「ふぅ……」
口に咥えた煙草の煙を吐き、白い曇を作る。煙草でも吸わなきゃ、こんな
「まーた、煙草吸ってるんですか?もう、身体に悪いでしょう?津之浦ヒレ先輩」
「良いでしょ?自家製なんだから匂いも無いし、なんならフローラルの匂いにしてるはずなんだけれども。というか、ユメ先輩は?」
「ユメ先輩は……またどうせ宝探しでしょう」
いつもはノリノリなのに、今回はついて行かなかったのか。まあ良いか、それじゃ私も、D.U.地区に煙草を売りに行こうかな。
えーーと、煙草の在庫は……今回はちょっと時間が
「また煙草を売りに行くんですか?ヒレ先輩。それじゃ、私も暇になってしまうのでついていっても良いですか?」
「煙草を毛嫌いしているホシノがついてくるのは珍しいね。まあ別に良いけど」
「だってヒレ先輩、ユメ先輩ほどではないですが弱いじゃないですか。精々私のランニングについてこれる程度ですよ」
まあ、私は戦闘は不向きだけど、人を欺くことやハッキング。その他にもプログラムやら潜入などは人並み以上にできる。だから役に立っていないわけではない…はず……
というか、ホシノの戦闘能力が異常なだけでホシノのランニングにもついていける私もそれなりに凄いのでは?そう思うとなんだか自分が誇らしく思えてきた。
「まあ良いや、この話は後にして、さっさとD.U.地区に向かうよ。ほら、早く私のヘリに乗って」
「……ヒレ先輩って、戦闘以外ではオールラウンダーですよね。商売やハッキングも卒なくこなすし、バイクから何故か電車の免許まで持ってますし」
「どうしたホシノ、そんな褒めても煙草しか出ないよ?」
唐突なホシノの褒め言葉に、少し照れながらも冗談を言っていると、ホシノに呆れられて『いらない』と返される。
さて、準備も整ったし。ヘリポートに向かうか。既に吸い終わって灰となった煙草を灰皿に突っ込み、新しい一本を咥えて火を付ける。
「すぅ……ふぅ~……やっぱ自家製の魅力は自分の好みの味にできるのが最高だね、我ながら世界一美味い煙草だよ」
「このヘビースモーカー……」
「なんか言った?」
全く……先輩に対して失礼な後輩、私の唯一の楽しみなんだから。とりあえず、ヘリポートにも着いたし早く乗ろう。
煙草も積まないと、今回販売する会社は……カイザーか。あそこは裏がありそうで見えないから、ちょっと嫌い。
でも積んでくれるお金の量は他の会社よりも泊を付けてくれるし、商売相手としては良い。とりあえず演技でもして、関係が続くようには頑張ろう。
「会社に売り付けた後はどうするんですか?売った後もそれなりに時間が余りますけど」
「そうだねー……個人で注文してくれたお客さんに配達かな、私の煙草を好んでくれる貴重な常連さんなんだから喧嘩、ふっかけないようにね」
「ふっかけませんよ、私を何だと思っているんですか」
ヘリを操縦していると、後ろから鋭い目が向けられる。相変わらずホシノは少し怖い。さて、気を取り直して、会社の屋上のヘリポートに到着と。
「もうすぐこの会社の受け取り役が来るから、それまで待機しよっか」
「そうですね、では私は暇なので銃のお手入れをしておきます。そういえば、先輩も銃、持ってましたよね」
「ん?ああ……アサルトライフルがあるしメンテも一応してるけど、まだ名前もないし使ったこともないんだよね」
今言った通り、アサルトライフルを買ったは良いものの、まだ使ったことがない。
何故ならヘルメット団との戦闘はホシノが担っているし、私は大人との交渉、貿易、売買などを担当している。故に使う機会がないのだ。
「せっかくですし、帰ったら私が教えてあげますよ。先輩って弱いですし」
「一言余計だよ、ホシノ」
三本目の煙草を吟味していると、屋上の扉が開き、複数のスーツを着たオートマタがやってきて、私の煙草を品定めし始める。
「……ふむ、いつも通り品質の高い煙草。ではいつもと同じ値段でよろしいですね?」
「うん、いつもの値段でよろしく」
と、いうことで取引成立。しかし本数が少し少ないため、いつもより20~30万円は少ない。しかし、それでも80万円は稼げたので充分だろう。
