実在の人物、地名等は一切関係ありません。
……まさかしがないいち二次創作作品でこの文面を出す日がこようとは。
イリナの性格は結構描写が難しいです。
コレジャナイ感が漂っていても突っ込みは無用でお願いしたい所存です。
……イリナも今後大きな変化がおきますので。
あと、いつもに増してオリ主が毒舌で辛辣で暴言吐いてます。
ご注意くださいませ。
翌朝。俺は昨日しょっ引かれた教会関係者が気になったので
適当な理由をつけ、警察署へ向かってみることにした。
……最近、授業のサボりが多くなってる気がしないでもないな。よくないことだが。
今のうちにサボり癖をつけるとよくない。それは分かっているのだが。
俺の目的地、駒王警察署。この辺りを管轄する警察組織だ。
昨日目撃した神器を持つ警官、テリー
そしてここには、その柳さんにしょっ引かれた教会関係者がいるらしいのだが。
……まさか、俺も警察に忍び込む日が来るとは思わなかった。
なるべくなら来たくないし、来るにしても真っ当な理由で来たかったのだが。
彼女が聖剣の所持者となるとまた話が変わってしまう。ああめんどくさい。
結局、あれこれ迷って時間を費やしつつ面談室にたどり着いたのは
昼の少し前くらいの時間であった。
……結論から言うと、どうやら入れ違いになったみたいだ。
昨日の警官――柳さんと氷上さんが話しているのを聞いた。
「……いつからヴァチカンは犯罪者を日本に派遣するようになったんだ、全く」
「しかも特命を受けていたってのは本当みたいですね。
こうなっては下手に手出しできませんよ。下手に勾留したりしたら
任務妨害の責を追及されかねませんよ」
曰く。司教枢機卿が犯人の身元引き受けを行うにあたり多額の保釈金を積んできた。
現在は同行して来日してきた少女を暫定的な身元引受人として保釈中。
かなりグレーどころかクロに足を突っ込んでいるが
日本政府としても海外に拠点のある司教枢機卿を刺激するわけにも行かないため
このような対応を取らざるを得なくなった――
……らしい。ああなんて面倒な。司教枢機卿ってのは確か
海外に拠点を持ち、全国に渡り影響力のあるいち宗教の最高クラスの存在である。
そこが動いたとなれば、そりゃ国際問題って懸念も出てくるか……。
要するにローマ法王が
「俺んとこの部下派遣して日本で起きた事態を収拾させてるから
お前ら日本の警察は邪魔すんなよ」
って言ってるようなものか。そう考えれば何故だか色々合点が行くな。
実際にローマ法王がそういうことを口走るかは別問題として。
「奴らの言う任務ってのは連続殺人犯の逮捕よりも重要なのか……。
そんなものを罷り通せば、警察と言う組織の存在意義にも関わってくるものを!」
「
秘密裏に処理したいんでしょう、って。だから我々に動かれると困るんだと思いますよ」
……うん? 薮田? 薮田って、あの薮田先生?
はて。何でここで薮田先生の名前が? あの人は記録再生大図鑑でも調べられないから
全く何をしている人物か分からない。超特捜課か、あるいは警察そのものの
オブザーバー的な人なのか。
「あ、そうだ。薮田博士と言えば、開発中の装備の試作品が届きました。
……しかし、アレ本当に警察の装備ですか?
マスコミにバレたりしたら、またうるさい代物ですよ?
