ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

67 / 151
753は最高です!<ネタ
本郷猛は俺にとって英雄です!<ガチ

……というわけで見てきました映画。
いや、本当に凄い熱くハードでしたとも。
今までの春と同じ感覚で行くとえらい目に遭いますよ?

藤岡弘、はもう既にそれが一個のジャンルになってしまっている感。
藤岡隊長だったりせがた三四郎だったり冗談抜きで藤岡弘、づくしの映画でした。

……子供さんにゃちーとばかし重すぎたかな、って感も無きにしも非ず。
ちょっとぐずってる声が聞こえてきましたので……(状況は個人差があります)


そんなわけで前回のあらすじ。
聖書の神顕現。以上。


Life47. 俺達の会議、大ピンチ!?

「魔王サーゼクス様、アザゼル総督。

 此度のわが国における騒動について、ご説明願います」

 

俺たち悪魔と、天使、堕天使。

三大勢力の今後の運命を左右する、三大勢力による会談。

それがここ、駒王学園で行われている。

 

堕天使総督のアザゼルも、大天使長のミカエルも

そして俺たちの魔王、サーゼクス様もそれぞれ平和を望んでいた。

対談は、和平締結ですんなりまとまる……

 

……そう、思っていた。

 

 

ところが実際は違っていた。

日本神話の主神・天照大神に仏教の高位の仏・大日如来。

彼らは神仏同盟(しんぶつどうめい)を結成し、三大勢力の和平に待ったをかけたのだ。

彼らは日本を守るべく、とは言っているが

和平の邪魔をするそっちのほうがよほど悪者に見えてしょうがない。

 

そして、三大勢力の和平に待ったをかけたのは彼らだけではない。

世界史の薮田(やぶた)。いや、死んだと思われていた聖書の神――と言っても影武者だけど――

ヤルダバオトもまた、三大勢力のあり方に疑問を呈していたのだ。

 

俺たちは間違っていたのか?

いや、そんなはずは無い。堕天使のした事は確かに擁護できないけど

悪魔は決して人間を悪いようにしてないはずだ。

悪魔契約だって、みんなのためになることばっかりだ。

アーシアの契約なんか、その最たるものだ。

神仏同盟はともかく、ヤルダバオトは知ってるんじゃないのか?

知ってて、何でそういうことを言うんだよ……!

 

「……イッセー。これは魔王様の命令よ。何があっても、決して口答えをしないこと。

 顔に出てるわよ。ふざけるな、って。私もあなたの言いたい事はわかるけれどね」

 

部長や、魔王様が止めてくれなければ俺は今頃口答え……

いや、きっと殴りかかっていたと思う。

俺は難しいことはわからないけど、今日のために部長が苦心していたのは知っているつもりだ。

それを、こんなふうにされたんじゃたまったもんじゃない。

 

「じゃあ俺――堕天使側から説明させてもらおう。

 資料に書いてある通り、先日の騒動は我々神を見張る者の幹部、コカビエルが

 己の欲を優先して独断で行ったものだ。

 そもそも、コカビエルと俺は政治的主張も異にしている。

 そのコカビエルは現在コキュートスで終身刑を言い渡されている……事実上の死刑だな。

 罪名は反逆罪……ってとこだな」

 

「横から失礼。コキュートス……ですか。アレは確か

 ギリシャはオリュンポスの管轄だったはずですよ?

 報告書を読ませていただきましたが、コカビエルは他にもオリュンポスの管轄である

 ケルベロスやオルトロスを戦力として投入しているではありませんか。

 これについて天照様。ギリシャ神話勢から、何か報告は受けていますか?」

 

アザゼルの報告に、ヤルダバオトが待ったをかける。

さっきから文句ばっかり言ってないか? 言ってる事はよく分からないけど。

 

「いえ。オリュンポス十二神はおろか、ティターンの巨人の皆様からも何も聞いておりません。

 なので、この日本にケルベロスが現れたと聞いたときには驚きました。

 その件に関して、どうやら隠蔽工作が行われた痕跡があるみたいですが……

 アザゼル総督。これは自分達の行いが悪い事であると認識した上での行いですか?」

 

「ちょっ、隠蔽工作なんて俺は知らねぇぞ!?

