ペルソナX訂正版   作:keimei

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第19話契約

シャドウの言葉が雷斗の胸を深く抉る。

 

「どうした? 図星か? また守れないぞ。そいつも、この体も、お前はまた何も守れない。アハハハハハハッ!」

 

 狂った笑い声が境界へ響き渡る。

 

 雷斗は奥歯を噛み締め、ゆっくり立ち上がった。

 

「……黙れ。」

 

「聞こえんなぁ?」

 

 シャドウは知の髪を掴み、無理やり引き起こす。

 

 知は苦しそうに顔を歪めながらも、シャドウを睨み返した。

 

「離せ……!」

 

「離せ? 嫌だねぇ!」

 

 ドゴッ!!

 

 容赦ない拳が知の腹へ突き刺さる。

 

「がはっ……!」

 

 知の口から血が飛び散る。

 

 その姿を見た雷斗は反射的に駆け出した。

 

「やめろ!!」

 

 鋭い飛び蹴りがシャドウへ迫る。

 

 しかし。

 

 バシッ。

 

 シャドウは片手で受け止め、そのまま雷斗を地面へ叩き付けた。

 

「ぐああっ!」

 

「遅い、軽い、甘い! その程度で俺に勝つ? 笑わせるな!」

 

 シャドウは雷斗の腹を容赦なく踏み付ける。

 

「がっ……!」

 

「ほら立てよ、学生チャンピオン! 昔みたいに誰かを助けてみろよ!」

 

 何度も踏み付けられる。

 

 それでも雷斗はシャドウの足を掴み、ゆっくり立ち上がる。

 

「まだ……終わってない。」

 

「ククッ……しつこい奴だ。」

 

 シャドウは雷斗を殴り飛ばす。

 

 壁へ叩き付けられた雷斗は血を吐きながらも立ち上がった。

 

 知は震える手でアビスギアを構える。

 

「雷斗……!」

 

「来るな!」

 

 雷斗は振り返らず叫ぶ。

 

「お前は……小田上を助けることだけ考えろ!」

 

「でも……!」

 

「俺は……絶対に、お前を守る!」

 

 その瞬間だった。

 

 シャドウは腹を抱え、大声で笑い始める。

 

「アハハハハハハハハッ!! 守る? まだそんな夢を見ているのか! お前はこいつも、この体も、誰一人守れなかった! なのにまた守るだと!? 本当に滑稽だ!」

 

 その言葉に雷斗の身体が止まる。

 

 脳裏へ過去が蘇る。

 

 誰にも信じてもらえなかった日々。

 

 失った仲間。

 

 小田上を疑ってしまった後悔。

 

 胸が締め付けられる。

 

 シャドウは黒い瘴気を拳へ集め、知へ歩き出した。

 

「さぁ、終わりだ。」

 

 知は立ち上がろうとする。

 

 しかし身体は動かない。

 

 アビスギアを握る力すら残っていなかった。

 

 シャドウはゆっくり拳を振り上げる。

 

「まずはこいつから殺してやる。」

 

「やめろぉぉぉぉぉっ!!」

 

 雷斗は叫びながら走る。

 

 足がもつれる。

 

 身体中が悲鳴を上げる。

 

 それでも止まれない。

 

 知だけは。

 

 仲間だけは。

 

 もう失いたくない。

 

 その瞬間――。

 

 世界から音が消えた。

 

 振り下ろされた拳も。

 

 舞い上がる瓦礫も。

 

 すべてが静止する。

 

 雷斗だけが、白く染まった世界へ足を踏み入れていた。

 

「……ここは?」

 

 遠くで雷鳴が轟く。

 

 そして白い霧の向こうから、一人の巨大な武神が静かに姿を現した。

 

 その胸には、黄金に輝く勾玉が脈打つように光っていた。

 

 武神は雷斗を真っ直ぐ見据え、低く重い声で問いかける。

 

「――汝、何のために力を求める。」

 

 雷斗は息を呑み、その問いを受け止めた。




19話
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