ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

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ブーストでゴーストですが
この作品は仮面ライダーゴーストとは一切関係ありません。

MOVIE大戦の絡み具合は良かったなぁ。
アレ位がっつり絡んでくれると見応えがあると思うんです。

ホイコーローはTV本編でかなり優遇されてましたし
今回のロリショージョの扱いはその反動だと思うことにしてます。


それはさておき、やはり主人公消滅は反響大きいなぁ。
あ、ゴーストの話ですよ?

……って、この作品もゴーストの名を冠してましたっけ。


Life39. 消えた俺の友人

正直言って、もう何がなんだかわからねぇ。

ただわかるのは、目の前の奴が白龍皇で、ドライグの生涯のライバルだって事。

赤龍帝の籠手を持った俺はその戦いに巻き込まれている事。

 

……そして、セージがいなくなってしまった、って事だ。

 

そりゃあ、あいつは事あるごとに俺を殴るし、嫌味を言うし

部長に反抗的だし……って悪い事ばかり出てくるけれど。

けれど、何だかんだ言ってもあいつはあいつで俺や部長の事を気にかけてくれている。

 

特訓の時だって、球技大会の時だって、悪態こそついていたけど協力はしてくれていた。

部長に逆らいつつも、木場の様子を見てくれていたりもした。

アーシアを助けに行くときも、ほかの理由もあったかもしれないが

いの一番に賛同してくれたのはあいつだ。

 

だから俺は、あいつがどう思おうともセージの事を仲間だと思っていた。

だからこそ、俺はあいつが部長に反抗的な態度をとるのが許せなかった。

あいつの身体が元に戻りそうなときには、俺も素直にうれしかった。

……それなのに。

 

――いつか……いつ……か……俺、の……

 

……いなくなってしまった。あいつがいなくなったのと引き換えに、俺には。

いや、ドライグには新しい力が宿った。禁手にも至れた。

 

けれど、それは俺が思っていた至り方とはまるっきり違う。

 

『相棒。いつまでそうしているつもりだ。本腰を入れろ。

 そうしなければ、お前は白いのにやられるぞ』

 

「ドライグの言うとおりだぞ、赤龍帝の所有者!

 他事を考えたまま戦うとは、俺も嘗められた物だな!」

 

どいつもこいつも、俺の質問には答えてくれない。

俺はわけもわからないまま、こいつと戦っている。

今俺が戦う理由はたった一つ。自分を守るため。

 

「聞いていたとおりね。やはり白龍皇は、赤龍帝との戦いのみを望んでいた。

 コカビエルを倒すのに手を貸したのも、赤龍帝との戦いに邪魔だったから。

 ……そして、今の赤龍帝がどれほどのものかを見極めるためだった。

 

 みんな、もう一分張り行くわよ! イッセーを助けに入るわ!

 今のイッセーに、白龍皇と戦って無事で済むとは思えないわ!」

 

「……部長。相手はあの白龍皇。こちらも相応の被害を考慮しなければなりませんわ。

 せめて、魔王様の軍隊がまだ残っていてくれれば……」

 

後ろで部長が作戦を立てている。助けに来てくれるのはありがたいけど

ドライグがそれを許すかどうか。たぶん、横槍を入れられるのを嫌いそうな気がする。

それに、相手はあのコカビエルを手玉に取っていた。

気持ちで負けちゃダメだってのはわかるんだけど、その事実だけで負けた気になってしまう。

 

『何をやっている。このままではリアス・グレモリーも、お前自身もやられるぞ。

 死にたくないなら、死力を尽くして戦え。俺としても、ここでお前に死なれちゃ困るんだよ』

 

「……んな事、お前に言われなくてもわかってるんだよッ!!」

 

さっきから勝手な事ばかり言うドライグへの怒りを、白龍皇にむけてぶつける。

八つ当たりは八つ当たりだが、言ってしまえばこいつのせいでもある。

こいつを倒せば、後は邪魔者はいなくなる。そうなれば、俺の念願のハーレムが待ってるんだ!!

