D.C.Ⅱ.C.E. ~ダ・カーポⅡ チェンジエンド~   作:Masty_Zaki

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「「「「「「王様だーれだ!?」」」」」」








ドキドキ!?天国地獄の王様ゲーム

さて、時間はすでに夜。

え?昼間は何をしたかって?

決まってんだろ。

スキーだよ。

俺はスノボだけども。

それ以上でも、それ以下でもない。

ただなんていうか、俺は俺で音姉にずっと見られてたし、義之は義之で茜と杏にからかわれては由夢に本気にされて怒られたり。

杉並と渉はなんかやばそうな会話してたし、小恋に至ってはもはや途中でリタイアして雪だるま作ってたし。

不憫なのはななか。

上級者なのにわざわざそれに付き合ってたそうだ。

ちなみに6世帯35体。

暇だからななかも3体作って合計38体。

後から俺も見たけどなんかもうスキー場のマスコットキャラみたいに堂々として、違和感が仕事してなかった。

 

という訳で夜なんだ。

気にするな、もう夜だ。

風呂に入ろうということで、温泉に向かった。

前の夏の宿と違って露天風呂で男女に別れている。

渉はなんか隣の女子の声で興奮するし、それに便乗して杉並も余計なこと言うし、義之も巻き込まれて慌てふためくしでうるさいし。

壁越しに女子の会話が聞こえてきたんだけど、どうやら茜はゴッドハンドが使えるらしい。

何、治療魔法でも出来るんですか?←半分のぼせてる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さてさて、ここからが本題。

男子部屋に女子も全員集合してもらって、ちょっとしたパーティーみたいなのを開いている。

お菓子というお菓子、ペンションの人気ピッツァ(杉並発音)、ジュースの紙コップなどが部屋中、主にテーブル中に散乱している。

片付けるの俺たちなんですけど。

俺は義之や美夏やななかと談笑して、雪月花や朝倉姉妹はカードゲームに興じている。

そんな時。

 

「そろそろね」

 

杏が急に立ち上がる。

 

「そろそろ、って何が?」

 

「あ、用意してた、アレ?」

 

「ん」

 

茜は何をするか知っているようだ。

 

「何が始まるんだろうね、義之くん」

 

「さぁ?」

 

「これから、王様ゲームを始めます。異論はなし」

 

王様ゲーム、ねぇ……。

 

「王様ゲーム、って、あの伝説のゲームを、俺たちの手で再現するってことか!?」

 

「そうよ」

 

ここで杏は王様ゲームを知らない人のためにルール説明をする。

勿論俺は知っているんだが、いかんせん嫌な思い出があるからなぁ、前世に。

修学旅行でクラスの変態に『女の子のおっぱいが好きだと叫ぶ』の命令に引っ掛かって実行、次の日にクラスの女子に会う度に触らせてあげないよ的なリアクション。

なんかもう絶望的に死にたくなった時だった。

しかも今回は危険人物が3人。

杏と茜と渉。

できるだけこいつらに王様が渡らないようにしてほしい。

 

「ま、とりあえず小恋みたいなエロエロ女王がするエッチな命令には注意してってこと」

 

「ふぇえぇえ!?わ、私えっちな命令なんてしないもん!」

 

「そんなこといって……」

 

「ねぇ?」

 

相変わらずの小恋いじりだった。

 

「その話乗ったぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」

 

突如扉が開いて登場したのはロイ・シュレイドだった。

 

「お前何やってんの……?」

 

「俺も参加する」

 

「優香は?」

 

「辺りの調査」

 

「ふぅん」

 

よく分からないのが参加してきたが、人数が多い方が何かと盛り上がるからいいか。

 

~1回目~

 

さて、説明も終わりロイが加わったところで、早速第1回。

みんながくじを引くのを見て、自分の番が来るのを待つ。

 

「美夏は……これで行くぞ!」

 

約1名くじ選びの段階でハイテンションな者が。

俺も適当に引いて、全員引き終える。

さて――。

 

「王様は、俺だ」

 

杉並なら――まぁ、マシか?

