D.C.Ⅱ.C.E. ~ダ・カーポⅡ チェンジエンド~   作:Masty_Zaki

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現在、NOと言える日本人になろうと日々精進しております、ワタクシこと桜内義之は、今朝、朝倉姉妹のよからぬ会話を耳にして不安になっていたとさ。
既に朝から嫌な思いはしているはずなのに、また何か起こりそうな予感。
この物語を読んでいるみんな!俺が死なないように、応援してくれ!


食事とは食べられるものを食べることである

~義之side~

 

さて、前回に引き続き、どうやら今回も俺が中心の話らしい。

なんか前回の話の前半の内容に不吉なものを感じるんだが、俺はこの回で死んでしまったりしないだろうか。

 

ところ変わって昼休み。

 

「ふ~、終わった終わったぁ~♪」

 

「お腹空いたぁ~。茜、杏、一緒に学食いこ~」

 

「行きましょ」

 

雪月花が学食に向かう。

俺は購買で適当に済ますか。

さてっと。

 

――っと。

教室の入り口に見慣れたお団子頭があった。

 

「あ、あれ?何やってんだ?」

 

あからさまに挙動不審である。ってかなんかそわそわしている。

 

「どうした、義……って、あれ?」

 

「お~い、義……って、由夢ちゃんじゃん。」

 

光雅と渉が揃って俺を誘おうとするんだけど、2人とも由夢に気付いて中断したようだ。

なんていうか、これは確実に俺に用だよな……。

視線がむっちゃこっちに向いている。

 

「ちょっと行ってくる」

 

由夢に歩み寄る。

なぜかそっぽ向かれる。

 

「由夢、俺になんか用か?」

 

「や、用って程でもないですけど、ちょっと付き合って欲しいところがあるんです」

 

「どこだ?」

 

「保健室です」

 

「は?」

 

何を言い出すんだろう、この義妹は。

別に俺はこれ以上ないくらい元気だし、目の前の娘も別に怪我をしているとか、体調が悪そうとか、そういうのは見受けられない。

なのに、なぜ保健室なのだろうか。

 

「いや、えーっとだな……」

 

「いいから、早く来てください!」

 

由夢が俺の腕を引っ張ってくる。

とりあえず抵抗に出たんだけど、なんでこいつらはこういう時に馬鹿力を発揮するんですか!?

 

――がらっ。

 

――ばたん。

 

――がちゃ。

 

保健室に監禁されてしまった。

ってか、何故鍵まで!?

 

「なぁ由夢、一体何をおっぱじめようってんだ!?」

 

「や、えっと、その、目を瞑っていてくれませんか?」

 

「待て、勝手に話を進めないでくれないか?まず、何故保健室?んで、何故鍵を閉める?」

 

「だって、見られると恥ずかしいですもん……」

 

何!?、恥ずかしいですと!?マジで何するんだ……?

 

「いいから、目を瞑っていてください!」

 

「何故?」

 

「や、準備している時にもし変な顔していたら、見られるの恥ずかしいもん……」

 

「わ、分かったよ」

 

しぶしぶ目を閉じる。

 

――がさごそ、がさごそ。

 

衣擦れの音。

いや、待て。保健室で2人きり、鍵を閉めないと拙いくらい恥ずかしいことをする、そして、衣擦れの音。

そこから導き出される結論は……。

いやホント待て!落ち着け!仮にも俺と由夢は兄妹なわけで、更に学校では優等生な由夢が学校で自分の印象を崩すリスクを負うようなことはしないはず……。

でも、もしかしたらホントに……。

 

「もう目を開けていいよ」

 

「え、いいの?」

 

いや、心の準備がまだなんですけど。

 

「いいから、早く終わらせたいし」

 

「あ、そう?」

 

恐る恐る目を開ける。

するとそこには、かわいらしいデザインの弁当箱が鎮座しているではありませんか。

……まぢで?

 

「まぁ、とりあえず、誰が作ったんだ?これ」

 

「私です」

 

ですよね。

 

「すまんな由夢、実は俺、もう昼飯準備してあるんだ。それじ――」

 

「嘘ですよね?」

 

「へ?」

 

「嘘、ですよね?」

 

「いや、まぁ、今現在手元にあるわけではないが、これから光雅たちと学食――ハッ!?」

 

ちくしょう、喋れば喋るほどぼろが出ちまう……!

というかこれか、今朝から感じていた妙な感じは!

 

「やっぱり嘘じゃないですか!」

 

「え、ああ、その、すまん……」

 

「食べてもらえます?」

 

「あいにくだが、実はお腹が既にいっぱい――」

 

――ぐぅ~。

 

なんでこんなにタイミングが神懸かってんだよ!?

空腹なのバレバレじゃん!

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……分かったよ、それよこせ」

 

由夢の弁当箱を手を伸ばして自分の手前に引っ張りこむ。

由夢は、緊張しているのだろうか、それとも俺が食べる意思をみせたことで安堵しているのだろうか。

さあ、ここに詰まっているのは、幸福か、それとも絶望か。

いざ、戦場へ!