そりゃあ、装備が欲しいとは常日頃から言ってますけど」
「難しいところだな。しかし悪魔連中には現行の警察の装備では対応できない。
俺が
一般の警察官の身を守るためにも、必要悪の装備かもしれないな」
「自分が言ってたのは、長野の事件で開発されたって噂の
特殊弾丸のつもりだったんですけど……。
一瞬、自衛隊宛の荷物が誤配されたのかと思いましたよ」
うへぇ。そんな物騒な装備が開発されたのか。そりゃ人間の身で悪魔の脅威から
自分たちの生活を守ろうとすれば装備が多少物々しくなるのは仕方ないかもしれないけど……。
せめて悪用されないことを祈るしかないか。
って、話しぶりだとまるで薮田先生が開発したみたいな口ぶりじゃないか。
ますます分からん、あの人の事が……。
「そんなに物々しい装備なのか……それはさておき、装備のテストは何処で行うつもりなんだ?」
「それが……それについてはまだ何も。
上は今のところこの装備を神器扱いってことにするつもりみたいです」
「だろうな。そんな物騒なもの、おいそれと市街地で使用できないだろう。
とりあえずパトカーに積んでおけ。試作品とはいえ悪魔に対応できる数少ない装備品だ。
「了解しました。無ければ良いですけどね」
そう。事件なんてのは起きないに越したことは無いと俺も思う。
だが、この所は立て続けに起きているような気がしてならない。
そんなだから、超特捜課みたいな部署が出来るし、平和な生活は遠のいているのだと思う。
誰の仕業なのだろうなぁ、グレモリー部長?
「それじゃ氷上、俺は引き続きフリードを探しに当たる。
お前は保釈になったあの連中を張ってろ」
「了解しました、柳さんもお気をつけて」
どうやら二人とも未成年であることを考慮し、警察から一人――この場合は氷上巡査――が
監視のために暫く行動することになったらしい。柳さんも逃げ出したクソ神父の捜索だ。
やはり警察ってのは忙しいものだ。それはつまりこの町が平和じゃないってことにもなるんだが。
あの二人の話が聞けずに無駄足になるのも癪だったが、既に授業は始まっている時間でもあり
そっちに注力すべきと考え、警察署から学園へと直帰することにした。
――――
思ったより長時間警察にいたらしく、結局その日の授業を全てサボる結果になってしまった。
まぁ、学籍が無いしそもそもいないはずの俺なので、サボるもへったくれもないのだが。
そんなわけで、またアーシアさんに今日の分のノートを見せてもらうべく
部室に同行することになった。毎度の事だが、啖呵切った後はどうにも顔を出しづらい。
しかし、イッセーのノートよりはアーシアさんのノートの方が信憑性が高いのだ。
……まぁ、色々と可愛らし過ぎてこれで勉強するのは少々、色々な意味で疲れるのはあるが……。
見せてもらっている立場な上、文句は言えない。
それに、アーシアさんらしくてまぁ良いのではないだろうか。
グレモリー部長の件は後回しでいいだろう。少なくとも今はそういう気分だ。
アーシアさんのノートを優先したいのは、俺自身気分を変えたいと言う側面が強い。
そんなわけで、何食わぬ顔で普通に部室に入ろうとしたのだが。
――まさか、仮釈放されたあの信者がいるとは思わなかった。しかも連れまでいると来たか。
一人は先日逮捕された青髪にメッシュの少女。もう一人は栗色の髪の所謂ツインテール。
こっちが暫定的な身元引受人か。ま、霊体でいる以上やることは一つだな。
……記録再生大図鑑、起動っと。
既に話が始まっていたため、俺はあえて霊体のまま部室に留まっている。
イッセーは気付いたが、ジェスチャーで「喋るな」とは伝えている。
今俺の存在を公にして、話の腰を折るメリットなんて何一つ無いだろう。
しかしそれ以上に問題なのは……木場だ。何せ相手は現役、しかも聖剣所有者と来た。
この情報は伏せておくつもりだったが、まさか向こうからこっちに来るとは思わなんだ。
……グレモリーがここの元締めだから、まぁ当然っちゃ当然か。
しかし今回は既に警察に世話になったやつが相手だ。
場合によっちゃ、警察へのタレコミも使え……
いや、ダメか。確か仮釈放に司教枢機卿が動いた相手だ。
今度沙汰を起こせば間違いなく塀の中にぶち込めるが
それは同時に国際問題の火種になりかねない。
ああもう、当人にその自覚は無くても権力をかさに着て好き放題するやつは碌なのがいないな!
