3期の10話あたりから、物語が始まります。
ずっと眠り続けたこの日々。
俺は、覚醒の狼煙をただひたすらに待った。
いつまでも続く闇の中を、ただひたすらにもがくような感覚。
俺はその中で待ち続けた。
俺の成し遂げたいことのために。
そして、
愛する者のために。
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「・・・ろ・・・きろ・・・!」
誰かの声が、耳の奥に響く。
「・・・ける・・・・おき・・・・」
俺を呼んでいるような気がしてならない。
「・・・・・丈!起ーきーろッ!」
丈「ッ・・・・・!!」
やっと意識がはっきりし、誰かの声が確実に聞こえた。
丈「ここは・・・・・」
キャロル「やっと起きたか・・・・丈・・・」
はっきりした意識の目の前に、金髪の少女が立っていた。
その風体には、見覚えがあった。
丈「おまえ・・・・まさか、キャロル・・・?」
キャロル「そうだ・・・お前の腐れ縁の、キャロル・マールス・ディーンハイムだ。」
キャロル・マールス・ディーンハイム。
俺が昔、8年間を彷徨っていたときの、しがらみを持った人間の一人だ。
彼女のもとに、俺は8年のうちの2年を過ごした思い出がある。
丈「・・・・・お前が起こしに来たのか?」
キャロル「風鳴訃堂の思惑を逆に横取らせてもらったまでだ。」
俺はゆっくりと体を起こし、辺りを見回す。
無機質な空間の部屋。
何かを封印するにはもってこいの場所。
丈「あの日から。変わらず俺はここにいたみたいだな。深淵の竜宮に」
あの日。
それは、祖父の計画の初めの段階。
俺がコールドスリープさせられ、ここ深淵の竜宮に封印された日だ。
キャロル「お前の祖父の計画は、オレが遮ったということだ。感謝でもするんだな。」
丈「相変わらず。お前もお前だなキャロル。」
身の丈にあってない見た目の服装や口調、そして少しわがままな性格のこの少女には、俺の常識も通用しない。
なにせこの少女は、数百年の時を生きた、錬金術師だから。
キャロル「話はそろそろいいか?ここを出るぞ。丈。」
丈「急ぎなのか?」
キャロル「ああ。相当な。今も、むずがゆい装者の連中が追ってきている。」
丈「装者?」
聞き慣れない単語に、俺は疑問を投げかけた。
キャロル「急ぎだと言っているだろう。そんな問答をしている暇は・・・・・」
その時だった。
俺のいる部屋から真向かいの扉に、爆風が飛び散った。
まるで、ミサイルでも当たったかのように。
キャロル「来たか・・・・・」
キャロルも、その爆風の後を見ながらそう言った。
爆風の陰から、3人の少女のシルエットが見える。
爆風の霧が晴れた直後、そこには、特異なプロテクターを身に纏った少女たちが立っていた。
クリス「見つけたぞ!さっさとお縄につきやがれ!」
切歌「抵抗しても容赦しないデス!」
調「もう、逃げられない・・・!」
少女たちは、一様に得物を持ち、こちらに構える。
キャロル「チッ・・・!こざかしい・・・!丈!お前はここから・・・!」
丈「調ちゃん、切歌ちゃん・・・・?」
目の前の少女たちにもまた、見覚えがあった。
ギアを纏っていて、一瞬誰か分からなかったが、見間違えるはずがない。
調「・・・・・もしかして、丈、君?」
俺に気づいたのは、ピンク色のギアを纏った調ちゃんからだった。
切歌「調?何を言って・・・・・・って!およよ!?」
調ちゃんの勘づきから、切歌ちゃんも、俺に気がついたようだった。
切歌「た、丈!?丈デスよ調!!どうしてこんなところに!?」
クリス「お前ら、あの男のことを知ってんのか!?」
久しぶりの旧友に、連続して出会うこの時は、俺の頭をさらに困惑させた。
切歌「見間違うはずないデス!正真正銘、丈デスよ!」
調「丈君・・・!やっと、会えた・・・!!」
調ちゃんと切歌ちゃんは、俺に近づこうとする。
クリス「待てッッ!!」
それを遮ったのは、赤色のプロテクターとギアを纏った少女だった。
調「ッ・・・!邪魔しないで!クリスさん!」
切歌「目の前にいるのは、私たちの大切な家族だった人デス!取り戻そうとしたいのは当たり前じゃないデスか!!」