 やったのは大方ケルベロスが暴れた駒王町を管轄にしている悪魔……

 すなわちグレモリーだろ!?」

 

「アザゼル! 我々に責任を押し付けるつもりか!

 天照様。確かに我々は事後処理として対応を行いました。

 それが結果として隠蔽工作のようになってしまったかも知れませんが

 我々は事態を収束すべく、あのような手法を取らせていただきました。

 駒王町の民は、我が妹の民でもありますので」

 

天照の指摘に、アザゼルとサーゼクス様がちょっと険悪な空気になる。

しかしさすがサーゼクス様。毅然とした対応で天照に向かっている。

 

しかしその言葉は天照の気にはいらなかったようだ。

一体何が気に入らないって言うんだよ。

 

「駒王町は日本国の領土です。冥界政府に譲渡した覚えは一切ありません。

 そこは訂正していただきたいのですが」

 

「駒王町もそうなんだが、お前たちは既にギリシャも自分達の領土だと言いたいのか?

 そうでなければ、ギリシャに住む獣をけしかけたり

 ギリシャの地獄に自分達の大罪人を送り込むなど通常考えられん事だ。

 俺のところで例えるならば、お前たちが鬼を使役したり

 奈落の底にコカビエルを勾留するようなものだな」

 

天照も、大日如来もアザゼルやサーゼクス様の報告にいちゃもんを付けている。

俺は堕天使じゃないし堕天使は嫌いだけど、そこまで言う事か?

コカビエルを地獄に落としたんなら、それでいいと思うんだけど。

それに、そりゃ日本はアメリカとかに比べたら狭いけれど

そこまで狭くないだろうに。天照ってのも随分とけち臭いなぁ。

 

「ふむ。では……一度オリュンポスのほうに連絡をつないでみましょう。

 連絡を取りますので、少し失礼させていただきますよ。

 夕方の時間帯ですので、炊事担当でなければ失礼にはならないでしょう」

 

ヤルダバオトは出前を取るかのように簡単に言ってのけているが

そんな簡単に話が通じるのか?

俺の疑念をよそに、ヤルダバオトはなんとスマホ一個で簡単に連絡を取ってのけていた。

腐っても全能の神って事かよ。

 

「……お忙しい中恐れ入ります。私、三大勢力の主神ヤハウェの代理である

 ヤルダバオトと申します。ゼウス様はそちらにおいででしょうか?

 

 ……はい、はい。ええ、ケルベロスの件と、コキュートスの件についてなんですが……

 ……はい、はい。ハーデス様にお繋ぎすればよろしいので?

 はい、かしこまりました。では後ほどかけ直させて……あ、はい、分かりました。

 ではお待ちしております。皆様にもよろしくお伝えくださいませ、では」

 

その光景は、なんだかシュールであった。

聖書の神が、スマホでギリシャの神と連絡を取っている。

まあ、既に似たようなものを見ている気がするんだけどな。

 

だが、それを見ていたアザゼルはヤルダバオトを怒鳴りつけていた。

お付きの堕天使が制止しようとしているが、アザゼルはお構いなしの様子だ。

 

そして何より、怒鳴られているヤルダバオトは全く意に介していない。

聖書の神って嘯くだけの事はあるってか。

 

「何のつもりだ! 無闇に問題を広げやがって!

 俺がどんな思いで問題をでかくしないように苦心したと思ってやがるんだ!」

 

「アザゼル様、落ち着いてください」

 

「おや。その様子ですとオリュンポスには一切報告していないようですね。

 問題を大きくしないように、と言う事は間違いないでしょう。

 アザゼル、黙ってコキュートスにコカビエルを送りつけましたね?

 ……もう一度聞きます、アザゼル。コキュートスはあなた方の領土ですか?

