丈「っ・・・・くっ・・・」
俺はしばらくして、意識を取り戻した。
丈「ここは・・・・?」
目覚めた意識を徐々に覚醒させ、俺は寝かされていた医療ベッドの上に起き上がった。
セレナ「っ・・・!丈くん!」
起き上がったそこには、また、昔なじみの顔があった。
丈「セレナ・・・・?」
セレナ「ホントに・・・ホントに、生きててくれてよかったぁ・・・・」
セレナは、目に涙を浮かべながら俺に優しく抱きついた。
丈「生きてるのか・・・俺・・・」
セレナ「そうだよ・・・生きてるよ・・・」
あの時の、キャロルから受けた攻撃による出血。
それは、致命傷になりかねないものだったはずだ。
丈「俺は、あの後どうなって・・・・」
俺がそう疑問に思うと、セレナはゆっくりと俺から離れ、今の状況を説明しようとした。
セレナ「丈くん。傷のことは後で話すから、今の状況を説明するね。」
セレナは、今の状況について、詳しく教えてくれた。
まず話してくれたのは、セレナたちは、SONGと呼ばれる国連所属のタスクフォースに所属していること。
セレナの他にも、深淵の竜宮で出会った、調ちゃんに切歌ちゃん、クリスや他のシンフォギア装者も所属しているという。
そして他にも、艦内要員として、天羽奏も所属しているらしい。
そして今の状況。SONGの本部が破壊され、緊急用の脱出ブリッジにて、オペレーターが、情報整理とシンフォギア装者の補助をし、今この瞬間も、キャロルとの戦闘が続いているという。
俺が今いる場所は、ブリッジの別室で、セレナは付きっきりで、医療要員として看病してくれていたらしい。
丈「俺が寝てる間にそんなことになってるとは・・・・」
セレナ「そうなの・・・世界の解剖機関であるチフォージュ・シャトーは破壊され、姉さんたちもエクスドライブモードで、善戦してはいるみたいなんだけど、決定打が生まれないみたい・・・」
マリアたちの苦戦。
俺は、それを聞いて、古い馴染みの顔に会いたくもなり、加勢してあげたい想いとなっていた。
丈「セレナ・・・俺が行ってくるよ。」
セレナ「ッ・・・ダメだよ丈くん!あなたは、絶対に安静してないと傷が・・・!」
俺は、引き止めるセレナの肩を掴み、言葉を投げかけた。
丈「俺も行かなきゃならないんだ・・・!俺は、キャロルと浅からぬ縁がある、友達になったことだってある。知り合いだからこそ、俺が行かなくちゃならないんだ・・・!」
俺は、セレナの瞳をまっすぐ見つめながらそう言った。
セレナ「・・・・・・・わかった。だけど、これだけは、約束して。」
セレナも、俺の肩を掴み返す。
セレナ「絶対に、無事で帰ってきてね!また、姉さんたちを悲しませたら許さないんだから!」
丈「ああ・・・約束する、セレナ・・・」
俺は、セレナとの約束を違えぬよう胸に刻み、ベッドから降りた。
そして俺は、セレナに見送られながら、部屋を出て、SONGの緊急ブリッジの入り口へと向かい、そこから外へ出た。
丈「さて、参るとしよう・・・・」
俺は、自身の聖遺物の一つを起動させる。
丈「駆けよ!スレイプニル!」
俺の言葉に、聖遺物は起動し、俺の目の前に、特異な形をした、バイクのようなギアが展開された。
俺はそれにまたがり、キャロルのいる方向へと目を向ける。
丈「待ってろよ、キャロル・・・」
俺は、バイクのアクセルに、そっと手をかけた。
〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈
SONGの緊急ブリッジから出た俺は、スレイプニルを起動し、キャロルの元へと向かおうとしていた。
しかし、そこで、思わぬ人物とまた再会し、その人物と共に今、キャロルの元へと向かっている。
エルフナイン「丈さん!すみません!」
丈「いいってことだよ!エルフナイン!まさか君にまで出会うとはね!」
エルフナインは、俺が昔、キャロルの元へいたころに出会った、縁のある人物の一人だ。
彼女は、チフォージュ・シャトーの建設に関わった技術者で、キャロルから譲られた、幅広い錬金術の技術を応用できる類稀な少女だった。