 

「白龍皇とか言ったな! 俺のハーレムのために、お前には倒れてもらうぞ!!」

 

「ハッ。くだらんな。そんなくだらん物のために倒されてやるわけにはいかないが……。

 それがお前の戦う原動力だと言うのならいいだろう。もう少しだけ付き合ってやる」

 

こいつ……セージとは違う意味で頭に来る奴だ!

その大口、すぐに利けなくしてやるぜ!

速攻で勝負をかけるべく、俺は一気に奴の懐まで潜り込もうとした、丁度その時だった。

 

――どこかから、突如砲撃を受けたのだ。

 

「ぐ……っ!? どこから撃ってきた?」

 

『二天龍の戦いに水をさすとは、無粋な輩もいたものだな、赤いの』

 

『全くだ、白いの』

 

「けほっ、けほっ……何が起こったと言うの!?」

 

「……耳が、きーんとします」

 

砲撃自体は、奴も、部長達も思ってもみなかった事らしく咳き込みながら呆気にとられていた。

俺の知っている奴に、こんな砲撃をする奴はいない。強いて言うならフェニックスの眷属に

そんな姉ちゃんがいた気がするが、今この場にいるはずが無い。

 

「……そこまでにしていただきましょう。

 これ以上、彼女の愛した大地を汚すような真似は看過できませんので」

 

「な……そ、その声は……や、薮田(やぶた)先生!?」

 

薮田先生だって!? じゃ、じゃあ今の砲撃は先生がやったのか!?

もしかして先生、神器持ちなのか!?

 

「全くいつまでこんな下らない戦いを続けるつもりですか。

 同じく下らない戦いを繰り返す人類でさえ、少しずつではありますが進化しているというのに。

 ドラゴンと言う種族は、その点において人間に劣ってますね。

 やはり世代交代が無いのが大きいのでしょうかね」

 

『誰だか知らんが、我ら二天龍を愚弄するとはいい度胸だ!』

 

「……ほう。私を知らない、と。まぁそれならそれでいいでしょう。

 私の正体など、どうでもいいことです。既に人は神の手を離れるべきなのですから。

 そして……『私』ではない『私』の不始末は、きちんとつけねばなりませんからね。

 

 ……リアス・グレモリー君。ならびにその周囲にいる皆さん。直ちに引き下がりなさい。

 近くにいれば、巻き込まれますよ」

 

「巻き込まれるって……一体、何を……」

 

俺には薮田先生の言っていることが全然わからなかった。

しかし、これだけははっきりとした。

薮田先生は、白龍皇も、俺――いや、赤龍帝も、恐れていない!

それどころか、倒すつもりでいる!

 

「ぶ、部長! 逃げたほうがいいッス! なんだか、すごいいやな予感が……」

 

「少し、大人しくして貰いますよ」

 

AKASHIC RE-WRITER SET UP!!

 

薮田先生が左手を翳し指を鳴らすと、俺と白龍皇の鎧が一瞬で吹き飛んだ。

い、一体どうなってるんだ!?

白龍皇の方は、暗い銀髪に碧い眼の男……有体に言えば、イケメンだ。つまり、俺の敵だ。

くそっ! こんな事ならもっと徹底的にやっておくべきだった!

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)がはがれてしまったが、向こうも鎧がはがれている。

条件は同じとばかりに、俺はイケメンに殴りかかろうとしたが。

 

――赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が発動しない。

 

『言い忘れていたが、いくら霊魂のの力で安定させていたとは言え

 一度禁手(バランスブレイカー)を使うと、しばらく神器(セイクリッド・ギア)は使えないぞ。

 ……しかし今回の件、それだけではないな? 白いの』

 

『ああ。そっちよりは使いこなせているこっちでさえ、力をうまく引き出せん。

 さっき、あの人間モドキが何か細工をしたのかもしれん』

 

「兵藤君。あなたは何をしようとしたのですか?

