D.C.Ⅱ.C.E. ~ダ・カーポⅡ チェンジエンド~   作:Masty_Zaki

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次の夢の到来を告げる、夢の始まり――





al fine〈最終話〉

それから、本当に色々あった。

たくさんのことがあって、たくさんのことを経験した。

さて、これから俺に関わった、色々な人が、どんな生活を送っているのか、語らせてもらおう。

 

まずは、先の戦いで怪我を負ったらしいロイと優香。

彼らは1度魔法学校に戻り、1年間の療養期間を得て、なんとハワイにまで行ってバカンスを楽しんでいるらしい。

小恋が言うには、その時の提案をしていた時の彼らは、“そんな感じ”の雰囲気がしていたのだが、残念ながらロイの方がその気がないらっしく、ただひたすらに女の尻を追い掛け回していたらしい。

それで、療養期間が終わって、魔法学校で主に戦闘訓練の特別講師を行っているんだとか。

そこでも優香を補助につけて、楽しくやっているらしい。

 

次に、その情報をもたらしてくれた小恋。

彼女は本来この3月で親の都合で初音島を離れて本島に移る予定だったらしいが、小恋自身の主張で彼女だけは初音島に残ることにしたらしい。

そして驚いたのは次である。

なんとか小恋が初音島に残ることになったのはいいものの、いくらなんでも親も2か所での住居の金を払えるほどの余裕はなく、今の月島邸を売却してしまうそうで、小恋の住む場所がなくなるんだそうだった。

そこで、真っ先に協力を申し出たのは、杏だった。

茜が言うには、杏は1度も親友である自分たちを家に呼んだことはなかったらしい。

それだけに小恋に居住許可を与えるのは本当にありえなかったことらしく、これには小恋だけでなく茜自身も嬉しかったようだ。

そしてそれから小恋は杏の家で家事を手伝いながら、仲良く暮らしているらしい。

ちょくちょく茜も泊りに行ったり遊びに行ったりしていたそうで、それが原因か、『小恋ったら夜な夜な……』なんて言う小恋いじりもますますヒートアップしたっけか。

 

翌年の正月明けには、小恋が、音楽の祭典と言われる『オンエアコロシアム』、通称オンコロの出場応募を出したところ見事当選し、義之、渉、小恋、ななかの4人で練習しまくって出場した結果、見事ラジオで演奏が放送されるための条件である、エントリーしたグループの中で上位を勝ち取り、そしてそれを聞いたスタッフが、ななかと渉にプロを目指さないかというオファーを出したのだ。

渉たちは学生ということで1度は断ったのだが、本校卒業後、プロに向かうための育成プログラム的なものを受けているらしい。

 

一方俺たちは、いや、俺は本校を卒業した後は、さくらの魔法の研究に携わるついでに、音姫の『お役目』の影響による短命をいかに克服するか、その答えを探す旅に出ている。

俺と音姫とさくらの3人で、世界中を飛び回っている。

 

そして初音島に残った連中も、楽しくやっているらしい。

義之は由夢と思う存分いちゃつきながらなんとか大学まで進学し、そこで教員免許を獲得して、今では初音島で教師をしている。

由夢も学生時代に保健委員をやっていたのが理由なのかどうかは分からないが、今では看護師をしている。

なんでもおばあちゃんみたいな立派な看護師になりたいんだとか。

職場では、『朝比奈』という人の先輩と仲良くしていて、人間関係も良好で充実していると言っていた。

アイシアとまひるも芳乃邸で暮らしている。

2人ともアルバイトを始めているみたいで、同じ喫茶店でウェイトレスをしている。

2人とも、どうにも不器用で、失敗を繰り返しながらも仕事には馴染み、職場の同僚にも支えられながら頑張っている。

俺も1度彼女たちが働いているところにお邪魔してみたのだが、なんとも危なっかしかった。

 

とにかく、みんなは夢に向かって少しずつ歩き出している。

それぞれの幸せを、それぞれの手で掴もうと羽ばたきだしたのだ。

俺もまた、その1人である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺たちは、少し用事があってイギリスにユーロトンネルを使って移動した。

用事があったのはさくらで、俺は特にすることもなかったから、音姫と共に観光を楽しんでいた。

 

「ん~、さっきのお店で食べたチーズケーキ、美味しかったね」

 

「そうだな。まぁでもあんなのより俺は音姫の手料理の方が好きだけど」

 

「うん!私もやっぱり光くんの手料理、大好きだよ!」

 

と言って、腕を絡めてくる。

幸せなひと時。

既に2人とも二十歳にはなっているというのに、未だに音姫の子供感は拭えていないような気がする。

まぁ、こんな振る舞いをするのは俺と一緒にいる時だけだから仕方ないけども。

 