蓋を開ける。

 

「……」

 

「……」

 

「イヤー、トッテモオイシソウダカラ、コレハキョウシツニモッテカエッテ、ミンナデワケルトスルカー」

 

中身は残念ながら絶望だった。

 

「や、気に入ってくれたのならまた作りますので大丈夫です」

 

こっちは全然大丈夫じゃないです。

なんとかして、なんとかして目の前のこのカーボンを食さずに済む方法を模索せねば。

 

「あー、えーっと、その……」

 

言い訳を探そうと必死になっている最中、由夢の表情が曇るのが分かった。

 

「……由夢?」

 

「やっぱり、いいです。自分でも失敗作だっていうのは分かっていますから。また今度、出直してきます……」

 

ああー、もう!

そんな風に悲しそうに瞳を伏せられたらお兄さん後味悪くなっちゃうじゃないか!

こうなったら!

 

「ったく、箸、ちゃんとあるか?」

 

「へ?」

 

「気が変わったよ。味見くらいはしてやる」

 

「義之兄さん……」

 

箸と弁当を受け取り、もう一度ダークマターと対峙する。

大丈夫だ!何があろうと一応これは食材なんだ!

食べたら死んでしまった的なことはないはずだ!

慎重に、エビフライ(のようなもの)を口に運ぶ。

口に入れ、咀嚼。

 

よしゆきはめのまえがまっくらになった。▽

 

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~光雅side~

 

「光雅くん、さっきからそわそわしちゃってどうしたの?」

 

由夢に連行された義之は置いてとりあえず雪月花プラス渉と学食に来たんだが、どうにも義之の安否が気になる。

 

「いや、義之大丈夫かなーって」

 

「おぉ~っとぉ!?まさかまさかの由夢さん剥奪宣言!?」

 

「光雅は音姫先輩より由夢さんよりだったのね。このシスコン」

 

「自分で分かっていると思うが、それじゃ俺が音姉を選んでもシスコンになるんじゃ?」

 

「あれ、違うの?」

 

「違います」

 

「……ロリコン?」

 

「……」

 

「そうなんだ……」

 

「なぁ、杏」

 

「何?」

 

「溜息を吐いていいか?」

 

「1回500円ね」

 

「高いからいいや。それと俺はノーマルだ」

 

「まぁこのラブルジョワ野郎は選択肢が広すぎてどこにでも向かえるからな~、うらやますぃ~!」

 

なんだ、この会話は?

まるで脈絡がないんだが。

 

「……とりあえずちょっと様子見てくる」

 

「いってらっしゃーい」

 

小恋が笑顔で送り出してくれた。

まともな奴が1人いるだけでなんか助かった気分です、はい。

 

急いで向かった先は、保健室。

なんでここかっていうと、……なんでだろうな?

由夢が保健委員だから?それもあるかな。

とりあえずノック!

3連打ァ!

……普通にノックしました。

 

「あっ、はい!」

 

やっぱり。

 

「それがしは弓月光雅にて候」

 

「光雅兄さん?」

 

――がちゃ。

 

鍵が開いた。

鍵を閉めていたのか。

……何をしていたのかものすごく気になるところだが。

続いて扉が開く。

 

「用があるなら早く入ってください!」

 

「ゑ?って、うぉあっ!」

 

腕を掴まれ引っ張られる。

 

――がたん。

 

――がちゃ。

 

また鍵閉めやがった……。なんのつもりだ?

っと。

なんとそこには真っ白に燃え尽きた我が弟分の桜内義之くんがいるじゃありませんか。

そして目の前には由夢特製炭化弁当、と。

こんな問題、小学生でも解けますよっと。

義之君は由夢さんに保健室まで連行され、そこでお人よしな義之君、お人よし之君はしぶしぶ由夢さんの弁当を口に運んだものの、その壊滅的な味に昏倒してしまった。

簡単だっての、コノヤロウ。

 

「さっきからとても失礼なことを考えていらっしゃいませんか……?」

 

「残念ながらお前の期待通りにどんどん思考が広がっていくぞ」

 

「うぅう~~~~~!」

 

そりゃ悔しいだろう。俺達4兄弟のなかで、自分以外の3人は料理上手、自分だけはとことん下手。

その現実を目の前にして、しかも事実を告げられて憤慨しない奴はそういない。

 

「……なぁ、由夢」

 

「はい……」

 

「料理、上手くなりたいか?」

 

「それは、なれるものなら……」

 

こうなったら由夢をスパルタ特訓してやる。

 

「なら、今日から夕食後、俺のところに来い。料理、徹底的に叩き込んでやる」

 

「本当ですか!?」

 

食いついた!よぉし、地獄を見せてやる。俺の料理道は長く険しいぜ……。

 

「もちろん。義之のヤローをいい意味でお前の料理で昇天させてやる。」

 

「それなら、よ、よろしくお願いします」

 

さて、どれくらい時間が掛かるか。

俺も生徒会やら学園の雑事とかクリパの準備やら例のアレやらで忙しいからなぁ。

由夢の誕生日までに間に合えば良しとしますか。

とりあえず、義之はここに寝かせておいて。

 

「んじゃ、教室戻るぞ」

 

「はい」




料理の道は茨の道で、修羅の道。
そうそう簡単に習得できないことを分からせてやる。
……っといかんいかん、習得させることが俺の仕事だったか。

次回『『教える』とは『学ぶ』と同義である』
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