戦姫絶唱シンフォギア Rising   作:川井 アザト

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本編に突入です。

3期の10話あたりから、物語が始まります。


4話

 

ずっと眠り続けたこの日々。

 

俺は、覚醒の狼煙をただひたすらに待った。

 

いつまでも続く闇の中を、ただひたすらにもがくような感覚。

 

俺はその中で待ち続けた。

 

俺の成し遂げたいことのために。

 

そして、

 

愛する者のために。

 

〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈

 

 

 

 

「・・・ろ・・・きろ・・・!」

 

誰かの声が、耳の奥に響く。

 

「・・・ける・・・・おき・・・・」

 

俺を呼んでいるような気がしてならない。

 

「・・・・・丈!起ーきーろッ!」

 

丈「ッ・・・・・!!」

 

やっと意識がはっきりし、誰かの声が確実に聞こえた。

 

丈「ここは・・・・・」

 

キャロル「やっと起きたか・・・・丈・・・」

 

はっきりした意識の目の前に、金髪の少女が立っていた。

 

その風体には、見覚えがあった。

 

丈「おまえ・・・・まさか、キャロル・・・?」

 

キャロル「そうだ・・・お前の腐れ縁の、キャロル・マールス・ディーンハイムだ。」

 

キャロル・マールス・ディーンハイム。

 

俺が昔、8年間を彷徨っていたときの、しがらみを持った人間の一人だ。

 

彼女のもとに、俺は8年のうちの2年を過ごした思い出がある。

 

丈「・・・・・お前が起こしに来たのか?」

 

キャロル「風鳴訃堂の思惑を逆に横取らせてもらったまでだ。」

 

俺はゆっくりと体を起こし、辺りを見回す。

 

無機質な空間の部屋。

 

何かを封印するにはもってこいの場所。

 

丈「あの日から。変わらず俺はここにいたみたいだな。深淵の竜宮に」

 

あの日。

 

それは、祖父の計画の初めの段階。

 

俺がコールドスリープさせられ、ここ深淵の竜宮に封印された日だ。

 

キャロル「お前の祖父の計画は、オレが遮ったということだ。感謝でもするんだな。」

 

丈「相変わらず。お前もお前だなキャロル。」

 

身の丈にあってない見た目の服装や口調、そして少しわがままな性格のこの少女には、俺の常識も通用しない。

 

なにせこの少女は、数百年の時を生きた、錬金術師だから。

 

キャロル「話はそろそろいいか?ここを出るぞ。丈。」

 

丈「急ぎなのか?」

 

キャロル「ああ。相当な。今も、むずがゆい装者の連中が追ってきている。」

 

丈「装者?」

 

聞き慣れない単語に、俺は疑問を投げかけた。

 

キャロル「急ぎだと言っているだろう。そんな問答をしている暇は・・・・・」

 

その時だった。

 

俺のいる部屋から真向かいの扉に、爆風が飛び散った。

 

まるで、ミサイルでも当たったかのように。

 

キャロル「来たか・・・・・」

 

キャロルも、その爆風の後を見ながらそう言った。

 

爆風の陰から、3人の少女のシルエットが見える。

 

爆風の霧が晴れた直後、そこには、特異なプロテクターを身に纏った少女たちが立っていた。

 

クリス「見つけたぞ!さっさとお縄につきやがれ!」

 

切歌「抵抗しても容赦しないデス!」

 

調「もう、逃げられない・・・!」

 

少女たちは、一様に得物を持ち、こちらに構える。

 

キャロル「チッ・・・!こざかしい・・・!丈!お前はここから・・・!」

 

丈「調ちゃん、切歌ちゃん・・・・?」

 

目の前の少女たちにもまた、見覚えがあった。

 

ギアを纏っていて、一瞬誰か分からなかったが、見間違えるはずがない。

 

調「・・・・・もしかして、丈、君?」

 

俺に気づいたのは、ピンク色のギアを纏った調ちゃんからだった。

 

切歌「調?何を言って・・・・・・って!およよ!?」

 

調ちゃんの勘づきから、切歌ちゃんも、俺に気がついたようだった。

 

切歌「た、丈!?丈デスよ調!!どうしてこんなところに!?」

 

クリス「お前ら、あの男のことを知ってんのか!?」

 

久しぶりの旧友に、連続して出会うこの時は、俺の頭をさらに困惑させた。

 

切歌「見間違うはずないデス!正真正銘、丈デスよ!」

 

調「丈君・・・!やっと、会えた・・・!!」

 

調ちゃんと切歌ちゃんは、俺に近づこうとする。

 

クリス「待てッッ!!」

 

それを遮ったのは、赤色のプロテクターとギアを纏った少女だった。

 

調「ッ・・・!邪魔しないで!クリスさん!」

 

切歌「目の前にいるのは、私たちの大切な家族だった人デス!取り戻そうとしたいのは当たり前じゃないデスか!!」

 

