反転術式で行く薬屋世界ハピエン計画   作:蜂鳥

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転生したら、呪術師になってました

 

「呪術廻戦」という作品は、薬屋にハマる前によく見ていた作品で、今でも好きなアニメの一つだ。

単純に作品が面白いというのもそうだが、自身に縛りを科すことで能力がパワーアップしたり、マイナスとマイナスを掛け合わせてプラスの力にすることで傷を治す反転術式など、一つ一つの設定が細かく作り込まれている点が、見ていて実に面白かった。

 

あの作品も、ピクシブでよく二次創作を探して楽しんでいたものだ。

 

おそらく、今自分の体から噴き上がっているのはその呪力で、先ほどの化け物は呪霊だったのだろう。

なぜ自分に触れた瞬間に消えてしまったのかは不明だが、もしかするとそういう術式なのかもしれない。

 

あまりにいろんなことが起こり過ぎてもはやなんでも来いという心境だ。

ひとまず、どこか安全そうな場所に避難した後で、ゆっくり考えよう。

 

その前に、素っ裸のままはまずいので、服とも呼べぬぼろ布を回収するため、逃げてきた道を戻っていった。

 

 

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ボロ布を纏い直し、近くの横穴に身を隠した後、もう一度自分の体をよく見てみる。

すぐに目には白いエネルギーがゆらゆらと動いている様が見てとれた。先ほどの光景は頭がおかしくなったわけではないのだと理解し、喜んだものか悲しんだものか。なんとも苦笑いしかできない。

 

しかし、白いエネルギーを見ていて感じたが、呪力とはこのような色だったろうか。

呪力とは、恐怖や怒り・憎しみといった負の感情から生み出されるエネルギーであるため、俺の知っている呪力といえば、どれもが黒や青など暗い色で描写されていた。

 

むしろ、白とはどちらかと言えば、正のエネルギーである反転術式の方が思い浮かぶ。現に乙骨くんが真希さん達に反転術式をかけていた時は、白や透明な色で描写がされていた。

 

できるかどうかは分からないが、試しに、呪力を体から放出するイメージでムンっと力を入れてみる。すると、体から白い呪力が蒸気を上げるかの如く立ち上った。

 

うおォン、俺はまるで人間火力発電所だ!

 

なんて馬鹿なことを考えたが、まさに燃えているかの如く体からは呪力が立ち上り続けている。

同時に、不思議なことに骨と皮だらけだった体はみるみるうちに肉付きがよくなり、髪も先ほどの川では落としきれなかったであろうシラミやダニがボトボトと落ち、あっという間に艶やかな黒髪へと変わっていったのだ。

泥と皮で分厚くなっていた足の裏など、まるで寝る前に欠かさずスキンケアをしているかの如くツヤツヤになっている。

 

やはりこれは。呪力は呪力でも正の呪力。反転術式とみて違いないだろう。なぜかは分からないが、俺の体は常時反転術式が発動している状態と同じなのだろう。

気になって、今度は反転術式ではなく、通常の呪力を流すイメージで力を込めてみる。しかし、その瞬間に呪力は先ほどまでの状態が嘘のようにピタッとなくなってしまった。

 

その後も色々と試して見たところ、俺はどうやら反転術式しか使えないようだと分かった。呪力で肉体を強化するイメージで力を入れても、呪力は全く流れず、呪力を何かに纏わせようとしても、全く纏わせることはできなかった。

逆に、肉体を反転術式で包むイメージで力を入れると、ものすごい勢いで呪力が体から溢れ出すし、物に反転術式を纏わせることも込めることもできた。

 

また試しに呪力で近くの木や岩・小さな虫を攻撃しようとすると、体が固まってしまい全く動けないことも分かった。

 

 

以上の結果をまとめると、俺は「呪力で生物・非生物を問わず傷つけることができない」「正の呪力しか放出・操作できない」、「反転術式しか使えない」と考えられる。

 

 

おそらく、これは「呪力を反転術式にしか使用できず、呪力で何物も傷つけられない」という天与呪縛なのだろう。

メカ丸の傀儡操術や禪院甚爾のフィジカルギフテッドのように、生まれながらに縛りが科されている代わりに、莫大なリターンがあるのが天与呪縛の特徴だ。

俺はそれが、反転術式という形で現れているのだ。

 

おそらく、この反転術式は通常の反転術式とは次元が違うのではなかろうか。何しろ単純に考えてマイナスの呪力と、マイナスとマイナスを掛けてプラスにする反転術式とでは消費する呪力量が単純に倍なのだ。だというのは先ほどから呪力を放出して1時間以上経つが、全く尽きる気配がない。疲れもないしむしろ快調そのものだ。やろうと思えば一日中反転術式を特大出力で放出し続けられるだろう。

 

 

しかし、反転術式か...。

 

自身の身に、それが宿っていることを自覚した瞬間、俺は背中から、淡い期待と興奮がゾクゾクと登ってくるのを強烈に感じていた。

 

もしここが、呪術廻戦の世界ではなく、当初感じた薬屋の世界であるならば。

この、天与呪縛で超弩級となっている反転術式は、俺にとってただの術式や天与呪縛以上の価値と意味を持つ。

 

何せ、俺は薬屋のアニメの中で何より、羅漢と鳳仙の二人が大好きなのだ。初めて見てから寝ても覚めても脳から離れないほど好きになった二人なのだ。悲恋となってしまったことに脳を幾度となく焼かれた二人なのだ。

 

 

幸せになってほしかったと思った、二人なのだ。

 

 