 黙っていれば問題ないとでも思ったのですか? 回答なさい」

 

「……その様子ですと、ここで黙っていては我々の国もそのような扱いをされる恐れは

 十二分にあると言う事ですね、わかりました。

 では日本神話の主神として、此度の件はそのように考えさせていただきます」

 

「右に同じく、だ。四天王とも協議して、我々仏教も

 堕天使陣営との交流は考えて行きたい所存だ」

 

アザゼルは反論しているが、ヤルダバオトはその反論を一切認めていない様子で話を進めている。

自分の領土でもないところに自分達の犯罪人を送りつけたってことか。

……そりゃ、まあ怒るのも無理はないか。

天照も、アザゼルの様子を見て堕天使の行いを納得しているようだ。

 

「……コキュートスは、俺達の領土じゃねぇ。前大戦で、有耶無耶になっていた地獄の一角。

 そこの最下層に、丁度いいってことでコカビエルを閉じ込めたんだ。

 下手な場所だと、コカビエルに脱走される恐れがあったからな」

 

「それで他所の管轄地域に閉じ込めたのですか。

 部下の監督不行き届きだけならば……まあこれも大問題ですが。

 私が言えたことではありませんが、よくあることではあります。残念ながら。

 しかし、何のかかわりもない他者の領域に自分達の問題の元凶を閉じ込める。

 その行いは、如何な理由があろうと許されるものではありません。

 コカビエルを釈放しろとは言いません。ですが、直ちに他の場所に護送しなさい。

 ハーデス様への謝罪は、私も同席いたしましょう。

 認めたくはありませんが、こうなったのも『(ヤハウェ)』の責任ではありますので」

 

「……チッ」

 

話は、堕天使陣営がオリュンポスに謝罪する流れになっている。

確かに、他所の国のものを勝手に持ち出したり

他所の国に勝手に自分達の犯罪者を押し付けたりしたら大問題だよな。

 

……堕天使って、やっぱ碌なのいないのかな。

そう思っていると、まだ天照の追及はあるみたいで

さらに天照から話が進む。

 

「ギリシャは私たちはおろか、人々にとっても友好な国です。

 その国にわが国から迷惑をかけることなど、あってはなりません。

 此度の問題は、我々としましても遺憾の意を表明させていただきます。

 

 ……さて、問題はさらに遡ります。コカビエルによる外患誘致以前にも

 堕天使による人間への殺傷行為。それが幾度と無く行われておりました。

 末端までは考えの及ばないところではあると思いますが

 アザゼル総督。この件について改めてご説明願います。

 わが国に、我が国民の安全を脅かすものを何時までも置いてはおけませんので」

 

「……天照。分かってるとは思うが、この事件をきっかけに引きこもらないでくれ。

 鎖国にしても、天岩戸の事件にしても。

 それらは今の時代の流れとあまりにも逆行しすぎている。

 心配せずとも、俺がついている。そのための同盟だ」

 

「……ありがとうございます、大日如来様」

 

大日如来が天照を気遣っている。んだが、見た目がイケメン俳優・天道寛(てんどうひろ)のせいで

なまじ美人の天照に対してよからぬ事を企んでやしないかと思ってしまう。

くそっ、だからイケメンは嫌いなんだ!

 

けれど、天照の言うことは気になった。

堕天使のせいで、セージも、俺も、何よりアーシアは一度殺されたんだ。

一体何を考えて、こんなことをしやがったんだ。

 

「それも報告書に書いてあるとおりだ。神器(セイクリッド・ギア)を持つ者は、俺達堕天使にとって脅威となる。

 今は小さな芽でも、いずれ俺達に牙を剥かれては敵わんからな。

 そうなる前の予防策だ。それが全部だが、何かあるか?」

 

アザゼルの言っていることは、俺が初めて出会った堕天使――レイナーレの言っていることと

おおよそ似通っていた。自分達にとって危険だから、そうなる前に排除する。

 

