35歳社畜、女子高生に吸血鬼だと宣告される〜みなし残業で覚醒能力を使い潰していた俺、現代異能バトルの世界では最強候補らしいです〜   作:パラレル・ゲーマー

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第28話 吸血鬼、血液パック専用冷蔵庫を買う

 休日の朝。

 

 久我陽介は、いつもより少し遅めの時間に目を覚ました。

 

 遮光カーテンの僅かな隙間から差し込む朝日が顔に当たり、少し目が重い。

 

 とはいえ、吸血鬼特有の日光への不快感はあっても、体調そのものは悪くなかった。しっかりと睡眠を取れた証拠だ。

 

 のっそりとベッドから這い出し、朝食を作るために台所へ向かう。

 

 冷蔵庫の扉を開けると、そこには久我の生活の全貌が詰まっていた。

 

 一番上の棚には、卵のパック、ハム、マヨネーズ、牛乳。

 

 二段目には、週末に作り置きしたサラダのタッパーと、麦茶のボトル。

 

 そして一番下のチルド室には、透明な医療用パウチに入った深紅の液体――血液パックが七本、行儀よく並んでいる。

 

 一般の食料品の中に混ざる、人間の血。

 

 その光景は、どう贔屓目に見ても異質だった。

 

 久我は卵を取り出そうとして、指先が血液パックの冷たい表面に触れ、思わず手を止めた。

 

「……やっぱり嫌だな、この光景」

 

 吸血鬼として覚醒したばかりの頃は、この赤いパックを確保できたという安心感の方が圧倒的に勝っていた。

 

 飢えの恐怖から解放される、命綱だったからだ。

 

 だが、行政上の手続きが終わり、生活リズムが安定してくるにつれ、普通の食品と人間の血液が同じ空間に同居しているという違和感が、日を追うごとに強くなっていた。

 

 マヨネーズを取るたびに血を見る。

 

 麦茶を飲むたびに、その隣に血液がある。

 

 吸血鬼としての合理性を考えれば、冷蔵庫のチルド室に入れておくのが一番手っ取り早い。

 

 しかし、三十五年間、どこにでもいる普通の人間として生きてきた久我の感性には、どうしても馴染まなかった。

 

 血液パックの一つには、病院での受取日と、消費推奨期間を示すバーコード付きの管理ラベルが貼られている。

 

 久我は念のため、残りの本数を数えた。

 

「一、二、三……七本。緊急用の予備を含めれば、しばらくは大丈夫か」

 

 数を確認し、冷蔵庫を閉めようとしたその時だった。

 

 扉のポケットに立てていたドレッシングの瓶がバランスを崩して倒れ、チルド室の血液パックへ、ごつんとぶつかった。

 

 幸い、八咫烏が手配する医療用パウチは頑丈で、破損はしなかった。

 

 しかし久我は、その鈍い音を聞いて、はっきりと決意した。

 

「……今日、専用のやつを買いに行こう」

 

       *

 

 トーストとハムエッグという普通の朝食を食べながら、久我はスマートフォンで大手の通販サイトを開いた。

 

『小型冷蔵庫』

 

 検索をかけると、一万円台から数万円まで、大量の商品が画面を埋め尽くす。

 

 寝室用のコンパクトなもの。

 

 飲料専用のショーケース型。

 

 化粧品用の保冷庫。

 

 車載可能なタイプ。

 

 ワインセラー。

 

 静音性に優れたペルチェ式のもの。

 

 久我は、レビュー評価も悪くない一万二千円ほどの安価な小型冷蔵庫を見つけた。

 

「これで十分じゃないか?」

 

 大きさも、血液パックを十数本入れておくにはちょうどよさそうだ。

 

 しかし、購入ボタンを押そうとした久我の脳裏に、以前かれんが言っていた言葉がよぎった。

 

『血液製剤の厳密な温度管理もしやすくなります』

 

 ただ冷やせばよいというものではないのだろうか。

 

 久我は念のため、八咫烏アプリの生活支援項目を開いてみた。

 

 検索すると、【血液パック保管設備について】という詳細な案内ページが出てくる。

 

 そこには、注意事項が箇条書きで並んでいた。

 

『・一般用小型冷蔵庫でも保管自体は可能』

 

『・ただし、安価な機種は庫内温度の偏りが大きく、冷却しすぎによる品質劣化の危険がある』

 

『・扉の開閉による急激な温度上昇への耐性』

 

『・停電時の保冷維持機能の有無』

 

『・同居人や来訪者による誤開封および盗難防止』

 

『・血液パック破損時の洗浄のしやすさ』

 

『・適切な在庫管理機能の有無』

 

 これらを考慮して保管環境を構築するよう、強い調子で書かれている。

 

 そしてページの下部には、推奨機器の購入先として『八咫烏登録特殊体質者向け保管設備取扱店』へのリンクが表示されていた。

 

