D.C.Ⅱ.C.E. ~ダ・カーポⅡ チェンジエンド~   作:Masty_Zaki

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杉並。
それはありとあらゆることに首を突っ込みたがるオカルト野郎である。
杉並。
それは一度思い立ったら即行動を起こすバカである。
杉並。
それは危険人物である。


ロボはバナナと人間嫌い

昼休み。さて、寒いけど、屋上に行っておにぎり食べるか。俺は最近、昼休みを独りで過ごすことが多くなった。

……なんか、1人でいたいって言うか。

……渉がうるさいって言うか。

そのつもりで立ち上がった時――

 

「弓月、少し付き合わんか?」

 

「断る」

 

杉並の誘いに乗ると碌なことがないので即辞退する。

だから今は1人になりたいんだよ。

 

「まぁそうつれないこと言うな。ちょっとそこまでだ」

 

「すぐ終わるか?」

 

「そうだな」

 

「渉、義之、お前らはどうs」

 

「「パスパス」」

 

こいつら薄情な。

まあいいや。

 

「そうか」

 

「では、行こうではないか」

 

そうして、教室をでて、

昇降口を抜け、

桜並木を抜け、

山を越え、

谷を越え、

(↑2つ そんな移動はしてません。)

森を抜けて、

洞穴の前に出た。

入り口には有刺鉄線、進入禁止の看板。

 

「……ここどこだよ」

 

「初音島の神秘が眠る場所だ!」

 

「そうかよ……」

 

やっぱり断っとけばよかったと、後悔先に立たず。

(正体をよく)知らない人にはついていくなとはよく言ったものだ。

 

「では、入るぞ」

 

「……そうだな」

 

こいつと無駄に言い争っていると日が暮れて昇っちまう。さっさと終わらすには従うしかない。

杉並がペンチを取り出し、有刺鉄線を切断、中に入る。俺もついていく。

途中で杉並が、これは当たりだとか、ヌーの巻頭特集(?)は俺がもらうだとか言っていた。

持ってきたおにぎりを食べ終えて、気がついたら、結構広い部屋に出た。

中は相変わらず暗い。杉並のライトだけが光源である。

中央にカプセル。中には少女が入っていた。

 

「……」

 

「ふむ……」

 

「……」

 

「むぅ……」

 

「マジかよ……」

 

「マジだ」

 

「いや、だってさ」

 

ありえないだろ。

いくらなんでもこんなところに女の子が1人で寝てるっていうのは。

ちょっとあたりをぐるぐるしてみようと足を動かす。

 

「うわ!」

 

何かに躓いた。

 

――カチッ。

スイッチを押してしまうような幻覚を感じた気がする。

サイレンが鳴り響く。幻覚じゃないようだ。

 

「やっちまったな……」

 

「フフン」

 

杉並もいたって冷静で、俺もなるようになるか、と楽観していた。

サイレンが止む。中の少女が目を開く。なんか怒っているみたいだ。

怒りをあらわにしながら上半身を起こす、が。

 

――ごつん!

 

カプセルの蓋は閉まっていた。

 

「あだっ!」

 

痛そー。

 

「貴様、謀ったな!?」

 

いや?全然。

蓋が開く。少女はすごく不機嫌そうだった。

 

「なぜミナツを起動した?」

 

「何!?起動だと!?それなら、もしや……!?」

 

「部外者は黙ってろ!」

 

杉並が叱られた。この手の叱られ方は珍しいな。

 

「何が目的だ……?」

 

「すまん、偶然だ。躓いて体を支えようとしたときに誤って起動スイッチを押してしまったらしいな」

 

「偶然、だと……?」

 

やばい。火に油を注いだか?

 

「ミナツはずっと眠っていたかったのだ。それを無理やり叩き起こしておいて、偶然だと!?」

 

注いだな。

 

「これだから人間って奴は……!」

 

「いや、本当にすまない」

 

本人の意思にそぐわないことをしてしまったので、それなりに誠意を見せてみる。

 

「ミナツにはな、この世で嫌いなものが2つだけある。2つだけな」

 

どうして今そんなことを言うのかと突っ込んでも怒られるだけだろう。

とりあえずはこいつの話を聞いておくか。

 

「ひとつはバナナ。そしてもうひとつは、……人間だぁ~!」

 

少女が拳を握り、殴りかかってくる。

 

――パシィ!

 

しっかりと受け止めてしまった。

 

「なっ――!?」

 

流石に驚いているようだ。

 

「人間が、嫌いなのか?」

 

「放せ!……ああ、嫌いだね。人間風情と同じ時間を共有しなければならないと考えただけで虫唾が走る……!」

 

「何故、そこまで人間を嫌悪するんだ?」

 

「貴様、人間がロボットに何をしてきたか、何も知らないとは言わせんぞ……」

 

人間がロボットにしたこと。人間の都合でロボットを造り、人間にいいようにこき使われ、挙句の果てに都合が悪くなったら排除する。人間嫌いにもなるか。

 

「そっか、そういうことか」

 

すると別のところから物音が聞こえた。

 

「そこまでよ」

 

女性の声。聞き覚えのある声。

出てきたのは保健室の先生、水越舞佳(みずこしまいか)先生だった。

ここにいるということは、ロボットの開発研究所である、天枷研究所の研究員もあるのだろう。

 

「あんたたちだったのね~、こんなオイタしたのは」

 

「すいません」

 

「まぁいいわ。起こったことはどうしようもないし」

 

「はぁ……」

 

「で?お目覚めはどう?H-MA06型、ミナツ」

 

「聞くまでもなかろう。最悪だ」

 

「そう?でも、あなたは起動しちゃったの。分かるでしょ」

 

「別に今更逃げたりもしない」

 

「素直で助かるわ」

 

男数人が少女を囲み、別の部屋に誘導する。

 

「貴様、名をなんと言う?」

 

「弓月光雅だ」

 

「フ、フン、その名前、覚えておく」

 

男たちと一緒に、その少女は奥へと消えていった。

 

「まったく、余計な仕事を増やしてくれちゃって」

 

「それより、あの娘は?H-MA06、とか言っていたような」

 

「しょーがないわね。そうよ、彼女はロボット」

 

「まぁ話してること聞いたら見当つきますね」

 

「今日ここであった事は忘れて頂戴。これはお願いじゃないから。この意味、分かる?」

 

「もちろん」

 

杉並はそういったが、俺は忘れられそうにもなかった。

俺たちは、もと来た道を帰っていった。

 

「……ロボット……か」

 

「どうした、弓月」

 

「いや、なんかあいつも辛い思いをしてきたんだろうなって思ってさ」

 

「まぁ、それが時代というものだ。俺たちにどうこう出来る問題じゃない」

 

「そういうもんかな」

 

「俺たちが差し伸べられるのは、神の手ではなく、所詮人間の手に過ぎんのだ。しかしまぁ、お前なら……俺が認めた同志弓月なら、どうにか出来るかも知れんな」

 

「できるもんなら首突っ込みてぇよ……」

 

俺に出来ることがあるかどうか分かんないけどさ。




人間が生きていく中で一番世話になる奴って、ダレだろう。
親。それはそうかもしれないが、うちには親代わりはいるが親はいない。
お母さんは亡くなった。お父さんは海外で仕事。
俺にとって、俺たちにとって、それは、隣の姉妹だったりするんだ。

次回『朝倉姉妹とその隣人』
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