ペルソナX訂正版   作:keimei

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第20話武神の試練

雷斗は目の前に立つ武神を見上げた。

 

 轟く雷鳴。

 

 空を裂く稲妻。

 

 白い霧の世界は、まるで神域そのものだった。

 

 武神の胸に埋め込まれた黄金の勾玉が鼓動を打つたび、空気が震える。

 

「――汝、何のために力を求める。」

 

 低く響く声。

 

 雷斗は拳を握り締めた。

 

「仲間を守るためだ。」

 

 武神は微動だにしない。

 

「偽るな。」

 

 その一言と同時に、雷鳴が轟いた。

 

 景色が一変する。

 

 目の前へ映し出されたのは、幼い頃の自分だった。

 

 泣きながら地面へ座り込む小田上。

 

 その前へ立ち、いじめっ子たちを睨み付ける幼い雷斗。

 

『もうやめろ!』

 

 幼い自分が叫ぶ。

 

 景色は再び変わる。

 

 テコンドー部。

 

 歓声。

 

 仲間たち。

 

 そして。

 

『全部、あいつが密告したんだろ!』

 

『最低だ!』

 

『もう信用できない!』

 

 雷斗自身が、小田上へ冷たい視線を向けている。

 

「……違う。」

 

 雷斗は思わず呟いた。

 

「違う……。」

 

「違わぬ。それもまた、お前自身。」

 

 武神の声が静かに響く。

 

 さらに景色が変わる。

 

 血だまりの中で倒れる知。

 

 シャドウに支配された小田上。

 

 雷斗は必死に手を伸ばす。

 

 しかし、届かない。

 

 二人の姿は闇へ沈んでいく。

 

「やめろ……。」

 

「守れなかった。」

 

「やめろ!」

 

「また守れなかった。」

 

「やめろぉぉぉっ!!」

 

 雷斗は叫びながら拳を振るう。

 

 しかし拳は空を切るだけだった。

 

 武神は静かに雷斗を見下ろした。

 

「その怒り、その後悔、その無力……それら全てを抱え、お前は何を望む。」

 

 雷斗は肩で息をしながら顔を上げた。

 

「俺は……。」

 

 拳が震える。

 

 知の笑顔。

 

 善吉のぶっきらぼうな励まし。

 

 真の信頼する眼差し。

 

 ミロクの軽口。

 

 そして。

 

 小田上の苦しそうな笑顔が脳裏を過った。

 

「俺は……。」

 

 雷斗はゆっくり武神を見据える。

 

「過去は変えられない。俺が小田上を疑った事実も消えない。信じ切れなかった俺がいたことも……全部、本当だ。」

 

 武神は何も言わず耳を傾ける。

 

「だけど……だからこそ、もう二度と失いたくない。今度こそ守りたい。仲間を、知を、小田上を……みんなを!」

 

 武神の瞳が僅かに細められる。

 

「それがお前の答えか。」

 

「……ああ。」

 

 雷斗は一歩前へ踏み出した。

 

「俺は誓う。もう逃げない。過去からも、自分自身からも。どんなに傷付いても、俺は仲間を守り抜く!」

 

 雷鳴が天地を揺らす。

 

 武神の胸の黄金の勾玉が、これまで以上に強く輝き始めた。

 

「……ならば、その覚悟、我が雷に刻み込もう。」

 

 武神はゆっくり右手を掲げる。

 

 黄金の雷光が世界を覆い尽くし自身の心臓に雷が降り注ぐ。

 

「我が名を発せよ」

 

「ブチ抜けタケミナカタ!」




20話短めです!
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