「血液専用冷蔵庫の専門店まであるのか……」

 

 リンク先をタップすると、一見してごく普通の業務用家電販売会社のホームページが開いた。

 

 しかし、八咫烏アプリからの認証を経由してログインすると、表示される商品一覧が様変わりした。

 

『吸血種向け血液保管庫』

 

『低温依存型人外向け小型保冷庫』

 

『呪物・祭具用隔離保管箱』

 

『特殊医薬品用温度管理庫』

 

『変身能力者向け衣類保管設備』

 

『日光過敏者向け遮光設備』

 

 商品の字面が完全に異世界のそれだった。

 

 久我は深い呼吸を一つして、その専門店の実店舗へ来店予約を入れた。

 

       *

 

 予約を入れた直後、久我はチャットでかれんへメッセージを送った。

 

『久我:以前教えてもらった血液パック専用冷蔵庫を見に行こうと思います。八咫烏アプリに出てきた登録店なら問題ありませんか』

 

 休日の朝だというのに、すぐに既読がつき、返信が来た。

 

『皇:問題ありません。店舗の受付で登録者証を提示すれば、特殊体質者向け売場へ案内されます』

 

『久我:通販で買える一般の小型冷蔵庫では駄目なんでしょうか』

 

『皇:使用できないわけではありません。ただし、厳密な温度管理、施錠、停電時の保冷対策、在庫管理をすべてご自身で個別に行う必要があります』

 

 つまり、安い冷蔵庫を買って、後から鍵や温度計やバッテリーを買い足すくらいなら、最初から専用品を買えということだ。

 

『久我:……なんか、値段がすごく高そうですね』

 

 少しだけ、間が空いた。

 

『皇:一般家電よりは高額になります』

 

『久我:嫌な予感しかしません』

 

 すると、かれんから追記のメッセージが届いた。

 

『皇:本日であれば、七瀬さんの生活支援用品の定期点検も同じ店舗で予定されています。現地で合流しましょう』

 

 どうやら、澪が使っているクーラーボックスや保冷用品の状態確認も、八咫烏の指定する同じ取扱店で行われるらしい。

 

『久我:分かりました。では、現地でお願いします』

 

       *

 

 昼過ぎ。

 

 指定された場所は、都内の静かなオフィス街の一角だった。

 

 久我が案内マップを頼りに到着したのは、年季の入った雑居ビルの一階に入る業務用家電販売店だった。

 

 ガラス張りの入口には、

 

『北辰生活設備株式会社 医療・福祉・業務用保管設備ショールーム』

 

 と、真面目な明朝体で書かれた看板が出ている。

 

 外からガラス越しに見える範囲には、ステンレス製の業務用冷蔵庫、病院で見るような薬品保冷庫、高齢者施設向けの頑丈な収納設備、そしてホテルにあるような無機質な小型冷蔵庫などが整然と並んでいる。

 

 魔法使いの杖や水晶玉が売っていそうな妖しい雰囲気は、微塵もない。

 

「……もっと、ファンタジー映画に出てくる魔法道具店みたいな場所を想像してました」

 

 ビルの前で、先に到着していた澪が、少し拍子抜けしたように言った。

 

「私もです。でも、これじゃ普通の家電屋さんですね」

 

 隣に立つかれんが、当然だという顔で返す。

 

「人目につく大通りの路面店で、わざわざ特殊体質者専門店を名乗る必要はありませんから」

 

 三人で自動ドアを抜け、受付へ向かう。

 

 久我と澪が特殊体質者登録証を提示し、かれんが八咫烏の職員証を提示する。

 

 受付に座っていた事務服姿の女性担当者は、それぞれのカードを専用のリーダーで読み取ると、表情を一切変えずに言った。

 

「生活支援設備をご覧のお客様ですね。ご予約、承っております」

 

 いらっしゃいませでもなく、ご苦労様でもない。

 

 ただの業務確認。

 

 担当者はそのまま立ち上がり、三人をショールームの奥にあるエレベーターへ案内した。

 

 一般客は押せないようになっている地下階のボタンを、担当者が認証カードを使って押す。

 

 エレベーターが、静かに地下へ降下していった。

 

       *

 

 地下のショールームは、表の売場とは明らかに空気が違った。

 

 とはいえ、床に魔法陣が描かれていたり、怪しい祭壇が並んでいたりするわけではない。

 

 あくまで、現代的で清潔感のある家電・住宅設備の展示場だ。

 

 しかし、展示されている商品の前に立てられた説明板の内容が、明らかに一般社会のそれから逸脱していた。

 

『【日光過敏体質者向け完全遮光カーテン】

 

 可視光遮断・紫外線完全遮断・赤外線軽減。

 

 微弱な浄化光を含む宗教施設近隣向け追加加工済み。

 

