コミュ障な吸血鬼の真祖として異世界生活   作:隷属

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吸血鬼、偽姉を紹介する

「ニャ?ルシアちゃん、お帰りニャ!」

ニーナさんが今日当番らしい。

かなり朝早いはずだけどもう働きだしてる。

「……早い」

「ニャ?…あ、朝の事ニャ?ふっふっふ、頑張ってるニャよ〜うちの宿は」

「……偉い」

「ふふーんニャ!」

「………ニャ…必要ない?」

「ニャ?……あ~シズから聞いたニャ?そうニャ!キャラ付けニャよ!」

認めるのか。まぁ妹が言ってないもんね。

「可愛いニャよ〜お客さんにも好評ニャ!」

分かる、可愛い。

「あの…ルシア?そろそろ本題に入りましょ?」

氷雨が窘めてくる。凄いお姉ちゃん感ある。

「……お姉ちゃん……一緒に泊まりたい」

「ニャ!?お姉さんがいたニャ!驚きニャ〜。あの部屋でなら追加費用は要らないニャよ!貴族も泊まれるスイートニャからね!ベッド追加するニャ?」

あれ、そうなの?

あ、そっか。

エリーゼさんが御礼として払ってくれたから。

首を傾げフルフル振りベッド追加を断る。

「もぉ~いつも一緒に寝たがるんだから〜」

氷雨が頭を撫でながら、困ったなぁ〜みたいな雰囲気を出しつつも満更でもないという絶妙な空気感をうまく作る。

「ふふっ仲の良い姉妹ニャ!あっ、この紙だけ書いて欲しいニャ!」

そうして氷雨も紙を書き始める。

氷雨も字をかけるし読めるし話せるんだな。

どういう認識なんだろう?

「ごはん代だけはいるなら追加が必要ニャ、どうするニャ?」

ニーナさんに聞かれたので、ギルド長に貰ったお金を渡しながら、

「…いる……お弁当……作って」

「はいニャ!1時間後くらいに部屋に持っていくニャ!」

 

部屋へ戻り、鍵を閉めると背後から冷気が漂い始め、ピギィ!と壁が氷で覆われる。

防音用だろうか?

「ルシア様、私の対応は失礼ではありませんでしたか?」

フルフルと首を振り否定する。

「左様ですか、安心しました。今後も同様の態度でいかねばいけないので不評を買う態度であればどうすれば良いか分からなくなるところでした」

氷雨は胸を撫で下ろす。

もっとベタベタな甘やかし系の姉でも良いよ?

「今後の対応ですが私も冒険者登録をしてルシア様の2日後の探索の手伝いを行えるようになります」

コクリと頷く。

「その為には、しっかりと周りの方々へ私達が姉妹と印象付けて2人共強者かつ無害であると示さないといけません。なので、朝ご飯を食べましたらすぐにルシア様がこの街で関わった方達に会いに行きましょうか」

眠い…まぁやるべきだし仕方ない。

コクリと頷く。

「ありがとう御座います。では、続いて鈴鹿達の素材採取についての相談です。強い敵が居るかどうかはともかくとして、商人としてこの街に来る理由と検問での商人としての立場を証明する方法等をゆっくり探っていきましょう」

氷雨は宰相敵ポジションのフランに並ぶほど優秀だ。

連れてきて良かった。色々方針を立ててくれる。

「……質問…文字の読み書き…何で?」

「えっ?ルシア様も出来ますよね?」

コクリと頷く。

「あれ?お忘れになりましたか?あの算術や難読漢字、英文、化学式、歴史等が襲ってくる世界の事を、そこの世界突破時の報酬ではありませんか」

………あっ…あぁ〜あったあった。

何か大学受験用に作ったらしいステージで正しい敵に攻撃をしないと問題が増加していくステージだ。

結構な鬼畜難度だったけど丁度大学受験に使わせてもらった。

何かゲームやってたというより勉強してたという記憶だったから報酬とか完全に忘れてた。

確か、計算能力がめちゃくちゃ上がる能力とどんな言語でも扱える能力が報酬だったっけ?

ゲーム内では受験後一度も役に立った事が無かったから忘れてた。

「……思い出した」

「良かったです。あの戦いは苦戦しました。私が止めている間にルシア様が正しい敵を見定める。……懐かしいです」

うん…まさかコントローラー握ってる時間よりノートや教科書、参考書と向き合っている時間のほうが長くなるとは思わなかった。

最高難易度がもう殆ど時間足りなくて氷雨を呼び出して相手の動きを遅くしてもらったのだったな。

「……もうやりたくない」

「えぇ、全くです」

最終的には氷雨と俺はステージクリア報酬でゲットした。

その後フランは宰相なので知識系の能力を教導している為、鈴鹿も設定的に素材採取先の交渉等もあり得るという体で言語の方だけ教導したんだった。

…転生特典とかじゃないのか。

調べないといけないな。

コウモリちゃん達には教えてないからそこで試そうかな。

その後脱線して思い出話をしていた所、足音が聞こえるとの事で会議を終了する。

 