なぁ、グレモリー部長?
途中参加なので全容は掴めないが、とりあえず纏めると
一つ、教会に保管されているエクスカリバーが盗まれた。
二つ、犯人は
そして三つ、この件に対し、教会は不敵にもグレモリーに対し不介入を要求してきた。
こんなところか。しかし不介入っつてもなぁ……既に関わっているし。少なくとも俺と木場は。
それにしても教会はよほど聖剣強奪の件を知られたくないと見える。
警察にも圧力がかかったみたいだし。そして恐らくクソ神父は
今度はコカビエルとやらに鞍替えしたのだろう。
あのアイツはあの時俺が半殺しにしたからな。
……何だかこの所半殺しにしているやつが多い気がするが……気にしないでおくべきなのか。
しかしまぁ、二人だけで聖剣奪回ないし破壊とは……よくやるなぁ。
「……死ぬ覚悟で態々来日したと言うの? 呆れてモノも言えないわね」
「私達の信仰をバカにしないでちょうだい」
「ああ、神のために死ねるのなら、私達に悔いはないさ。
まぁ死なないに越したことは無いけどね」
……あ、これはアレだ。一歩間違えたら宗教型テロリストになるパターンだ。
勇猛果敢と感心した矢先にこれか。これでは洗脳されているのと変わらんな。
しかし確実を期すなら、手数は多いに越したことは無いはずなんだが……。
面子や権威の問題か? それとも悪魔何ざ足手まといってことか?
まぁ、何でも良いんだけどな。こういうことで泣くのは決まって無関係な連中だ。
そういう代物の管理が甘いのは、何処の世界も同じか……。
話が一段落ついた様子なので、俺は生あくびを噛み締めながらイッセーに憑依しようとするが
その時、二人の目線がアーシアさんに向かった気がした。
そういえば、前に聞いた気がするな。悪魔を治療したばかりに掌を返された、って。
「君は……元『聖女』のアーシア・アルジェントか。ここにいるということは今は悪魔、か。
『魔女』の君らしいと言えば君らしいな」
「へぇ、これがあの? ああ、心配しないでいいわよ。私達の目的はあくまでも
エクスカリバーの奪還ないし破壊なんだから。元『聖女』の『魔女』の話を今更、ねぇ」
……うっわ。話には聞いていたが生で見るとなると、なぁ。
俺も駒王番長としていじめの現場に都合よく通りかかれたことはあるが……
そういえば、男のそれよりも女のそれの方がねちっこくて嫌な感じだった。
ともかく、アーシアさんは蛇に睨まれた蛙のように萎縮するばかりだった。
「……うん? 君はまだ、我らの神を信仰しているのか?」
「あははっ、そんなわけ無いでしょゼノヴィア。もしそうだとしたら、主に対する冒涜だわ」
うっ……いかん。図星だろう、アーシアさんは黙り込んでいる。
彼女にとっては癖なのだろう。事あるたびにお祈りをしては
頭痛に苛まれているのは俺も知っている。
そしてそれ以上にマズいのは……イッセーだな。さっきから目つきが変わった。
ああもう、要らん事言いよったからに!
木場って爆弾があるのに、その上さらに爆弾に火をつけようとするなんて!