 

「なに、心配するな。このゲームは徐々にエスカレートしていくのが面白いというもの。この杉並、空気だけは読むつもりだ。最初は軽いものにしておこうか。さて、命令は――5番が3番にビンタする!」

 

それのどこが軽い命令だ。

というか5番俺なんですけど。

ビンタならまだマシか。

 

「5番、俺。」

 

「3番、月島です……」

 

あらら、相手は小恋か。

さっさと終わらすに限る。

 

「それじゃ、やっちゃうぞー」

 

「こっ、怖いよー!」

 

軽く手を振りかざして、ぺちっと。

痛くない程度にしたけど、どうだろうか。

 

「あうぅ……」

 

頬を摩っていた。

 

「すまん……」

 

「いいよ、謝らなくても……」

 

「さて、次行くわよ」

 

~2回目~

 

くじを引く。

また美夏は1人で盛り上がっている。

 

「ふふ、王様は私」

 

王様のくじは杏が引いたようだ。

早速拙いのが……。

 

「杏先輩、ここは一発、盛り上がるのを頼む!」

 

「そうね……。8番が1番の頬にキス」

 

「いきなり過激なの来たな……」

 

「ほっぺにキスくらいでガタガタ言わない。それぞれ誰?」

 

「8番私でーす!」

 

ななかが嬉しそうに返事をする。

 

「な、なんで私ばっかりー!?」

 

なんだろう、小恋は何かに呪われている。

いじめられっ子のオーラをぷんぷんと出しているから悪戯の神様に睨まれたのだろうか?

 

「ななかなの~?」

 

「はーい、小恋ちゃーん、じっとしてね~?」

 

「ななかなのぉ~?」

 

「あら、小恋ったら、白河さんより男の子の方がいいだなんて、破廉恥ね」

 

「そんなこと言ってないもん……」

 

ななかが小恋の隣に座り、そして、柔らかそうな頬にちゅっと。

 

「これで私たち、もう他人じゃないね」

 

「ななかに穢されたぁ~……」

 

「んもう、失礼な」

 

「白河は、なんだか大人だな……」

 

突然の展開に、美夏がぼそりと呟いた。

 

~3回目~

 

「もう、次こそは絶対に王様引いてやるんだから!」

 

おっ、乗り気じゃなかった小恋が熱くなった。

こうなるとこのゲームは本格的になる。

という訳でくじ引き。

王様は――

 

「いやっほう、俺だぜ!」

 

ロイが引いた。

 

「分かったから早く命令しろよ」

 

「へいへい。そんなら、4番が7番の肩を1分間マッサージ!」

 

ちっ、俺3番だ。

最近肩の調子が悪くてな。

んで、その羨ましい奴はっと。

 

「7番、私……」

 

音姉、だと!?

まぁ、音姉は生徒会の仕事とか忙しいし、肩も凝ってるだろうからこの気に解してもらうのもいいかもな。

 

「みんなの憧れの生徒会長を揉むのは私だったりするんだよねー☆」

 

と、茜。

肩を、と目的語を入れてくれないとなんかエロいぞ……。

 

「ごめんね、それじゃ、お願いします、花咲さん」

 

「はーい、任されちゃいます、音姫さん!」

 

そして、音姉の肩に手を置き、ゆっくりと揉み解していく。

 

「はぁっ、あんっ、あぁ……、んっ、気持ち、んっ、いい……。あっ!」

 

「うごぉ……!」

 

謎のピンクオーラに渉悶絶。

 

「ええっと……」

 

音姉、変な声出すなよ。

変な空気になってるぞ。

 

「んうぅ、あん、はぁんっ……んんっ、んあぁ……」

 

由夢まで赤面してしまう始末。

ああもう無理見てらんない。

こっちの理性がどうかしてしまいそうだ。

 