ニーナさんがご飯をお弁当にして持ってきてくれた。

なのでまずギルドへ戻り氷雨の冒険者登録へ向かう。

ついでに換金も行おう。

ウトウトしながらも氷雨に手を引かれて冒険者ギルドへ到着する。

「あ、ルシアさん。おはようございます…?」

アルスさんがとてとて小走りでこちらへ寄ってきて挨拶してくれるが、途中で氷雨に目が奪われている。

「…おはよう」

「あっ、はい、おはようございます。えっと…そちらの方は?」

「始めまして。ルシアがお世話になっています、私ルシアの姉の氷雨です」

「えっ!?お姉さん!?る、ルシアさん!お姉さんが居たんですか!?」

コクリと頷くと、アルスさんが驚いている。

どちらかというと普通はこの年の娘が1人で森には居ないと思うが。

「た、確かに似てる。凄い美人さん。…あっ、ボクはアルスと言います。魔法使いをしてます」

「えぇ、ルシアから聞きました。ルシアを街まで案内してくれたそうで、ありがとうございました」

「えっ?あ!いえ!助けられたのは私達です。大量の魔物に襲われている所を助けてくれたので!」

「ルシアは強いですからね。でも自身の現在地が分からずハグレていたのは事実なので……」

その後も暫くお互いに感謝を言い合う。

暇だ、眠いし。

……アルスさんの手も握る。仲良し。

「えっ?ルシアさん…どうしました?」

「す、すいません。眠たいんだと思います…ほら、ルシア?手を離そ?」

「あ、いえ嫌な訳では無いので大丈夫ですよ?」

「そうですか?ありがとうございます」

 

そうして3人仲良く手繋ぎしながら受付に向かうと、バタバタしておりギルド長もいた。

「あ、ルシアさん!一緒にいるという事は本当にご家族で再会できたのですね。良かった…本当に良かった」

何があったか聞いた所、突然現れたルシアの姉を名乗る人物が現れた。

見た目は似ていたが本当かどうか判断出来ず、翌日に俺の元へ使いを出して確認をしてからだと考えてギルドに待機してもらっていたら朝消えていた為、捜索中だったとの事。

何でそんなに慌ててたんだろうか?

 

なおギルド側の視点で見ると

魔物の大群襲来の可能性がある状況で、かなり強い味方として救世主となり得る人物へ、既にギルドの冒険者が決闘を挑みこれ以上心象を落とせない状況で、姉を名乗る人物が現れたという状況。

容姿は似ているが確信は持てない。

本当に姉なら門の前で夜を明かさせるわけには行かずギルド内で監視する事にした。

受付から依頼を受けた事を聞いていたので、翌朝に確認を取ろうとしていた。

だが、魔物の大群への警戒で忙しい中で夜の監視教務で監視役が疲労で眠ってしまったようで、目を離した隙に居なくなったという状況であった。

 

「ルシアが冒険者をするとの事なので、私も冒険者登録をしておきたいと思うのですが良いですか?」

「はい、もちろんです。…ちなみにヒサメさんはどのような事が出来ますか?」

「ルシア程強くはありませんが戦闘ができます」

「では、訓練所で実力を見させて下さい」

訓練所へ向かう。

ふとアルスさんと手を繋いでここまで連れてきてるが予定があるかもと思いアルスさんの方を見て、

「……予定」

「…ん?何か予定があるんですか?」

「あぁ、アルスさん。ルシアは貴方に予定があったかもと心配しているんですよ。何か予定などあればそちらを優先して下さいね?」

氷雨が通訳してくれる。

「あぁなるほど。ボクは特に今日の予定はありません。やる事がなかったので街を散策していただけです」

訓練所へ着くと、ギルド長が人型の木を用意しようとしたので止めて戦闘を氷雨との戦闘を行う。

やはり強さはある程度同格同士の戦闘で見た方が良いだろう。

「……お姉ちゃん…戦闘」

「ルシアちゃん、そうですね。模擬戦やりましょうか。胸を借りるわね」

 

