提督拉致   作:江田島提督

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ひょんなことから鎮守府に着任カッコカリした(拉致られた)提督。
制服など支給品を一通り受け取った後、彼は案内された提督室でひとり唸っていた...


03:大本営

 

うーーーーーーん......

俺は、提督執務室のなんかそれっぽい椅子に腰掛けさっきから色々考えていた。

 

そして出た結論。

やはり色々おかしい。

 

エ?

何がおかしいのかって?

ぜ〜んぶ♡

 

 

まず大本営どこいった?

 

たしか俺宛てに召集令状来てたよな。

それに集合日時と場所的なの書いてあったハズだが。

たしか今日の午前8時に駅前まで車を寄越すからとk......

俺は窓の外の高く登った太陽を見て考えるのをやめた。

 

ええと...そうだ、

そもそも提督に着任ってこんな軽いカンジで良いのだろうか。

俺の中の勝手なイメージだと、髭とか生やした司令的な偉い人から命令を受けて、正式な手続きを経て着任するものなのだが...

今の所、俺はさっきの軽い自己紹介だけで着任したことになっている。

いや、金剛の言い方的に、俺が自己紹介する前からこの鎮守府に俺が着任は完了していたのか?

 

しかしそれならばわざわざ俺に赤紙を送ってよこす必要はあったのか?

てか俺は正式に着任したことになっているのだろうか...

 

あと艦娘たちと大本営の関係はどのようなモノなのか?

組織の構造が全く見えてこない。

 

 

ウーム......

 

 

ああ、ダメだ。

考えがまとまらない。

 

そうしてグルグルと考えていると、

 

コンコン

 

ドアがノックされる。

 

「アッ、ドウゾー」

 

 

「失礼しま〜す」

がちゃりとドアを開け、トテトテと幼い少女が1人入ってくる。

そして彼女は俺の机の前へやってきた。

 

しかし困ったな。先ほど目が覚めて流れるままに着任カッコカリいや、カッコラチしたばかりである。

名前がわからない。

「え〜っと君は...」

 

「あら司令官、まだ私の名前をおぼえてないの?」

 

無茶言いなさんな。

 

「私の名前は雷!」

「司令官、私に任せておけば安心よ!」

少女は胸を張り、どや〜という顔でこちらを見てくる。

 

何が安心なのかはワカラナイです。はい。

「すまん、ここに来てあまり時間が経っていないのだ、雷...ちゃん?」

 

 

「雷って呼んでちょうだい!」

ガタっと身を乗り出して彼女はそう叫ぶ。

ぷんすか、そんな擬音が聞こえてきそうだ。アレ?誰かのキャラ食ってる気g...

 

 

「悪い悪い。えぇと、それで雷よ、何か俺に御用かな?」

少しバツの悪い俺は早急に話題を転換する。

 

 

「ああ、そうだったわ」手をポン、と叩く雷ちゃん。かわいい。

「司令官、あなたを訪ねて大本営のおじいさま方がいらっしゃっているわ!」

 

 

何、大本営だと!?

渡りに船とはこのことか。

「おお!!」

思わず歓喜の声が漏れる。

やっとこれで色々たまった疑問を解消できる。

うんと文句を言ってやろう!!

 

 

......ン?

 

 

いや待てよ...

これもしかしなくても俺が召集令状無視したことのお叱りに来てるんじゃないか?

「アワワワワ......」

拉致されてしょうがなかったとはいえ、大本営という国家権力にシカトは流石にまずかったか...

いやしかし、金剛たちの言葉を信じるなら俺はもう着任してるから怒られる訳ではないのか?

でも流石に本来なら着任までに色々大本営であったはずだよな...

なら怒られるのか...?

う〜ん......

やはり組織の構造がわからんことには何も判断できん。

ここは覚悟を決めて......