「うへっ……すごい大金ですね、これいくらですか?」
「ざっと80万付近かな、煙草は不安定だけど年収は最低でも550万円、最高では1,000万円付近の記録を叩き出したこともあるよ」
「ええっ……!?そ、そんなにお金が稼げるんですか?」
「ほら、それじゃあ次の配達だよ。常連さんの家に行くよ」
このあとはとりあえず……儲かったお金でホシノになんかご飯でも奢ってあげようかな、見立てではこのままいけば、おおよそ110万は稼げるかな。
「すぅ……ふぅ…このあとご飯でも食べに行かない?もちろん、私持ちだよ」
「えっ、良いんですか!?やった♪それじゃそれじゃ、最近できた柴関ラーメンでも食べましょうよ!!」
「ふふっ…良いよ、でも煙草の配達が終わってからね?」
ホシノのはしゃぎ
ツンツンしている印象が強いけど、こういうとこは本当に可愛いんだよねー、なんというか、
◆◆◆
しばらく配達を続けて夕日も沈んできた頃、ようやく残りの件数も3~2件を切り始めた。そしてその時にちょうど、ユメ先輩からメールが届く。
『お宝探しから帰ってきたけど、二人ともどこにいるの?』
『私の仕事を手伝ってもらってます、このあとホシノとラーメン食べますけど、ユメ先輩もどうですか?』
『えっ!?行く行く!!今どこにいるの!?』
ラーメンのことを話すと、途端に明るい印象を与えてくる声色になる。そして今の現在地を教えて、そこで待機する。
待機し始めて約10分、ユメ先輩の明るい声が聞こえてくる。
「おーーいっ!!」
「来たね、それじゃ配達しに行こっか」
ユメ先輩も来たので、煙草を灰皿にトントン、と叩いて灰を落としながらヘリに乗り込む。そして出発のために様々な機械を稼働させる。
「わー…難しそうなのがいっぱいだね」
「実際難しいですよ、私も全部記憶するのに一ヶ月はかかったので」
よし、不備は……なさそう。それじゃ出発かな。レバーを動かし、プロペラを回し始める。
「えっと……近くの所でヘリで10分か、ルートを考えないと」
ルートを決めながら操縦していると、早速一軒目に着く。近くのヘリポートに着地し、荷物を詰める所から煙草を1カートン引き出して、それを持って
「煙草、届けに来ましたよー」
「ああはい、今出ます」
その声に待機していると、扉が開き着物を着た猫が出てくる。そして私の煙草を見て笑顔になりながら、お金の入った封筒を渡される。
「お宅の煙草は匂いもないどころか、フローラルな香りもするし美味しいからいつも楽しませてもらっているよ」
「そう?なら私も嬉しいかな、私の好みが分かる人って少ないから」
新しい一本を取り出しながら、お客さんの言葉につい口角が上がってしまう。こんな素直に感謝を伝えてしまうと、私とて笑ってしまう。
「でも、若い内に煙草を吸って良いのか?肺、汚れちまうぞ」
「これが私の数少ない楽しみだし、私の煙草はできる限り肺の負担を抑えているから安心しなよ」
さて、ライターライター……ん?あれ、ライターどこやったっけ。ポケットにも、胸ポケットにもない。バッグの中には……ない…!?
「……ホシノ、ライター持ってる?」
「持ってませんけど……どうかしましたか?」
マズい、非常にマズい。私がいつも吸っている煙草は依存性が高いのだ、売っている物は市販の物と依存性は変わらないが、私のはコスパとタイパを重視しているため、工程も少々雑なんだよ。
「や、ヤバい……今すぐ近くのコンビニに行くよ!!」
「ちょっ……先輩!?」
煙草の禁断症状が出る前に吸うべく、走りながら近くのコンビニを探す。あった、ここから走れば5分。禁断症状が出る前に間に合いそう。
「着いた!!すみませんライターください!!」
「ひゃっ…!?す、すみません。ら、ライターは今入荷できてなくて……」
「う、嘘でしょ……!?」
ここでライターが入手できないとなると……さらにここから近いコンビニでもあと20分はかかる。どうする、禁断症状が出たらもう終わり。か、考えろ……!?