……くそっ。やっぱり堕天使は悪魔の、人間の敵じゃないか。

そんな奴に和平って言われても、セージじゃないけど信用できねぇ。

けど、俺は下っ端も下っ端。魔王様に意見なんて出来るはずもない。

セージじゃないんだから。

 

そう思っていた俺の気持ちを汲んだわけでは決してないだろうが

次にヤルダバオトが紡いだ言葉は、完全にアザゼルを糾弾するものだった。

それには俺も、会場の全員も目を丸くしていた。

 

「大有りですよ。あなたは不確定な未来のために、現在を生きる生命を絶っているんですからね。

 それに……前から言わせていただきたかったのですが。

 アザゼル。いえ、それにサーゼクスにミカエル。あなた方……神器の何を見てきたのです?

 『私』は人間があなた方三大勢力の生命といつか肩を並べて生きる日が来る。

 その時のために、人間に神器を託しました。その力は、初めは単純に

 芸術センスに秀でていたり、人より鋭い感覚を持っていたり

 人には見えないものが見えたり、私達の声を聞いたり、その程度のものでした。

 

 しかし、それはいつしか争いに用いられるようになっていきました。

 人間が自らの意思で力をそのように使うのは、私としては不本意ですが

 人間自らが選んだ道である以上、私は何も言いませんでした。

 ……ですが、あなた方はなんですか。力を持った者を導くどころか

 排除しようとしたり、道具にしようとしたり。

 これではあなた方が戦争を煽っているようにしか見えませんよ。

 あなた方はこの世界を、星を滅ぼすつもりなのですか?」

 

そういえば、一番最初に部長が言ってた気がする。

過去名を残した芸術家の中には、神器に目覚めていたものもいた、って。

ヤルダバオトが言ってるのは、そういうことなのか?

けど、確かにアーシアの神器みたいに悪魔だろうと癒せる神器もあるけど

俺や木場みたいに武器としての使い方が主流の神器も少なくない。

そこはどうなんだろう?

 

「戦争に兵器を用いるのは当たり前だろうが。自分で危険物ばら撒いておいてよく言うぜ」

 

「……そこは否定しませんよ。正直、『私』は知りませんが私は神器を世に送り出したことを

 後悔すらしていますからね……こうした悲劇が起きている以上は。

 ですが、さっき話したとおり、神器は初めは生活を豊かにするための一助として

 私が人間に貸与したものです。それを兵器として用いたのは確かに人間ですが

 今、この世で神器が兵器として用いられている例を、私は知りません。

 寧ろ神器を兵器として用いているのは、あなた方のように見受けられるのですが。

 繰り返しますが、神器は元来、兵器ではないのですよ?

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)や、白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)のように

 そうせざるを得なかった代物も確かにありますがね」

 

「と、なるとおかしいな。俺の聴いた話では、悪魔は積極的に神器もちの人間を

 自分の眷属に迎え入れている。そこにいる赤龍帝や、魔女と言われた少女もそうだと聞いている。

 今の話を統合すると、兵器として用いているのは寧ろそちら――悪魔側に思えるのだが」

 

ヤルダバオトの言葉に続く形で、大日如来が突っ込みを入れてくる。

へ、変な言いがかりはやめろ! まるで部長が俺たちのことを

道具としてしか見てないようなことを言いやがって!

そんなこと、あるわけないだろうが!

 

「言いがかりはやめていただけないだろうか、マハヴィローシャナ。

 我々悪魔は、確かに神器を持った者を眷属として迎え入れている。

 しかし、そうした者達には厚遇を約束している。道具として扱うなど、言語道断だ」

 

「それは妙ですね。私の耳に届いた話では主に追いやられた『はぐれ悪魔』なるものが

 わが国に一定の被害を齎しております。聞けば、それらは皆主に追いやられた眷属達。

 先ほどの話とは、矛盾が生じるのですが……」

 

サーゼクス様の反論に、今度は天照が待ったをかける。

な、なんなんだよさっきから!

そりゃ、そういう奴はいるかもしれないけど!

