()は相手が考えていることです。
「はぁ~やっと着いた。走ってくるのは流石にきつかったな」
北海道は広すぎる。
やっとの思いで俺は札幌に到着した。
「それにしても・・」
だがネットで見た通り多くの建物が崩壊していて、ボロボロな酷い状態だった。
電気もほとんどついてないし、雰囲気も最悪、夜の8時くらいなのに人がほとんどいない。
でもまあいいか。
俺は人多いとこあんま好きじゃないし。
この静まり返った感じが心地いい。
それにしても腹減ったな。
ずっと走ってたから。
おっ
丁度目の前に結構ボロいけど、食品サンプルが飾られるている飲食店みたいな建物があるから入るか。
こんな治安でよく飲食店なんてやるもんだ。変わりもんだな。
「お邪魔します。今やってます?」
「いらっしゃいませ~。はい開店していますよ」
扉を開け店に入って声を出すと、奥から黒い服を着た男が張り付いた笑みを浮かべながら現れた。
客の姿は一人もない。
外は暗い雰囲気だ。やっぱり客足は悪いんだろう。
「こんにちわんわん」
「わ、わんわん?」
「あ、気にしないで下さい。俺流の挨拶です」
「は、はあぁ。
ところでお客様。背格好が小さいようですが、親御さんはどちらに?」
無理もないか。
17歳だけど俺の身長は152cmと極めて小柄。
子供だと勘違いしてしまうのも無理はない。
「こう見えても17歳なんですよ。気になさらず」
「そうでしか。それは失礼いたしました」
「席ここでいいっすか?」
「はい。どうぞごゆっくり」
俺は促されるまま椅子に座り、机の上に置いてあるメニュー表を広げた。
「この店のおすすめって何かあります?」
「そうですね~。こちらのチキンライスなどはいかがでしょうか?」
「チキンライスか。悪くないっすね。
う~ん
じゃあこの豚骨ラーメンで」
「はい、受け・・え?」
「え?この豚骨ラーメンでお願いしますよ店長さん」
「・・・承知しました」
男の表情が一瞬、歪んだのを俺は見逃さなかった。
店員(ちっ。なんだこのチビ坊主。坊主の半袖半ズボンで挨拶からして変だったが、とんでもねぇクソガキじゃねえか。それに俺は店長じゃねぇよ。
まあいい。こいつからはいつもよりも多くぼったくってやるか)
だけど、俺の関心はすでに久しぶりに口にするラーメンに向けられていた。
豚骨ラーメン楽しみだな~。久しぶりだからな飲食店のやつは。
5分後
「どうぞ。豚骨ラーメンです」
さっきの店長の男がラーメンを持ってきた。
「ありがとーます。
お~。結構上手そうっすね。」
ボロ店にしては結構いい匂いがする。
入って正解だったな。
500円だし。
「・・ごゆっくりどうぞ」
男が背を向ける。
店員(ちっ、なにが結構だこのクソガキ。後で搾り取ってボコボコにしてやる。今の時代は軽い犯罪なんて捕まらねーからな)
「へーい。いただきます」
10分後
俺はラーメンを食い終わった。
見た目通り結構上手かったな。
「お~い。お会計お願いしや~す」
「はい。え~合計で5万になります」
「え?」
今なんて言った?
聞き間違いか?
「えっと何?5万円?」
「はい。さっさと払ってください」
店長はさっきよりもさらに胡散臭い笑顔を浮かべて頷く。
「5万って。高級店じゃねぇんだから」
「当店は高級店ですよ」
「どこもボロボロですって。特にこの机とか椅子とか」
「こういった雰囲気の高級店が最近のブームでして」
「メニュー表には500円って書いてあったんだけどな~。
4万9500円が雰囲気料か?」
「はい。さっさとお支払いください」
なるほど、と俺は内心で感嘆した。
人生で初めてだ。
これが世に聞くぼったくりか!
