ペルソナX訂正版   作:keimei

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第21話 建御名方神

「ブチ抜け、タケミナカタ!」

 

 雷斗の叫びが白き神域へ響き渡った。

 

 刹那――。

 

 天を覆っていた雷雲が激しく渦を巻き、一筋の黄金の雷が轟音と共に雷斗へ降り注ぐ。

 

 ズガァァァァァンッ!!

 

「ぐあああああああああぁぁぁぁぁっ!!」

 

 黄金の雷は雷斗の胸を真正面から撃ち抜いた。

 

 凄まじい衝撃が全身を駆け巡り、膝が砕けるように地へ着く。

 

 焼ける。

 

 熱い。

 

 苦しい。

 

 心臓そのものを素手で握り潰されているような激痛。

 

 骨が軋み、血液の一滴一滴が雷へ変わっていくようだった。

 

 それでも雷斗は叫び続ける。

 

「まだ……終われねぇ!!」

 

 ドクン。

 

 鼓動が鳴る。

 

 ドクン。

 

 さらに強く。

 

 ドクン。

 

 鼓動は雷鳴と重なり、神域全体へ響き渡っていく。

 

 雷斗の胸元が黄金色に輝き始めた。

 

 制服を突き抜けるほどの光。

 

 まるで心臓そのものが外へ飛び出そうとしていた。

 

「その痛みは覚悟の証。その鼓動は魂の証。恐れるな。お前自身を掴め。」

 

 武神の低く重い声が響く。

 

 雷斗は震える右手を胸へ当てた。

 

 熱い。

 

 だが、その熱さの奥には、確かに自分自身の鼓動があった。

 

 守れなかった仲間。

 

 信じ切れなかった小田上。

 

 何もできず立ち尽くした過去。

 

 そして、今も命懸けで戦っている知。

 

 全てが胸の奥で脈打っていた。

 

「これが……俺自身。」

 

 雷斗は歯を食いしばる。

 

「逃げた過去も、後悔も、弱い俺も……全部俺だ!」

 

 拳を強く握る。

 

「だったら全部背負ってやる!! 二度と仲間を失わないために!!」

 

 雷斗は胸へ腕を深く沈めた。

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉっ!!」

 

 激しい痛み。

 

 それでも腕を止めない。

 

 そして胸の奥で脈打つ光を掴む。

 

「これが……俺の魂だぁぁぁぁっ!!」

 

 勢いよく引き抜く。

 

 パァァァァァン!!

 

 無数の黄金の雷光が弾け飛んだ。

 

 雷斗の右手には、一つの黄金の勾玉。

 

 鼓動に合わせ、生き物のように脈打っている。

 

 武神は静かに頷いた。

 

「契約は成された。我が名は建御名方神。雷を統べ、覚悟を試す武神。汝が再び迷う時も、我はその雷となり道を示そう。」

 

 武神の巨体は黄金の雷へ姿を変え始める。

 

「往け、契約者よ。その雷で運命を切り開け。」

 

 白き神域が音を立てて崩壊する。

 

 雷斗の身体は光へ包まれ、意識は現実へ引き戻されていった。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 止まっていた時間が動き出す。

 

 シャドウの拳が知へ振り下ろされる。

 

 あと数センチ。

 

 雷斗は拳の中に握られた黄金の勾玉を見つめた。

 

 鼓動と共鳴するように、勾玉は眩く輝いている。

 

「もう……誰も失わねぇ。」

 

 雷斗は勾玉を強く握り締めた。

 

「来い……!」

 

 全身へ力を込める。

 

「ペルソナァァァァァッ!!」

 

 バキィィィィンッ!!

 

 黄金の勾玉が雷斗の手の中で砕け散る。

 

 砕けた破片は無数の雷光となって宙へ舞い上がり、一筋の巨大な雷柱となって境界世界へ落下した。

 

 ズガァァァァァンッ!!

 

 耳をつんざく轟音。

 

 雷柱はシャドウと知の間へ突き刺さり、大地を砕き、周囲へ凄まじい衝撃波を放つ。

 

「なっ……!?」

 

 シャドウは咄嗟に飛び退いた。

 

 土煙が舞い上がる。

 

 その中心から、一柱の武神がゆっくり姿を現す。

 

 黄金の鎧。

 

 肩から迸る雷。

 

 鋭く輝く双眸。

 

 全身から放たれる圧倒的な神威。

 

 雷を統べる武神――タケミナカタ。

 

 雷斗はゆっくり立ち上がり、口元の血を親指で拭った。

 

 身体は重い。

 

 初めての覚醒で全身が悲鳴を上げている。

 

 それでも、その瞳から迷いは消えていた。

 

「ここから反撃だ。」

 

 タケミナカタは静かに右手を前へ掲げる。

 

 雷斗も同じように腕を突き出した。

 

「ジオッ!!」

 

 バチィィィィィッ!!

 

 黄金の雷撃が一直線にシャドウへ襲い掛かる。

 

「チィッ!」

 

 シャドウは両腕を交差させ受け止める。

 

 雷が全身を駆け巡り、一瞬だけ動きが止まった。

 

 知は目を見開く。

 

「雷斗……。」

 

 雷斗は振り返ることなく言う。

 

「説明は後だ。今は小田上を助けるぞ!」

 

 知は痛む身体を起こし、静かに笑った。

 

「ああ……もちろんだ!」

 

 その声に呼応するようにアビスギアが低く唸り始める。

 

 雷斗と知。

 

 二人は互いに頷き合う。

 

 その瞬間、小田上を取り戻すための反撃が幕を開けた。

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