けど、悪魔だって部長みたいに……

 

「そんなわけないでしょ! リアスちゃんだって、ソーナちゃんだって

 眷属のみんなのことはとーっても大事にしてるんだから!

 いい加減なことを言って、みんなを困らせないでよ!

 

 大体ねぇ、私個人としてあなたに言いたいことあるんだから!

 あの授業参観のとき、私おめかしして行ったんだよ?

 それなのに、みんなそっちの方向いちゃうんだもん!

 マハヴィーちゃんは食べ物で釣ろうとするし、みんな私の事蔑ろにしすぎだよ!」

 

なんとセラフォルー様が天照や大日如来に強く当たっていた。

なんか、半分以上個人的な八つ当たりに思えるんだけど……

これにはソーナ会長も頭を抱えていた。

マハヴィーちゃんってのは、大日如来のこと……か?

 

「お釈迦様が言っていた……太陽は注目を集めるから太陽なのではない。

 皆を照らすから太陽なのだ……とな。太陽に感謝し崇めるのは生物として当然だ。

 その点、お前は太陽を気取っているただの電灯だ。

 電源を落とせば、その輝きはたちどころに失われる。

 常にそこに存在する太陽と比較すること自体が間違いだ。

 それに、そうやってちやほやされたとて、お前に集っているそれは所詮羽虫だ」

 

大日如来、これ完璧にセラフォルー様に喧嘩売ってるだろ!?

ああ、本当にどうしてこうなっちまったんだ!

案の定、セラフォルー様はぐぬぬ顔を大日如来に向けているし!

 

……あ、ちょっとかわいいかも。

 

「現レヴィアタンについては言いたいことが無いわけでもありませんが……

 あまり言うと内政干渉になってしまいますからね。やめておきましょう。

 さて。私も天照様の言うとおり『はぐれ悪魔』による被害を数多く目の当たりにしています。

 そしてそれの対応に当たっているのは人間です。

 ああ、彼らを責めるのは完全なお門違いですよ。

 彼らは自分達の住処を守ろうとしているだけなのですから。

 

 ……それよりサーゼクス。あなたも自分の不始末を他人に押し付けるつもりですか?」

 

「そんなことはない。現にこの地域のはぐれ悪魔についてはアガレス大公より

 統治をしているリアス・グレモリーに討伐依頼を……」

 

「やはり他人任せではありませんか。私が言っているのはそういうことではありません。

 『はぐれ悪魔を無くすためにはどうすればいいか』を聞いたのです。

 言っておきますが、全てのはぐれ悪魔を根絶やしにする、と言う意見は却下しますよ。

 全ての眷属悪魔がはぐれ悪魔になりうる可能性を秘めている以上、それは矛盾ですからね」

 

まだ言うか、ヤルダバオト!

俺たちのやってることにいちゃもん付けて、楽しいのかよ!

けど、どうすればはぐれ悪魔っていなくなるんだろうな。

セージだってこのままじゃはぐれ悪魔にされちまうかもしれないし……

 

「当然だ。折角迎え入れた者をはぐれとして始末すること自体、心苦しいものなのだ。

 だが、そうしなければ悪魔社会にも、人間社会にも悲劇が生まれてしまう。

 その点は、理解していただけないだろうか」

 

「迎え入れないと言う選択肢は無いのですね。些か暴論ですが、眷属として迎え入れなければ

 はぐれ悪魔を生み出す土壌は必然的になくなります。これが最善ではないとは思いますが

 一つの手として、一考してみてはいかがです?」

 

「そ、そんな事したら悪魔が滅んじゃうわよ! ヤルダバちゃん、本当に暴論だよそれ!」

 

「……え? つまりどういう事っすか?」

 

「悪魔転生をなくすって事。確かにそうすればはぐれ悪魔は生まれないけど

 そもそも、はぐれ悪魔になりうる転生悪魔そのものが生まれなくなるわ。

 つまり……悪魔に滅べって言ってる様なものよ」

 

部長の説明に、俺は度肝を抜かされた。

まさか、面と向かって滅びろって言うなんて!

