反転術式で行く薬屋世界ハピエン計画   作:蜂鳥

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転生したら、酷い目に遭いました。

 

川に映る自分の姿を、上・下・左右と何度も眺める。自分の顔を叩いたり、つねったりしてみても、当然ながら夢から目が覚めるなんてことはなく、ただ頬が痛くなって赤くなるだけだ。

 

一見すると薬屋のアニメ作画のように見えた顔だったが、現実世界のリアルさも確かにある。例えとしては相応しくないが、2.5次元の劇に登場する俳優を見ているようなそうでないような、なんとも不思議な感覚に陥る。同時に、先程まで靄がかかってはっきりとしなかった頭が、今では綺麗になくなっており、自分がどうなったのかを思い出した。

 

「確か、薬屋のアニメを4周目しながらウィスキー飲んでて、それで...」

 

途中で意識が朦朧となり、同時に息苦しさと嘔吐感を感じて倒れた。そこで記憶は終わっていた。

おそらく、泥酔したと同時に嘔吐、それにより食道がつまり窒息。そんなところだろう。

何しろあの時はウイスキーをロックで5杯、梅酒を炭酸割で4杯、さらにワインをホットで7杯も飲んでいた。元々お酒は強かったが、いくらなんでも居酒屋で一杯ひっかけた後にそれだけ飲んだのは、今にして思えば失敗だった。

 

「あ〜、そっか...。あ〜〜...やっっっちまったなぁ〜〜〜〜!!!!」

 

頭を抱えてうずくまる。なんと情けない死に様か。酒によって寝ゲロで窒息死。両親に顔向できない死に方だ。

おまけに自分は恋人なしの一人暮らし。最悪悪臭に気づいてからの発見になるだろう。

実に最悪である。

酔いなどすでに体そのものが変わっているのでないはずなのに、もう一度ゲロをかましてしまいそうだ。

 

そのまま20分ほど、うずくまったまま一人で「あ〜」とか、「うごご..」と呻き声をあげている俺だった。

 

 

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ようやく気持ちも吐き気も落ち着き、目下直面している現実を直視することとなった。

 

おそらく、自分は転生したのだろう。なんとなく、そんな気がした。それも第一印象から感じた「薬屋のひとりごと」の世界に転生したのだろう。そのことが、頭ではなく心で分かった。

 

「俺の脳みそはそんな非現実的なと叫んでいるが...俺の魂がそれを否定してんだよなぁ〜〜!!!」

 

どこぞの最強のようなことを口走りながら、天を仰ぐ。

何しろ俺のアニメ人生史上数えるほどしかない、脳を焼いてきた作品の一つなのだ。これ以外で脳が破壊されたことなど、最近ではゲ謎とチェンソーマンレゼ編くらいなものだ。どちらも映画を見た後ピクシブで二次創作を周回したものだ。

 

しかしながら、薬屋の世界に転生とは。またなんともハードな世界である。

薬屋世界はどこぞの聖杯を求めてお構いなく街を炎上させる世界でもなければ、今にも死にそうな鬼の首魁と覚悟ガンギマリの逸般人が殺しまくる世界でも、倫理観ゆるキャラな某黒い人が出てくる世界でもない。

比較的現実世界の歴史に近い背景を持ったアニメだ。

 

しかしながら、現実的ということは逆にアニメのような超常の能力なんかが介在しないため、その絶望感もリアルであるということだ。

金なし。宿無し。食もなし。加えておそらく親もなし。

裸一貫で知らない土地に、生きる術も何も持たない状態で放り出されるなど、難易度ルナティックが難易度ウルトラハードになった程度の差でしかない。

 

しかもこの世界、割と簡単に人が死ぬし、不幸な目に遭うのだ。

見ている分には楽しかったものの、いざ自分がその世界に転生するとなれば、またそれはそれで違う話なのだ。

 

「この先マジでどうしようか。どう見ても6歳くらいの子供だし、野垂れ死ぬか良くて人攫いに捕まって奴隷落ち...。う〜ん、まずいな。明日への希望が全く抱けない。」

 

取れ合えず自分の身を守れるようにそこらの森から頑丈そうないい感じの棒でも拾ってこようか、そんなことを考えていた矢先。

 

 

目の前の河岸から、のっそりとそれが出てきた。

 

 

見た目は太った成人男性だが、頭はまるで瓢箪のように中央が細くなっており、体色も紫色。上部には虚な目が二つあり、下部には黄色い乱杭歯涎が生え揃った口が、涎を垂らしながらだらしなく生えている。

腕は地面に付くほど長く、足はアンバランスな程に短い。頭からは黒い髪がまばらに生え、左右で長さの違う角が生えている。

 

 

                

 

                「あ、ア、あソびマし死ょオオをウゥウ???」

 

 

 

              神話生物に遭遇しました。SAN値チェックです。

 

 

 

「くwあSえくぃぺおをぴえ!?!?!?!?」

 

 

 

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ひたすら全力で逃げた。在らん限りの力で走り出した。振り返れば死ぬ。足を止めれば死ぬ。迷えば死ぬ。それが分かった。

 

いやふざけんな!!!?ここ薬屋の世界だろ!!あんな化け物作中一度も出てきてねぇよ!!??

 

 

                「鬼ごっコッ!オニゴッコぉオオウ!!」

 

なんだよあれ鬼?鬼なの?俺の知ってる鬼はもっと人間に近い姿してるよ?!間違ってもあんな奇行種と人外と悪意を悪魔合体させたようなものじゃなかったよ???!しかもあいつ足短いくせにそこそこ速いのなんだよ?!!ふざけんなゲロで死んだ後は化け物に殺されるってか?冗談じゃねぇぞ!!?

 

 

心の中で愚痴りながら必死に足を動かすも、所詮は6歳児の体力。それも飯も満足に食えていないだろう子供の足だ。当然逃げ切れる筈もなく、俺は足がもつれて転ぶのは当然だった。

 

                 「捕マェエえぇタぁアアァ!!!!!」

 

自分に振り下ろされる汚い腕が、ゆっくりと感じられる。これが死を前にして全てが遅く感じられるという感覚か。

 

一体俺が何をしたというのか。寝ゲロで死んだことがそんなに悪いことか。こんなわけもわからない姿となって、化け物に追われ、殺されないといけないほどの罪を俺が犯したというのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふざけるな。

 

 

呪ってやる。

 

 

一体誰を恨めばいいのかわからないが、呪ってやる。

 

 

今俺を殺そうとしているこいつは、必ず死んだ後祟り殺してやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の瞬間に来るであろう痛みを思い、ぎゅっと目を瞑る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュッ!

 

 

                       「ッa....」

 

 

 

しかし、痛みは来ず、俺に触れた化け物は、触れた瞬間に溶けるように消えてなくなった。

 

「......え?」

 

殺されると思った相手が、逆に消えてしまった。訳が分からなかった。一瞬の出来事に、硬直していた体は一気に弛緩し、腰が抜けたのかその場で力無く座り込むことしかできなかった。

 

体から白いモヤのような、エネルギーのようなものが上がり続けていることに気づいたのは、それから何分も後のことだった。

 

異形の化け物。体から溢れ出る白いエネルギー。

それはまるで、薬屋以外に自分がハマって見ていた、あのアニメのようであった。

 

負の感情を糧に、呪いを祓う。

 

 

「......呪力?」

 

 

 

 

 

 

 

 




オリ主ステータス

体力:貧弱(?)

知力:普通(?)

精神力:極低下(SAN値減少)

能力:呪力(NEW)
   ■■■■:△△△△
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