この力があれば、鳳仙を治せる。救える。五体満足で、羅漢と鳳仙を再会させることができる。

時期が違って、すでになくなっていたら、これも無意味だろう。

だが、生きてさえいれば。

たとえ腕が無くなっていようと。脳をやられていようと。全身を病で犯されていようと。

 

必ず救ってみせる。

 

「生きているのなら、神様だって殺してみせるといってたアニメもあったけど。」

 

「生きているのなら、ゾンビだって治してみせる。」

 

 

 

俺の生きる目標は決まった。この世界が薬屋世界であるか確かめること。

そして、薬屋世界であるのなら。二人が生きているのなら。

 

「必ず救って、そんでもって...二人の幸せな結婚式を生で必ず見てやる!!!!」

 

 

 

これが、真に俺がこの世界に生まれた瞬間だ。

 

 

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呪力を知ったあの日から、すでに2年の歳月が流れていた。

当初の俺の見立て通り、この国の名前は茘国で、薬屋世界にまちがいなかった。おまけに時代は女帝とあのロリコンこと先代皇帝の治世。のちの皇帝はまだ皇太子であり、阿多妃との間にもまだ任氏様は生まれていないという状態だった。

 

原作で羅漢と鳳仙が出会って猫猫を出産した年齢は具体的には示されていなかったと思うが、阿多妃がまだ任氏を産んでいないことから、出会ってまだ2年ほどしか経っていない頃だろうと予想する。

仮にすでに猫猫を出産していたとしても、最低でも10数年の余裕がある。

 

もちろんその間羅漢以外の男が鳳仙に触れていると考えると脳が弾け飛びそうなほど破壊されるが、何しろこちとら齢8歳のお子ちゃまである。天与呪縛によって常時反転術式が発動していることがわかったため昼夜問わず歩き続けられるとはいえ、それでも子供の足で都に着くのはとんでもなく長い年月がかかる。

 

その癖生まれた(気づいた?)場所の立地は都からはるかはるか遠くと来たものだ。航路を使えるほどの金などなく、地道に陸路を行くしかない。何せ舗装もされていない時代の陸路だ。かかる時間の長さなど想像に難くない。

今は焦らず、歩くのみである。

 

この身は常に反転術式が発動しているため、腹などほとんど減らず、疲れもない。しかしだからと言って飯を一切食わずに、金も持たずに都など行けるわけもないため、反転術式を生かして、旅の按摩師兼霊媒師として日銭を稼いでいる。

反転術式を使えば体の痛みなど原因を直接直して改善できるし、全身反転術式の俺は呪霊に突っ込むだけで勝手にあっちが弾け飛ぶ。

 

一度領域展開をしてくる呪霊に当たって冷や汗をかいたものだが、俺にとっては全くもって問題などなかった。天与呪縛様様である。

 

そんなわけで、目下鳳仙がいる緑青館目掛けて、日々直進する毎日である。

そんな男塾も真っ青な直進行軍を続けていたところ、道の真ん中でうずくまる男とそれを心配する従者らしき姿を見かけた。

 

右足の脹脛を押さえて、額には玉のような脂汗を滴らせており、よほどの痛みが走っていることが見て取れる。従者は医療の知識がないのか、オロオロと狼狽し主人に大丈夫ですかと声をかけるばかりである。

 

どれ、袖擦り合うも多少の縁。お助けいたしますぞ!

 

「もし、いかがなされました?」

「〜!ああ、旅のお方ですね?!よかった!誰もこの道を通らず、馬にも逃げられ途方に暮れていたのです!!どうか、我が主人をお助けくださいませ!」

 

従者よ、狼狽えるのはわかるがいくらなんでも初対面の8歳児に対して警戒心無さすぎやしないか?

まあそれだけ切羽詰まっているとのことだろう。

 

俺は「失礼」と行って男の足に軽く触れると、男は大声をあげて地面に傷をつけた。

天与呪縛の反転術式の効果なのか、俺は見ただけでその人の体の不調や怪我、その原因と状態がなんとなくわかった。

脹脛をよく見てみると、筋肉が中程で断裂している様子が呪力の流れから感じられた。おそらく、肉離れだろう。

 

「飛び出してきた狐に驚いた馬が、急に暴れ出して!その時に主人が叫び声をあげ、落馬したのです。それが原因だったのでしょうか?」

 

なるほど。おそらく暴れた際に脹脛の筋肉が急激に引き伸ばされて、それで肉離れが起きて落馬したのだろう。

 

「私は按摩を生業としておりまして、よろしければ少し触らせていただいてもよろしいでしょうか。今よりは幾分か楽になると思いますよ。」

「っう、ぅう...。た、頼む...!!」

 

本人から許可も得たし、「失礼」といって足に触れる。

 

しかし、なんとも若い主人だ。見たところまだ17歳ほどだろう。従者は主人と言っていたが、どちらかといえば商家やどこぞの貴族の若君とでも言ったほうが正し......

 

 

 

痛みに苦しむ主人の顔をふと見た瞬間、どこかで見た顔であると、頭が一瞬フリーズする。

四角い顔立ちにキリッとした切長の眉と目。さらに珍しい臙脂色の瞳。

薬屋のアニメにおいて、後宮内で度々見かけたその顔は、ある人物に似ている。

 

後の時代で、茘国を背負って立つ、普く全ての主人である「主上」の言葉が指す人物。すなわち...

 

 

(後の)皇帝かよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




時系列
オリ主
8歳(無職→按摩師・霊媒師)

皇太子
16歳(肉離れ中)

羅漢
23歳(鳳仙と仲良く碁とシャンチーに勤しむ)

鳳仙
23歳(羅漢と仲良く碁とシャンチーに勤しむ。そろそろ仕掛けようか画策中)
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