 緊急脱出時の自動開放機構搭載』

 

『【体積変化型特殊体質者向けベッド】

 

 獣化・大型化などの突発的な身体変化に対応。耐荷重一・五トン。

 

 爪、角、鱗による表面損傷を軽減する特殊合金フレーム使用』

 

『【火炎発現型能力者向け寝具】

 

 耐熱・難燃素材。自動消火機能搭載。

 

 就寝時の無意識な能力暴発感知機能付き』

 

『【幽体離脱者向け帰還灯】

 

 肉体位置の目印となる特殊波長ランプ。幽体からのみ視認可能。

 

 肉体への第三者接触を警告する警報機能付き』

 

 久我は商品説明を一つずつ読み、乾いた笑いを漏らした。

 

「……家電量販店に並んでいい性能の説明じゃないですね」

 

「でも、あの体積変化型ベッドって、ちょっと黒くて格好いいですよね!」

 

 澪が無邪気に言うと、かれんがすかさず冷や水を浴びせた。

 

「七瀬さんには必要ありません。無駄遣いはやめなさい」

 

「分かってますよ。見るだけです!」

 

 売場の一角には、木製の小さなショーケースがあり、そこには札や護符を収納するための専用ケースが並んでいた。

 

 久我はふと、夜間警備の際に剣持が話していた呪殺守護札を見つけ、その値札を覗き込んだ。

 

 簡易量産型の札が一万数千円。

 

 本人の情報に合わせて書き下ろす個人調整型が五万円以上。

 

 上級術者による寝室結界一式になると、平気で二十万円を超えている。

 

「剣持さんが言ってた札、冷蔵庫より高い物もあるじゃないですか……」

 

 近くにいた店員が、丁寧に補足した。

 

「対象者様の本名や血液を利用した個別調整を行う場合、術者の魔力消費と製作の手間がかかるため、どうしても費用が上がってしまうのです」

 

「……今回は見送ります」

 

 久我は、そっとショーケースから離れた。

 

       *

 

 血液パック専用冷蔵庫の区画へ案内されると、三十代後半ほどの落ち着いた雰囲気の女性販売員が待っていた。

 

 彼女は特殊体質者の事情には完全に慣れているようで、相手が吸血鬼だと分かっていても、まるで普通の洗濯機を売るような態度で接してきた。

 

「新規登録後、初めて専用の保管庫をご購入される方ですね」

 

「はい。今までは、自前の普通の冷蔵庫へ入れてました」

 

「単身世帯のお客様でしたら、それでも運用自体は可能です。ただ、在庫量が増えたり、現場活動で緊急予備の確保が必要になったりすると、専用庫の方が圧倒的に安全性が高いですからね」

 

 販売員は、三種類の冷蔵庫を順番に紹介してくれた。

 

 一台目。

 

『簡易型』

 

 価格は三万円台。

 

 容量は血液パック八本から十本程度。

 

 温度調整機能と簡単な温度表示画面が付き、小型で静音設計。

 

 ただし、施錠機能はなく、停電時の保冷維持時間は短い。

 

 在庫の電子記録機能もない。

 

「一般の小型冷蔵庫の冷却装置を改良し、血液保管用の内装を追加した入門用です」

 

 久我は値札を見て頷いた。

 

「正直、俺の生活ならこれで十分に見えます」

 

 しかし、かれんが横から口を挟んだ。

 

「久我さんは八咫烏の緊急協力者です。最低でも、緊急時の予備分を含めて十本以上は安定して保管できる容量の方がよいでしょう」

 

「八本から十本だと、すぐ一杯になりそうですね」

 

 澪も同意する。

 

 二台目。

 

『標準型』

 

 価格は一気に上がり、九万円台。

 

 血液パック二十四本前後を収納可能。

 

 庫内温度を極めて一定に維持する機能。

 

 電子錠による施錠。

 

 扉の開閉履歴の記録。

 

 温度異常時にスマートフォンの専用アプリへ通知する機能。

 

 さらに停電時には、内蔵の保冷材と小型バッテリーで、一定時間適温を維持する。

 

 在庫本数を手動でアプリへ登録できる。

 

 外装は白、黒、木目調から選べ、見た目は一般の高級な小型冷蔵庫にしか見えない。

 

「登録吸血種の単身者様には、こちらが最も多く選ばれております」

 

「二十四本も、家に入れることってありますか?」

 

 久我が尋ねると、かれんが冷静に答えた。

 

「つい先日、物流上の安全調整による供給遅延があったばかりでしょう」

 

 久我は、病院でパックの受け取りが一時的に制限された件を思い出した。

 

 通常時の在庫だけを基準にするべきではない。

 

 緊急事態。

 

 負傷時。

 

 過度な能力使用後。

 

 そうした場合には、消費量が跳ね上がる。

 