エルフナイン「なんだか不思議です・・・この事件で、あなたに縁のある方々が、こんなにも集まるなんて・・・」
丈「ああ・・・まるで、同窓会だ。」
エルフナイン「ドーソーカイ?」
丈「それについては、また今度教えてあげるよ。さあ、そろそろ着くぞ。」
スレイプニルを減速させ、ついに俺は、キャロルと、シンフォギア装者たちの元へとたどりついた。
その現場には、エクスドライブというシンフォギアの決戦機能を纏った装者たちと、ダウルダヴラのファウストローブを纏ったキャロルが、相対していた。
俺は、スレイプニルを解除すると、エルフナインを連れ立って、共にその場へと向かう。
丈「エルフナイン。キャロルに伝えたいことは、自分の意志で、ハッキリと言うんだぞ?」
エルフナイン「はい!」
俺は、エルフナインと共に、双方の間に入った。
調「丈くん!?」
切歌「丈!?大丈夫なんデスか!?」
初めに、心配の声をかけてくれたのは、調ちゃんと切歌ちゃんだった。
2人は、深淵の竜宮で、ずっと俺の患部を押さえてくれていた。
クリス「無茶してるんじゃねえだろうな!?」
丈「大丈夫。セレナがちゃんと治してくれたから。」
セレナは、俺の傷はまだ、完治していないとして、絶対安静を宣告していたことは、この場では伏せる。
マリア「やはりあの姿、本当に丈なのね・・・」
響「あの人が、翼さんのお兄さん・・・」
装者の中には、クリスと同様に、初めて見る顔があった。
黄色のギアに、栗色の髪と爛々と光る黄金の瞳。
彼女もまた、世界のために戦っている人間の一人なのだろう。
翼「お兄、様・・・・・?」
そして。
その場にいる装者の中で、俺は、またしても、運命的な再会を果たすことになった。
最愛の妹、翼。
彼女が、シンフォギアを纏い、この世の特異災害と戦う人間であることは、あのライブ会場で知っている。
だが、あの時よりも、翼は立派に見えた。
一人一人、装者に目を通し、溢れる思いは募るばかりだが、俺はそれらを堪え、エルフナインと共に、キャロルに向かい合った。
丈「キャロル。また会ったね。」
キャロル「そうみたいだな、丈。傷は浅くはなかったはずだが、さすがはお前といったところか。」
キャロルは、そっと見下ろしながら、そう言った。
丈「・・・・・・・ごめん、キャロル。俺はお前に謝らなければならない。」
キャロル「なんだと・・・・?」
俺は、俯きながら、言葉を探すように、口を開く。
丈「俺は、お前を一人ぼっちにさせた。お前の理想を聞いて、また、追いかけたいものを、自分の中で作ってしまった。俺はお前の友達だったはずなのに・・・・」
俺は、手を握りしめ、自分自身の不甲斐なさを思い知る。
エルフナイン「丈さんは、キャロルに謝るために、逃げずにここまで来ることができました。僕も、丈さんと同じです。どんなことがあっても、キャロルを一人にするべきではありませんでした。君がこんなにも、一人で抱え込んでるなんてつゆ知らないで。」
キャロルもまた、手を握りしめ、後悔の表情を浮かべた。
丈「俺を許さなくたっていい・・・・俺をどうとでもしたいなら、そうしてくれてかまわない・・・だから・・・」
エルフナイン「どうかこれ以上、キャロルの思い出を燃やさないでください・・・・お願いです・・・!」
俺とエルフナインは、思い出を焼却させてまで復讐を果たしたい彼女に向かって、そう言った。
キャロル「・・・・・・ふざけるな。」
キャロルは、呪いの言葉にも似た声色で、そう呟いた。
キャロル「ふざけるなッッ!!この期に及んで謝れば良いとでも思ったのか!!」
キャロルは、激昂し、俺に言葉をぶつける。
キャロル「何が愛する者のためだッ!!過去に愛する者を裏切った貴様に!もはや謝罪の権利も願望を唱える権利すらも残されてはいないッッ!!」
エルフナイン「キャロル・・・・・」
キャロルは、俺にそう言い放った後、激昂する自分を少し抑え、声を震わせながら言った。
キャロル「あの時の約束を・・・・忘れたのか・・・?」
〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈〈