大魔王を倒してから10年後…強く成長した大魔道士が、再び! 作:ポップ
その夜、ポップは懐かしい夢を見ていた。
それは大魔王バーンを倒して、世界が少しずつ平和を取り戻してからしばらくした後の事。
ポップは実家の武器屋を継ぎ、その日もいつもの様に店番をしていた。店先には初心者向けの剣や盾。棚の奥には、少し値の張る杖や防具。更に奥には、普通の客には見せられない品も幾つか置いてある。
かつての自分なら、武器屋の店番など退屈で仕方なかったかもしれない。
でも、今はそうでもなかった。
客を見て武器を勧める。本人が欲しがっている武器と、本人に必要な武器が違う事もある。自分もそれなりに経験をして、昔と比べて大人になったというのもあるが、そういうのを見ながら装備を勧めたりしてみるのも、案外悪くなかった。
「そこの剣は見た目ほど軽くねぇぞ。旅に出たばっかなら、まずはこっちの方がいい。長く使うなら無理して高いのを買うより、自分の手に合う方を選んだ方がいいぞ」
そんな事を言って、若い客を送り出した直後だった。
店の入口に、一人の男が立っている。
長い髪。鋭い目。背筋の伸びた立ち姿。
ポップは一瞬だけ目を丸くし、それから久しぶりに見た戦友に少し呆れた様に笑って声をかけた。
「ラーハルトじゃねぇか。お前がうちの店にやってくるなんて、一体どういう風の吹き回しだよ」
ラーハルトは、店内へ静かに足を踏み入れた。
「久しぶりだな、ポップ」
「おう。まあ、久しぶりって言うほどじゃねぇ気もするけどよ。で?まさか槍の手入れでも頼みに来たって訳じゃねぇんだろ?」
勿論、ポップは槍の手入れなんか出来はしない。
だが、ラーハルトが買い物でここへ来るとは思えなかったので、軽く冗談めかして言っただけだった。
ラーハルトは少しだけ間を置き、それから口を開いた。
「俺はダイ様のお側に仕えるべく、天界へ向かう事にした」
「……あー」
ポップは頭をかいた。
驚きはした。
だが、それ以上に納得もあった。
「お前の事だから、何となくそんな事になる気はしてたんだけどよ……そうか。お前も行くんだな」
「あぁ」
ラーハルトの返答は短い。
そこに迷いは無かった。
ダイが天界で生きていると分かった時、ポップは心の底から安堵した。嬉しかった。だが同時に、地上で暮らす事を選ばなかった事も、理解は出来たし、悲しくもあった。
そして、そんなダイの下へ、ラーハルトもまた天界へ向かうと言う。かつて共に戦った仲間が、また一人遠くへ行く。
別に口に出すつもりはない。
でも、やはり寂しくないと言えば嘘になる。
「まあ、お前ならそうするよな。前からそう言ってたし、いずれはダイの側に行きたいって言うだろうとは思ってたよ」
「俺にとっては、それが最も重要な事だ」
「だろうな」
ポップは苦笑する。
ラーハルトという男は、こういう時に遠回しな言い方をしない。自分が決めた事を、ただ真っ直ぐに告げてくる。
だからこそ、次に差し出されたものを見た時、ポップは言葉に詰まった。
ラーハルトがポップの前に置いたのは、鎧の魔槍だった。
「そこでだ、ポップ。この槍を、お前に預けようと思う」
「えっ!?ちょっ、ちょっと待てよ!お前、それは……!」
ポップは思わず声を上げた。
【鎧の魔槍】
ただの武器じゃない。ラーハルトが戦場で振るい、かつては一度ヒュンケルの下へと渡り、そして数々の戦いを自分達と共に越えてきた、ロン・ベルク作の武器だ。ポップにとっても、それは懐かしいものだった。
そんなものを、何気なく預けると言われても困る。
「天界では、基本的に争い事はないと聞いている」
ラーハルトは静かに言った。
「ならば、その様な場所にこの槍を持っていったところで、恐らく使う機会はあるまい」
「いや、まあ……そりゃそうかもしれねぇけどよ」
「ヒュンケルは療養中だ。あの男にこれ以上、武具を背負わせる必要もあるまい。他に、この槍を預けたいと思う者もいない」
ラーハルトの視線が、ポップを正面から捉える。
「だが、お前ならば信用出来る。大魔王との戦いで共に戦った仲であり、人柄も知っているお前になら、この槍を預けられる」
「人柄って……お前なぁ」
ポップは照れくさそうに頬をかいた。
正面からそう言われると、どうにも落ち着かない。
ラーハルトは続ける。
「この槍を、お前に預けておきたい」
「いや、まぁそう言ってくれるのは嬉しいんだけどよ……そんな簡単に、武器屋の俺を信用しちまってもいいのかよ?お前が今度地上に帰ってきた時、もしかすると売っぱらっちまってるかもしんねぇぞ?」
ポップは、あえて軽口にして返した。だが、自分は槍使いではない。魔法使いだ。武器屋の店主として預かるにしても、これはあまりにも重い品だった。
ラーハルトは、わずかにも表情を変えずに答えた。
「それならそれでも構わん」
「……は?」
「当分戻ってくる予定のない俺を待ち続けて、武器としての本来の役割を全う出来んというのも申し訳なく思うしな。これまで長く戦場を共にしてきたんだ。俺にも少しは、この槍の気持ちというものも分かるつもりだ」
ポップは言葉を失った。
ラーハルトは本気だった。
本気で、自分に預けると言っている。
そして、そこまで言われては断りきれないというのが、自分の性格でもある。
ポップは頭をかき、視線を逸らし、それから深く息を吐いた。
「あ〜!もうっ、わぁ〜ったよ!置いていきたきゃ置いていけ!」
そして、ラーハルトを指差す。
「ただし!確認の為にもう一回言っとくけどな、本当〜に売っちまってても怒んなよ!」
ラーハルトは、微かに笑った。
「構わんと言っているだろう」
「ったく……珍しく俺の店にやってきたかと思えば、とんでもねぇ事を言いやがって」
そうしてポップの答えを聞いた後、ラーハルトは鎧の魔槍を置いて背を向ける。
「おいっ、もう行くのか?」
「あぁ。長居をする理由もない」
「相変わらずだな、お前」
ポップは呆れた様に笑う。
ラーハルトは入口の前で足を止めた。
そして、振り返らずに言う。
「ではな、さらばだ」
その声は、いつもの様に静かだった。
けれども、そこには確かな情がある。
「この俺の、数少ない人間の友よ」
ポップは一瞬、目を見開いた。
だが、すぐに笑った。
「……ははっ。そういう事をさらっと言って去ってくんじゃねぇよ」
ラーハルトはそれ以上何も言わず、店を出ていった。そしてポップは、しばらく入口の方を見ていた。
やがて視線を落とし、目の前に置かれた鎧の魔槍を見る。
「……友、ねぇ。あいつが俺に、そんな事を言うなんてな……初めてバランを足止めしに行った時に出会った頃を思ったら、ちょっと信じらんねぇよな」
少し照れくさくて。
また一人、そうまで言ってくれた戦友が遠くに行くのを少し寂しく感じて。
それでも、ポップの心に残っているものは、案外悪くないものだった。
◇
目を覚ますと、見慣れない天井があった。
「あ……」
ポップはしばらく寝台の上でぼんやりと天井を見つめ、それから自分がどこにいるのかを思い出した。
ロキ・ファミリアのホーム。
黄昏の館の客室だ。
昨日、フィン達とのやり取りの末、この館に泊まらせてもらう事になったのだった。
「……懐かしい夢見ちまったな」
ポップは身体を起こし、軽く頭をかいた。
昨日、鎧の魔槍をレンタルするかもしれないという話をしたからだろう。まさか夢の中にラーハルトが出てくるとは思わなかった。
「お前が夢に出てくるなんざ、初めての事じゃねぇか?ラーハルト」
そう呟き、ポップは部屋の隅に置いていた道具袋を見る。
その中には、今も鎧の魔槍が入っている。
勿論、ポップも売るつもりはない。
ただ、自分もこの街で金を稼いでおきたいというのもあるし、条件次第では、信頼出来そうな相手に一時的に貸し出すのも悪くないと思っている。
ラーハルトの野郎も言ってたし、せっかくの槍がずっと仕舞われたままっていうのは、武器屋の店主としてもどうかと思うしな。
だから、昨日の自分の判断は間違っていないはずだ。
多分。
「……う~ん、もう少しランクの低いやつを見せるんだったか?今思えば、星降る腕輪を見せたのもやり過ぎな気が……大丈夫だよな?別に売ろうっていう訳じゃねぇんだから、もしレンタルする事になっても怒んじゃねぇぞ?」
返事はない。
当たり前だ。
だが、珍しくラーハルトが夢に出てきたので、つい目の前にいるかのように、語りかけたくなったのだ。
そうしてポップは苦笑すると、寝台から降りた。
窓の外は既に明るい。オラリオの朝は早いらしく、外からは人の声が聞こえてくる。
迷宮都市。
冒険者の街。
昨日は慌ただしくて周りを見る暇もなかったが、今日はもう少しゆっくり見ていきたいと思っている。
身支度を整えて部屋を出ると、昨日案内してもらった食堂へと向かった。
◇
食堂では、すでに多くの団員達が朝食を取っていた。
ポップが入っていくと、幾人かがちらりとこちらを見る。昨日、見知らぬ男がロキ・ファミリアに泊まったという話は、既にそれなりに広まっているのだろう。
とはいえ、特に絡んでくる者はいない。
ポップは軽く会釈しながら、用意された朝食を受け取った。
「……うまいな」
パンもスープも、旅の途中で食べてきた物よりずっと美味い。
まだまだ慣れない魔界の変わった果実や、野営中に適当に焼いた肉ばかり食べていた身からすると、普通に温かい朝食が出てくるだけで有難いものがある。
朝食を終えると、ポップは一度食堂を見回した。
昨日世話になった四人の姿は無い。
「出ていく前に、一応挨拶くらいはしておきたかったんだけどな」
そう思って、ポップは庭の方へ向かう事にした。昨日、訓練場や庭があるのを聞いていたので、朝から身体を動かしているという可能性もある。
外へ出ると、予想通りだった。
庭には、昨日の四人がいた。
金髪金眼の少女が剣を振り、エルフの少女が少し離れた場所で杖を握っている。アマゾネスの姉妹は、軽く身体を動かしながら何かを話していた。
ポップは手を上げようとして、そこで動きを止めた。
「……あ」
ふと思い出した。
まだちゃんと名前を聞いていない。
勿論、昨日の彼女達のやりとりを見て、多分あっているであろうと思う名前は頭に思い浮かんだが、しかしまだ自分から名乗ってもらってもいないのに、オラリオにきたばかりの俺が、いきなり名前呼びするのはどうなんだ?
昨日は露店から始まり、黄昏の館へ連れて来られ、フィン達と話して、流れで泊まる事になった。あまりにも色々あり過ぎて、4人とちゃんと挨拶をかわせていなかったのだ。
向こうもポップに気づいたらしく、最初にエルフの少女が振り返った。
「ポップさん。おはようございます」
「お、おう。おはよう」
ポップは軽く手を上げる。
だが、その後が続かない。
それを見て、レフィーヤは一瞬だけ首を傾げ、それからはっとした。
「そういえば……私達、ちゃんと名乗っていませんでしたよね?」
ポップは苦笑した。
「あー……実は俺も、それでなんていって声をかけるべきか悩んでたんだよ」
「わっ、すみません!」
レフィーヤは慌てて頭を下げる。
「では、改めまして。私はレフィーヤ・ウィリディスです。ロキ・ファミリアの魔導士です」
「私はティオナ!ティオナ・ヒリュテだよ!」
ティオナが元気よく手を上げた。
「ティオネ・ヒリュテよ。よろしくね」
ティオネは落ち着いた声で続ける。
最後に、金髪の少女が静かにポップを見た。
「アイズ。アイズ・ヴァレンシュタインです」
ポップは四人を順番に見て、改めて頷いた。
「レフィーヤに、ティオナに、ティオネに、アイズだな……よし、覚えた!じゃ〜こっちも改めて。俺はポップ。今は都会に来たばかりの、ただの旅人……かな?」
自分で言ってから、少しだけ首を傾げる。
武器屋の店主。
大魔道士。
幾つか肩書きはあるが、今の自分を一言で説明するなら、まぁ旅人くらいが丁度いいだろう。
「えぇーっ!?ポップさんって、絶対ただの旅人じゃないよね?」
ティオナが笑う。
「それじゃー改めて宜しくね!」
「ああ、よろしくな」
そのやり取りを見ながら、レフィーヤは昨夜の事を思い出していた。
◇
ポップが客室へ案内された後、レフィーヤは一人、団長室へと呼ばれていた。
そこには、リヴェリアもいた。
二人の表情はいつも通り落ち着いていたが、話の内容がちょっと只事ではない。
「ポップさんが、異世界から来た大魔道士……ですか?」
レフィーヤは、思わず聞き返してしまった。これに関しては、自分も噂として軽く耳に挟んだ事がある。
オラリオの外で、神の恩恵を受けていない者が魔法を使い、モンスターの大群を退け、街を救い、盗賊団まで壊滅させた人物。
最初は、随分と盛った噂だと思ったものである。そもそも、神の恩恵無しに魔法を使うというところからして嘘臭い。だが、その人物が昨日出会った露店の店主だと言われると、さすがに驚かずにはいられない。
「あぁ。間違いないと思うよ」
フィンは穏やかに答えた。
「ポップという名前。年齢。僕達の常識に当てはまらないアイテムや装備、そして本人の雰囲気と僕達から見た彼の印象。そして何より、神の恩恵を受けていないというのがその証明だろう」
何故それが証になるのだろうか?
レフィーヤは不思議に思っていると
「簡単な話さ。あれだけ貴重なアイテムを持ち歩いているのに、その人物が冒険者でも何でもない?普通なら誰かに持ち物を盗られないかと、心配してもしきれない筈なんじゃないかな」
「あっ!」
フィンのその言葉に、レフィーヤも納得する。
「考えられる答えとしては、ファルナが刻まれていなくても、彼は自分で対処する自信がある……と僕は見ている」
そしてリヴェリアも静かに頷く。
「彼については、幾つか報告が上がっている。お前も、噂の魔導士が街を救ったという話ぐらいは聞いた事があるだろう。しかし、彼はその場で魔石を使って結界を張り、怪我人の治療まで行ったらしい」
「結界に、治療まで……」
レフィーヤは呟いた。
「凄い……」
思わず漏れた声に、フィンは少しだけ表情を柔らかくした。
「僕達と彼は、まだ会ったばかりだ。だから無闇に詮索するのは、けっしていい事じゃないと思うよ。彼が何をどのタイミングで話すつもりなのか、僕達はそれを慎重に見極める必要がある」
「はい」
「こういう人間関係は、まず相手からの信用を積み重ねていく事が大切だからね」
そういってフィンが静かに語った。
そこには、ロキ・ファミリア団長としての判断がある。
リヴェリアもレフィーヤを見る。
「レフィーヤ。お前も彼と同じ魔法を扱う者なのだから、今後も接する機会はあるだろう。だが、興味だけで踏み込み過ぎるな。相手が話したくない事まで聞き出そうとすれば、せっかくの縁を失う事になる」
「……はい」
「その上で、学べる事があるなら学べばいい。彼はその呼び名に相応しい活躍をしてきた様だし、人格的にも問題は無さそうだ。年齢もお前より上なのだから、先達に学ぶつもりでいればいい」
リヴェリアの言葉に、レフィーヤは背筋を伸ばした。
「はい!分かりました!」
その時の自分の返事は、少し力が入り過ぎていたかもしれない。
けれど、仕方がない。リヴェリア様から、学べる事があるなら学べと言われたのだ。
それに、違う世界の大魔道士だなんて……いち魔導士として、興味を持つなという方が難しかった。
◇
そうしてレフィーヤが昨日の事を思い出していると、ポップはティオナと話していた。
「ポップさん。ちなみに今日はどうしてるの?」
ティオナが明るく尋ねる。
「そうだな。昨日来たばかりだし、まずはオラリオを見て回ろうと思ってるよ。ここは、これまで見てきたどの街よりも、断然栄えてるみたいだしな」
ポップは周囲を見回す様に言った。
「それと、昨日は泊めてもらったけど、今日は時間もあるから宿を探しておこうかなって思ってな」
「えぇ〜?そんなの、またここに泊まればいいじゃん?」
ティオナは不思議そうに首を傾げた。
「昨日の感じだったら、フィンもいいって言ってくれそうだったけど……」
「いや、流石に連日泊まらせてもらうのは厚かましい気がするわ」
ポップは苦笑した。
「宿くらいは自分で探すさ。旅人ってのは、そういうもんだろ」
「そうかなぁ」
ティオナが納得しきれない顔をした、その時だった。
「いや、君ならしばらく泊まっていってもらっても構わないよ、ポップ」
声のした方を見ると、フィンが庭へやって来ていた。
「おはよう、皆」
「おはようございます、団長」
レフィーヤ達が挨拶を返す。
フィンはポップへ視線を向けた。
「鎧の魔槍といい、あの腕輪といい、昨日は幾つも面白いものを見せてもらったからね。君から提案してもらったレンタルの話も、まだこれから詰めていく必要がある。だから、良ければ遠慮なく泊まっていってくれ」
「う〜ん……そう言ってもらえるのは有難いんだけどもなぁ」
ポップは少しだけ考える様にして、それから首を横に振った。
「……いや、やっぱり遠慮しとくよ」
ティオナが驚いた様に声を上げる。
「えっ、何で?」
