ペルソナX訂正版   作:keimei

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第18話覚悟

知と雷斗は同時に駆け出した。

 

 二人の狙いはただ一つ。

 

 ――小田上を取り戻すこと。

 

「知! 俺が前に出る! その隙に援護してくれ!」

 

「分かった!」

 

 雷斗は低く身を沈め、一気に間合いを詰める。

 

 鋭い前蹴り。

 

 続けざまの回し蹴り。

 

 さらに後ろ回し蹴りへと繋ぐ。

 

 元テコンドー学生チャンピオンらしい、一切の無駄がない連撃。

 

 しかしシャドウは微動だにしない。

 

 ガッ。

 

 片腕だけで蹴りを受け止めると、そのまま雷斗を見下ろした。

 

「……ククッ。」

 

 肩が震え始める。

 

「クククッ……アハハハハハハッ!!」

 

 狂った笑い声が境界中へ響き渡った。

 

「何だその程度か! 学生チャンピオン? 笑わせるな! その程度の蹴りで俺を止められると思ったのか!」

 

 腹部へ鋭い膝蹴りが突き刺さる。

 

「ぐっ……!」

 

 雷斗の身体がくの字に折れる。

 

 それでも雷斗はシャドウの腕を掴み、叫んだ。

 

「知ッ!!」

 

「任せろ!」

 

 知は赤いメダルを装填する。

 

「アギ!」

 

 炎弾がシャドウの背中を撃ち抜く。

 

 わずかに体勢が崩れた。

 

 知は間髪入れず青いメダルへ交換する。

 

「ブフ!」

 

 足元が凍る。

 

 さらに緑。

 

「ガル!」

 

 突風が吹き荒れ、雷斗との距離を開かせた。

 

 雷斗は着地すると再び飛び込む。

 

「まだだぁぁぁっ!」

 

 二人の連携。

 

 炎。

 

 氷。

 

 風。

 

 蹴り。

 

 拳。

 

 息は合っている。

 

 結界の向こうで善吉が叫ぶ。

 

「そのまま押し切れ!」

 

 真も思わず拳を握った。

 

「いける!」

 

 しかし。

 

 シャドウはゆっくりと首を傾けた。

 

「終わりか?」

 

 その一言と同時に黒い瘴気が爆発する。

 

 ドォォォォン!!

 

「があっ!」

 

「くっ!」

 

 二人の身体がまとめて吹き飛ばされた。

 

 知は何度も地面を転がり、アビスギアを石畳へ突き立てながら立ち上がる。

 

 息が荒い。

 

 腕も震えている。

 

 それでもアビスギアだけは離さない。

 

 シャドウは二人を見下ろしながら、また笑い始めた。

 

「ククッ……アハハハハハッ!! 面白い! 本当に面白い! ワイルドだの学生チャンピオンだの、大層な肩書きを背負っておいて、この程度とはなぁ!」

 

 知は睨み返す。

 

「まだ……終わってない!」

 

「終わってない?」

 

 シャドウは腹を抱えて笑い転げる。

 

「アハハハハハハッ! 終わってないのはお前の頭だ! 属性をコロコロ変えて満足してるだけじゃないか! 火を撃って、氷を撃って、風を吹かせて……それで強くなったつもりか!」

 

 知は歯を食いしばり、紫のメダルを装填した。

 

「ムド!」

 

 黒い弾丸が一直線に飛ぶ。

 

 しかしシャドウは避けることもせず、片手で握り潰した。

 

「ほら見ろ。そんな玩具みたいな攻撃が俺に効くわけないだろ?」

 

 一瞬。

 

 シャドウの姿が消えた。

 

「しまっ――」

 

 重い拳が知の腹へめり込む。

 

「がはっ!!」

 

 知の身体が宙を舞い、崩れた石壁へ叩き付けられた。

 

「知ッ!!」

 

 雷斗は迷うことなく走る。

 

 知を庇うようにその前へ立ち、両腕を広げた。

 

「もうやめろ! これ以上、知には手を出すな!」

 

 シャドウはゆっくりと雷斗へ顔を向ける。

 

 そして口元を大きく歪めた。

 

「アハハハハッ……そうか。じゃあ次はお前だ。」

 

 拳が振り下ろされる。

 

 雷斗は両腕で受け止めるが、骨が軋む音と共に大きく吹き飛ばされた。

 

「ぐあっ!」

 

 それでも立ち上がる。

 

 一歩。

 

 また一歩。

 

 知の前へ立つ。

 

 知は血を吐きながら叫んだ。

 

「雷斗! もういい!」

 

 雷斗は振り返らず、小さく笑う。

 

「馬鹿言うな……仲間を置いて逃げるなんて、俺にはできない。」

 

 その言葉を聞いたシャドウの笑みがさらに深くなる。

 

「仲間ぁ? アハハハハハハッ!! 本当に笑わせてくれる! 昔、この体一人すら信じられなかったお前が、今さら仲間だと?」

 

 雷斗の表情が固まる。

 

「……っ。」

 

「どうした? 図星か? また守れないぞ。そいつも、この体も、お前はまた何も守れない。」

 

 その言葉が、雷斗の胸を深く抉った――。

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