこうと思ってな。

 

 ――「白いの」は近いうちにやって来るぞ。どうやらお前に寄越した俺の鱗に

 僅かながらにも自我が芽生えたのが原因らしい。

 この所、日増しに「白いの」の気配が強くなっている気がするんだよ』

 

『「白いの」――白龍皇アルビオン、だったっけか?』

 

何故俺がそれを知っているのか。答えは簡単、オフのときは大体記録再生大図鑑とにらめっこだ。

調べれば調べるだけ色々な情報が出てくるから、全く退屈はしないんだが……多すぎる。

大図鑑の名は伊達じゃないのか、今俺の左手は大図書館か

或いは超有能なデータベースのサーバーを持ち歩いているようなものだ。

 

『ああ、知っているなら話は早い。二天龍の片割れだ、戦いは避けては通れない。

 お前の記録再生大図鑑も、色々情報を集めてはいるようだが……まだ奴に勝つには足りんぞ』

 

『……改めて思ったが、そんな途方も無いやつと戦わなければならないってのは

 力の代価にしちゃ随分と高い。本当、マジでダイメイワクなオッサン

 略してマダオだよ、全く……』

 

白龍皇アルビオン。俺も詳しくは調べていないが、赤龍帝ドライグと対を成す存在。

「倍加」のドライグに対し、「半減」の能力を持つ。神器所有者は不明。

ロックされていたので深追いはしなかっただけだが。

 

「げっ、今のセージでも足りねぇってのかよ!? 微妙に認めたくはねぇけど、今の俺より

 間違いなくセージの方が戦績は上だってのに……」

 

『それはお前の力の出し方がなってないだけだ。

 お前は「禁手(バランスブレイカー)」に至れるだけの資質はあるんだ。その切欠がな……。

 あの時のフェニックスとの戦いで、もしかしたら至れていたかもしれないがな』

 

『……あの時フェニックスとの戦いをイッセーに一任すれば至れていたかもしれない、と。

 それはつまり、俺のせいだと言いたいのか?』

 

妙に棘のあるドライグの言い方。俺が考えすぎなだけかもしれないが。

或いはマダオ呼ばわりを根に持ったか?

宿主も大概だが、お前ももしかして……器が小さくないか?

 

『そうは言ってない。だがな、どうにもお前に力を吸われている感じがするんだよ』

 

『おい。その仮説が正しいとなると

 俺がいる以上はイッセーは強くなれないってことになるぞ?』

 

ドライグが語った衝撃の仮説。むぅ、その発想は無かったぞ。

そういう考え方もあるかと、納得できないことも無いのだが。

 

「えっ!? い、いや……俺は全然そんな自覚は……」

 

『気を遣うなイッセー。俺が不要になったら、いつでも叩き出せ。

 元々俺達は何の関係も無い別人だ。俺は身体がないから間借りしているに過ぎないんだ。

 それに、その身体だってもうじき戻る。

 そうなれば、本来の赤龍帝の力を引き出せるかもしれないぞ』

 

売り言葉に買い言葉なのは否めないが、一部は本音である。

まあ、その前に龍帝の義肢を返却しなければならないのだろうが。

 

「そ、そんなこと言うなよ! っつか昼に言っただろ!

 俺達はオカルト研究部として、部長の眷属として力を合わせなきゃならないんだぜ!?」

 

……また始まった。面倒臭い。ついドライグの話に付き合ってしまったが

そもそも俺は眠いんだが。いい加減俺を休ませろ。

仲間思いなのは美点だが、それを他人に押し付けるのはよくないなぁ?

押し付けがましいのは善意だろうと何だろうと、得てして鬱陶しいものだ。

 

『……イッセー』

 

「わかるかセージ? 俺とお前、二人で一人のリアス部長の兵士(ポーン)だ!

 あ、でも部長の処女は俺のだからな、そこんとこは忘れるなよ?」

 

……まぁ、確かに焚きつけるのにそういう意味合いの事を言った覚えはあるが。

ただ、実際フェニックスが言ったようにそういう抱き心地は良いんだろう。

しかしそれ以前に、あの性格ではどうにも盛り上がらない、と思う。

 

その意趣返しを込めて、俺はイッセーに思いっきり五寸釘を打ってやることにした。

 

『さっきからうるさい。アーシアさんが起きるだろうが。

 それとも言ってやろうか? アーシアさんに「部長の処女を奪う」って。

 本当、お前よくアーシアさんと同居してるくせにそういう事思いつくな。褒めてやるよ』

 

「ぐっ……あ、アーシアは家族だからノーカンだ、ノーカン!」

 

『……そういうことにしておいてやるよ。でもうるさいからはよ寝ろ』

 

エロ談義に付き合う気は毛頭無い。それにお前だって学校があるだろうが。早く寝ろ。

俺はそれを言うだけ言って、さっさと五感の共有を切り眠ることにした。




※今回、ちょっと長い後書きです。
お時間の許すタイミングでゆっくりとご覧ください。

今回ライダーが元ネタのオリキャラが結構出張ってますね。
以前の海道尚巳もそうですが、今回のテリー柳警視と氷上巡査。

名前も
照井竜→てるいりゅう→てりいりゅう→てりー柳(りゅう)→てりー柳(やなぎ)→テリー柳
モロ外国名ですが国籍はきちんと日本です。
元ネタの人と役職が同じなため、左遷色が強くなってしまいましたが。
神器の元ネタはトライアルメモリです。
一応純正の警官ですのでエンジンブレードに該当する武器はありません。
過剰装備は国民の不安を煽りますので。

また、氷上巡査の下の名前は涼です。
こちらも名前でお気づきの方もいらっしゃるとは思いますが
芦河ショウイチさんと同じく、仮面ライダーアギトの三人の名前の組み合わせです。
「氷」川誠+津「上」翔一+葦原「涼」


……さて。何故警察をぶち込んだかと言いますと。

人間が弱すぎるお。英雄派? あれは人間の皮被った何かだろjk

でも軍隊出したら速攻世紀末エンドになるお……

だから警察を出すお!

ライダーテイスト的にも警察は切っても切れない代物ですし
身近な人間の正義の味方ってやっぱり警察だと思うんです。
それに、今回ってコカビエル以外の敵(ゼノヴィア・イリナ含む)は
ほぼ全部人間なんですよね。
だったら尚更人間が動かないと変な話になるわけで。
特にフリードなんてあれだけ派手な殺人してれば警察動かない方がおかしいです。
原作の警察は多分リアス以上の無能……はっ!
いや、リアスが無能だから管轄下の警察も無能なんだ、そうに違いない!

で、何故フリードは日本語ぺらぺらなのにゼノヴィアがさっぱりなのか。
とりあえず、フリードは堕天使にナニカサレタって事で一つ。
ゼノヴィアがさっぱりなのは、通訳(イリナ)がいるからということで。

ざっと解説しましたが、まだ解説のいる部分があるかもしれません。
もしまだ質問等ありましたら、活動報告か感想のほうにお願いします。
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