俺はイッセーへの憑依を取りやめ、ソファの影に隠れる形で実体化し
グレモリー部長の説得に当たることにした。
「グレモリー部長。この展開は些かまずいです。幸い、あのゼノヴィアとか言う方は
先日逮捕されたのを俺がこの目で見ました。場合によっては、警察への通報が効果的かと」
「セージ、あなたいつから……って聞いても、どうせはぐらかすわよね、あなたは。
それと折角の意見具申だけど、それは聞けないわ。
警察と言うことは、人間を巻き込むことになる。聞いたかもしれないけど
聖剣が関わっている以上、一般人を巻き込むわけには行かないわ」
やはりダメか。一応、グレモリー部長の意見にも一理ある。
だが、相手は保釈中の身だ。下手に力で解決するよりは
法に裁かせたほうがいいのではなかろうか。いや、国際問題に発展する恐れがあるから
こいつらの確保はできないって旨の事を柳さんが言っていたか。
だがそれも現時点での話、実際に何でも良いから犯罪をやってくれれば……
って、何考えてるんだ俺は!
とにかく、正当な理由のある具申案の却下がある以上は、俺もそう強気には出られない。
仕方なく、俺はこのまま様子を見ることにした。
「イリナの言うことにも一理あるな。君がもし今も主に対する感謝を忘れないでいるのならば……
……今ここで、私に斬られろ。それが主への感謝だ。
魔女と蔑まれても信仰を忘れないその姿は、私は評価する。
だがそれは、君が人間でいた頃の話だ。悪魔となってしまったからには
私達は君を斬らなければならない。それは分かるな?」
「あなたは悪魔だろうと分隔てなく助けたんだろうけど
その悪魔に苦しめられている人もいるの。分かる? あなたが助けた悪魔が
私達の仲間や罪も無い人々をどれだけ苦しめたか」
「そ、それは……き、きっと分かってくれると……」
うん? 険悪な雰囲気かと思ったが、一部を除いて一応は正論じゃないか。
確かに分隔てなく救済しようとするその姿勢は正しい。
だがそれは、相手がしっかりと更生をした場合の話だ。
出所した犯罪者が、再び犯罪に手を染める話でさえ枚挙に暇が無い。
言っては何だが、悪魔ともなればそういう事は往々にしてあるのかもしれない。わからないが。
「分かる? 悪魔がか? 君は私達の役割を愚弄してるのか?
私達は人々を苦しめる悪魔を祓うべく、日夜戦っているのだ。
それを生温い理想論で語られては、私達の立つ瀬が無い」
こればかりはゼノヴィアとか言うのが正論か。
映画の題材になるくらいにはその手の話は少なくない。
うん? 確かどこぞのクソ神父も似たようなことを口走っていたような……。
「あ、悪魔にだって良い人はいます!」
「……論点を摩り替えるな。私が言っているのはごく一部の悪魔の事じゃない。
君の言うように、ごく一部が仮に善性を持った悪魔だだったしよう。
だが、それでも悪魔の犠牲になる人間がいなくなるわけじゃない」
……おやおや。昨日勢いあまって警察のご厄介になったとは思えないほど
理知的な対応を取ってらっしゃるではないか。
これは言い分としては向こうのが正しいよなぁ……。
……まぁ、グレモリー部長以下数名、苦い顔をしていらっしゃるようだが。
「話にならないわね。まさかここまで悪魔の思想にどっぷり浸かってたなんて。
これはもう完全に道を違えてしまったわね、ゼノヴィア?」
「そうだな……かつて聖女とまで呼ばれた存在がまさかここまで堕落してるとは……。
非常に残念だ。聖剣奪還のついでに、やはり処分しておくしかないのか」
……む。やはりそういう結論になるか。しかし処分とはまぁ……。
確かに人間、アーシア・アルジェントは既に死んでいるが……。
人間としての生を謳歌できなかった彼女にしてみれば
今のほうが余程良い環境かもしれないのだが。奴らの言ってることは一理ある。
……だが、物事はそれだけで済むものか?
要らぬ力を持ったがために振り回され、結局はそれが原因で命を落とすことになり。
悪魔になったのにしたって、全て彼女の意思と言うわけでもあるまい。
自ら望んで悪魔になったんじゃない奴を、一方的に斬り捨てて良いのか?