 三台目。

 

『上位型』

 

 価格は二十万円近い。

 

 最大五十本を収納。

 

 生体認証による施錠。

 

 長時間対応の外部バッテリー。

 

 八咫烏の生活支援窓口と連携した遠隔異常監視。

 

 パックのバーコード読み取りによる自動在庫管理。

 

 異常な物理的こじ開けを感知した際の、自動通報機能。

 

 さらに内部破損時には、庫内を密閉して外部への漏出を防ぐ機構まで備わっている。

 

「これは完全に、個人用じゃなくて病院か事務所向けの性能ですよね?」

 

「ご家族全員が吸血種の場合や、吸血鬼協会の小規模な地方支部などで主にご利用いただいております」

 

「家族全員吸血鬼って、そんな家庭あるんですね」

 

 澪が驚くと、販売員がにこやかに答えた。

 

「血統として吸血種の性質を受け継ぐ一族や、吸血種同士で家庭を築いている方々もいらっしゃいますから」

 

 久我は少しだけ異文化の深淵を感じたが、そこを深掘りするのはやめておいた。

 

       *

 

 久我は、三万円台の簡易型の前へ戻った。

 

「やっぱり、一人暮らしですし、これでいいと思います。値段も手頃ですし」

 

「標準型を推奨します」

 

 かれんが即座に答える。

 

「値段が三倍近いんですが」

 

「簡易型には、鍵がありません」

 

「寝室へ置くんですから、俺以外に勝手に開ける人はいませんよ」

 

「消防設備の点検業者、急病で救急搬送された際の救急隊員や関係者、災害時の避難支援員など、本人以外の人間があなたの部屋へ入る可能性はあります」

 

 久我は反論を試みる。

 

「俺の部屋へ、そんなに大勢の人が入る予定はないんですけど……」

 

「予定外の事態だからこそ、備えるのです」

 

 販売員も、丁寧な口調で補足した。

 

「簡易型は、すでに鍵付きの書斎や、堅牢な収納設備をお持ちの方向けとなっております。専用庫単体で一般人への秘密管理まで行うのであれば、やはり標準型の電子錠付きが安全です」

 

「通知がスマートフォンへ来るのも便利そうですよね。もし冷蔵庫が壊れていても、仕事中だと気づかないかもしれませんし」

 

 澪も標準型を推してくる。

 

「二人とも、高い方を勧めてくる……」

 

「不必要な上位型は勧めていません。久我さんの生活環境における、適切な危険管理です」

 

 確かに、二十万円の上位型は即座に候補から外してくれた。

 

 悪質な過剰販売ではないのだろう。

 

       *

 

 標準型を購入することに決め、次は外観の選択になった。

 

 白い一般家電風。

 

 黒いホテル用冷蔵庫風。

 

 木目調の家具風。

 

 鍵付き書類棚を模したもの。

 

 お洒落なワインセラー風。

 

 久我はワインセラー風を見て、すぐに首を振った。

 

「ワインなんて一滴も飲まない人間の部屋にワインセラーがある方が、逆に不自然ですね」

 

「えー。でも、見た目では一番高そうですよ」

 

「会社の人が万が一来た時に、俺がワイン通だと誤解されて面倒なことになる」

 

「会社の方が、ご自宅へ来る予定があるのですか?」

 

「今のところはまったくありません。でも、さっき皇さんが言った可能性の問題ですよ」

 

 最終的に、一番無難な黒いホテル用小型冷蔵庫風を選んだ。

 

 外から見れば、飲み物や軽食を入れる寝室用の、少し上等な冷蔵庫にしか見えない。

 

 扉の上部に、目立たない電子錠の操作部があるだけだ。

 

「鍵について、もし誰かに聞かれた場合は、温度管理が必要な医薬品を保管していると説明していただければ、不自然ではありません」

 

 販売員の言葉に、久我は頷いた。

 

「なるほど。嘘ではないですね」

 

「特殊体質者用の医療物資ですから、何の問題もありません」

 

       *

 

 購入手続きへ進む前に、販売員が久我の現在の血液パック消費状況を確認した。

 

 通常の受取頻度。

 

 一日の平均摂取量。

 

 能力使用後の追加摂取。

 

 緊急予備の必要数。

 

 供給遅延時のための備蓄。

 

 出張や災害への備え。

 

 久我は自分の摂取記録を八咫烏アプリから呼び出し、提示した。

 

 通常時の摂取量は安定している。

 

 しかし記録を見ると、野良吸血鬼との戦闘、魔眼による内在時間の加速使用、深夜の捕獲任務、鳥カゴでの激しい対人訓練の後には、明確に消費量が跳ね上がっている。

 

「通常生活を営むだけなら、十本程度の備蓄で足ります。しかし、久我様のように現場協力を続けられる場合は、能力使用後の枯渇を防ぐため、最低でも二週間分以上の余裕を持った保管を推奨いたします」