「あ〜、まぁオラリオに来たばかりの俺が、そう甘えてばっかりっていうのもどうかな〜って思ってよぉ」
ポップは軽く笑った。
「勿論、商売の話をする時はまた来させてもらうつもりだし、昨日みたいに声を掛けてもらえるのは嬉しいさ。でも、まずは自分の足でこの街を見てみたいんだよ」
フィンは少しの間、ポップを見ていた。
そして、小さく頷く。
「分かった。こちらとしても、無理に引き止めるつもりはないよ」
「悪いな」
「謝る事じゃない。君の言う事もよく分かるしね」
フィンは穏やかに笑った。
「それじゃ、落ち着いたら改めて連絡してもらえるかい?こちらも、ヘファイストス・ファミリアへの紹介の件を進めておくから」
「ああ。頼む」
「え〜っ、ポップさん行っちゃうの?」
ティオナが残念そうな顔をする。
ポップは少し困った様に笑った。
「そういう風に言ってもらえるだけで十分嬉しいってもんだぜ。レンタルをどうするかって話もあるし、また近いうちに会えるだろ」
「絶対だよ!」
「おう」
ティオネはその横で小さく笑い、皆も軽く声をかけていく。
そしてフィンはその様子を見ながら、今後の事を考える。ポップは、ロキ・ファミリアと距離を置いた訳ではない。自分の足で街を見たいという気持ちも分かるし、彼の性格ならまた訪ねて来てくれるだろう。
だから、今はそれで十分だった。
「それじゃ、世話になったな」
ポップは四人とフィンに軽く手を振り、庭を後にした。
その背中を見送りながら、ティオナはまだ少し残念そうにしている。
「行っちゃったね」
「すぐにまた来るわよ。レンタルっていう形とはいえ、あれだけヤバいものを見せてくれたんだから、本人も前向きに考えてくれてる証拠でしょ」
ティオネがそう言うと、ティオナは「それもそっか!」とすぐに笑顔になった。
アイズは、ポップが去っていった方を静かに見つめていて、レフィーヤも同じ方向を見る。
そうして少しした後、彼女達も自室に戻るのだった。
◇
ポップが黄昏の館を出たその日。
一人の少年が、迷宮都市オラリオへ辿り着いていた。
白い髪に、赤い瞳。
背中には荷物。
まだ幼さの残るその顔には、期待と緊張が入り混じっていた。
名は、ベル・クラネル。
祖父から聞かされてきた英雄譚に胸を躍らせて、未知への冒険と、可愛い女の子との出会いを求めてやって来た、14歳の少年である。
「ここが……オラリオ……!」
目の前に広がる巨大な都市。
中心にそびえ立つ塔。
果てしなく広がる街並み。
行き交う冒険者達。
ここでなら、自分も何か出来るかもしれない。
英雄に近付けるかもしれない。
そう信じて、ベルはオラリオでの第一歩を踏み出した。
お疲れ様です~
ラーハルトとの回想シーンでちょっと困ってしまってて、でもようやくなんとか形に出来たので、続きのお話を投稿させて頂きました。
未来ポップのお話も、第4話目です。
いや~感慨深いですね~
活動報告の方も後ほど更新させて頂きますので、また見てみて下さいね~
最後に、ポップが原作漫画で公開されていたステータスと、そこから予測してみたLv80でのステータスを書かせてもらいますので、参考までにご覧になってみて下さい。
それでは、失礼しますm(_ _)m
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■ポップのステータス
Lv27(バラン戦) Lv51(バーンとの最終戦) Lv80(10年後の今[あくまでも予測値])
ちから 23 46 74
すばやさ 53 163 296
たいりょく 65 136 222
かしこさ 71 135 212
うんのよさ 216 256 304
さいだいHP 139 266 419
さいだいMP 135 325 555
こうげき力 46 106 179
しゅび力 44 88 141