クリス「落ち着けお前ら!闇雲に突撃する馬鹿がいるか!!」
クリスと名乗る彼女の言うとおりだ、実際、もう半歩近づいていたら、キャロルの攻撃の射程内に入っていた。
彼女は、一見アツい性格に見えて、冷静な判断ができるようだ。
キャロル「貴様らにこの男を渡すわけにはいかない。オレの命題の達成のためにも、コイツの力は必要なのだからな。」
調「そんなの関係ない・・・!丈君を返して!」
切歌「丈は、私たちの家族みたいな存在なんデス!丈を利用しようとしてるヤツを、ほっとけるもんかデス!」
調ちゃんと切歌ちゃんは、再度、自身の得物を構えた。
キャロル「利用ではない。こいつにお願いしようとしているだけだ。私もこいつとは、浅からぬ縁なのでな。」
切歌「こっちだって!丈との思い出はいっぱいあるデス!」
調「丈君に話したいことだってたくさんある!だから!丈君を離して!」
キャロル「断る。こいつは離せない。」
切歌「離すデスッ!!」
キャロル「嫌だな。」
キャロルと切歌ちゃん調ちゃんの押し問答は、続く。
それを端から見ていた、クリスとキャロルのオートスコアラーであるレイアは、呆れたように見ていた。
丈「お前ら!落ち着いてくれ!まったく状況が整理できん!これ以上頭をこんがらせないでくれ!」
俺は、彼女たちの押し問答に、割って入った。
さっきから、俺を取り合うような話ばかりで、集中できない。
丈「まず、キャロルから話を聞きたい。お前のしたいことを教えてくれ。」
俺は、キャロルに話を振った。
キャロル「オレは、パパから与えられた命題を解くためだ。世界を解剖し、万象黙示録を完成させる。それが、オレの使命だ。」
丈「なるほど・・・・それで?調ちゃんと切歌ちゃんたちの目的は?」
キャロルに続き、俺は切歌ちゃんと調ちゃんに質問する。
切歌「もちろん!目の前のキャロルを止めるためデスよ!」
調「キャロルのせいで世界がバラバラになっちゃうかもしれないの!ここでなんとしても止めないと!」
丈「なるほどね・・・・・・」
俺は双方の意見を聞き、しばらく思案した後、答えを出した。
丈「俺は、大切な人の頼みは聞いてあげたい性分だ。だけど、キャロル。今回ばかりは協力してあげられないかもしれない。」
キャロル「なんだと・・・?」
俺は立ち上がり、キャロルと向き合う。
丈「世界の解剖は、俺には協力できかねるよ。すまない。キャロル。」
俺は、キャロルに頭を下げ、頼みを聞いてあげられないことを謝った。
キャロル「・・・・・・フン。まあ、そう言うとは思っていたさ。お前の性格状、俺の計画には不向きだ。」
キャロルは、あっさりと、俺が協力できないことを理解した。
キャロル「ならば・・・・・お前はここで退場だ・・・」
丈「は?」
キャロルがそう言った時、腹に何かが突き刺さる感覚があった。
丈「がっ!?」
キャロルが、巨大な竪琴の刃先を、俺に突き立てていた。
深々と刺さったところから、出血が絶えない。
キャロル「すまんな・・・丈・・・」
キャロルは、竪琴の刃先を俺の体から引き抜いた。
血がとめどなく、腹から噴き出す。
丈「ハハ・・・まあ、お前ならそうするよな・・・」
出血箇所を押さえながら、俺はそう言った。
キャロル「・・・・・・・・レイア。ここは任せた。」
レイア「お任せを。マスター。」
キャロルは、後のことをオートスコアラーのレイアに任せると、紫色の結晶を割り、どこかへと姿を消してしまった。
クリス「待ちやがれッッ!!」
クリスが、キャロルのいた場所に攻撃を撃ち込もうとする。
それをレイアは、特大のコインで、クリスの攻撃を防ぐ。
調「丈君!!」
切歌「丈!!」
調ちゃんと切歌ちゃんが、俺に近づき、傍らまで来ると、そっと出血箇所を2人で押さえてくれた。
丈「ぐっ・・・痛いな・・・」
血が流れすぎて、意識が朦朧としてきていた。
調「丈君!!しっかりして!!」
切歌「死んじゃ嫌デスよ!!丈ーーッ!!」
俺の意識は、朦朧としたまま、二人の泣き顔が意識にあるうちに、徐々に暗闇へと落ちていった。
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