……そう考えれば、やはり答えはこうか。
「恐れることは無い。魔女と蔑まれる前までは主のため、人々のためにその力を奮った君だ。
私が主の元への安らかな旅路に送り出してやろう」
「……待てよ。さっきから聞いてれば、お前らはエクスカリバーを取り返しに来たんだろ?
だったら何で、アーシアを殺そうとするんだよ!? 関係ないだろ!?」
案の定、イッセーが動いたか。方や狂ってるとは言え一応は法に則っている。
方やただの感情論。全く、幼稚というかなんと言うか……全く交渉の余地が無いな。
ああもう、話し合いってのはもっと理知的に行うべきだとは思わんかね?
「さっきから私を凄い剣幕で睨んでいたが、君はアーシアの何だ?」
「あっ、私分かっちゃった! きっとイッセー君が、アーシアを悪魔に引きずり込んだのよ!
魔女と蔑まれているのを良いことに、アーシアの心の隙間に入り込むようにして!
さすが悪魔! 私達に出来ない事を平然とやってのける! そこが臭いわ、吐き気を催すわ!」
「なっ、何を言い出すんだイリナ!?」
……今頃か。データ照合完了、紫藤イリナ。なるほど……なるほどね。
この子がイッセーの昔の知り合いか。じゃあ、ここには聖剣が最低でも二本あるわけか。
しかし……思考が飛んでいると言うか、思い込みが激しいと言うか。
まぁ、見方によっちゃ当たらずも遠からずなのがなんとも、なぁ。
この件について俺なりの答えは出したが、あえて静観を決め込むつもりだった。
しかし、アーシアさんの二の句を聞いた途端思わず口が動いてしまっていた。
「ち、違います! 悪魔になったのは……わ、私の意思です……」
「ほう、やはりな。所詮、魔女は魔女と言うことか。
一瞬でも甘い評価を下そうと思った私の甘さに反吐が出そうだよ。
己を受け入れてくれないからと、悪魔に宗旨替えするその軽さ。
……やはり今ここで斬り捨ててくれる!」
「待て。本当にそう言い切れるのか? あの時、アーシアさんは死んでいただろう?
死者の意思を確かめるなど、余程の事が無い限りは不可能だ。
俺は死人……まぁ正確には霊魂だが……の声は聞けるが
生憎だが君が悪魔になる場面には立ち会っていないんでな。
それに、生前悪魔になりたがっているようには見えなかった。
それでも自分の意思と言えるのか?
……おっと、自己紹介が遅れてすまない。俺は歩藤誠二、出来の悪いイレギュラーな
リアス・グレモリーの『
……そう。今更だが、そもそも俺はリアス・グレモリーからして信用していない。
周囲の情報から総合的に判断しているに過ぎないのだ。
情報を得たところに主観を多分に織り交ぜはするが。
イッセーと同じように、神器に惹かれてアーシアさんを悪魔にした可能性だって
言ってはなんだが無きにしも非ずだ。
もしそうならば、神以上にえげつないことをやっていることになる。確証は得てないが。
そしてもしそうならば……
……アーシアさんの意思を無視して、悪魔にしたことになる。
俺と言う前例があるだけに、そういう考えには陥りやすいのかもしれないが。
「その出来の悪いグレモリーの犬が何の用だ?」
「犬は取り消せ。俺は願わくば人間に戻りたいと思っている。そんな奴が犬か?
……さておき。悪魔を斬るのは、お前達が悪魔祓いでもあるからだろう。
となれば、魔女として鼻つまみ者扱いをされていたアーシアさんを
真っ当な理由で斬る口実が出来たに過ぎない、それだけの事だろう?
いいよなぁ? おおっぴらに人を斬る事が出来て。
あ、言うまでもないが殺人は犯罪だからな? 『また』警察の世話にならないようにな?
