最近まとまって小説を書く時間が少なくて困ってます。なんとかならないですかねぇ。
天内を回収、追いかけてきた紙袋の術師を処理して、続いて次から次に出てくる呪詛師を処理していく、合計で三人の呪詛師を倒して、そろそろ面倒になってきたところで一人の呪詛師が俺に背を向けた。
「おい! ボディーガードがこんなに強いなんて聞いてないぞ!?」
「俺ら相手にしてそのセリフは笑える。お前らが無知なだけじゃん」
手を伸ばして術式を回そうとして……その手を止めた。
「何をしておる! 取り逃すぞ!」
「大丈夫大丈夫。思ったより早い到着じゃん」
呪詛師が逃げ出して曲がり角を曲がって消えた。それを天内がギャーギャーと責め立てるがそこまで責め立てられる必要がない。術式はそろそろ温存したいから倒せる人に倒してもらおうことにしよう。
呪詛師が角を曲がった次の瞬間、まるで吹き飛ばされるようにして地面を二度バウンドして俺たちの間にまでまた顔を出した。その目は白目を剥き、鼻からは出血している様を見るに顔面に一発ってところかな。
「先輩お疲れ〜、早いじゃん」
「あのさぁ、五条くん。ウチこの任務お断りしたんだけど。なんでこんなに面倒なことさせられてるの?」
「いやー、いつだって胸を借りていいって言ってなかったっけ? 先輩」
「言ったけどさぁ……ウチ、歌姫ちゃんとデート中だったんだけど?」
角から現れたのはお馴染み九条先輩である。その片手に恐らくは呪詛師と思われるガタイのいいスキンヘッドの男の襟を握って引きずっていた。親猫が子猫の首咥える奴に似てるな。先輩は猫なんかよりも、もっと凶暴だけど。
「君が星漿体の天内理子ちゃんだね? ウチは九条詩刀子。五条くんと夏油くんの先輩に当たるんだ。よろしくね」
「え……あ、はい。よろしくお願いします……のじゃ」
「あ? なんでお前そんな声ちっちゃいわけ」
「五条は馬鹿か! あんな大男を引き摺ってるなら怖い人じゃろ!」
「あれ、もしかして初対面の印象最悪?」
おっかしいなぁ、年下には好かれる方だと思ったんだけどなぁ……なんて頓珍漢なことを言ってる先輩はスキンヘッドの男の襟を離して携帯を取り出す。口の中でいつも通りチュッパチャップスを転がしながら電話を繋いだようだ。
「もしもし、夏油くん? お疲れ様。五条くんと理子ちゃんと合流したよ。場所……場所? ここどこだろ」
「あ、第二体育館前……」
「ありがと。第二体育館前だって。それじゃあ合流しよっか。ウチらは動かないでおくからこっちまでおいで。え? いや、なんでウチらが動くのさ。少数派が動きなよ。そもそも君呪霊に乗ればいいじゃん。さっさとおいで」
電話を切った先輩がなんとも緊張感のない顔で右手を振った。銀のブレスレットがチャラチャラと音を立てる。
「もうすぐ夏油くん来るって」
「夏油のことを呼び出したように見えたんじゃが……」
「あぁ……天内に一応言っておくと俺たちはこの人に頭が上がらない……適当なこと言うと殺されるぞ」
「…………ゴクリ」
「ゴクリじゃないんだけど? 嘘教えないでくれない? ウチ超優しいでしょ」
そうは言うけど俺らに劇物食わせるわ、俺らのこと振り回すわでマイペースの権化みたいな人間じゃん。どこが優しいんだよ。
「合流するまでに呪詛師を五人くらい倒したよ。何ここ、呪詛師大量発生中なの? 目当てのポケモンじゃないから逃げたりできないわけ?」
「呪詛師五人倒しといて大量発生とか馬鹿にできるの頭おかしいわけ?」
「で、そっちは何人処理したの?」
「こっちは三人。合わせたら八人だ」
「夏油くんが同じくらい遭遇してたら十人規模かぁ……ちょっと集まりが良すぎるなぁ……」
髪を耳にかけながら先輩は首を傾げた。その耳についたピアスが太陽の光に照らされる。……穴開けすぎじゃね?