 

「現場へ出るほど、食費ならぬ血液代と設備費が余計にかかるんですね……」

 

「血液パックそのものは支援対象ですので、費用はかかりません」

 

「それを入れる冷蔵庫は自腹ですけどね」

 

「大人ですから」

 

 澪が、ここぞとばかりに大人の甲斐性を突きつけてくる。

 

「……君、その言葉、気に入ったの?」

 

       *

 

 標準型の本体価格は、九万八千円前後。

 

 登録者向けの割引が入り、特殊配送と設置費は無料だった。

 

「これなら、今回の報酬の半分くらいで済みますね」

 

 久我がクレジットカードを出そうとすると、販売員がにこやかに追加設備の提案を始めた。

 

「停電対策用の外部保冷バッテリーユニットはいかがなさいますか?」

 

「えっ」

 

「追加で三万円となります」

 

「……」

 

「また、八咫烏関連の書類や装備品を保管するための鍵付きスチール収納箱も、同時購入していただきますと、こちらの設置費も無料となります」

 

「追加でいくらですか」

 

「二万五千円となります」

 

「…………」

 

「庫内温度を二重で管理する専用温度センサーの予備もございます」

 

「数千円ですよね」

 

「はい」

 

 久我はクレジットカードを持ったまま、天井を仰いだ。

 

「家電量販店でよくある、付属品でどんどん予算が膨らんでいく恐怖の流れですね」

 

「お客様の生活に必要のない設備は、決してお勧めいたしません」

 

 かれんが、販売員の背中を押すように言った。

 

「外部保冷ユニットは、あった方がよいでしょう」

 

「皇さんまで店員側へ回らないでくださいよ」

 

「大きな地震や災害による長期停電で、庫内の血液パックがすべて使用不能になる方が、命に関わります」

 

 一切の反論を許さない正論だった。

 

 久我は外部保冷ユニットも購入一覧へ追加した。

 

 鍵付き収納箱については、一度保留しようとした。

 

 しかし、自分の現在の部屋の状況を思い出す。

 

 八咫烏から支給された軍用ナイフ。

 

 捕獲任務で使う視界遮断用の黒いフードなどの簡易装備。

 

 血液パックを持ち運ぶための携帯用保冷ケース。

 

 予備の保冷材。

 

 特殊医療品。

 

 八咫烏関連の紙の書類。

 

 協力者証。

 

 これらをすべて、無造作に普通のクローゼットへ押し込んでいるのだ。

 

「……収納箱も、ください」

 

 結果。

 

 標準型血液パック専用冷蔵庫。

 

 外部保冷バッテリーユニット。

 

 鍵付きスチール収納箱。

 

 温度管理用予備センサー。

 

 合計、十六万円前後。

 

「捕まえた泥棒一人分の報酬が、ほとんど家電と鉄の箱に変わった……」

 

「命の安全を買ったんですよ!」

 

 澪が明るく励ましてくれる。

 

「高校生に正論で慰められると、三十五歳の財布には逆に響くんだよ……」

 

       *

 

 会計を終え、ようやく帰れると思ったところで、かれんが遮光設備の展示区画を指差した。

 

「せっかくですから、カーテンも確認しておきましょう」

 

「今日は冷蔵庫だけのつもりだったんですが」

 

「見るだけです」

 

「買う流れの時の言い方ですよね、それ」

 

 展示されている特殊遮光カーテンは、市販の一級遮光カーテンよりも、さらに分厚く高性能だった。

 

 窓枠の隙間を塞ぐ特殊なレール構造。

 

 紫外線の完全遮断。

 

 熱の軽減。

 

 緊急時には、内側から簡単に外せる機構。

 

 火災時に有毒ガスを感知して自動で開く安全機構。

 

 加えて、宗教施設などの浄化系光源から発せられる微弱な力を軽減する、特殊な糸まで織り込まれている。

 

 ただし、すべて窓に合わせたオーダーメイドであり、価格は数万円から、大きな窓なら十万円近くなる。

 

「今日は、絶対に買いませんよ」

 

「採寸の手配だけでも予約できます」

 

「俺の口座に入った報酬を、今日一日で全部使わせる気ですか?」

 

「大丈夫ですよ! 足りなくなったら、次の任務でカーテン代を稼げばいいんです!」

 

 澪が無邪気な笑顔で恐ろしいことを言う。

 

「その事件ありきの発想から、どうにかして離れてくれないかな……」

 

 結局、遮光カーテンは次回検討として、見積書だけを受け取った。

 

 次の捕獲任務が決まったわけではなく、純粋に将来の生活改善の目標として残すことになった。

 

       *

 

 久我の買い物が終わった後、澪が持参したクーラーボックスの点検が行われた。

 