 

そこで雷ちゃん

「もう〜、喜んだり怯えたり忙しい人ねぇ」

「おじいちゃんたち待ってるから早く行くわよ!」

 

 

「ああ、そうだったな。悪い。今行く」

 

危ねぇ〜

お偉いさん方を待たせて罪を重ねるところだったぜ。

 

 

◼️

 

 

雷に連れられ、応接室に向かう。

 

コンコン

ドアをノックする。

「うむ」

中から威厳に溢れる、低い声が聞こえてくる。

 

ガチャリ

扉を開けた先、部屋のソファには、白い髭を蓄えた厳つい男と、顔に大きな傷のある、これまた厳つい男が座っていた。

扉を開けた瞬間から、部屋の内部よりただならぬ雰囲気を感じる。

ーーー格が違う。

俺の体は固まり、声も出なかった。

 

そして、白髭の老人が沈黙を破る。

「雷君、彼の案内ご苦労」

「しばらく我々だけで話がしたい。少し外してもらうことは可能かな?」

「了解よ!じゃあ司令官、またあとでね!」

 

ェ?ちょ、ちょっと待ってよ!行かないで雷ちゃ〜ん!!!

 

 

 オ ワ タ 〜 /(^o^)\

 

 

ああ、俺が小4の時に放送室にて放送スイッチがオンになっていることに気付かず、全校放送で全2分半にわたる校長先生の禿イジリ自作ラップを完走したことを思い出す。

あの時の絶望感も中々のものであったが、今回は別格である。

 

「失礼します......」

さて、どう命乞いをしようかな...

そんなことを考えながら俺は応接室へ足を踏み入れる。

 

ガチャリ

 

後ろ手にならぬようしっかりと扉を閉める。

いよいよ逃げ場がなくなった...

ええい、ままよ!

 

「失礼シマス」

俺は彼らの向かいのソファに腰掛けると、ついに傷の男が口を開く。

半ばヤケクソである俺の覚悟とは裏腹に、彼からかけられたのは意外な言葉であった。

 

 

 

「ホントにごめん!!!!!!!!!!ッッッッッッ」

彼はそう言って頭を全力で下げる。

それに続き白毛の男も

「すいませんでしたァ!!!!!!!!ッッッッッッ」

 

 

 

.........

 

 

 

...えぇ...

 

 

困惑の色が隠せない。

なにしろ開口一番に罵られることを予想し、場合によっては彼らの腰にある腰の軍刀で切り捨てられることも覚悟していた俺である。

 

とりあえずこれは絵面がまずいと思うので、声をかける。

「えぇ...あの、お二人共、頭を上げて下さい」

 

『うむ...』2人揃って弱々しい返事である。

貴様らそれでも日本国男児かッッッ!!!、と俺の内なる鬼軍曹が目覚めるくらいには弱々しかった。

 

 

え〜っとつまり、こいつら俺に説教しにきたワケじゃないのか?

「えぇと、お二人ともどうされたのですか?」

意を決して聞いてみる。

 

 

そして質問を受けて彼らは、事の顛末について語り出した。

「いや、本当に申し訳ない...まず召集令状のことなのだが〜」

 

 

◼️

 

 

フム...なるほどなるほど。

大体理解した。

 

彼らの言っていたことをまとめると、

 

①いきなり召集令状とか送ってすいません。

 

②いきなり拉致とかしちゃってうちの艦娘がホントにすいません。

 

③マジで申し訳ないんだけどこのまま提督やってくんね?

 

④いや、俺たちも大変なんだヨ〜

 

といった感じである。

 

 

..........

 

 

 

シバくぞッッッッッッッッ!!!!!!!!!

 

 

ゲフンゲフン

おっと失礼。少し取り乱したところで、本題に戻ろう。

 

次は今ピックアップした4つについて順番に解説していこう。

まず①についてだ。

これについては後述するが、やむを得ない事情があり、召集令状なんてものを送ることは国民を守る大本営としても苦渋の決断であったらしい。

 

そして次、②について。

これまた後述するのであるが、あの拉致は大本営の司令というわけでもなくただの一艦娘の暴走であったとのことだ。

ちゃんと手綱握っとけよ...

 

そんで③について。

どうやら金剛が言っていた通り、提督適正保持者というのは本当に貴重らしく、次の繋ぎが見つかるまででもいいから、提督をやってほしいとのことだ。

 

最後に④...