い、いくら敵対していたとは言ったって、そこまで言うかよ!?

 

「……最善手ではないと言ったでしょう。それに、その程度で影響がでるほど

 やわな種族であるとは思えないのですがね。私の記憶の限りでは、ですが。

 寧ろ逆に、今の悪魔の寿命で人間と同じペースで増えれば

 それは新たな問題を生み出しますよ?」

 

新たな問題? 一体何だって言うんだよ。

悪魔は出生率が低いってのは俺も知ってる。だからハーレムも大いに歓迎されているって話だ。

それはまさに俺にとっては理想……なんだけどな。

けれど、どこに問題があるんだ?

 

「新たな問題? それは一体……」

 

「何故私がそこまで言わなければならないのです。それを考えた上で実行するのが

 魔王であるあなたの役割ではないのですか。

 それに私は何も一人で考えろと言っているわけではないのですよ?」

 

「で、でもわかんないわよ。ヤルダバちゃんの言うことは難しすぎて……」

 

セラフォルー様も、俺と同じ事を思っているみたいだ。

言うのはいいけど、もっと分かりやすく言えってんだ。

俺ははっきり言ってさっきから頭がぐちゃぐちゃだ。

だから難しいことを考えるのはやめにして、部長のおっぱいに集中している。

そんな俺を部長は苦笑しながらも、優しく受け止めてくれる。

ああ、やっぱ俺悪魔になって幸せだよ。

 

「……つまり、あなた方は意見もまともに纏め上げないままこの席を用意したのですか?」

 

「……っ! それは断じて違う! 我々は、元は天使、堕天使の両勢力との和平のために……」

 

「俺達日本に拠点を置く勢力が蔑ろにされているにも関わらず、か。

 先ほどのギリシャの件といい、どうもお前達は世界が自分達だけで成り立っていると

 思い上がっている節がないか? 俺には、さっきからそう見える。

 世界は自分を中心に回っていると考えるのは確かに楽しいが

 楽しいだけで世の中は渡ってはいけないぞ」

 

天照と大日如来は尚も俺達の勢力に突っ込みを入れてくる。

だ、だからなんなんだよ! 部長も、魔王様もこの日のために一生懸命だったんだぞ!

それを知らないで、勝手な事ばっか言いやがって!

 

「そんなことはありません、天照様。我々天界は日本との和平も望んでおります。

 現に姫島の神社にも先日……」

 

「……その話は聞きたくありません。悪魔の手にかかり、あそこに顕現していた神は

 その席を追われ、今やあの神社は『神のいない神社』となってしまいました。

 遠からず、あの神社は滅びるでしょう。それを止める術は、もう私にはありません。

 そして、そこに我が物顔で居座ったのはどなたですか。

 確かに私は、八百万の神として世界の遍く神々も私たちと同じくするもの、そう考えています。

 しかしそれは、決して私の……この大地で好き勝手に振舞ってよい。

 そう言う意味ではありません!

 おまけにあの場で、そこの少年に何を渡そうとしたのですか。

 私達の住処を勝手に占領しただけでなく、兵器のやり取りまで行うとは……

 既に証拠は挙がっているのですよ、大天使長ミカエル様」

 

俺が部長のおっぱいから現実に引き戻されるような衝撃的な証言。

天照が言うには、朱乃さんの神社にはもう神がいないらしい。

だから悪魔が入っても平気だったのか。

それに、アスカロンの一件は天照にも知れ渡っている。ってことは……

 

「ええ、私が会議の資料として冥界の雑誌を一冊拝借いたしました。

 これはヤルダバオトではなく薮田直人(やぶたなおと)としての忠告ですが……

 学校に私物はあまり持ち込まないほうがいいですよ、支取君」

 

「わ、私が情報の漏洩元だなんて……」

 

「そ、ソーナちゃん大丈夫だから! ソーナちゃんは悪くないから!