 支給品はプラスチック製の簡易的なものだが、未成年の初期支援用としては十分な性能を備えていた。

 

 施錠機能。

 

 温度表示画面。

 

 持ち運びやすい取っ手。

 

 数本分の保冷スペース。

 

 側面に記載された八咫烏の緊急連絡先。

 

 販売員が手際よく、内部の劣化した保冷材を新しいものへ交換し、温度センサーの動作確認を行う。

 

「まだしばらくは、問題なく使えそうですね」

 

「はい。日常的な長期保管用ではなく、病院での受取時や緊急移動用としては、これで十分です。ご自宅での据え置き保管設備については、七瀬さんの今後の生活環境が確定してから、改めて八咫烏で検討します」

 

 かれんは澪の家族事情へ深く触れず、

 

「七瀬さんについては、今の支援方法を継続します」

 

 とだけ事務的に説明した。

 

「久我さんは、大きくて格好いい専用の冷蔵庫を買えていいですね」

 

 クーラーボックスを受け取りながら、澪が羨ましそうに言う。

 

「高校生に、十六万円の出費を心底羨ましがられても、おじさんとしては反応に困るんだけどね……」

 

       *

 

 購入手続きの最後に、販売員がタブレットを差し出し、重要な確認を行った。

 

「久我様。冷蔵庫の電子錠と収納箱について、緊急時の解錠権限先を一つ登録できます。ご家族、同居人、かかりつけの医療機関、または八咫烏の担当窓口のいずれかをお選びください」

 

 久我は、タブレットの前で少しだけ黙り込んだ。

 

 一人暮らしだ。

 

 会社の人間には、自分が吸血鬼であることはもちろん、副業の本当の内容も話していない。

 

 田舎の親族へも、吸血鬼になったことなど一切伝えていない。

 

 個人的に、自分の部屋の合鍵と、生命線となる保管庫の解錠権限を預けられるような相手は、この世界には一人もいない。

 

 販売員は、久我の事情を察したのだろう。

 

 だが余計な同情はせず、ただ仕事として静かに待っていた。

 

 かれんが、落ち着いた声で助け舟を出す。

 

「八咫烏の生活支援窓口を登録できます。久我さんが事故などで連絡不能となった場合でも、医療上必要と判断されれば、遠隔で解錠して中身を保護できます」

 

「……それでお願いします」

 

 登録されるのは、かれん個人の名前ではない。

 

 八咫烏の二十四時間対応窓口だ。

 

 久我が任務で負傷して意識不明で搬送された場合や、長期間連絡が取れなくなった非常事態に限り、正式な記録を残した上で解錠される。

 

「こういう私生活の部分まで、結局は組織の制度へ預けることになるんですね」

 

「一人暮らしの特殊体質者には、珍しくない選択です」

 

「一人で暮らしてても、本当に一人きりで全部を管理するわけじゃないんですね」

 

 澪の言葉に、久我は少しだけ救われた気がした。

 

「そう考えると、少し安心するかな」

 

       *

 

 数日後。

 

 休日の午後、専門の配送業者が久我のマンションへやってきた。

 

 作業員の制服にも、乗ってきた車両にも、吸血鬼や八咫烏を連想させるような印は一切ない。

 

 表向きは、ごく普通の医療用小型保冷庫の設置業者だ。

 

 作業員も久我を特別扱いせず、ただの顧客として淡々と作業を進めた。

 

「設置場所は、こちらの寝室の隅でよろしいですか」

 

「はい。窓から離れていて、直射日光が当たらない場所なので」

 

「承知いたしました」

 

 黒いホテル風の小型冷蔵庫が設置され、その横へ停電用の外部保冷バッテリーユニットが接続される。

 

 そしてクローゼットの中には、重いスチール製の鍵付き収納箱が、簡単には持ち出せないよう床板へ固定された。

 

 作業員が、初期設定と使用方法を説明する。

 

「停電時は、自動でバッテリーの保冷モードへ移行します。温度異常を感知した際は、専用アプリを通じて、お客様のスマートフォンへ通知が届きます。扉が三分以上開いたままの場合も警告音が鳴ります」

 

「分かりました」

 

「三か月ごとに、自動で冷却機能の動作確認が行われます。万が一、血液パックが庫内で破損した場合は、付属の専用洗浄材を使用してください。一般の洗剤は使用しないでください」

 

「はい」

 

「故障時は、一般の家電修理業者を呼ばないでください。八咫烏の認定業者へご連絡をお願いします」

 

「普通の電器店へ修理を頼むと、中に入っている血を見られますからね」

 

「はい。そのとおりです」

 

       *

 

 設置が完了し、作業員が帰っていった。

 

 久我は台所へ行き、普通の冷蔵庫を開けた。

 