あんた達の理屈じゃ悪魔を殺しても罪どころか英雄扱いだろうけどな。
それでも良いならどうぞやってくれ、大量殺戮の英雄さんよ」
「クッ……!? き、君は一体私を何だと思っている。忌々しいあの神父と同列に語らないでくれ。
リアス・グレモリー。下僕の教育がなっていないようだな?」
「下僕呼ばわりも彼、怒るわよ? その子は私でも取り扱いに困っているじゃじゃ馬だもの。
口が悪いのは私も認めるけど、そういう風に言われる方にも問題があるんじゃないかしら?」
俺はイッセーみたいにおおっぴらに感情的に反論はしなかった。
だが、内心ではアーシアさんを斬られる事に首を縦に振っているわけじゃない。
そのこともあってか、思わず相当なレベルの嫌味を口走っていたみたいだ。
それに、奴が警察の世話になったことにも触れている。
案の定「何でお前が知ってるんだ!?」な顔を一瞬だがされたが。
ククッ、幽霊は何でも知ってるのさ。幽霊じゃないけど。まだ生きてるけど。
それとグレモリー部長。だいぶ俺の事が分かってきたじゃないか。
だからって態度変えるようなマネはしないが。
「せ、セージ! お前、アーシアが殺されても良いっていうのか!?」
「うるさい、少しは黙ってろ……良いわけないだろうが。
奴らの言ってることは狂ってるが本人達はそれが正義だ法だと信じて疑わない。
そういうのが一番手に負えないんだ。ましてこいつらみたいに自分の命さえ粗末にする奴らはな。
こっちから見たら立派な犯罪でも、そいつらは嬉々としてやりやがる。
言うなればテロリストさ。世界の平和の怨敵さ。
……人間の面こそしてるが、悪魔よりも悪魔らしい、唾棄すべき存在だ」
「……言うに事欠いて私達をテロリスト呼ばわりか。本当に口が悪いな、君は」
イッセーの野次をあしらいつつ、俺は立て続けに嫌味を口走る。
ああ、やはり俺はこの手合いは嫌いなんだと再認識している。
別にこれは、俺が悪魔になってしまったからではないと思いたいが。
……それはそれで、こいつらに言わせば問題なのだろうが知ったことか。
「図星か? 気を悪くしたら悪かったな。
破壊や殺戮で正義を体現する奴の事をテロリストと呼ぶと思ったんだが。
さて……今までの話を一応聞いていたが、目的は聖剣の奪還だろう?
なら、ここで島流しになった元魔女の現悪魔に現を抜かすよりも
聖剣の手がかりを探した方が建設的だと思うんだが?
まぁ何が言いたいのかって言うとだな……
……こんなところで油売ってないでさっさと聖剣取り返して来い。
そいでもって国帰れ。お前らにも家族や仲間がいるだろ」
「何よこいつ、感じ悪いわね。言われるまでもないわよ! ゼノヴィア、行こ!」
「あらあら、お茶が入りましたわよ?」
「いや、結構だ。邪魔したな、リアス・グレモリー」
すごいご立腹な様子で、二人は辟易としたのかさっさと帰ろうとする。
ああ帰れ帰れ。それでも俺の目的は達成されるんだ。無血解決ならそれが良いだろうよ。
お前らだってこんなところで無駄死にはしたくないよなぁ?