 私は大人しくして貰う、そう言ったのですよ? にも拘らず、まだ戦いを続けると?」

 

闇夜の中から姿を現した薮田先生の顔は、全く笑っていなかった。

いや、この先生が笑うところは俺も見た事がないんだけど。

これで一つわかったのは、薮田先生は赤龍帝のみならず

白龍皇も無力化できる能力を持っているってことだ。

 

「……不本意な終わり方だが、水入りか」

 

「白龍皇……いえ、ヴァーリとお呼びしましょうか。

 私は薮田直人(やぶたなおと)。この人の世に住まうものとして、これだけは言っておきます。

 

 ……あなたの望む戦いは、この人の世において引き起こされるべきではない。

 それでも戦いを望むのならば然るべき世界に。

 この世界に留まるのならば人の世に相応しい平和な生き方を。

 選ぶのはあなたです。私はその選択に口を出しませんが

 この人の世で争いを起こすと言うのであれば

 私は全力であなたを阻止しにかかります。例えそれが、白龍皇であったとしてもです」

 

「薮田……わかった。

 そっちの希望に添えるかどうかはわからないが、この場は退かせてもらおう」

 

ヴァーリと呼ばれたその男は、渋々ながらも身を翻し、この場を後にする。

それに対してドライグは不満そうだが、神器が動かないと言う事で黙っている形だ。

 

「物分りが良くて助かりますよ。

 私はただ、この人の世を徒に脅かすものが許せないだけですので」

 

「……フッ、俺達のような存在は、何処に行っても鼻つまみ者だな。

 ではな赤龍帝。次会うときまでには、もう少し強くなってくれよ?」

 

……そう言うヴァーリの口調は、何処と無く寂しそうにも思えた。

が、それ以上にあいつがイケメンということが気に入らない!

俺の、俺の怒りは何処にぶつければいいんだ!?

すっかりと晴れ渡り、星もちらほらと見える夜空に俺の叫びだけが木霊した。

 

「さて。もう2~3時間もすれば避難警報も解除されるでしょう。

 しかしその前に……赤龍帝。あなた、異物を取り込みましたね?

 悪い事は言いません。直ちにその取り込んだ異物を吐き出すべきです」

 

ヴァーリに対する態度とは打って変わって

薮田先生はまるでにらみつけるようにこっちを、ドライグを見ている。

異物……ってことはセージか? けど何で、薮田先生はそれがわかるんだよ?

 

『だったらどうだと言うのだ。俺はただ、貸していた鱗を取り戻したに過ぎん』

 

「不当な取立てもまた、処罰対象ですよ?

 私が危惧しているのは、取り込んだ異物があなたの宿主に影響を及ぼさないかと言う点です。

 あなたは取り込んだものを消化できるでしょうが

 兵藤君にその異物を取り込み消去できるとは思えません。

 それは、あなたもよく分かっている事ではありませんか?」

 

『……また口煩く言われるのは敵わんが、まぁもう霊魂のに力はあるまい。

 この中で消滅しようが、どこかで野垂れ死のうが俺には関係ない。いいだろう』

 

ドライグと薮田先生の会話が終わると

俺の中からセージがはじき出されるように飛び出してくる。

俺の中からまさか人間が飛び出してくるなんて、全く妙な話もあったもんだぜ……。

最もセージは格好こそ人間のそれだけど、魂の状態だったからか痛みとかはまるで無かった。

あってたまるかって話でもあるけど。

 

「う……」

 

「セージ!」

 

「セージ先輩!」

 

「セージ君!」

 

無事が確認できたセージに、俺達は駆け寄る。

何だかんだ言っても、こいつもオカ研の一員なんだ。そうなんだよ。

ヴァーリって奴の事は気になるけど、セージも戻ったし、俺も禁手に至れたし

コカビエルも倒せたし。これで一件落着だよな!