「どうですか、私のこのゴッドハンドは……?」

 

「いい、あっ、よぉ……!あん、んふぅ、んあっ!あぁっ!」

 

「そこまでっ!」

 

や、やっと終わった……。

夜の男女の集いでこのピンクな雰囲気は色々拙い気がするんだが。

音姉は何も気付かずに気持ち良さそうに首をくるくる回しているのだが、あいにく辺りがそういう空気じゃない。

ほぉら見ろ、小恋とか由夢とかななかとか顔真っ赤にして俯いてるし、渉なんか絶命してるし、杏や茜や杉並は満足そうな顔でニヤニヤしてるし、美夏と義之は開いた口が塞がってないし。

とりあえず長旅に出ている渉の魂を、本体をぶん殴って呼び戻した。

 

~4回目~

 

くじを(ry

 

「あ、俺王様だ」

 

「義之、分かってんよな……?」

 

「何をだよ……」

 

渉はきっとそういう方面の命令を出すことを切に願っているらしい。

ホント分かりやすいっていうか、もう慣れたっていうか、ね。

 

「そうだな……」

 

義之が俯いてじっと考える。

10秒程して、顔を上げた。

 

「9番が5番のケツにキック!」

 

……と命令を出すと由夢が跳ね上がった。

片方由夢確定な。

もう片方は……。

 

「~~~~~~!!」

 

渉が声にならない歓喜(?)の声で唸っている。

まさかお前が9番か!?

 

「誰だ!?俺のケツを蹴るヤツは!?」

 

お前5番か……。

ってことは、由夢が蹴るってことだよな……。

 

「え、えーっと……」

 

流石に上級生相手に暴力となると、ゲームとはいえ引けを感じてしまうのも無理はないか。

 

「へっ!?え、由夢ちゃん!?」

 

下級生にあられもない醜態を見せてしまっている。

前からだけども。

 

「すみません、それじゃあ、お願いします……」

 

躊躇いがちに構えると、渉もプリッとへっぴり腰になって尻を出した。

 

「えいっ!」

 

由夢の蹴りが渉の尻に入る。

ただの女の子だからって油断してたら痛い目見るぞ。

だって由夢は音姉と一緒に小さい頃俺が護身術を少し教えてるから、より相手に隙を作る攻撃の仕方、すなわち簡単に相手に激痛を与える攻撃方法を伝授しちゃってるもん。

由夢の使用相手は基本的に義之だったりするんだけど。

裏拳とか脛蹴りとか片手で出来る関節の極め方とか。

音姉が使ったのは見たことがない。

基本的に穏健派だからね。

 

「いっだーーーーーーーーー!!!」

 

クリーンヒットを食らった渉は悶絶してのた打ち回る。

なんていうか、一番損な役回りだよな、渉って。

 

「ご、ごめんなさい……」

 

それを見た連中は軽く引いたようだ。

 

~5回目~

 

今度の王様は茜。

 

「それじゃーねー、4番が2番の紙コップで間接キス!」

 

「よーし!4番キター!2番は?2番は!?」

 

渉がきょろきょろしていると、俺の隣から溜息が。

 

「何で俺のコップで渉が間接キスをしなきゃならんのだ……。これじゃまだ由夢のほうが――」

 

躊躇いなく渡せる、とでも言おうとしたんだろうが、確実に誤解を招くぞ、義之。

まあ、誤解かどうかは分からんけどな、はっはっは。

 

「え……?」

 

「ほうほう……」

 

「いやっ、違う!誤解だ!確かに由夢は可愛らしいかもしれんが、仮にも妹だっての!」

 

「まだ何も言ってないんだけど……」

 

「そうよね……」

 

「あう……義之ぃ……」

 

「あ……あ……」

 

「も、もしかしたら義之の唇を得ることが出来れば、俺にもきっとチャンスがああああああ!」

 

「バカ、よせ、渉!」

 

収拾がつかなくなったので強制終了。

それから何回も回を重ねた。

 