「あっ、ヒレちゃーーん!!」
「ゆ、ユメ先輩……?」
解決策を必死に頭回して考えていると、大きな緑の髪を揺らしてユメ先輩がやってくる。そして、その振られている右手には、私の愛用している少しレトロな長方形の銀色のライターが握りしめられていた。
「なっ……ど、どこでそれを……!?」
「えへへ、ここに来る途中でこのライターを見つけてね。ヒレちゃん無くて困ってるんじゃないかなって」
「ユメ先輩ぃぃぃいいい!!!」
「わわっ」
嗚呼…なんという豪運。ユメ先輩のおかげで私の喫煙ライフは守られた……おっと、とりあえず早く吸わないと。
「すぅ……ふぅ~……」
すぐさま煙草を咥え、火を付ける。そうすると煙草の味が口の中に広がり、少しの幸せに包まれる。
「ああ〜……やっぱ吸ってると落ち着くよ」
「こりゃ完全に依存してますね、まあ、ヒレ先輩の煙草は依存しても身体への異常が少ないのは知っていますけど」
「私の煙草は独自の製造技術で作られているからね、有害物質のタールが少ないんだよ。まあ……私が吸う煙草限定で製造過程が甘いから味が強くて依存性も高い煙草が出来上がったわけだけどね」
「……先輩の煙草は絶対吸いません」
まあ、元々吸わせる気はないけどね。可愛い後輩に、大人の楽しみを教えたくないし。さてと、配達ももうそろそろだしパーッと終わらせて、皆でラーメン食べよう。
◆◇◇
「配達終わった〜〜〜っ!!」
「ホシノも、ユメ先輩もお疲れ様。それじゃラーメン食べに行こっか。もちろん、約束通り私持ちだよ」
「うへへっ、早く行きましょう先輩!」
配達も終わり、クタクタになったユメ先輩に膝枕を施していると、私の言葉を聞いたホシノに肩を揺さぶられたり腕を引っ張られる。
「ユメ先輩が起きたらね」
「む……仕方ありませんね……」
ホシノは、頬を膨らませて見るからに拗ねている意を示す。相変わらず可愛い後輩だ。
「さてと……ユメ先輩に見られている間は吸えないからな、今の内に吸っておこう」
「そういえば、ユメ先輩の前では吸ってませんよね。どうしてなんですか?」
「えっとね、私とユメ先輩が初めて会った時に私が吸ってるの注意されたんだけど、色々話し合った末にユメ先輩が見ていない間に吸うって条件で許可されたの」
「ふーん……なるほど、理解しました」
そう言いつつ、煙草の先端を口に咥え、火を付ける。因みに、私の煙草はちょっと独特で、偶然生まれたメンソールタイプ*1とフレーバータイプ*2の味が掛け合わさったような味に仕上がっている。
そしてこれがまた私の好みにストレートで合っていて、試しに売ってみたら極少数のマニア層にだけだが、かなりの人気を博したためこの味の煙草を売っている。
「……?あっ、おはよう。二人とも」
「おはようございます、ユメ先輩」
ホシノと雑談をしていると、ユメ先輩が起きる。そして寝惚けていたユメ先輩をホシノがペチペチして起こす。ということで、準備もできたので早速食べに行こう。
「へぇ……これが柴関ラーメン」
「屋台だったね」
「でも、味は保証できますよ。一週間ほど前に、一度だけ食べてみましたから」
目的地に着くなり、目をキラキラさせたホシノにユメ先輩と一緒に腕を引っ張られる。それにしても、今年は何か……
「……嫌な予感がするなぁ」
はい、ということで最新作!!投稿としては、夢→再→夢→再というように交互に投稿していきます。なのでお楽しみに!!お気に入り登録、評価。それとご感想等よろしくお願いします!!