 チルド室に並んでいた血液パックを、一本ずつ丁寧に取り出し、寝室の新しい専用冷蔵庫の棚へ移していく。

 

 パックに印字された管理番号を、スマートフォンのアプリへ読み込ませて登録する。

 

 受取日の古いパックを手前へ配置し、緊急時の予備パックを奥へ。

 

 さらに、能力使用後の激しい消耗に備えて渡されている回復補助成分入りの高栄養調整品は、通常品と間違えないよう、別の区画へ分けて整理した。

 

 すべてを収め終え、専用冷蔵庫の黒い扉を、かちりと閉じる。

 

 小さな電子音が鳴った。

 

 扉の表示板に文字が浮かび上がる。

 

『温度管理を開始しました。現在庫数:七』

 

 スマートフォンのアプリにも、同じ在庫数が表示された。

 

「……冷蔵庫に、血液の本数を正確に数えられる生活か」

 

 物理的な安全性は、飛躍的に高まった。

 

 だが、自分の生活が人間から離れ、吸血鬼らしさを確実に増しているという事実を、最新家電の機能によって突きつけられているようでもあった。

 

       *

 

 久我は台所へ戻り、空になった普通の冷蔵庫のチルド室を見直した。

 

 つい先ほどまで、赤い血液パックが占領していた場所には、何もない。

 

 久我は濡れ布巾で棚を綺麗に拭き、扉のポケットへ避難させていた調味料や、惣菜の容器を並べ直した。

 

 卵。

 

 ハム。

 

 牛乳。

 

 麦茶。

 

 マヨネーズ。

 

 どこからどう見ても、独身の三十五歳会社員が使っている、ごく普通の冷蔵庫だ。

 

 久我はしばらく、扉を開けたまま、その光景をじっと見つめた。

 

「……こっちは、普通に戻ったな」

 

 吸血鬼専用の設備を、自分の生活空間へ迎え入れた。

 

 部屋の中には、以前よりも明確に、人外としての生活領域ができあがった。

 

 それでも、人間の血液を普通の食事から物理的に分けたことで、久我の中の日常の境界線は、むしろ綺麗に整理された気がした。

 

 血を飲む時は、寝室の専用冷蔵庫を開ける。

 

 人間として食事をする時は、台所の普通の冷蔵庫を開ける。

 

 どちらも久我自身の生活だ。

 

 しかし、もう無理に混ぜ合わせなくて済む。

 

       *

 

 その日の夕方。

 

 久我がリビングでパソコンを開き、ネットを眺めていると、テーブルに置いていたスマートフォンが短く鳴った。

 

『【保管庫通知】

 

 扉が完全に閉じられていない可能性があります。庫内温度が上昇しています』

 

 久我は驚いて立ち上がった。

 

「えっ、買った初日にもう異常!?」

 

 慌てて寝室へ駆け込む。

 

 専用冷蔵庫を確認すると、一番手前に置いていた血液パックの端が、扉のゴム部分へ僅かに挟まり、数ミリだけ扉が浮いて、完全には閉まっていなかった。

 

「あ……」

 

 久我は急いでパックの位置を奥へ直し、今度は、かちりと鳴るまで扉を押し込んだ。

 

 数秒後、スマートフォンへ通知が届く。

 

『正常な保管状態へ復帰しました』

 

 久我は、ほっと胸をなで下ろし、冷蔵庫の黒い扉を撫でた。

 

「……これ、一般の安い冷蔵庫だったら、朝まで閉まってないことに気づかず、中身を全部駄目にしてたかもしれないな」

 

 高い機能には、高いだけの意味がある。

 

 購入初日にして、早くも実感させられた。

 

 かれんが簡易型ではなく、標準型を強く勧めた理由が、今ならよく分かる。

 

       *

 

 久我は八咫烏アプリのチャットを開き、かれんへ設置完了の報告を入れた。

 

『久我:冷蔵庫と収納箱の設置が、無事に終わりました』

 

『皇:温度監視システムの登録も、こちらで確認しました』

 

『久我:そこまで本部で確認できるんですか?』

 

『皇:緊急時の異常通知――長時間開放、破損、不正解錠のみ、生活支援窓口へ共有される仕組みです。通常の開閉履歴や、日々の在庫数を常時監視することはありませんので、ご安心ください』

 

『久我:冷蔵庫を開けるたびに監視されているのかと思いました』

 

『皇:必要であれば、一日の摂取忘れ防止通知と連携することも可能ですが』

 

『久我:それは自分でちゃんと管理します』

 

 さらに、澪からもメッセージが届いていた。

 

『澪:冷蔵庫、無事に届きましたか?』

 

 久我は、寝室に置かれた黒い冷蔵庫の外観だけを写真に撮って送った。

 

『澪:わあ。本当にただの普通の小型冷蔵庫ですね!』

 

『久我:普通に見える物を選んだからね』

 