 

「セージ君、無事だったんだね。イッセー君に取り込まれたときは、どうなる事かと……」

 

「……セージ先輩がいなくなるのは、やっぱりダメです」

 

「よくわからないが、心配をかけてしまったみたいだ。すまない。

 っと。いつまでも座ってるのもなんだな。よ……っととと!?」

 

……けれど、俺はその考えが甘かった事にすぐに気付く事になった。

何気なく右手をついて立ち上がろうとしたセージが、ありえないくらいによろめいたのだ。

さっきまで眠っていたような状態だから、ってのもあったかもしれないのだけど。

 

真っ先に、部長がセージの異変に気付く形になった。

 

 

「せ……セージ!? その……その右手は……」

 

「右手……?」

 

 

周囲の目が、セージの右手に向かう。

そこには、俺達と同じ右手があるはずなんだ。

あるいは、俺と同じ籠手型の神器、龍帝の義肢(イミテーション・ギア)が。

それが、セージがいつも使っていた武器。その力に、俺も何度も助けられた。

記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)と並び、セージが使いこなせていたはずの力。それが……

 

 

――無いのだ。

 

 

「な……!?」

 

「……右手だけ実体化させていない、なんて状態では……なさそう、ですわね」

 

今セージは実体化している。俺以外のみんなにも見えていることから、それは間違いない。

それなのに、そこにあるはずの右手を認識できてないと言う事は。

これには流石にセージもあせったのか、一瞬驚きの表情を見せたが

すぐに冷静さを取り戻したのか、俺に質問をしてくる。

もしかすると、そういう風に装っているだけかもしれないけど。

 

「……イッセー。一つ聞きたい。ドライグの声は聞こえるか?

 或いは、ドライグと対話は可能か? 俺のほうは、うんともすんとも言わない。

 見れば分かるだろうが」

 

え? 何だよ藪から棒に。今はただ単に神器として赤龍帝の力を行使できないだけで

ドライグとの対話は可能なはずだけど。

そう思い、俺はドライグに話を振ってみる事にした。

 

「なぁドライグ。セージの右腕が無くなっちまったんだけど」

 

『…………』

 

ところが、ドライグは答えを返さない。聞こえていないのか?

今まではそんな事はなかったはずなのに。逆はともかく。

もう一度、俺からドライグに問い質そうとするが、その役目はセージにとられてしまった。

 

「やはり答えないか。まぁそうだろうな。

 最初に俺に鱗を寄越したとき、それは俺の右手に宿った。

 そして今、ドライグはその鱗から力を取り戻した。俺の右手ごとな。

 俺は赤龍帝の籠手の本来の持ち主じゃないから

 力を振るうには支払うべき代償が要ったわけか。

 ならば聞かせてくれドライグ。お前が取立てを焦った理由……白龍皇だな?」

 

『霊魂の。気付いているとは思うが、お前は力を蓄えるためのプラントに過ぎなかった。

 その力を収穫した今、もうお前は用済みだ。赤龍帝でもなんでもない、ただの幽霊だ』

 

な……!? ど、ドライグ!?

まさかとは思ったけど、お前はそんな事のためにセージを利用してたのか!?

俺でまかないきれない分を、セージに肩代わりさせてたのか!?

 

「俺は死んでないぞ、ドライグ。それより、右手が無いのも存外不便なもんでな。

 右手だけでも、返してはくれないか?」

 

『出来ない相談だな霊魂の。あの時、お前の魂に俺の力を定着させるために右手を代償にさせた。

 鱗と言う媒体を介して、お前は俺の力をふるい限定的とは言え実体を維持でき

 俺はお前を介して力を取り戻した。いわば赤龍帝の籠手の体験版だった、って事だ。

 色々本来持ってない力に目覚めたようだがな。ともあれ、体験版の利用期間は終わりって事だ』

 

ど、ドライグ! 何言ってるんだ!?

それじゃ、今までセージはお前のいいように動いていただけだって言うのかよ!?

お前だけが一人勝ちして、セージは右手を失くしちまって……!

またいつぞやの俺みたいに、神器を持ってるからって理由で襲われたらどうするんだよ!?

 

『それからな。兵藤一誠、お前にも言えることなんだがな……

 

 ……いい気になるな、小僧ども!!

 俺は赤龍帝だ。この俺が貴様らのような小僧どもに

 良いようにされるだけでも腹立たしいというのに!

 白龍皇は既に目覚め、お前よりもはるかに強い! このまま戦えば俺はお前ごと負ける!

 生き残りたければ、今後はもっと俺の力を使いこなせるようにするんだな!』

 

「……フン。そのためには他の何がどうなっても構わないというのか。

 もはやお前はマダオどころの騒ぎではないな。

 ある意味、コカビエルよりも危険な存在というわけか。

 ……そうだと知っていれば、あの時首を縦には振らなかった。

 お前の話に乗った俺が恨めしくてならんよ」

 

右手を取られたこともあってか、セージがドライグに対して辛辣な態度をとっている。

そっか。あいつの右手に龍帝の義肢はあったわけだから

右手が無い今もうドライグとの関係は切れたわけか。

……ん? 右手が無いって、確かあいつ、右手にはもう一つの機能が……

 

「お、おいセージ。お前……右手が無いってことは……」

 

「……お前にしちゃ勘がいいなイッセー。ああそうだ。記録再生大図鑑も使えない。

 龍帝の義肢は、あれの起動キーの役割も果たしていたんだ。

 

 ……全くお笑いだな。さっきまで猛威を振るえていた俺が、今やこのざまだ。

 今まで記録していた分については、推測だがお前が禁手の力を発動させれば使えるはずだ。

 ……それを使いこなせるかどうかは、完璧にお前次第だけどな」

 

「う……簡単なのならともかく、お前が記録した奴全部は使えそうにねぇな……。

 コカビエルを倒した後でよかったな、ほんと」

 

俺の意見に、セージは全くだ、と肯定で返してくれた。

遠まわしにバカにされた気もしないでもないが事実なので言い返せない。

それに、言っちゃ悪いが今のセージが戦力になるとは思えない。

そう考えると、やはりすぐにでも右手を元に戻さないといけないんだけど……

 

……どうすりゃいいんだよ。

 

 

結局、この一連の騒動は何とか解決はしたものの、新たな課題を多く残す結果に終わった。

俺達の戦いは、決して間違ってないはずだ。

けれど、どんどん事態は大きく、俺達には手に負えなくなりそうな

規模の大きなものになっている事は、俺も何となくだけど感じざるを得なかった。

 

……ああ、何でこんな事になったんだろう。

俺はただ単に、部長のおっぱいを吸える、俺だけのハーレムが作りたいだけなのに。

それに頭を抱えていたのは、俺だけじゃなくて部長もだった。

 

「それから……リアス・グレモリー君。先ほどお話した件、忘れないでくださいよ。

 時間はいつでも空けておきますので、あなたの都合の良いときに来ていただければ結構です。

 ただ……近々授業参観もありますので、その前の方がお互い都合が良いと思いますがね」

 

「……わかったわ先生」

 

「ではそろそろ解散にしましょう。私はまだやる事がありますが……

 あなた方、一人で帰れますか?」

 

「それについては問題ないわ。ここから寮もそう遠くないし、イッセーも大丈夫よね?」

 

「え? はい、問題ないっすけど」

 

こうして、俺達は散り散りに解散して行った。アーシアは薮田先生が送ってくれるとの事らしい。

聞けば、警察の手伝いでけが人の治療とかをしていたそうだ。アーシアらしいっちゃ、らしいな。

 

……あれ? けれど、それが原因で色々変な目で見られてたそうだけど……大丈夫なのか?