「やっぱ懸賞金がでかいかな?」
「そうじゃない? いやぁ、3000万だよ、3000万。理子ちゃん東の海のルフィくらいあるね」
「じゃあ俺らの1000万はどんくらい?」
「え? ……初期のバギーより500万くらい少ないね」
先輩は面白そうにお腹を抑えて笑っているがそもそもアンタも同じ金額なんだぞって教えてあげたほうがいいのだろうか。馬鹿に教えても仕方ないのだろうか。
「それにしても……呪詛師の集まりがスムーズ過ぎるし、こりゃなんか裏にいるね。さて、大本は誰だろね?」
「さぁね。大丈夫でしょ、俺と傑は最強だから」
「いい自信! 五条くんに任せてウチ帰っていい?」
「いいわけないでしょ」
何一人だけ楽しようとしてんの。
「そもそもこれが元を辿ればアンタの任務だったら呼んですぐに来てくれたわけでしょ? なんか知ってるだろアンタ」
「さぁ? ウチはな〜んにも知らないよん」
先輩はそう言うと食べ終えたチュッパチャップスの棒をその辺にピンッと捨てると新しいものを取り出して袋を剥き始めた。なんだこの下手くそな反応……。こいつ絶対なんか知ってるじゃん……。
「それじゃあ夏油くんと合流したら高専行こっか。高専にまで行けばとりあえず結界で守られてるから安全だし……ヤガセンとか歌姫ちゃんもいるし」
「ヤガセンはともかく歌姫は役に立たねぇだろ」
「うわ、最低だ。ちょっと男子〜」
「アンタも男子だろうが」
不毛なやり取りをしていると急に袖を引っ張りれた。目線をそちらに向けるとそこに居るのは当たり前に天内で。
天内は涙目になりながら必死に訴えかけてくる。
「どうしよう……! 黒井が! 黒井が……!」
× × ×
理子ちゃんが泣きそうになりながら五条くんに黒井さんの安全を訴えているのを見ていた。もう観察である。ウチからしたらこの原作に介入した意味があろうものだって感じの良いカップリングだ。
理子ちゃんとのカップリングは夏油くんも五条先生もあるんだけど、どちらかというと五条先生とのカップリングの方が好きマン。理由は黒井さんがあまりにも夏油くんのものだから。夏油くんが作中で見せた最後の非術師への尊敬だぞ。ちょっとそう聞くと重みが増すような気がしない? なに? 結果論だろって? それは本当にそう。
精神的に幼いところがある……精神的に……うん! 言い切ろう! ガキな五条先生に中学生の理子ちゃんってベストマッチ、マリアージュなんだよね。この二人の清さ、穢れを知らない感じがまさしく子どものカップリング……小学生が仲良いみたいな感じに見えてすごく可愛く見えるんだよなぁ……尊い。無理。
「すまない。私のミスだ……敵側にとっての黒井さんの価値を見誤って居た……」
「そうか? ミスってほどのミスじゃねぇだろ」
夏油くんと合流。夏油くんが申し訳なさそうにしているのに対して五条先生は楽観的な態度をとる。まぁ、黒井さんの価値を見誤ったって言ってるけど本来のところは黒井さんの価値は人質になっている現状にしかないから、殺される心配もないしね。
「相手は次、人質交換的な出方でくるだろ。黒井さんと天内のトレードか、天内を殺さないと黒井さんを殺すとか……でもこっちは天内が手元にいるんだから分がいい話になる。こっちの言い分をある程度呑まなきゃいけないからな」
「……黒井さんの価値は理子ちゃんにはあっても高専側にないってことだね」
「そういうこと。交渉の場さえ設けられればあとは俺らでどうとでもなる……相手が術師でも、非術師でもな……ここまで分かった? 先輩」
「ウチのこと舐めてるなぁ……なんとかなるってことだよね?」
「分かってないんですね」
「夏油くん憐れんだ目で見ないで」
わからいでか。分かってはいるよ? 理解はしているけど……ウチ的にはこの後のキンクリされた原作の穴埋めをどうするのかの方が気になるんだよね。黒井さんを助けられるのは確定事項だから、その点はいいんだけど……。
「ま、とりあえず相手の出方を見ないことには始まらないでしょ。馬鹿じゃないんだから黒井さん? がすぐに殺されることもないだろうしね。とりあえずは高専に移動でいいんじゃない?」
「そうだな。硝子辺りに影武者やらせときゃいいだろ」
「ま、待て……! 取り引きには妾も行くぞ! まだオマエらは信用できん!」
「あぁ?」
ウチの言葉を五条先生が肯定してくれたのだけど、それにさらに被せるように理子ちゃんが否定する。その反応に五条先生少しオコである。この二人の馬鹿みたいなケンカップルぶり見れるの普通に楽しくて滅。
「このガキこの期に及んでまだ——」
「助けられたとしても! 同化までに黒井が帰って来なかったら!?」