俺は場の空気を相当悪くしているにもかかわらず、姫島先輩は驚いたことに平常運転だ。
肝が据わっているのか、空気が読めないのか……まぁ、どちらでもいいか。
「おいっ! このまま黙って帰るのかよ! せめてアーシアに謝っ……ごぶっ!?」
「あらあら。イッセー君折れちゃってますわよ?」
イッセー。折角表面上だけでも丸く収まろうとしてるのに事を荒立てるんじゃない。
それとも何か。お前は大好きなグレモリー部長の大事なこの部室が
血に染まっても良いっていうのか。それは俺としても御免被りたい。
俺は血の匂いとか味とか大嫌いなんだ。俺は基本ここでしか実体化できないんだ。
そこを汚すのは看過できないんだよ。
俺はイッセーを黙らせるため、容赦なく鳩尾に叩き込むことにし
前科のついた悪魔払いを見送ることにした。
「ああ待て。お前達にとっては忌むべき存在かもしれないが、俺達にとっては
友であり、家族であるアーシア・アルジェントを見逃してくれた礼として
面白いことを教えてやる。それは……」
「……僕の目的が、聖剣の破壊だってことさ!」
俺はあの神父が聖剣のうち三本を持っていることと
警察が張っているであろう場所をリークしようかと思ったんだが。
まぁ、前者は当たりをつけていたみたいだからお役立ち情報ではないだろうけどな。
しかし、イッセーにばかり意識が集中していて
後ろで殺気立っていた木場に気付けなかった。
立ち去ろうとした二人に奇襲をかける形で、木場が攻撃を仕掛けたのだ。
「くっ!? 闇討ちとは悪魔らしく卑劣な! 何者だ!?」
「君達の先輩さ。出来の悪い、失敗作だけどね!」
「祐斗! それでもあなたグレモリーの、私の『
「ぐ……な、何やってんだ木場、やめろよ!!」
やられた。折角この場を穏便に済ませようと思ったのに。
いや、この二人がこれ見よがしに聖剣を見せびらかせば
聖剣の破壊が目的の木場が動かない訳が無いか。
こっちを立てればこっちが立たず、か。全く面倒な。
しかも既に仕掛けているので向こうに正当防衛の口実が立っている。
形だけでも不干渉を結ぼうとした矢先に闇討ちとか
反感買って然るべきレベルのポカじゃないか!
これ、秘密裏にしようとしている事件だからまだ良いにしても
国同士だったら間違いなく外交問題だぞ!?
「くっ……木場、やるにしてもこの場はマズい。相互不干渉を口約束とは言え取り付けた矢先だ!
そこで俺達がいざこざを起こしてみろ、司教枢機卿からマークされても文句は言えないぞ!」
「セージ君。昨日言ったはずだよ! 僕は聖剣を破壊しなければならないんだ!
手伝えとは言わないが、邪魔はしないでくれ!
不干渉を認められたら、僕は目的を果たせなくなる!」
「セージの言う通りよ。祐斗、この場は剣を収めなさい!」
想像しうる限りではよくない結果だ。アーシアさんへのヘイトは逸らす事が出来たが
木場のヘイト管理まで気が回らなかった結果がこれか。
……と言うか、何で他人のヘイト管理を俺がやってるんだよ!?
いや、そもそも誰かのヘイト管理をするって時点で色々おかしいんじゃないか?
立場的にグレモリー部長が適任なのかもしれないが……うん、まぁ。
この人に頼むぐらいなら俺がやってやろうか、って気にもなるか……はぁ。
ともかく、こうなったら仕方が無い。とことんまでやるしかない。
聖剣は破壊でも構わないってさっき言っていたことだし、この二人には悪いが
聖剣をここで破壊して、残りは木場のフォローで破壊するって体を取ることにしよう。
……聖剣破壊という事実さえあれば、誰がやろうと関係ないよな?
さっき自分達は殉教しても良いって旨の事を言ってたんだ。なら望みどおりにしてやろうか。
「むぅ、これは……一度やるところまでやらないとどうにもなりませんな。
仕方ない。姫島先輩、旧校舎裏に結界の用意をお願いしたいのですが」
「分かりましたわ。祐斗君、皆さん、決闘場を用意いたしますので表に出ましょうか?」
「フッ。セージ君、話が分かるじゃないか。僕は聖剣を破壊しなければならない。
それは君たちの物だって例外じゃない。大人しく僕に斬られてくれ」
「……嘆かわしいな。グレモリー眷属の『騎士』はこんな通り魔まがいの事をするのか。
これでは、我々教会の戦士の汚点であるフリードと大差が無いな」
昨日目撃したから俺は知っていたが、ゼノヴィアの口からクソ神父の名前が出たことに
少なからず驚いている人も多かったようだ。
「お前……そいつの事を知ってるのかよ!?」
「ああ。決して同レベルでは語られたくない、我々にとっての最大級の汚点だよ。
そしてそんな奴が、聖剣を振り回していると言うことも。
……おしゃべりはここまでだ。一応上には黙っておくが
万が一の事故が起きても私達は責任を取らないぞ?」
「僕もあんな奴と同じには語られたくは無いな……!