氷雨が空中から氷の剣を生成する。

なので、こちらはブラッドサイスを生成する。

そしてお互いの近くの空間に血の刃、氷の棘が生成され準備が終了する。

「……魔法武器」

「…凄い。あっ、それでは準備は良いですか?」

始め!の合図とともに氷雨はこちらに突っ込んでくる。

確かにサイスの方がリーチが長いから間合いを確保する必要があるだろうが。

「…安易」

上段からの切り下ろしに下段からの切り上げを合わせて吹き飛ばす。

「流石に間合いに入れてはくれませんか」

華麗に着地した氷雨は俺を中心に円を描くように走り出し、氷の棘は氷雨に追従しながら少しずつ射出される。

サイスをクルクルと回して氷の棘を弾く。

下手に残すとそこから凍らされて身体を掠め取られ動きを封じられるかもしれない。血の霧で回避してもいいけど出来れば圧倒したい。

「……次は私の番」

氷雨の氷がだいぶ減ったタイミングで突っ込み鍔迫り合う。そこから何度か攻撃の後ふっ飛ばして、

「……範囲攻撃」

サイスを斜めにクロスさせるように2度振り、血の斬撃がX字になって飛んでいく。

「氷の壁!」

それを氷雨は剣を床に突き立てて生成される氷の壁でガードする。

それがバラバラに砕かれる隙に範囲外へ離脱していた。

「くっ!せめて、一手!」

氷雨はまた突っ込んできて剣を振るったがサイスで受け止める。

だが、その瞬間氷の剣が膨れ上がり棘が顔へ向かってくる。

バク転で氷の棘を蹴り飛ばして後ろへ回避したが、サイスを掠め取られてしまった。

「!……忘れてた」

「えぇ、私の氷はルシアの血とは異なり、生成後は固体なので硬度維持だけで形状維持が必要ありません。形状変化の余剰があるんです!」

そうだった。いつも前線で俺が戦い後方から遠距離支援、ステージ効果除去、全体足止めしかさせてなかったから、そういう近接戦闘の部分を忘れがちだ。

「生成物の形状変化……それなら……」

「凄い、スピードも剣術も魔法も一級品…。そ、そこまでで結構です!」

えっ!?このままじゃやられっぱなしじゃん。

ちょっと待ってよ!

「……むぅ」

「ふふっ今回はお姉ちゃんの実力見なきゃ何だから、お姉ちゃんに花を持たせて?」

そう言って氷雨はほっぺをムニムニしてくる。

なるほど、そういうふうに捉えることも出来るか。

「……むふぅ」

仕方ないなぁ!眷属に花を持たせなきゃね!

 

結果、氷雨はCランク冒険者の銅プレートをもらっていた。

実力としては申し分ないが、実績なしで与えられる最高ランクがCランクとの事だ。

氷雨の同行も認められたので今日の最低限の目標は叶ったと考えて良いだろう。

ついでに受付さんに依頼の達成を報告する。

「……依頼達成」

「あっはい、剥ぎ取り依頼でしたよね」

「……剥ぎ取り依頼……木札」

「はい、了解です。あちらに剥ぎ取り部位を入れてもらえますか?」

コクリと頷き、コンテナみたいな奴の中に入れるように促される。各部位ごとにあり6個のコンテナがある。

インベントリから剥ぎ取った部位を取り出して入れていく。

「はい、ありがとうございます。量多いですね。…報酬の受け渡しは明日で良いですか?」

コクリと頷き、冒険者ギルドを出る。

 

忘れないようにアルスさんと氷雨と手を繋ぎ真ん中を歩く。目的地は戦乙女(ヴァルキリー)の拠点だ。

氷雨の加入報告と言う名目だが単に会いに行きたい。

そして氷雨も含めてお風呂だ!

到着し中に入ると、アンネさんが出迎えてくれる。

「お帰りなさいませ、アルス様。いらっしゃいませ、ルシア様、お客様」

「私はルシアの姉の氷雨と言います。ルシアがお世話になってます。これ、つまらない物ですがどうぞ。皆様でお食べ下さい」

氷雨がお菓子の箱をインベントリから取り出して手渡そうとするも、

「ありがとう御座います。ですが、ルシア様は私達の主人の命の恩人、受け取る訳にはいきません」

と断られてしまう。

「いいえ、ルシアは道に迷っていましたから助けてくれたのはそちらもです。是非受け取って下さい」

「…畏まりました、皆様で頂かせて貰います。丁度お昼どきですので、庭園でお茶会しませんか?」

アンネさんがお菓子の箱を受け取り、庭園へ案内してくれる。

……何とかして手を繋いだまま座りたい。

欲を言えばアルスさんと氷雨に抱き締められて寝たい。

血を操作して椅子を一箇所に集める。

「えっ!?椅子が勝手に……この赤い水。ルシアさん?」

顔を逸らす。何の事だろう?

知らないなぁ。

「……座る」

「はぁ…すいません、甘えたがりの妹で」

「い、いえ。今までこの屋敷で1番年下だったので甘えられるの新鮮でちょっと良いですね」

「…ありがとう御座います」

そうして暫く手を繋ぎルンルン気分で足をパタつかせているとアンネさんがセシリアさんを連れて戻ってくる。

「迷子って本当に文字通りの意味だったのね。ある意味当たり前の事だったのに意識外だったわ」

セシリアさんはそういうと、俺の向かいに座る。

セシリアさんともくっつきたい。

「……こっち」

手は使えないので言葉でと思いこっちに来て抱き締めてとアピールするが言葉足らずだ。

仕方ないのでまた血を使用してセシリアさんの座っている椅子ごと引き寄せる。

「わっ!えっ?これって……あらあらぁ」

少しだけ立ち上がりセシリアさんの上に座る。

「……むふぅ」

「もぅ〜可愛いわね」

「ルシアがすいません」

頭を撫でられる。幸せ。

…( ˘ω˘)スヤァ

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