ギュッとスカートの裾を握りながら理子ちゃんが上目遣いで五条先生を見つめるその様は捨てられた子猫とか、助けを求める少女のようないじましさを演出していた。……ここを助けるのがヒーローの仕事だぞ!(五条先生はヒーローではない)(確かにホークスの声ではある)(んにゃぴ)
「五条くん」
「……その内拉致犯から連絡が来る。もしアッチの頭が思ったよりも回って天内を連れていくことで黒井さんの生存率が下がるようならやっぱオマエを置いていく」
五条先生が睨むような視線を理子ちゃんに向けた。その視線普通に怖いからやめてあげて欲しい。……けど、その視線を受けてなお、理子ちゃんはグッと目尻を拭った。その涙は脅されたことへの恐怖じゃなくて、大切な人と別れることへの恐怖で。
「分かった。それでいい」
「逆に言えば途中でビビって帰りたくなってもシカトするからな、覚悟しとけ」
…………というやり取りをして次のページでは沖縄にめんそ〜れ〜! ってのが原作だったんだけど、まぁ、次の瞬間には沖縄! ってわけにはいかないよね。知ってた。
「……それじゃ、話もまとまったみたいだしご飯でも食べに行こうか」
「は? そんな気分じゃないでしょ」
「馬鹿言わないでよ。こっちはお昼抜いてんだよ? それに呪詛師の引き渡しもしないとだし……夏油くん呪詛師全員呪霊の胃袋にでも入れといてよ」
「それは構いませんけど……」
ウチは夏油くんの背中をポンポンと叩いてから膝に手を置いて屈んだ。理子ちゃんとの身長差ほとんど大人と子どもくらいあるからねぇ……屈んであげなくちゃウチの目がよく見えないでしょ。
「理子ちゃん」
「ヒッ……! な、なんじゃ……?」
「………………もしかしてウチ怖がられてない?」
「こ、怖がっておらん!」
「いや、ビビり散らかしてるじゃんか。え? ウチってそんなに怖い?」
「そりゃ怖いでしょ。アンタ俺よりも背高いこと理解してる?」
「先輩最近ピアス増えたんですからヤンキー感出てるんですよ。目も細いし」
「切れ長と言いなよチベスナ少年」
先輩への態度がなってない後輩たちに文句を飛ばしてから緊張した面持ちでウチの顔を見つめてくる幼い少女の頭を撫でる。髪はサラサラでお手入れが行き届いてる。大事にされて育ってきたのだろう。可愛いね。貴女にとって黒井さんは大事な人なのね。
「大体の問題は後ろの二人が解決してくれるよ。優秀なんだよ? この二人」
「ま、俺ら強いよな」
「最強だからね」
「ウチには連戦連敗のへっぽこだけど」
「…………折角乗ってやったのにひどくね?」
「先輩はそういうところありますよね」
ウチの甘言に惑わされるからだよ。君たちのイチャイチャのために色々仕組んであげてるんだから少し待ってなって。
「だから理子ちゃんにとって大事なのは。まずこの三日間元気でいること、でしょ? 何食べたい?」
「…………お寿司」
「んじゃお寿司行こっか。奢るよ。……ほら、君たちも。時間は待ってくれないんだよ。キビキビ歩きな」
理子ちゃんの手を五条くんと繋がせて先を歩く。お寿司屋さんかぁ〜、高いところ行ってもいいんだけど五条くんが甘やかされてて味にうるさいのと、この前回転寿司行ったら「寿司回ってる! 馬鹿過ぎる!」って大爆笑してたし、そっち系にした方がいいかな?
確か誘拐犯から連絡が来るのは21時、そっから沖縄に飛ぶのは次の日の朝一の便で朝9時に到着……みたいな流れだった気がするから、今のうちに腹拵えしておくのは理に適っているっているだろう。
「先輩俺くらがいい」
「悟はわかってないな。はまが一番だよ」
「なんで回る寿司限定なんじゃ? 回らない寿司がいいんじゃが」
「馬鹿かよ天内。……寿司はな、回ってなんぼなんだぜ?」
「学生だけで行ったら怪しまれるしね」
仲良くお話しする三人の声をヒーリングミュージックとして聴きながら補助監督に電話をかける。中学校……ミッションスクールだっけ? に伸びた呪詛師を置いておくわけにもいかないからね。回収して貰わないと。
……そういえば飛行機予約したりこのお寿司代だったりってウチが予約したりするのはやぶさかではないけど、ちゃんと費用として出るんだろうか? 出ないとか勘弁して欲しいんだけど。割とマジで。
…………出るよね?
経費で落ちない接待が嫌い。したことないですが。
皆さんお寿司好きですか? 僕は好きです。お寿司食べたいな……。
これからもこの調子で進めていきます! 二桁の台に乗りましたからね。このシリーズを追いかけてくれている人も増えたことでしょう(知らんけど)なので、X(旧Twitter)載せておきますね。別に更新について話したりすることないんですけど、もしよかったら見ていってください!
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