D.C.Ⅱ.C.E. ~ダ・カーポⅡ チェンジエンド~ 作:Masty_Zaki
だがしかし、彼女たちにはギターはいなかった。
だから文化祭にも参加できず、満足できない音あわせでくすぶっていた。
そんな未完成のパズルに、最後の1ピースが当てはまったら。
――最高のギタリストが、4人を繋げたら。
本日の作業を終了させ、解散となった。さて、どうしようかな。
音姉の手伝いに行くか?いや、時間も時間だし、行ったところですることはほとんどないだろう。
下校?それもちょっとつまらんな。
「光雅、お前、帰るんじゃないの?」
……?あれ?義之もたしか帰宅部なはずで、そしたら俺と一緒に帰るようになるってのが正しいのでは?
「お前、なんかあんの?」
「ちょっと音楽室にね」
「お~い、義之。早く来いよ」
渉が廊下で義之を呼んでいる。
「あ、渉くん、待って、私も行く~」
小恋に渉?ああ、もしかしたら軽音楽部?でも、なんでそこに義之?
「色々疑問があると思うけどさ、まぁ、ついてこいよ」
「ああ」
なんだかよく分からないが、義之は俺を連れて行こうとしているみたいだ。
とりあえずは、行くだけ行こうと思ってみる。
というわけで、4人で音楽室にレッツゴー。
中に入ると、そこにはななかもいた。
「あ!みんな、遅いぞ~♪」
「ごめんごめん、ちょっと遅くなっちゃった」
そこでななかが俺の存在に気付く。
「光雅くんもいるんだ~!やっほー!」
「よ」
右手を挙げて、これでもかというくらいぶんぶん振る。
よほど待っていたようだ。
俺もそのうちの1人かどうかは分からないけれども。
「あれ、2人って知り合いなの?」
「それがな、義之、7年前のファミレス強盗覚えてるか?」
「そんなこともあったっけか。で、それが?」
「ななかはその時の人質」
「……うそ」
ななかがいえーい、と人差し指と中指を立ててピースしている。
そんなに自慢することでもないと思うんだが、確かにあの出来事があっての、この学園で再会、と思えば、何かしら運命的な匂いはするような気がする。
「ってか、義之こそどうしてななかを知ってる?」
「昨日天枷と由夢のボディガードをした後に、杉並に捕まって学園に来たところ、たまたまここに来て初対面」
「ふぅん」
こいつも色々大変だったんだな……。
「さ、義之、ボーっとしてないで準備するぞ」
「ああ、今行く」
小恋とななか、渉、それに義之は軽音楽部のバンドを組んでいるようだった。
……って、あれ?
「お前軽音楽部だっけ?」
義之は確か、軽音楽部には入ってなかったはずだ。
「いや、昨日その時にギターやってることみんなに教えたらさ、ぜひ入って欲しいって。まぁ、とりあえずヘルプというか、遊びに行くくらいの気持ちしかなくて、渉には悪いんだけどな」
「義之ちゃんは大丈夫だよ。参加する回数を多くしてもらうのは望めそうにないけど、それなりにギターの腕は立派だからな」
「まぁ、こいつはギター確かに上手いからな」
「独学で趣味程度だけどな」
独学で趣味程度であのレベルは普通はありえんだろ。
「とりあえず、私たちの演奏を聴いていかない?」
「そうだよ!聞いて聞いて!」
メンバーの4人が準備を始める。
義之がギターを担当する前は、ずいぶん困ってたんだろうな。
渉も、小恋も、ななかも、義之も、きっと心の底から演奏を楽しむだろうな。
「それじゃ、行くぜ!」
渉がドラムのスティックでリズムを刻むと、演奏が始まった。
曲名『桜笑み君想う』
とある少女が失恋した。
とても悲しかった。
想い人に触れていたかった。
でもそれは叶わなくて。
でも、
それでも、
自分は自分。
くよくよしてるのは本当の自分じゃない。
いつか、強い自分になって、出会い、感じたぬくもりを胸に、キミと、新しい時を過ごしていきたい。
それが、自分の今の、最大の幸せだから。
……そんな感じの歌。
あれ、目から汗が……。
誰に向けて作詞されたのだろう?
どんな想いを込めて4人は演奏したのだろう?
そんな疑問、というか、感想を持ったが、演奏が終わって、メンバーは全員満足そうな顔をしていた。
「いやぁ、良かった良かった。思わず泣きそうになったぜ」
「あったりまえよ!俺たちは世界で1番のバンドだからな!」
渉が自分の胸をどんと叩いて過大評価をする。
「いや、それは言い過ぎだろ……」
「でもでもでも、この4人でよかったなーって思うよ!」
「そうだねー!」
まぁ、みんながそう思うのも無理もないか。こいつら、本当に仲がいいもんな。
「そういえば、義之、お前なんで昨日の今日でそんなに弾けるんだ?」
「昨日は帰って相当練習したからなぁ」
しみじみと義之が呟く。
「練習って、俺昨日はギターの音聞いてねえぞ?」
「あー、その、とりあえず録音したMDもらって、それ聞いてイメージしてたっていうか。夜に弾いたら迷惑だろ?」
「うそ!?そんなんで今日あんなに弾けたの?」
「……凄い」
「義之、やっぱお前すげぇよ!絶対なんかやってくれるって思ってたんだよぉ!」
渉が義之に抱きつく。なんという渉らしいリアクション。案の定、義之も困惑していたが、小恋もななかも心の底から笑っていた。
ななか「光雅くんって、何か楽器弾けるの?」
光雅「ああ、小学校の時に習った鍵盤ハーモニカとリコーダーを少しな」
ななか「そ、そうなんだ……」
次回『突撃!俺んちの晩ご飯!』
今回、短いなぁ・・・。