杏の命令で渉がロイと杉並に挟まれて添い寝したり。

義之の命令で杉並が誰の目に触れることなく服を着ているななかからブラを掠め取って義之が由夢と音姉の血祭りにされた挙句ななかに冷たい目で見られたり。

美夏の命令で俺が腕立て腹筋背筋を30回ずつしたり。

小恋の命令がしょぼくて杏にからかわれたり。

さて、王様ゲームも終盤。

王様くじを引いたのは、ななかだった。

ななかはあまりの嬉しさにみんなと握手をしている。

いや、ななかの能力から考えて恐らく全員の番号を調べてるってところか?

俺はブロックかけてるから大丈夫だけど、他の全員が分かってしまえば自然に俺のも分かってしまう。

ちなみに、俺は7番。

ななかは1度俺を見て、少し寂しそうな笑みを浮かべる。

何事か一瞬訊こうと思ったのだが、それを遮るようにすぐに命令を出した。

 

「7番が――3番をハグして、しばらく見つめ合ってキス!」

 

ななかの意図がつかめなかった。

何故このタイミングで俺なのか。

何故あんな寂しそうな表情を一瞬見せたのか。

少し考えてみれば、すぐに、なんとなくだが、分かってしまった。

冷静に考えてみて、俺の推測が正しいのならば、3番はきっと――音姉だろう。

そして、ななかはきっと――俺の自惚れでなければ、俺のことが、好きだったのだろう。

ななかは、俺は音姉のことが好きなのを知っていた。

だから、ななかは身を引いた、そういうことなのだろう。

もう一度ななかを振り返ってみると、ななかは満足したような顔で微笑んでいた。

 

「わ、私、3番なんだけど、7番って、誰かな?」

 

少し怯えたような、不安そうな声で、辺りに呼びかける。

心配しなくていい、相手は俺だ。

 

「えーっと、7番、俺」

 

「えっ、光くん!?」

 

言葉の上では驚いているが、どことなく安心しているようにも見えた。

 

「ちくしょー!なんでお前はこういうのに当たるんだー!?」

 

「えと、お、音姉、さっさと、終わらせるぞ」

 

「う、うん」

 

音姉が恥ずかしそうに俯いてもじもじする。

そんな反応されたらこっちが照れるじゃねーか。

 

「ほらぁ、早く早く!」

 

茜やその他の連中が俺たちを急かす。

だが俺は、俺のペースとタイミングを守ろうと思った。

立ち上がった音姉を、そっと抱き寄せる。

音姉と触れ合っているところから、布越しに体温が伝わってくる。

 

「こっ、これは……!」

 

「なんだこれは……?普通なら殺意とか嫉妬とか敗北感とかそういう感情が沸いてくるはずなのに全くそういうのが感じられないんだが。それどころか、むしろもっとやっててくださいっていうか見てるこっちが幸せになるっていうか、とにかくこれは……光だ……」

 

「渉の言ってること、なんとなく分かるわ……」

 

「な、なんか目から汗が……」

 

外野がなんかごちゃごちゃ言ってるけど、俺はそれどころじゃない。

なんていうか、温かい。

離したくないって思う。

こうしているだけで、幸せな気がした。

気がつくと、音姉の手も俺の背中に回っていた。

しばらく経って、そっと手を緩める。

音姉のほうも緩めた。

 

そして――。

 

俺が貰いに行くように、彼女の唇に、そっと自分の唇を触れさせた。

なんかもう、それだけで満足だった。

ななか、俺にこんな機会を与えてくれて、本当にありがとう。

この王様ゲームは、この変な空気のまま、幕を閉じたのだった。




いつも元気でお姉さんな茜。
そんな彼女の、本当の『存在』。
隠してたものが、明かされる瞬間。
彼女が望んでいたであろう、4人目の『雪月花』。
彼女は、ずっと俺たちを見ていたのだった。

次回『アイトアカネト二心同体』
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