クリス「落ち着けお前ら!闇雲に突撃する馬鹿がいるか!!」

 

クリスと名乗る彼女の言うとおりだ、実際、もう半歩近づいていたら、キャロルの攻撃の射程内に入っていた。

 

彼女は、一見アツい性格に見えて、冷静な判断ができるようだ。

 

キャロル「貴様らにこの男を渡すわけにはいかない。オレの命題の達成のためにも、コイツの力は必要なのだからな。」

 

調「そんなの関係ない・・・!丈君を返して!」

 

切歌「丈は、私たちの家族みたいな存在なんデス!丈を利用しようとしてるヤツを、ほっとけるもんかデス!」

 

調ちゃんと切歌ちゃんは、再度、自身の得物を構えた。

 

キャロル「利用ではない。こいつにお願いしようとしているだけだ。私もこいつとは、浅からぬ縁なのでな。」

 

切歌「こっちだって!丈との思い出はいっぱいあるデス!」

 

調「丈君に話したいことだってたくさんある!だから!丈君を離して!」

 

キャロル「断る。こいつは離せない。」

 

切歌「離すデスッ!!」

 

キャロル「嫌だな。」

 

キャロルと切歌ちゃん調ちゃんの押し問答は、続く。

 

それを端から見ていた、クリスとキャロルのオートスコアラーであるレイアは、呆れたように見ていた。

 

丈「お前ら!落ち着いてくれ!まったく状況が整理できん!これ以上頭をこんがらせないでくれ!」

 

俺は、彼女たちの押し問答に、割って入った。

 

さっきから、俺を取り合うような話ばかりで、集中できない。

 

丈「まず、キャロルから話を聞きたい。お前のしたいことを教えてくれ。」

 

俺は、キャロルに話を振った。

 

キャロル「オレは、パパから与えられた命題を解くためだ。世界を解剖し、万象黙示録を完成させる。それが、オレの使命だ。」

 

丈「なるほど・・・・それで?調ちゃんと切歌ちゃんたちの目的は?」

 

キャロルに続き、俺は切歌ちゃんと調ちゃんに質問する。

 

切歌「もちろん!目の前のキャロルを止めるためデスよ!」

 

調「キャロルのせいで世界がバラバラになっちゃうかもしれないの!ここでなんとしても止めないと!」

 

丈「なるほどね・・・・・・」

 

俺は双方の意見を聞き、しばらく思案した後、答えを出した。

 

丈「俺は、大切な人の頼みは聞いてあげたい性分だ。だけど、キャロル。今回ばかりは協力してあげられないかもしれない。」

 

キャロル「なんだと・・・?」

 

俺は立ち上がり、キャロルと向き合う。

 

丈「世界の解剖は、俺には協力できかねるよ。すまない。キャロル。」

 

俺は、キャロルに頭を下げ、頼みを聞いてあげられないことを謝った。

 

キャロル「・・・・・・フン。まあ、そう言うとは思っていたさ。お前の性格状、俺の計画には不向きだ。」

 

キャロルは、あっさりと、俺が協力できないことを理解した。

 

キャロル「ならば・・・・・お前はここで退場だ・・・」

 

丈「は?」

 

キャロルがそう言った時、腹に何かが突き刺さる感覚があった。

 

丈「がっ!?」

 

キャロルが、巨大な竪琴の刃先を、俺に突き立てていた。

 

深々と刺さったところから、出血が絶えない。

 

キャロル「すまんな・・・丈・・・」

 

キャロルは、竪琴の刃先を俺の体から引き抜いた。

 

血がとめどなく、腹から噴き出す。

 

丈「ハハ・・・まあ、お前ならそうするよな・・・」

 

出血箇所を押さえながら、俺はそう言った。

 

キャロル「・・・・・・・・レイア。ここは任せた。」

 

レイア「お任せを。マスター。」

 

キャロルは、後のことをオートスコアラーのレイアに任せると、紫色の結晶を割り、どこかへと姿を消してしまった。

 

クリス「待ちやがれッッ!!」

 

クリスが、キャロルのいた場所に攻撃を撃ち込もうとする。

 

それをレイアは、特大のコインで、クリスの攻撃を防ぐ。

 

調「丈君!!」

 

切歌「丈!!」

 

調ちゃんと切歌ちゃんが、俺に近づき、傍らまで来ると、そっと出血箇所を2人で押さえてくれた。

 

丈「ぐっ・・・痛いな・・・」

 

血が流れすぎて、意識が朦朧としてきていた。

 

調「丈君!!しっかりして!!」

 

切歌「死んじゃ嫌デスよ!!丈ーーッ!!」

 

俺の意識は、朦朧としたまま、二人の泣き顔が意識にあるうちに、徐々に暗闇へと落ちていった。

 

 

〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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