「そういや、せっかくこの辺ぶらぶらしてんだから、さくらになんか土産でも買っておいてやるか?」

 

「そうだね。さくらさん、きっと喜ぶよ」

 

そういうなり、音姫は楽しそうに俺の腕をとりながら、店の中に連れ込んだ。

そこでお土産を選び、じっくり品定めをして、1時間くらい経ってから購入した。

そうそう、ここでの会話は基本的に音姫に任せっきりである。

音姫は英語を聞くことができて、それでいて流暢に話すことができる。

一方で俺は、ぎりぎり読むことはできても、聞けない、話せない。

学生の頃から英語は本当に苦手で、さくらの研究資料を集めて整理する際も、基本的に音姫翻訳機がないと何が何だかだった。

 

「ん~、そろそろ時間だな」

 

夕方になり、俺たちは街を離れていた。

さくらとの待ち合わせの時間もすぐそこまで迫っていて、俺たちはとある交差点の街頭の下にあるベンチに腰かけていた。

さくらはちょっと、研究の関係で知り合ったとある教授との会合があり、それに参加していたのだ。

それで先程終わったらしく、俺の携帯に連絡が入っていた。

 

「さくら、もうすぐ着くってさ」

 

「そっか」

 

薄暗い街角に、ベンチに座る男女1組。

そう考えると、ちょっとロマンチックで、やっぱりどこか幸せな気分になるのだった。

そして聞こえてくる、もう1里の大事な家族の声。

 

「音姫ちゃーん!光雅くーん!」

 

「あ、さくらさん来たよ」

 

遠くで、薄暗闇の中で一際輝く金色の髪を揺らしながら、小さな魔法使いであり、俺の姉である少女が、手を振りながら走ってきていた。

俺たちは立ち上がり、さくらの到着を歓迎する。

 

「おかえり、さくら」

 

「さくらさん、お疲れ様です」

 

「うんうん、今日は本当にためになったよー」

 

さくらが満足そうな顔でコメントする。

そんなに面白いのなら俺も参加したかった。

英語分からないけど。

 

「あ、そうそう、さくら、お土産的な何かを買ってきたんだけど、これから宿に戻って3人でご馳走にするか」

 

「え、本当!?流石光雅くん、気が利くねー!」

 

「今日の夕飯の当番は俺だから、楽しみにしてろよ。それと、その土産は食後のデザートだ」

 

陽が沈む直前の街角。

消えかかる、前に長く伸びた人影3つ。

仲好さそうに並んで、同じ方向に歩いていた。

人通りの少ないこの道に、幸せな家族の姿が、そこにあった。

そんな、幸せの始まりを告げる夢の、始まりの物語。

 

 

       ~『D.C.Ⅱ.C.E.~ダ・カーポⅡ チェンジエンド~』 al fine~

 

 

 

 

 

 




というわけで、無事に今作、『D.C.Ⅱ.C.E. ~ダ・カーポⅡ チェンジエンド~』、無事に完結させることができました。
ここまでこの拙作を書き上げることができたのも、読者の皆様の応援や感想、評価があったからこそであり、俺自身、自分だけではこの作品を仕上げることなど到底できなかったと思ってます。

さて、この作品ですが、実はまだまだ謎は残っています。
まず、ここまで読んでくださった方なら分かると思いますが、『弓月龍雅』の存在について。
さくらも彼と衝突した時、彼が笑顔でいたヴィジョンを見ています。
彼が何者なのか、どのような経緯で弟である主人公、光雅と衝突したのか……

そしてもう一つが、ところどころで姿を現した、金色のロングヘアを持つ青年。
vs英嗣戦で義之たちの前に姿を現し、群がる雑魚を一蹴して、意味深にさくらを見つめながら姿を消します。
次に姿を現したのが、義之と由夢が結ばれる前、由夢が負の感情に囚われた時ですね。

俺のもう一つの作品、『D.C.Ⅲ.C.E.』では、それらの謎が明かされていきます。
言ってしまえば本作の裏話みたいなものです。
もし暇があれば、そちらの方もご覧ください。
丁度いいUA稼ぎになります(ダマレ

長い間この作品をご愛読いただき、ありがとうございました。
俺自身、まだ二次創作は続けていきたいとは思っています。
この場を提供してくださっている『ハーメルン』様、そしてご愛読していただいた読者の皆様へ、本当にありがとうございました。
また別作品でお会いできるのを楽しみにしています。


追伸

この話の投稿が終わり次第、完結記念のアンケートを活動報告の方でさせていただきたいと思ってます。
興味がある方は是非覗いてみてください。
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