最悪の英雄   作:山川たかし

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6話です。
()は相手が考えていることです。


誘拐するなら是非俺を!

え?

なになに?

なんでアイドルの顔をボコボコにしたか気になるって?

そんなに気になる?

いいよ、教えてあげる。

 

簡単に説明すると

俺があのアイドルの戦闘の才能に惹かれてた。

あの才能で修業しないなんて勿体ない。ちゃんと修行して強くなって再度俺と戦ってほしい。

でも普通に修行してって頼んでもアイドルは断る可能性大。

だから一番大事なものを何か確認して、今回は顔だったからそれをボコボコにして、一番大事なものを奪った俺への復讐心を植え付ける。

これで俺を殺すため(復讐するため)に死ぬほど修行するはずと予想(今回の戦闘でアイドルは俺との実力差が圧倒的にあると分かっているはずだから修行するはず)。

そしていつか俺の元にばか強くなったアイドルが来て、戦える。

って感じだ。

 

ちなみにあそこまで顔面ボコボコにしたのは、元の顔に治されないようにするため(治されたら復讐心が薄れる)。

医術は勿論だが、この世界には医術だけでは絶対に治せないような大きな怪我でさえも治すことが可能な"魔力治癒"という技がある(固有能力とは別。固有能力で治癒系を持ってる奴もいるかもしれない)。かなり高度な技術だができる奴はいる。

それを警戒して過度にボコした。

 

どうだ?

よく分かっただろ?

まあ修行してないって話が嘘だったら台無しだけどな。

そこは賭けだ。

 

まあこの話は終わり。

 

今の状況を話す。

 

俺はアイドルの件から1週間くらい札幌をうろちょろして、チンピラと戦ってたんだけど流石に弱すぎて飽きてきた。

そこで何か面白そうな情報(強い奴の情報)がないか探してたら、丁度今さっき聞いたんだ。

話してる声が聞こえたからコッソリと。

 

あっ、ちなみに倒したチンピラ共はちゃんと通報してるよ。

 

内容は、最近俺がうろちょろしている場所で、子供の誘拐が増えてるみたいな感じのやつ。

このご時世、子供が行方不明になるのは良くあるらしいが、それにしても最近増えすぎているらしい。

 

そして俺はこの情報を聞いてすぐに思った。

子供が監禁されてる場所に行けば強い奴がいるんじゃないかなって。

もう強い奴と戦いたすぎて、うずうずしてるんだ。

 

そんな訳で俺は今からわざと誘拐されて、監禁場所に侵入する。

俺は子供みたいな体格をしてるから誘拐されるはずだ。

 

今は夜の9時くらい。

誘拐するにはもってこいの時間だ。

まあこんな治安じゃ時間はあんま関係ないか?

ま、人がマジでいないとこをうろちょろしてれば直ぐに捕まるだろ。

 

だが

 

1日目

収穫なし

 

2日目

収穫なし

 

3日目

収穫なし

 

ふざけんなよマジで。

全然捕まらねぇーじゃん。

 

まさかあの情報は偽物だったのか?

そんな馬鹿な。

いや、諦めるのはまだ早い。

これじゃあ三日坊主と馬鹿にされる。

 

今日もやるしかないな。

 

そして

4日目

 

「あっ、見つけたかも」

 

諦めずにうろちょろしていると、裏路地で怪しげな服装に身を包んだ二人の大人が、意識を失った子供を抱え、連れ去ろうとしていた。

 

俺は即座に気配を断ち、物陰に身を潜めた。

 

あれ多分例の誘拐犯だろ。

どうする?

俺が誘拐されるっていう筋書きだったのに、あのガキに邪魔をされちまった。

ホントはそこは俺のポジションだったのに。

 

だけど嘆いても何も始まらないか。

あいつらを尾行して監禁場所を突き止めるのもいいけど、捕まった方が面白そうなんだよな~。何となく。

 

まあ折角だ。

わざと捕まろう。

 

「お~い。俺も一緒に連れてってくれ~」

 

俺は物陰から出て、あどけない子供を装った声を上げた。

 

「「!?」」

 

不意を突かれた二人の男が、弾かれたように俺のようへと振り向く。

こんな場所に普通人はいないし、誘拐する犯行現場を目撃されて焦ったかな?

 

「誰だ!?」

 

「子供です!その子と一緒に俺も連れてってください!」

 

「「は?」」

 

「俺家出してきたんですよ。嫌になって。

あなた達は家出した子供を保護してるんですよね?その子も。だから俺もその子と一緒に連れてって下さい」

 

ストレートに誘拐してくれみたいなことを言えば、どんな阿保でも絶対に警戒するだろう。

捕まえてくれないのは少し困るから、こいつらを家出してる子供を保護してるいい奴らと勘違いしている無垢で馬鹿な子供を俺は演じる。

でも少し無理があったか?

 

すると怪しい大人2人は顔を寄せ合い、コソコソと相談を始めた。

 

「なんだこのガキ。俺達のことをいい奴だと勘違いしてるのか?この状況で?」

 

「ああ、そうみたいだな。保護だとよ。とんだ馬鹿ガキだ」

 

「だがどうする?こいつも連れてくか?

連れってても、馬鹿すぎて売れねぇんじゃないのか?」

 

「頭は馬鹿でも良く見てみろよ。こいつ結構な魔力持ちだぞ

絶対に連れてった方がいいだろ。金たんまりもらえそうじゃねぇか」

 

「おお確かに。こいつはラッキーだな。人身売買にはもってこいだ。

よしじゃあ連れてくか」

 

魔力で耳を強化してるから会話がっつり聞こえてますよ~。

その馬鹿にするようなクスクスとした笑い声も。

まあ人身売買とか結構物騒な単語が出てきたけど、どうやら俺のことをただの馬鹿な子供だと思って捕まえてくれるらしいから気にしないでおこう。

 

ちなみに馬鹿はお前ら2人な!

俺の演技に騙された!

俺じゃない!

 

「よお~し。いいぞ。この子と一緒に連れてってやろう」

 

「ホントに!?わ~いラッキー!」

 

「じゃあこの車に乗ってくれ」

 

「は~い」

 

俺は弾むような足取りで、用意されていた黒色の車に無邪気に乗車した。

そしてドアが閉まる音と共に、車は静かに監禁場所に向って走り出すのだった。

 

頼む!強い奴いてくれよ!

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