『澪:でも、中身は全部血ですけどね!』

 

『久我:言わなくていい』

 

       *

 

 久我は次に、クローゼット内へ固定された新しいスチール製収納箱の整理に取りかかった。

 

 中へ入れる物。

 

 八咫烏の協力者証。

 

 支給された軍用ナイフ。

 

 捕獲任務で使う視界遮断用の黒いフードや、簡易装備。

 

 血液パックを外へ持ち出す際に使う携帯用保冷ケース。

 

 血液パック運搬用の予備保冷材。

 

 特殊体質者生活支援に関する、紙の同意書類の束。

 

 任務時に使う簡易記録端末。

 

 これまでは、クローゼットの奥にある段ボールや、机の引き出しの奥へ、見つからないよう分散して隠していた。

 

 それをすべて、この頑丈な収納箱の一か所へ集め、暗証番号でしっかりと鍵をかける。

 

「こうして一か所に並べて見ると、装備の種類だけは本当に映画の秘密工作員みたいだな……」

 

 ただし、その実態は、

 

 よれたスーツを着た中堅会社員。

 

 寝室の小型冷蔵庫。

 

 まだ買ってすらいない遮光カーテンの見積書。

 

 山積みの事務書類。

 

 保冷材。

 

 そこに、スパイ映画のような派手さはない。

 

 あるのは、ひたすらに泥臭い、生活と事務の延長線上の現実だけだった。

 

       *

 

 夜。

 

 久我はリビングのソファへ座り、銀行口座の残高と、今日の買い物の明細をアプリで確認していた。

 

 口座へ振り込まれた、危険な任務への協力報酬。

 

 そこから、冷蔵庫本体、外部保冷バッテリーユニット、鍵付き収納箱、予備センサーの代金が綺麗に引き落とされている。

 

 残った金額は、思ったよりも少なかった。

 

「……命懸けで壁や天井を走る泥棒を捕まえて、残った現金は数万円か……」

 

 正確には、会社員としての本業の給与収入が別にあるので、生活に困っているわけではない。

 

 今回の設備投資も、一度買えば数年は長く使える物だ。

 

 決して損をしたわけではない。

 

 それでも、苦労して得た臨時収入が、一瞬にして生活家電へ消えていくこの悲しい感覚は、普通の会社員時代に、賞与が洗濯機やエアコンへ変わった時と、本質的には何も変わっていなかった。

 

「異能力者になっても、結局、臨時収入は家電に消えるんだな」

 

       *

 

 就寝前。

 

 久我は喉の渇きを感じ、寝室へ向かって小型冷蔵庫の扉を開けた。

 

 静かな冷却音。

 

 整然と並んだ、深紅の血液パック。

 

 一番手前にある日付の古い物を一本取り出し、扉を閉める。

 

 かちりと電子錠が作動し、安全が確保されたことを告げる。

 

 久我はリビングへ戻り、ストローを挿して血液パックをゆっくりと飲んだ。

 

 飲み終わった後、空になったパックを指定された密封回収袋へ入れる。

 

 そのまま台所へ向かい、普通の冷蔵庫の扉を開けた。

 

 翌朝の食事に使う卵とハムの残量を確認する。

 

 こちらの庫内には、赤い血のパックは一つもない。

 

「……うん。やっぱり、こっちの方がいいな」

 

 吸血鬼専用の冷蔵庫を、高い金を出して買った。

 

 普通の人間から見れば、間違いなく普通ではない買い物だ。

 

 だが久我にとっては、人間としての食事と、吸血鬼として生きるために必要な血液を、明確に分けるための大切な設備だった。

 

 吸血鬼になったという事実を、自分の人生から消すことはできない。

 

 だからこそ、普通の生活の領域へ無理やり混ぜ込んで誤魔化すのではなく、それぞれに正しく置き場所を作る。

 

 血液パック専用冷蔵庫が増えたことで、久我の部屋は以前よりも確実に、吸血鬼の住居としての機能を強めた。

 

 しかし、卵や牛乳の隣から深紅の血液が消えたことで、普通の冷蔵庫は久しぶりに、ただの平和な冷蔵庫へ戻ることができたのだ。

 

 普通の生活と、吸血鬼としての生活。

 

 どちらか一方を完全に捨てるのではなく、混ざって困る物だけを、別々の場所へ鍵をかけて保管する。

 

 それが、今の久我陽介にできる、もっとも現実的で精神衛生に良い共存の形だった。

 

 なお、天井を走る泥棒を捕まえて得た八咫烏からの報酬の大部分は、黒い冷蔵庫と頑丈な鉄の箱へ姿を変えた。

 

 会社員の臨時収入が家電へ消えるという悲しい真理だけは、吸血鬼になろうと異能力社会へ関わろうと、何一つ変わっていなかった。

 




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