 悪いのは勝手に持ち出した顧問だから!」

 

そ、そういえば薮田は生徒会顧問でもあったんだ!

生徒会室に冥界の雑誌や新聞があったりしたら、薮田はそれを何食わぬ顔で手に入れられる!

そ、そんなことってありかよ!?

セラフォルー様が必死にソーナ会長をフォローしてるけど

それはヤルダバオトに対する非難でもあるわけで……

 

「確かに勝手に持ち出したのは謝りますが……

 そもそも、学校に必要以上の私物を持ち込むほうがどうかと思いますよ?

 まあ、支取君は生徒会室をシャワー付き個室に改造したりとか

 そういった無茶はしないでくれた分、よほど有情ではありますが」

 

「……なっ、何が言いたいのよ!」

 

「別に。何も言っていないのにそういう反応をするのはやめたほうがいいですよ。

 サーゼクス。あなたに言っても仕方ありませんが、せめて領主として立ち振る舞えるよう

 腹芸くらいは彼女に覚えさせたほうがよかったのではありませんか?」

 

そしたら今度は部長にまで飛び火した!

全く、油断も隙もねぇ! ど、どうしてこんな奴がここにいるんだよ、本当に!

 

「この分では、アザゼルと赤龍帝の密会も、何を企んでいたのか分かったものではないな。

 三大勢力同士では説得できても、我々神仏同盟を動かすには信用が足らない。

 俺、大日如来としては三大勢力の日本国からの即刻退去を願いたいものだが……

 多少なりともお前たちを信仰している人間もいる。そこまでは言わないでおこう……が。

 自分達は客分であると言うことを、少しは認識したらどうだ?」

 

「……言わせて貰うがなマハヴィローシャナ。

 俺は別に赤龍帝とやましいことを話してたわけじゃないぜ。

 ただ、赤龍帝がどういう奴か見たかっただけだ」

 

「アザゼル。あなた自分の立場が分かっているのですか?

 個人の好奇心でおいそれと動ける立場にいないことは、あなた自身よく知っているはずです。

 それなのに、個人的好奇心を満たしたいがために敵対勢力である悪魔に属している赤龍帝と

 個人的なコンタクトを取った。

 これは互いの勢力に疑心暗鬼を生み出すきっかけになりますが……

 それが原因で、冥界は現に混乱しましたからね。その口で和平ですか。

 ……なるほど、あなたにとって和平とは紙くず程度の価値しかないようですね」

 

「……そうだったなアザゼル。それにミカエルも。和平のためであるとは言え

 こちらの、妹の眷属である兵藤君に接触してくるとはどういうつもりだ?

 それも、正式な手続きを経ないで、だ。

 ミカエルは兵藤君にアスカロンを渡すつもりだったそうだが……

 一体、どういうつもりなんだ? 返答次第では、和平調印には私も考えざるを得なくなる」

 

「ちょ、ちょっとサーゼクスちゃん!?」

 

ああっ! サーゼクス様もヤルダバオトに感化されたのか

和平について懐疑的になってしまっている!

こ、このままじゃまた戦争になっちまわないか!?

そうなったら、あのコカビエルの思う壺じゃないか!

 

「アスカロンは我々天界と冥界の和平の証。そのために彼と個人的に親しい聖剣使いである

 紫藤イリナをアスカロンを渡す使者として派遣するつもりだったのですが……」

 

な、なんだって!?

イリナが……アスカロンの使者!?

っつーか、いつイリナ帰ってきたんだよ!?

いや、木場が「ゼノヴィアが見つけた……かもしれない」みたいなことは言ってたけど!

だ、だったら何でイリナはアスカロンを持って来ないんだ!?

 

「紫藤イリナ? はて。私の記憶では彼女は悪魔に誘拐されたと言う警察の証言がありますが。

 そして、保護されたと言う話は私は聞いておりませんが……ミカエル。

 この際だからあなたにも言っておきます。

 あなた……本気で信者をしっかり見つめているのですか?