ま、深く考えなくても良いか。アーシアの力が誰かに役に立ってるんなら、それは喜ぶべき事だから。

 

こうして、俺達の長い夜はようやく終わりを迎えたのだった。

薮田先生だけでなく、木場もこの後色々あったそうだ。本当に色々と忙しい一日だったぜ……。

 

――――

 

翌朝。薮田先生が言うように、あの後避難警報は解除され

いくらかの慌しさは残るものの、普段どおりの朝を迎えている。

父さんも母さんも、アーシアも無事に俺の家に戻っていた。

正直、家が倒壊してなかったことにほっとしている。

 

……俺の宝物の保管的な意味で。

 

セージは……いない。あいつが朝俺の部屋にいない事は多々あるので普段は気にも留めないが

今回ばかりは昨日の件もあるので、気がかりだ。

木場の件が解決したと思ったら、今度はセージかよ。本当、忙しい限りだ。

 

朝食を食べているリビングに流れるニュースは、昨日の事件で持ちきりだ。

父さんが読んでいる新聞にも、一面にでかでかと載っている。

 

――謎の巨大生物、駒王町を襲撃する!

 

――実験動物の逃走か、突然変異か、前触れも無く現れた脅威に迫る!

 

俺が言うのもなんだけど、結構無責任に煽ってくれていると思う。

けれど、本当のことを言っても信じてくれるかどうか。

まさか、堕天使の幹部がギリシャにいる怪物をつれてきました、なんて。

悪魔のことだって、はっきり言って半信半疑だろう。

その悪魔は、父さんや母さんの目の前にいるんだけどな。二人も。

 

だから、俺はセージが心配するような事にはならないと思う。

あいつが心配しすぎなんだ。人間は悪魔とうまくやっていける。

現にそうじゃないか。森沢さんだって、スーザンだって、ミルたんだって。

ま、まぁミルたんは人間にカテゴライズするにはちょっと怪しい部分があるけれど……

こんなにうまくやれるケースがあるんだ。俺は大丈夫だって信じてる。

 

「イッセー、そろそろ支度しないと遅刻するわよー」

 

おっとっと。昨日のアレがあっても学校はあるんだよなぁ。

まぁいいや。部長やみんなの様子も気になるし。

 

「行きましょうイッセーさん。それじゃお父様、お母様行ってまいります」

 

「はい、行ってらっしゃい」

 

だから俺は、今日も学校へ行く。

松田や元浜、それにオカ研のみんなと過ごせる時間が、間違っているなんてはずが無い。

セージの身体だって、きっとすぐに元に戻るはずだ。




戻ってくるだけならば、セージはあっさりと戻ってきました。
しかし、元来持っている神器も、赤龍帝の力も失っています。
神器の方は、鍵をなくしてしまいロックを解除できない、って状態ですが。
右手は霊体すらない状態です。
イッセーが言うとおり、完全に戦力外になってますが、さて。

今回の解説。


創世の目録(アカシック・リライター)

薮田直人が所有する神器。因果律、アカシックレコードにアクセスして
万物の事象を自在に書き換えられる神器。他の神器の効能を変化ないし無力化したり
無から有を創り出したり、ほぼ何でもできる。これを神器と言っていいものかどうか。
この神器について一言で言えば

うちゅうの ほうそくが みだれる!

しかし、使用時には副作用も同時に発生するため
この神器を用いた干渉は必要最低限にしなければならない制約も存在する上
持ち主の性格上、これを用いられる事は今回のように
誰の手にも負えない事態や解決法を用いなければならないときのみに限られる。

ちーとおつと いいたくば いえ

……そんな装備&存在です。

参考までに、今回使用して発生した事柄とその副作用をば。

・砲撃のための砲台を展開し、発射した

宇宙を漂うデブリで砲台と弾を生成、発射時の余剰エネルギーは次元の狭間に流した。
これは宇宙に流すと隕石を地球に落としかねないため。

・赤龍帝と白龍皇の神器を無力化した

二天龍の禁手のプログラムを書き換えた。その際蓄えられていたエネルギーは
既に存在しているブラックホールに流した。

・そして一瞬、空が、いや空間全てが真っ白になったような錯覚を覚えた。(Soul37. より)

これは直後にコカビエルの攻撃を無力化した結界。
レーティングゲームで使う術式の応用。一時的にレーティングゲームの空間と
同じ状態になってました。尚この間、次元の狭間が地上と同じ環境になってます。

このように副作用もあるため、おいそれとは使えない代物だったりします。
それでもチートですが。
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