大本営、どうやらマジで大変なようである。

そもそも現時点における大本営と艦娘の関係性について、

俺は、艦娘<<大本営、くらいだろうと思っていた。

しかし現実は小説より奇なり、である。実際のパワーバランスは、

大本営<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<艦娘、であるとのことだ。

 

えぇ...

 

どうしてこうなった。

 

↑色々理由があるようである。

俺がそのことについて質問すると、2人は肩を震わせ、涙ながらに語ってくれた......

 

 

◼️

 

 

かつて、突如として現れた深海棲艦によって人類はかつてない窮地に追い込まれていた。

現代科学の粋を集めた現代兵器が通用しない。人類史上初の、天敵。

地球の7割を占めるという海は、奴らに奪われてしまったのだ。

制海権を失う、それ即ち制空権も失うということ。

各国間の交流は絶たれ、諸外国からの輸入に依存するところが大きかった日本は、特に苦境に立たされた。

 

そんな時、救世主の如く現れたのが

在りし日の軍艦の魂を受け継ぎ、深海棲艦に唯一立ち向かえる人類側の切り札。

ーーーそれが、艦娘であった。

 

彼女らは、時には傷つき、時には泣き...それでも、戦うことを諦めなかった。

そして、彼女らは命をかけて戦い、現在に至るまで少しずつではあったが、失われた海を取り戻してきた。

そう、命をかけたギリギリの戦いであったのだ。

 

一昔前までは......

 

 

彼女たちは、強くなりすぎた。

 

力を持て余し始めた彼女らは最初、可愛いわがままを言ってみた。

誰も気にしないようなどうでもいいふざけた要求。

しかしその時、大本営は毅然とした態度で、軍としての規律を以て切り捨てるべきであったのだ。

しかし、大本営にはそれができなかったのだ。

命を賭して世界を救わんとする彼女らに下手な口は挟めなかった。

そこから、彼女らの要求(わがまま)はエスカレートし始めた。

 

「ボーキ4000よこせよ、あくしろよ(AKG)」

(これが最後ですね?要求を飲めば、これ以上ボーキを無駄に食べないでくださるのですね?という問いに対して)「おう、考えてやるよ(食べないとは一言も言っていない)」

 

ーーもはや大本営と艦娘という力関係は崩壊していた。

このままではまずい。

 

そんな時だった。

 

「提督適正」そんなものが発見されたのだ。

提督適正とは、端的に言えば彼女らの心の拠り所、余りあるパワーの受け止め役となることのできる能力である。どのような形でパワーを放出するのか、それは艦娘ごとにまちまちである。しかし全てにおいて言えること、それは、提督に向けられるパワーと、それを受け止める提督の負担は計り知れないものとなること....

 

しかし贅沢は言っていられない。

提督適正のある人物を鎮守府の提督として配属させれば、その提督が人柱となり、ある程度艦娘たちの行動に歯止めが効くことがわかったのだ。

 

そこから、提督適正を持つ者たちの協力(多分強制)により、大本営は現在まで首の皮一枚繋がってきた。

 

 

◼️

 

 

そうしてその役が俺にも回ってきた、というわけであろう。

ちなみに拉致は、提督になる前にフライングで受けた艦娘の溢れるパワー、ということらしい。

 

 

 

 

つまり、大本営が俺に伝えたかった事を簡単に表すと、こうだ。

 

『どうせ適正見つかっちゃったんだから、人柱オナシャス♡』

 

 

...

 

 

 

 

逃げたい。




あとがき
→第3話遅くなりました!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
それはそうと、近いうちに艦これのゲームの方でイベントが始まるようですね!
うちの鎮守府は弱小もいいところで、改二艦なし、海域も2-4止まりと、ド初心者です。
お前そんなゲームの進度でよく艦これのss書けるな、というツッコミは...はい、すいません。
知識も皆無で現在攻略wikiさんを読み漁っております!果たしてこんな状態でイベントに参加することはできるのでしょうか。我が鎮守府の未来やいかに...
と言ったところで今回は締めさせていただきます。改めて、最後まで読んでいただきありがとうございます!
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