 信者を抱えたものは、信者を正しく導く義務がある。

 『私』の不在……何故あなたは黙っていたのです?

 黙っていれば分からないであろうと、そう思っていたのではありませんね?」

 

「それは……信者に不安と混乱を与えないためです。主がいないことを知れば

 多くのものは心の支えを失うでしょう。そうならないためにも

 主がいないことは伏せるべきであった。私はそう思っています」

 

「それは思い違いですよ。人は既に神の手を離れ始めています。

 いえ……もう離れていると言ってもいいでしょう。人は自らの足で歩き始めているのです。

 何時までも神が、我々が口出しをすることは人間にとってよい結果をもたらすとは思えません。

 神がいなければ人は成り立たない、そう考えることは最早傲慢ですよ。

 ミカエル。そしてアザゼル、サーゼクス。何故『私』は消えたと思いますか?」

 

「それは、昔の戦争で……」

 

「他の皆さんも同じ答えですか? ならば……不正解です」

 

俺には、ヤルダバオトの言っていることが分からなかった。

昔戦争があって、それで聖書の神は死んだんじゃないのか?

三人とも、俺と同じ意見だけどヤルダバオトは違うって言っている。

ど、どういうことなんだよ?

 

「そもそも、神が死ぬなんてナンセンスですよ。神は信仰によって成り立つものです。

 生物としての生と死、それは我々神にとっては形骸的なものに過ぎません。

 生物の営みは、この地上に、大海に、大空に住む者達に任せればよいのです。

 信仰がある限り、神は不滅です。ですが信仰を多く集めているとは言え『神』は消えました。

 何故だと思います? ……必要がなくなったからですよ」

 

!? か、神が……必要ない!?

俺にはヤルダバオトの言っている事が、まるで分からなかった。




やばい、突っ込みが追いつかなくてここでヤルダバオトのターンを終えるつもりが
まだ続いてしまうなんて!
どんだけ突っ込みどころ多いんだ三大勢力!

前回から反響が大きいです。毎度ありがとうございます。
分からない点等は感想欄か私に直接メッセージをお願いします。
返信は遅いかもですが、可能な限りお答えいたします。

では解説。
かなり独自解釈・設定が多いです。

>コキュートス
三巻のケルベロスでちらっと触れましたが
普通にオリュンポス、すなわちギリシャの領地という設定です。
出自を考えたら堕天使が勝手に使っていい場所じゃないよな、と。

ここでハーデスが三大勢力に対し嫌悪感を抱いている理由付けが出来ました。
自分のところの生物を勝手に持ち出されたり
自分の領地に大罪人送り付けられたりしたらそりゃ、ねぇ。

>神器
記憶違いかもですが、神器にはこうした平和的利用のできるものも
数多く存在していたと思います。
しかし、原作では(ある意味拙作でも)戦闘方面にばかり目が行き過ぎていて
「ああ、結局力はそういう風にしか使われないのか……」と。
いくらガンダムパロが多いからって、ここまでオマージュするとは流石です(錯乱

>姫島神社に悪魔が入れた理由
神がいなくなってました。
前回にて天照の「声が届かなくなった~」は、この件を指しています。
神がいなければ魔を祓う力も無くなる訳で。

>神は信仰によって~
これはメガテンとか東方とかそっちの思想なんですけど。
けれど、神が死ぬってのが今一ピンと来ないってのもありまして。
まして四文字クラスの主神が、ですよ?
なので、「死んだ」ではなく「消えた」と言う事にしてあります。
ヤルダバオトはあくまでも四文字本人ではなく影武者ですので。

3/29訂正。
昔見た何かのアニメの記憶がごっちゃになってたらしく。
一応ゼウスの奥さん設定は生きてます>ヘラ様

……どうでもいいけど、イッセーとか見たらぶちきれそうね、ヘラ様

3/29訂正その2。
アガレスの方でしたっけ。
いやはや、記憶違いが多く申し訳ないです。

今後も不備等ありましたらご連絡くださいませ。
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