まあ結構滑稽でおもろいやん。
「店長さん」
「私は店長ではありませんが」
「あなたには2つの選択肢があります」
「話聞けやクソガキ」
「1つ目はぼったくりを辞めて会計をちゃんとメニュー表の通り500円にする」
「ぼったくりとは言い掛かりは辞めてくださいよ。クソガキ」
「2つ目はこのまま俺にこの店を木端微塵にされる」
「ぷっ。なんだそれ
いい気になってんじゃねぇぞクソガキ」
店長は腹を抱えて爆笑。
子供の虚勢だと。できるわけがないと思っているらしい。
それに醜い本性が出ちまってるぞ。
「どっちにします?」
「あぁそうだな。
じゃあ3つ目の選択肢でお前が5万払って俺にボコボコにされるってのはどうだ?」
「なるほど。2つ目がいいってことっすね?」
「ぷっ。やれるもんだったらやってみろよクソガキ。その前にボコボコにしてやるから」
店長は完全に俺を舐めた顔をしている。
「じゃ遠慮なく」
俺は静かにテーブルに手を置いた。
この社会のいろいろなゴミを溜めていそうな店を消し飛ばすために。
まあこんな店、世の中のために無くなった方がいいだろ。
決して、俺が個人的に破壊を楽しみたいわけじゃないぞ。はははっ。
この世界には魔力を持っている人間に独自の能力”固有能力”を所持している奴がいる
。ごく稀にらしいけど。
俺は運よくこの固有能力を持っていた。
俺の固有能力は自分自身の皮膚で触れた箇所に不可視の爆弾を設置するというもの(流す魔力の量によって爆弾の威力が変わる。長く触れていれば流す量を多くできるから威力は上がる。一個の爆弾に流せる魔力には上限がある)。
これは自身のタイミングで爆発させることができ、勿論一発の威力に上限はあるが、このくらいの小さな店を木っ端みじんにするのは容易だ。
まあ設置の数には上限がないからたくさん設置すればするほど威力は上がるんだけどな。
ちなみに爆弾は透明って言ったけど、目に魔力を集中させると見ることができる。
「遠慮なく?
テーブルに手を置いて一体どんなことをしてくれるだ?」
店長は完全に俺のことを馬鹿にしている。
「俺の能力は簡単に言えば爆弾を設置する能力だ」
「・・・・は?
はっ、どうせハッタリだろ」
「こんなボロい小さな店は一瞬で木端微塵だなww」
俺は満面の笑みを浮かべて言う。
手で触れた部分にはもう爆弾は設置済みだ。
いつでもいける。
「はっ嘘だな」
店長は分かり易く焦った顔をした。
その表情は俺の愉快を加速させた。
「もう設置したからな。
いくぞーーーーー!!
3、2、1」
「ま、待ってくれ!お前は出禁だ!今すぐ出ていけ」
俺の雰囲気から嘘ではないと思ったのかそんなことを言ってきた。
「もう遅いっすよ。
0!」
ドオォォォォォォーーーーーーーン!!!!!!!
俺は遠慮なくぼったくり店を爆破した。
轟音と共に、ぼったくり店は光と衝撃波に包まれ、木端微塵に消し飛んだのだった。
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「よいしょと」
俺は崩壊した店の瓦礫を掻き分け、ホコリを手で払いながら立ち上がる。
「ふぅーー。やっぱり建物を爆破するのは気持ちがいいな~~。
俺の家も我慢できずに最後爆破しちまったし、いや~ありがとう店長!
こんな爆破しやすい建物を用意してくれて!
気持ちが良かった!」
俺は瓦礫の向こう側に向けて親指をグッと立てる。
お礼は大事だ。
しっかり言わないとな。
「こ、この、クソガキがっ。
マジでやりやがったな・・」
すると店長が瓦礫の隙間から頭を出した。
「おー良かったよかった。死んでなかったか。やるやんけ」
魔力持ちだったし、手加減したから大丈夫だと思ってたよ。
「まあここの修理費は5万以上かかりそうだけどな。
頑張れよ
ハハハハハハッ!!」
俺は男の絶望に満ちた顔を見下ろし、大爆笑しながら廃墟と化した店を去った。
足取りは驚くほど軽い。
札幌の旅はまだ始まったばかりだ。