D.C.Ⅱ.C.E. ~ダ・カーポⅡ チェンジエンド~ 作:Masty_Zaki
ミキさんの口調を上手く表現できない。
大人びていて、それでいて少し寂しがりで、まひるとは気兼ねなく本音で話せて、強がりな女性。
普段のミキさん情報が少ないからこのキャラが掴み辛いです。
まひるとミキさんが落ち着くまで、俺は少し離れた場所でそれを眺めていた。
2人の間にどれだけ強い絆があるのか、俺は知る由もなかったが、それでも、やっぱり俺とまひる以上の何かを、そこに感じたような気がしていた。
積もる話もあるだろうから、折角なので、陽の沈んだ薄暗がりで、電灯だけが光の頼りである桜公園にて、ベンチに腰掛けて話をすることになった。
どうでもいいけど、まひるを俺とミキさんが挟む様な状態である。
「それで、まひるって、病気で逝っちゃったはずだったのに、どうしてここにいるの?」
当然にして、聞かざるを得ない問いを、ミキさんはまひるに投げかける。
少しばかりまひるは当惑して、言葉を探した結果、とりあえず自身の正体を明かすことにしたようだ。
「私、実は幽霊なんだ」
「ゆ、幽霊って、あの、うらめしや~の、アレ?」
「うん」
まひるは嘘を吐かないのは、俺でも知っているし、当然俺より仲の良いミキさんが知らないはずもない。
その言葉を信じたミキさんが、驚いたとばかりに自分の口に両手をあてて、感心の声を上げている。
そりゃまぁお化けなんていう摩訶不思議かつオカルティックな存在が目の前にいて、なおかつそれが自分の知り合いだったなら、当然の反応ともいえるんだけども。
「ずっと風見学園で地縛霊やってたんだけど、幽霊だから誰にも気が付いてもらえなくて、寂しかったんだ。そんな時に、光雅先輩の弟さん、義之先輩って言うんだけど、見つけてもらって、それで光雅先輩に助けてもらったんだ」
「助けてもらったって、光雅くん、どうやってお化けを助けることなんてできるの?」
実際目の前で救われているという実例もあるものだから信じないわけにはいかないけれど、やっぱりどうやって今ここにいられるのか、親友として知っておきたいのだろう。
俺はミキさんのために、まひるのために、転生のことは省いて包み隠さず全てを話した。
「俺、実は魔法使いなんですよ」
言葉だけを聞くと、そりゃもう中二病だとか変人奇人だとかいろいろ言われるんだろうけど、ミキさんはそんな表情は全くしていなかった。
もしかしたらこっち系の話には強いのかもしれない。
「信じるんですか?」
「こんな時にあなたが嘘を吐くとは思えないわ」
彼女は俺を信用してくれているみたいだ。
だったら話は早いし、まひるに関することも納得してくれるだろう。
「初めて会ったのが風見学園で、まひるは当初まんまお化けでした。まひるの姿も、俺と義之しか見えてなかったみたいですし。話を聞くと、成仏したいなんて言い出すから、断ってやったんです。まひるはきっと人生を楽しみ切れていないと思って」
当時のことを思い出す。
境遇は全く同じだった。
どちらも1度死んで、そして人間の生きる世界で再び自身の意識を得た。俺は転生、まひるは成仏しきれず幽霊となって。
だから俺は、そんな彼女と自分を、ほんの少し重ね合わせて、そして彼女を思う存分幸せにしてあげたいと、そう思った。
「だから俺は、彼女に魔法をかけたんです。普通の人間と同じように、誰からも視認されるように、誰からも触れられるように。勿論、その時に学園からの束縛は解除しました。と言っても、これはその魔法を使用した際の副産物とでもいうものですが。だからまひるは、今こうしてここにいられて、俺たちと一緒に暮らしてるんです」
「えっ、同居してるの?」
ちょっとシリアス調で話してると思ったら、想定外なところに食いつかれた。
確かに自分の親友が自分の知らないところで知らない異性と同じ屋根の下暮らしてるとか聞いたら複雑な気分だろう。
どう説明しようかあれこれ考えても変な誤解を招きそうだと手をこまねいていたら、まひるが話し始めた。
「光雅先輩の家は広いんだよ。和風で少し古い家らしいけど、あったかくて、みなさんとっても優しくしてくれる。そこで本当の家族なのは、義之先輩とさくらさんだけで、あとは皆さん血の繋がりはないんだけど、本当の家族みたいにあったかいよ。それに、義之先輩も、光雅先輩も、今は素敵な恋人さんがいるし」
「ふーん、そうなんだ」
まひるの話に感心しながら頷いた後、チラッと意味深な視線がこちらに向いた。
つまりそういうことだ。
「いやもう本当に幸せ全開ラブラブですよ俺たち」
女性という生き物は恋バナに全力で首を突っ込もうとするものだ。
「なるほどね。まひるはお化けになっても、ちゃんと幸せに生活できてるんだね。よかったよかった」
安心したようにまひるに微笑みかけたその笑顔は、途端に意地悪そうな笑みに変わった。
「でも残念、恋人はまだみたいね~。私もだけど」
うりうり、とミキさんが肘でまひるをつっついてちょっかいを出す。
まひるは困ってはいるようだが、嫌がってはいないようだった。
「えっと、ミキちゃん」
「なに?」
まひるの呼びかけ、そして少し真剣で、不安そうで、期待のこもった顔に、ミキさんは少し動揺した。
「来週末に、さくらパークに行くんだけど、ミキちゃん、もしよかったら一緒に行かない?」
まひるの誘いは、間違いなくミキさんを驚かせたはずだ。その証拠に、まひるを見つめたまま動かないでいる。
しかしその驚いた表情も、すぐに柔らかい微笑みへと変わった。
「うん、もちろん!時間つくって、楽しみにしてるわ!」
「うわー、ありがとう、ミキちゃん!」
手を取り合って喜び合う2人。
やっぱり親友同士、固い絆で結ばれているんだなって、少し羨ましかったりもした。
渉とは、なんか違う気がするし、杉並なんてもってのほかだ。
義之は友達というより家族だから、この2人とはやっぱり違うのかもしれない。
「ところでさ、光雅くんって、料理とかするの?」
興味津々とばかりに、ミキさんが身を乗り出して質問してくる。
その視線の先には、買い物袋があった。
「だってその袋、食材とか買ってきてるんでしょ?家事とか得意そうだなって思って」
そう、これは確かに今晩の夕食の材料を含めた本日の品の数々が入った袋だ――って。
「やっべ、もうこんな時間だ!由夢辺りがそろそろ文句言う時間帯だよ!い、いい加減帰らねぇと!」
時計を見てみると、時針は既に8を指していた。
辺りも電灯以外真っ暗で、確実に長話が過ぎたようだ。
「あ、やっぱり料理できるんだ」
こっちの都合なんて知ったこっちゃないとばかりに呑気にそんなことをのたまう。
こっちは急がないとなんですけど!