聖剣だけへし折るつもりだったけど、気が変わったよ。ここで殉教してもらおうか。
君達の上層部だって、君達が生きて帰ってくるとは思ってないだろう?
ならコカビエルと戦って死ぬのも、今ここで僕に斬られるのも大した違いは無いと思うけどね。
……ああ、心配しなくても聖剣破壊は僕が引き継ぐから安心してよ」
「……それ、悪役の台詞です。と言うよりセージ先輩っぽいです」
塔城さんの突っ込みの通り、完全に木場は暴走していると言っても良いだろう。
この状態で戦闘なんかしたら、まず間違いなく事故が起きる。
どちらがやられるにせよ、よくない結果になるのは間違いあるまい。
これは何とかして止めなければ。そう考え、俺は有無を言わせずイッセーに憑依した。
……しかし塔城さん。君の中の俺のイメージって何なんだろう。今回ばかりは少し気になった。
悪役の台詞が似合うって……むぅ。ちょっと口の悪さを矯正したほうがいいんだろうか?
「おいセージ! 憑くなら憑くって言ってくれよ、びっくりするじゃねぇか!」
『すまん。だが今の木場は明らかに異常だ。何とかして押さえに回るぞ』
「だったら木場を煽るような真似するなよ! 何なんだよ、決闘場って!?」
『ああなったら、言葉で止まらないだろ。こうなった以上、一度戦わせて木場を納得させる。
そこを俺達でフォローに回る。幸い見た目の頭数では二対二だ。
……最悪、俺も出る。かなり反則だがな。
……忙しいところ引き止めて悪いなお二方。ちょいとこの勝負を受けていただきたい。
試合形式は二対二のタッグマッチでどうか?』
「私は構わない。イリナ、いいか?」
「もちろんよ! さっきから私も色々言われて頭に来てたんだから!」
反則でも構わない。今はまだ、オカ研の仲間をやらせるわけには行かないんだ。
イッセーの声は渋々と言った感じだが、仲間を守ると言うことと
さっきのアーシアさんの件が効いていたのか
結果的には快諾と言った感じで受けてくれた。
向こうも意外と乗ってくれている。
考えたくは無いが、まさか合法的に悪魔を、人間を斬れるから
力を奮っているんじゃなかろうな? だとしたら……いや、今考えるのはやめておくか。
いずれにせよ、俺は、俺達はここで死ぬつもりは毛頭無いのだから。
逮捕された割には普通に出所して来ました、ゼノヴィア。
これについては司教枢機卿がチートと言うことで一つ。
文中で触れている通り、日本政府としてもローマ法王を敵に回すのはまずい
ってことで。超特捜課だって警察の一部署に過ぎませんので
警視庁や日本政府の意向を無視した活動は出来ません。
これが息苦しいからスパロボ自軍組織みたいなのが持て囃されるんでしょうけどね。
ただ日本でゼノヴィアが犯罪を犯したことには変わりはありませんので
この事件が片付いたらまた話は変わると思います。
長野の事件の元ネタは仮面ライダークウガです。
流石にこの世界にクウガはいませんし、グロンギもいませんが
神経断裂弾が必要になった事件はあったってことで一つ。
勿論、現在の警察では過剰戦力と言うことで運用されておりません。
……が、悪魔や堕天使みたいなのを相手にするとなると……。