「そろそろ私も帰ろうかな。まひるのこと、よろしくね」
「はい。それと、来週、よろしくお願いします」
「こっちからも、お願いするわ」
まひる的にミキさんとの感動の再会を果たした後に、こんな情けない別れ方をして、俺たちはダッシュで家へと戻った。
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「ホント、悪いな、遅くなって」
「もうお腹ペコペコだよー……」
流石にシチューをつくるには時間がなかったので、簡単かつ素早く出来上がる牛肉の野菜炒めを中心に澄まし汁と櫛切りのトマトを添えて夕食とした。
じかんが遅くなったせいで由夢に急かされたのは言うまでもない。
「でも、まひるちゃんが生きていたころの友達と会ったって本当なの?」
帰宅時の言い訳として少し話したのだが、さくらにもやはりこの話題には興味を示した。
ぶっちゃけ隠す理由もないし団欒の話題として丁度いいものだったから、ことの成り行きを話した。
「ずっと会ってなかった知り合いと久しぶりに再会するのも感慨深いのに、まして死んじゃって二度と逢えないと思っていた人ともう一度触れ合うことができたって、凄く嬉しいよね~」
アイシアの言葉には、どこか重みが感じられた。
アイシアは死んだわけではないが、何十年もの間、誰の記憶からも弾かれ、世界の記録からも弾かれるような存在だったのだ。
それが今となっては旧友と共に生活し、そして学生時代の仲間ともさくらや純一さんとたまに会っているようだ。
言葉に説得力があるのも頷ける。
「ところで、来週俺まひるをさくらパークに連れて行って、ついでにミキさんとも一緒に過ごすんだけど、できれば義之にも来てほしいんだ。ダメか?」
「なんで俺?」
突然の指名に義之が眉をひそめる。
どうせ、また面倒事に巻き込まれるんじゃないだろうかとか考えてるんだろう。
「まひるを最初に連れてきてくれたのはお前なんだ。よかったらミキさんに紹介しておきたかったんだけど」
「そういうことなら別にいいけど、由夢、どうする?」
突然声を掛けられた由夢が素っ頓狂な声を上げて反応する。
「わ、私は今週末は天枷さんとかクラスメイトと遊ぶ約束をしてるので、楽しんできてください」
その由夢の表情がいたって普通であったことに、俺は少しばかり感心してしまった。
昔の由夢なら間違いなくジト目で義之を睨みまくりながら憎まれ口を叩いていたに違いない。
「私も行きたかったけど、生徒会の仕事があるから行けないよー。こっちはこっちで頑張るから、まひるちゃんとミキさん、だっけ?と楽しんでらっしゃい」
あっさりと音姫からの許しも出たし、今週末は思いっ切り遊ぶに尽きる。
その際にまひるにも十分楽しんでもらえたら嬉しいことこの上ない。
週末一緒にいられなくなって少し寂しいのか、食事中にも関わらずちょっと体をくっつけてくる音姫の髪を撫でながらこう言った。
「今日一緒に寝るか」
この言葉も初めの頃は大騒動になったものだ。
そりゃもうさくらは冷やかすし由夢とアイシアは急に糾弾してくるし、俺が意図したのは言葉のままの意味だったんだけど。
確かに同じベッドで恋人同士の男女がってなったら誤解するのも無理ないだろうけど、一応俺はまだ学生だし、音姫が不純異性交遊とやらを認めないだろう。
ラブラブなのはいいことだけど、きちっと節度をもって学生らしい清いお付き合いをすることが大切なのです。
と以前に言ったことがあるけど、義之曰く、『学園で音姉を膝上に乗せて弁当であーんしている時点で清いお付き合いも糞もあるか』と突っ込まれた。
いやアレはまだ清い交際の範疇だろ?
とにかく、今ではもう普通に添い寝することだというのは理解されている。
むしろどちらかというと義之の方が幾分か怪しい。
俺の知らないところで大人の階段を猛ダッシュで由夢と共に登っている気がするんだが。
まぁそんなことはどうでもよくて、今晩は音姫の可愛い寝顔をじっくりと堪能してから眠りにつきましたとさ。
次回はいよいよさくらパークへ!
更新は未定ですが、まあまた見かけたら『おお、やってるやってる』くらいのノリで見に来てください。